トイレに駆け込めたと思っただろう?
残念! そこは……!!
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誰にも言えない(カテゴリー)
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「ううーっ、苦しい、よぉ……っ」
学校のトイレの個室で、必死になって身体の毒素を排出しようとしている繭――。
だが。
誰がそれを、夢の中の出来事だと思うだろうか?
実際には――。
「お腹、痛いの……、早く、全部出さないと……。うーんん。むにゃ、むにゃ……」
繭は、ベッドでヨダレを垂らしながら眠っていた。
タオルケットをお腹だけにかけて。
洗いざらした白のTシャツに、背伸びした紐ショーツという格好で。
時は早朝。
空が青白んできたころだ。
綺麗に片付けられた机には文庫本。
ポールハンガーには、制服が掛けられている。
ここは繭の部屋の。
「むにゃ、むにゃ……。んん!」
安らかに寝息を立てている繭だが、その眉目が微かに歪む。
息が止まると、お腹に力を入れるように息み――、
「ううっんっ」
もこり。
繭が穿いている紐パンツのお尻の狭間。
その部分が盛り上がったではないか。
「んんっ、ふう……んっ」
もこ、もこり。
ショーツに覆われているお尻が、こんもりと盛り上がっても繭の息みは止まらない。
紐パンツは、もりもりと盛り上がっていく。
「ふあぁ……気持ち、いいの……」
夢の中では漏らしながらもトイレに間に合っているというのに。
現実では、紐パンツを汚してしまっている。
少しでも背伸びしたい――。
その一心で、繭は家にいるあいだはできるだけショーツを穿くようにしていた。
「んんっ、ふううううっ、ううっ!」
もこり。
メリメリメリ、ぷすすっ。
だが、それが裏目に出てしまったようだ。
夢の中ではトイレでも、現実ではベッドの中。
繭は、なんの躊躇いもなくお腹に力を入れてしまう。
ローライズな紐パンツは、もこもこと盛り上がり、茶色い穢れが微かに透けてみえるほどにまで生地が引き延ばされていた。
それでも、繭は身体の毒素を出し切ろうとしていた。
「ううっ、んんんっ! んん~~~~!」
メキメキメキ……。
ブリッ!
ついに大腸の奥にある、柔らかいモノまでもが出てきてしまったようだ。
ショーツから、やや水分を含んだ音が響き渡る。
それでも繭はベッドにいることも知らずに、お腹に力を入れていく。
「ふっ、ふうううっ、んん!」
ブリ! ブリブリブリ!
ブリュリュ!
ショーツから下品な音を立てて、軟便が排泄されていく。
実に三日分。
体調が悪かったので、三日分の食べたものが、繭という少女の小柄な身体に詰まっているのだ。
その大量のチョコレートペーストに、紐パンツが耐えられるはずもなかった。
「ふうううう……! はぁぁっ、んん! 全部……、全部、早く出し切らないと……。授業、終わっちゃうの……むにゃ、むにゃにゃ……んんっ、ふうう!」
ブリュリュ! ブバ!
ブババババ!
ショーツを穿いたまま、なんの躊躇いもなく放たれる過ち。
紐パンツは、
その足口から――、
むにゅうううううう。
ついに紐パンツの足口から、夏の熱気にとろけたかのようなチョコレートが溢れだしてきてしまう。
もしも、繭に意識があったら、顔を真っ赤にして羞恥心に苛まれていたことだろう。
だが、今の繭は、夢の中ではトイレに跨がっている。
なにも恥ずかしがることはないのだ。
「んっ、ううん……、んんっ、はあぁ」
にゅるるるる! ブポッ、ブポポ……、もわっ。
しゅいいいいいい……。
ついに繭はおしっこまで漏らし出してしまう。
せっかく夜寝る前にトイレに行っておいたのに――。
繭の膀胱は、一晩を保たずして決壊してしまったのだ。
「はああ、ああう……うんっ! 気持ち、いいよぉ……。ああぁ……こんなにいっぱい出るなんて……ふっ、ふう!」
ブボボボッ! ブバッ! ブババッ!
しょわわわわわわわわ……。
完全な寝糞――。
朝の静謐な空気に、おぞましい茶色い香りが漂いだす。
十畳ほどの繭の部屋は、もはやドブ川のヘドロよりも腐り果て、生温かい臭気に蒸れ返っていた。
「んんっ、ふっ、ふう、んんん!」
むっ、にゅううううう……。
しょわわわわわわわ……。
既に汚泥によって、繭のおまたはマグマのように蹂躙され、焼き尽くされている。
茶色く染まったクロッチからおしっこが滲み出してくると、シーツに腐り果てた毒の沼地が作り出されていく。
大量の便塊は、足口からだけではなく背中からも溢れ出してきていた。
それでも夢の中では和式便器に跨がっている繭は、お腹に力を籠めていく。
「んんんっ、ふっ、ふう!」
ブボボッ! ブリュ!
一際大きな息み声。
それと同時に、繭のお尻から空気が混じったくぐもった炸裂音が鳴り、ショーツがモリッと盛り上がった。
それを最後に――、
「すう……、すう……、すー……」
再び繭は安らかな寝息を立て始める。
どうやら、すべてを出し切ってスッキリしたらしい。
シーツには、三日分の便塊をぶちまけてしまったとも知らずに。
「んんっ」
不意に繭が呻くと、寝返りを打つ。
だけどそれがまずかった。
むにゅう……。
繭はショーツから溢れだした便塊を、お尻で潰すようにして寝返りを打ってしまう。
お尻とシーツに潰されて、茶色いペーストがベッドに押し広げられ……、それでも繭の眠りはよほど深かったのだろう。
茶色い腐臭に包まれながらも、繭は安らかな寝息を立て続けるのだった。
☆
「ンン……うにゅう……」
人肌に温かかったうんちが冷え切って、それでもパンパンに膨らみきった失敗が消えてくれるはずもなく――。
繭が目を覚ましたのは、すっかり日が昇ってからのことだった。
「んにゅ? なんだか……変な、感じ……んにゅう……」
寝ぼけながらも、そんなことを考えながら、無意識のうちに右手をお尻へと伸ばしていき――。
むにゅ。
「ふぇええ?」
お尻を包み込む、柔らかい感触に寝ぼけているのかと思うけど。
(おトイレに間に合って、それで全部出して気持ちよくなったはず……なのに、なんだろ、この感触……?)
まだ寝ぼけているのかと思って、内股を擦り――、
むにゅっ。
ぐちょ。
「ふぁ!?」
そのときになって、繭の意識は一気に現実世界へと引き戻される。
ショーツのなかに、パンパンに詰まっている、ネットリとした冷たい感触は――、
も・し・か・し・て……?
「う、うそ……でしょ?」
信じられない……。
いや。
信じたくない感触に、繭の意識は急速に覚醒していく。
最初に戻ってきたのは嗅覚だった。
(な、なに? この臭い……)
お祭りとかでたまに使う、臨時のトイレのような、茶色く生々しい臭い。
それは紛れもなく、繭のショーツにネットリと詰まっているものの臭いだ。
(うそ……。さっきまでトイレにいたはずなのに)
ねっっちょぉぉぉ……。
信じられずにショーツの上からお尻を撫で回していると、柔らかく、それでいて冷え切った、生チョコのような感触。
(いや……。ショーツから、はみ出してる、の……?)
信じたくないと思いながらも、柔らかい感触が纏わり付いている手のひらを見て――。
「ああ……」
小さな手のひらには、ごまかしようのないほどの生チョコレートが付着していた。
それは間違いなく繭の大腸で三日間熟成された穢れに違いない。
「う、うそ……だよね」
信じられなくて、身体を起こしてみると、そこには。
繭は我が目を疑ってしまった。
シーツの上には、こんもりとした生チョコレートの山ができあがっていたのだ。
それは繭の紐パンツから溢れ出してきたものに他ならなかった。
紐パンツは生チョコがぎっしりと詰まってパンパンに膨らんでいて、おねしょもしてしまったのだろう。
シーツには生チョコによって濾過されたおしっこの染みができあがっていた。
「そんな……うそよ……」
寝糞――。
この年にもなって。
背伸びした紐パンツを穿いて、少しでも早く大人になった気持ちでいたのに。
それなのに、小学生でもやらないような失敗をしてしまった。
認めたくないけど、目の前にある現実は夢ではないのだ。
臭いも。
感触も。
こんもりとした汚泥の山も。
「夢だったら醒めてよ……」
どんなに目を逸らそうとも、これは現実だった。
夢の中では、ちゃんとトイレにできたっていうのに。
現実では、無様にも寝たまま欲望を放ってしまっていた。
しかも、まだすべてが終わったわけではないらしい。
「ううっ、お腹が……痛い!?」
ぐるるる~~~。
ぷっくりしたお腹から響き渡る不協和音とともに、大腸が捻れそうな痛みに襲われる。
まだ、大腸のなかには残っているらしい。
しかも、すぐそこにまできているようだ。ちょっとでも気を抜けば、直腸にある生チョコレートを放ってしまいそうだった。
「おトイレ、行かないと……」
起き抜けで、まだ足元がおぼつかないなかベッドを降りるも……、それがまずかった。
にゅるるるる!
べちょ、べちょちょ!
ベッドから降りて立ち上がると同時に、直腸を滑り出してくる軟便の感触。
繭の赤ん坊のように緩いお尻には、それを止めることはできなかった。
「あっ、ダメッ」
慌ててお尻に力を入れようとしてももう遅い。
パンパンに膨らんでいるショーツの足口からニュルニュルと軟便がはみ出してきて、フローリングの床に落ちるとベシャリと潰れる。
「ああ……」
床に飛び散った汚泥が脚にかかり、繭はよろめいてしまう。
それが、致命的なことになるとも知らずに。
「ふぇ!?」
よろめいて、素足をついた先。
そこには、繭のショーツからはみ出したうんちが潰れていたのだ。
ヌルリ。
足の裏に、気持ち悪い感触を覚えたときには、もう手遅れだ。
「うっ、うぐう!」
繭は自らの排泄物に脚を取られると、その場で盛大に尻餅をついてしまっていたのだ。
どっしーん!
子供のお尻よりはふっくらとしていて柔らかく、しかし大人よりはまだまだ固いお尻。
繭は、盛大にフローリングの床に尻餅をつくと――、
ベチョリッ。
「んああ!!」
繭は朝一番、引き攣った悲鳴を上げてしまう。
それも無理はなかった。
ショーツにパンパンに詰まっている生チョコがお尻と床に潰されて、おまたに食い込んできたのだ。
その甘く、柔らかい感触に、繭の尿道が耐えられるはずがなかった。
「あっ、ああぁぁぁ……いや、だよぉ……」
しょわわわわわ……。
繭の哀願も虚しく、生温かくなる股間。
生チョコによってパンパンに膨らんでいるショーツからくぐもった水音が聞こえてくると、無情にも繭のお尻を中心として恥辱の湖が広がっていく。
クロッチから滲み出してくる小水は、ショーツのなかに詰まっている汚泥で濾過されていて、茶色かがっていた。
「あっ、あうあうあ~」
湖から立ち昇ってくる臭気をまとった湯気に、繭は為す術なくペッタリと尻餅をつくことしかできなかった。
ただ、女としての本能なのだろう。
柔らかい感触が食い込んでいる秘筋はほころび、繭が気づかぬうちに熱い蜜に濡れているのだった。
「繭~? もう朝ご飯できてるわよー」
階下から聞こえてくる母親の声。
それでも繭が返事をできずにいると、
「なんか凄い音聞こえたけど、ベッドから落ちてないでしょうね」
重々しい、母が階段を登ってくる音が近づいてくる。
この日の記憶は、繭の忘れられない思い出となる。
そして、これからもおむつを充てた長い生活が続いていくことになるのだ……。
おしまい
ここまで読んでくれてありがとうございました。
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この小説は、大決壊! 誰にも言えないに収録されている作品です。
フルカラーのイラストもありますので、気になった方は購入してもらえると創作活動の励みになります。