ビターチョコレート4
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水曜日です。
DLsiteでMasterCardとVisaが使えなくなってからというもの収入が激減しています。
インボイス制度に続いての大打撃。
ちょっと無理ゲーです。
さて、今日は水曜日ということで、同人誌の既刊を更新したいと思います。
少しでも楽しんでくれている人がいたら嬉しいです。
♥2章目 慣れない便秘薬で……寝糞
(おなか、また苦しくなってきちゃってる……)
下校中にうんちを漏らしてしまった日から2週間ほどが経った。
信じられないことに、あの日から一度もひなぎくはうんちを出すことができていない。
日を追うごとにお腹が張ってきて、常に膨満感に悩まされ続けている。
Tシャツに3分丈のスパッツという部屋着で過ごしているひなぎくのお腹は硬く張っていた。
(どうしよう……。苦しくて、集中できない)
自室の机に向かって宿題を片付けようと思って問題集を開いてみたものの、時間だけが経つばかりだ。
スマホで時間をたしかめてみると、夜の21時の1分前を指していた。
「ああ、もうそんな時間」
ふぅ、と一つ大きなため息をつくと、コンコンッ、部屋のドアが控えめにノックされる。
「どうぞ」
と応えると、ドアを開けて入ってきたのは冷たい感じのする銀髪の小柄なメイドだった。
名前を、シェフィールドという。
そのままだと長いから、ひなぎくは『シェフィ』と呼ぶことにしていた。
響きが可愛いと、シェフィ自身もお気に入りらしい。
ただ、シェフィは表情の変化に乏しいから、あまり嬉しそうに見えないのだけど。
シェフィは、ひなぎくが幼少のころから給仕してくれている、専属メイドだ。
20才は超えているはずだけど、童顔だからそれを感じさせない。
「お嬢様、ハーブティーを淹れてきました」
「ありがとう。今夜はどんなお茶を入れてくれたのかな」
「はい。今夜はリラックスして頂けるようにとカモミールティーを淹れて参りました。ハチミツを入れると更に美味しくなるかと思います」
ティーセットをそつなく並べていき、シェフィは部屋を出ていこうとする。
ひなぎくは、そんな小さな背中へと声をかけていた。
「シェフィ、ちょっと相談があるんだけど……」
「なんでしょうか。悩み事でしたら、遠慮なく仰って下さい。ご希望に沿えるかは分かりませんが」
「うん。ありがとう。それで、相談っていうのは……」
ごにょごにょとシェフィの耳元で呟く。
「そういうことでしたら。少々お待ち頂けますか」
「うん。待ってる」
シェフィア部屋を出ていくと、しばらくして戻ってきた。
銀のトレイに、小瓶を載せて。
「お嬢様。こちらのお薬などはいかがでしょうか。私も困ったときにはよくお世話になっています」
「これは……?」
シェフィに差し出されたのは、小さなガラスの小瓶。
そのなかには、小さな錠剤がたくさん入っていた。
しかしその色をなんと形容すればいいのだろうか?
その錠剤は、見るも鮮やかな極彩色を放っているのだ。
それ自体が発光しているようにも見える。
「このお薬の名前はアルテマ。一粒飲めば効果てきめんの、究極の下剤です」
「きゅ、究極の下剤……」
「もしも飲む場合は、寝る前に飲んで下さい。あと、これをあてて寝て下さい」
シェフィがエプロンドレスの大きなポケットから取り出したのは、カサカサとした紙の塊。
「これは……?」
「紙おむつです。あまりにも強力すぎるため、寝る前に飲むと就寝中に粗相してしまうのです。私もアルテマを飲むときはいつもおむつをあてて寝ています」
「そ、そんなに凄いんだ。でも、昼間に飲むわけにはいかないの?」
「日中に飲むと、学校におむつをあてていくことになり、更には我慢できなかった場合は人前で粗相することになります」
「夜に飲むことにするよ。うん」
「それがよろしいかと思います。お冷やをお持ちしますので、くれぐれも寝る直前に飲んで下さいね」
「うん。ありがと」
☆
「さて、飲むか……!」
ひなぎくが気合を入れたのは、もうすぐ日付が変わろうかという夜更け。
お風呂に入って歯を磨いて、あとはもう寝るだけだ。
だけど今夜は寝る前に、あともう1つやることがある。
「この下剤……、そんなに効くの?」
シェフィはおむつをあてないと危険みたいなことは言ってたけど、さすがにおむつというのは……、恥ずかしい。
「最近のおむつってショーツみたいに薄いんだ。でも、この年にもなっておむつは、ねぇ……」
シェフィの気遣いは嬉しいけど、おむつはまたの機会にさせてもらうことにする。
寝てるあいだにお腹が痛くなったら、目が覚めると思うし。
今夜のところは下剤を飲んで、ショーツを穿いて寝よう。
「えーっと、1回1粒。水、またはぬるま湯で飲むこと」
どうやらこのへんは普通の薬と変わらないようだ。
……ちょっと色がカラフルで発光しているようにも見えるけど。
「虹色に光ってるけど、飲んでも大丈夫、なんだよね……?」
シェフィもよく飲んでると言っていたから、身体に悪い、ということはなさそうだけど。
ひなぎくはガラスの小瓶の蓋を開けると、虹色の一粒を手に取って口のなかに放り込む。
それから水を口に含んで……ごっくん。
「よし、これで明日の朝には2週間ぶりのお通じがある……はず! ……よね?」
ちょっと自信がないけど、2週間も音信不通のお腹から、なにかしらの応答はあるに違いない。
「さて、寝るか……!」
ひなぎくは3分丈のスパッツを脱ぐと、Tシャツとショーツだけという姿になる。
ブラは充てていない。寝るときはいつもノーブラで寝ることにしていた。
ショーツはちょっと子供っぽいと言われるかもしれないけど、白とピンクのしましまショーツを愛用していた。
厚手だからお腹を冷やさないし。
「明日は……、出ると、いいなぁ……」
大きなベッドに仰向けになって、枕元にあるリモコンで部屋の明かりを落とす。
数分後には、真っ暗になった部屋にひなぎくの寝息だけが聞こえてきた。
☆
異変。
それは静まりかえった丑三つ時に、ジワジワと始まっていた。
ぎゅるる、
低い唸り声を上げるのは、ひなぎくのお腹だった。
究極の下剤『アルテマ』によって、長き眠りについていた大腸が目覚めようとしていたのだ。
ここまで読んでくれてありがとうございました!
少しでも楽しんでくれている人がいたら嬉しいです。
この小説は同人誌「ビターチョコレート」に掲載されているものです。
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