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水曜日です。
最近は雨の日が多いですね。
寒暖差も激しいので、皆様も体調にはお気を付けください。
さて、今日は水曜日と言うことで、同人誌の既刊を更新したいと思います。
少しでも楽しんでくれている人がいたら嬉しいです!
目次
ビターチョコレート
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♥3章目 スクール水着で大決壊!
「う~~~~~~~~~~ん」
しゅいいいいいいいいいいい……。
ひなぎくが唸っているのは、6時限目の前の休み時間。
場所は女子トイレの個室。
ひなぎくは和式トイレに跨がって顔を真っ赤にして唸っていた。
次の授業はプールの授業だから、お腹を冷やす前にうんちを出すことができたら……と思ったのだけど、出てきてくれたのはおしっこだけだった。
「ふぅ……」
憂鬱げなため息をつくひなぎくは、おまたを拭いて立ち上がると、スクール水着の肩紐をパチンと鳴らして着た。
「やっぱり、気のせいじゃない……。水着、キツくなってる」
ふくよかになった……と、言えば聞こえはいいけど、去年と同じ水着のはずなのにきつく感じられる。
特にお尻とお腹のあたりが。
「お腹、苦しい……」
最後に出たのは忘れもしない。
2週間前の、あの朝のことだった。
いや、寝ているあいだに漏らしてしまったのだから、正確には夜のうちに漏らしたのかもしれないけど。
とにかく、初めて『アルテマ』を飲んだときの寝糞という大失敗以来、ひなぎくのお腹は再び沈黙を守っている。
「また2週間出てないなんて……。今夜あたり、シェフィからまた下剤もらおうかなぁ……」
スクール水着に覆われた、パンパンに張ったお腹をさすりながら女子トイレを出る。
プールのすぐ隣にある女子トイレだから、ちょっと歩けばもうそこはプールだ。
(お腹冷やすと痛くなっちゃうから気をつけないと)
便秘が苦しいのはイヤだけど、プールの授業中にお腹を壊してしまうのはもっとイヤだ。
今日何度目かも分からない憂鬱げなため息をつくと、ひなぎくはプールサイドに集まりつつあるクラスメート――男子と女子の合同――の集団へと混じっていくのだった。
☆
今年初めてのプールの授業。
ひなぎくたちはプールサイドにつかまって、ひたすら正しいバタ足を練習させられるという無為な時間を過ごしていた。
冷たい水に身体を慣らすという意味もあるのだろうけど、バタ足というのは退屈すぎる。
ひなぎくは膝を伸ばすことを意識しながら真面目にバタ足をしていると――、
異変は、プールに浸かって15分くらい経ってから、身体の奥底で産声を上げつつあった。
(やだ、お腹冷やしちゃったから。それに、運動、したから……?)
ぎゅるる。
腸が捻れるようなこの感覚は間違いない。
2週間ぶりの『獣』が目を覚ましたようだ。
(トイレ、早く行きたいけど)
とは思うけど、プールの授業中では簡単には抜け出すことができない。
スクール水着とはいえ、男子たちの視線をイヤでも意識してしまう。
たった一人だけトイレに行こうとすれば、男子たちの視線を一身に受けてしまうに違いなかった。
最近太って、更にはお腹が張った身体を注目されるのは恥ずかしすぎる。
だけど、久しぶりにお目覚めのお腹は機嫌が悪いようだ。
ぎゅるるっ、ぎゅるるるる!
「はぁう!」
寒気と便意にブルリと身体が震える。
やや脂が乗った女体は、青白くなっていた。
「これは……、む、無理……っ」
ぐゅるるっ、
ごぽっ、ごぽぽ!
ただでさえお腹を冷やしたら急降下しやすい体質。
プールで身体を冷やせばどうなるかは火を見るよりも明らかだ。
だけどお腹を冷やせば必ずお腹が痛くなるというわけでもなくて、ある一定以上――大体2週間――が経たないとお腹が痛くならないから、更にたちが悪い。
(我慢……、できない……っ)
授業が終わるまで、あと30分――。
とても我慢できる時間じゃない。
ここは恥ずかしいけど、正直にトイレに行かせてもらったほうがいいだろう。
プールに茶色いマグマを噴火させるわけにはいかない。
(プールでうんちなんて漏らしたら、大変なことになる……!)
25メートルプールで、幅が16メートル程度、そして深さが大体1.5メートルだから、その体積を計算してみると、
(60万リットル……!)
ちなみにお風呂1杯は大体200リットルを溜めるのが一般的らしい。
と、いうことは、このプールにはお風呂3000杯ぶんの水が使われているということになる。
お風呂に1日1杯のお湯を溜めたとして、8年とちょっとかかる計算だ。
数学があまり好きではないはずのひなぎくだけど、便意に脳細胞が刺激されているのか不思議なことに冷静に計算することができている。
(わたしの失敗で、8年分のお水を無駄にするわけにもいかないし! 被害が大きすぎるし……!)
頭の中で色々な言い訳をしながら、いつトイレに行こうか、先生から許可をもらおうかチャンスをうかがっていると。
ぶぴゅるっ!
「ああっ」
バタ足をしているときに、ついお腹に力が入ってしまったのだろうか?
たしかな質量を持った『モノ』が、お尻の狭間を抜けていく感覚。
その瞬間、ピーン! バタ足をしていた両脚が弓なりに反れる。
キュッとお尻が引き締まって、スクール水着にお尻の割れ目がくっきりと食い込んでしまう。
(こ、これは……! ま、まだ……、セーフッ! 気体、気体、気体よ……っ)
自分に言い聞かせるように脳裏で繰り返すも、年頃の女子としてプールの授業中に気体を放ってしまうというのもいかがなものだろうかと、頭のどこかで考えてもいる。
残された時間は、あまりにも少ない。
いつトイレに行こうか?
そのことばかりを考えていると――やがてチャンスが訪れる。
ピッ、短くホイッスルを吹いたのは、水泳の授業を担当している女教師だ。
20代前半で、競泳水着に身を包んでいる。
『それじゃあ、女子はプールから上がって。代わりに男子、次は順番に25メートル泳いでみろー。無理だと思ったら、プールサイドにつかまること。いいなー』
どうやら女子はプールから上がることができるようだ。
その入れ替わりに男子たちが次々とプールに飛び込んでいく。
――このチャンスを見逃すわけにはいかなかった。
つづく!
ここまで読んでくれてありがとうございました!
少しでも楽しんでくれている人がいたら嬉しいです。
この小説は同人誌「ビターチョコレート」に掲載されているものです。
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