ヒロイン工学研究所 2024/01/22 21:07

【座談会2_5】マァムというヒロイン

仮想ヒロピン座談会とは


「仮想ヒロピン座談会」とは、ヒロピンに関するテーマを掘り下げるために開かれた仮想の座談会で、管理人がAIとやり取りしながら進めた考察をマスター、ブレーン、トリックという架空の三者による座談会形式にまとめたものです。
仮想ヒロピン座談会の目的はヒロピンに関する議論をコンテンツ化することで、それを呼び水として読者から質問や意見を募集し、さらにテーマを掘り下げ、議論を豊富にしていくフォーラム的な場を作ることにあります。議題となっているテーマについて関心や質問がある方は是非コメント欄にご意見をお寄せ下さい。また、「こういうテーマを座談会で扱ってほしい」といった提案も募集しております。

議題:マァムというヒロイン 5回目

【マスター】
それではアンケート結果を参照しながらマァムというヒロインを掘り下げていく座談会の五回目を始めたいと思います。
前回の内容を簡単にまとめますと、
・アンケート回答では、ザムザ戦、アルビナス戦、ミスト戦などの原作に登場するピンチシーンのバッドエンド版を求める声が多い。
・モブ的な魔物に敗北するシチュをリクエストする声も多く、そうした回答はマァムを倒すべき戦士というよりも陵○する対象として見ている傾向があるように思われる。
・指定された対戦相手と相関性があるキーワードを集めると、その対戦にマッチしたピンチやエロの展開を考えやすい。
ということでした。
前回の対談の最後でトリックさんは「みんなの意見を集約しただけのアイデアは凡庸なものになりやすい」と指摘されましたが、凡庸化回避のためには何が必要なのでしょうか?

【トリック】
必要なのはオリジナリティなんだけど、このオリジナリティというのは「奇抜さ」であると誤解されることが多い。寄せ集めのアイデアが機能しない原因はそれぞれがバラバラで繋がりがないところにあるのに、そこに思いつきの奇抜な要素だけ追加しても問題はさらに悪化してしまうだけだ。必要なのは全体をまとめる一貫性のある理解を作り手がちゃんと持っていることの方なんだ。つまり問題全体に対するその人なりの理解のあり方が細部の表現にまで影響を与えて結果的にオリジナリティになっていくんだ。

【マスター】
つまりマァムのピンチや敗北の本質を考えるということですよね。これまでの議論を通じてそれなりに深まってきてはいると思うのですが、さらに何かありますか?

【トリック】
この座談会を通して初めて気が付いたんだけど、マァムって芯が強い割に安定感がないキャラなんだよね。さっきまで凄く強気で正論言ってたはずなのに急にシュンとなって口ごもっちゃうような展開が多い。僕はそこにこそマァムのピンチを考えるためのポイントがあるんじゃないかと思うんだ。

【ブレーン】
芯が強いといえばレオナ姫もそうだと思いますが、彼女とマァムは何が違うのでしょう?

【トリック】
そこなんだ。レオナも芯が強いヒロインだけど、マァムと違って彼女の芯の強さは感情に立脚していないんだ。レオナはさすがに一国のリーダーだけあって、重大な判断をするときに感情に振り回されることの危うさをちゃんとわかっている。だからレオナは重要な局面においては信念、知力、胆力を総動員して芯の強さを発揮するけど、そのときにはむしろ感情は抑制している。

【ブレーン】
仲間が危険に晒されている危機的状況の中で冷静であることに徹するレオナの態度にマァムが感情的に反発するシーンがたしかに何度かありましたね。レオナとマァムの違いがわかりやすく露呈したシーンと言えるのではないでしょうか?

【トリック】
そういったシーンでまさに起きることなんだが、マァムはとにかく感情が先行して有効かどうかもよくわからない方法にがむしゃらに固執しちゃうところがある。そこで気が付いたんだ。マァムの芯の強さは感情の強さに立脚しているから、感情が不安定になるだけで芯の方も簡単に揺らいだり、芯の強さが「頑固さ」として作用してしまうんだ。しかもその行動の結果が悪い方向に働くと、今度は感情がダイレクトにダメージを受けてシュンとなり、芯の強さが立脚の基礎を失ってしまう。

【ブレーン】
強さが主に感情に依存しているせいで、感情を揺さぶられるあらゆる要因が強さの崩壊と脆さに直結してしまうというわけですね。たしかにこの構造は「強いのに脆い」というマァムの一見矛盾した性格をうまく説明できますね。

【トリック】
しかもマァムは鈍感なくせに感受性の方は強いんだ。そう考えると、構造的には非常に脆くて危ういヒロインだと言える。僕が魔王軍ならマァムから順に攻略していくね。マァムを攻略すればポップとヒュンケルに対する強力なカードになるし。

【マスター】
魔王軍でその作戦を担うとしたら誰が適任でしょうか?

【トリック】
キルバーンだろうね。マァムの精神構造を標的にして作戦を立案するならば、ザボエラは向かない。ザボエラは狡猾だけど、底の浅い卑劣漢で、相手の心理やパーソナリティーには無関心なんだ。キルバーンなら一見芯が強そうに見えて実は一番脆いマァムの本質を見抜けるだろうし、パーティーの中で精神的支柱と見なされているマァムを弄んでその弱さを暴き出す行為に残忍な快楽を見出すはずだ。

【マスター】
レオナ姫などの他のキャラとの比較が分析に有効だとわかったので、私はマァムの両親、レイラとロカをマァムと比較してみたら面白いんじゃないかと思います。原作ではほとんど描かれることのなかったマァムの両親ですが、現在連載中の「勇者アバンと獄炎の魔王」ではメインのキャラクターとしてかなりしっかり描かれています。

【ブレーン】
マァムの勝気な性格はロカ譲り、母性的な性格はレイラ譲りということでしょうか?

【マスター】
基本的にはそうなんですが、マァムはそれほどレイラに似ていないというのが私の印象です。レイラはマァムに比べるとずっと安定しているキャラで、厳しさも持っていますが、基本的には大らかで柔軟性の高いキャラです。特に印象的だったのはマトリフのセクハラを上手くいなすシーンで、あのマトリフを手玉に取るようなしたたかさを見せます。

【トリック】
カッとなって反射的にぶん殴るマァムとはまさに対照的だね。

【マスター】
そうなんです。そこで気が付いたんですが、マァムはむしろロカに似ている。頑固な一徹者だけどお人好しで情に脆く、短気で感情的に行動し、力押しの行動が空回りすることが多く、失敗するとすぐに凹みます。豪快に見えてメンタルは非常に打たれ弱い。そして世話焼きの割に察しが悪い。

【トリック】
ああ、マァムだね。性別を変えて母性をくっ付ければマァムだ。

【マスター】
私はマァムのヒロピンを考える上で重要なのはレイラよりもロカの方だと思うんです。ロカは力押しが空回りすることが多いキャラでしたが、最終的にはキギロという強敵を一人で倒します。そのときのロカはアグレッシブな姿勢を捨てて、あえて敵の攻撃に対して身を晒すような受けの姿勢に徹することで、最強の一撃を相手にヒットさせます。

【ブレーン】
アルビナス戦でマァムが勝利したときとパターンが似ていますね。

【マスター】
そうなんです。アグレッシブなイメージとはちょうど正反対で、実は「受け」の姿勢こそがロカやマァムの強さをもっとも引き出すスタイルだったというわけです。ちなみにレイラもグランナードという強敵を一人で倒しますが、まさに狂戦士のように敵を苛烈に攻め続けて急所を探り当てるという極端にアグレッシブな方法で勝利します。アグレッシブさが空回りしやすいロカやマァムとはむしろ対照的です。

【トリック】
なるほど、たしかに武道家マァムはパワーとスピードに優れた肉弾戦特化のキャラのくせに攻めに出るとやられてしまうことが多いね。

【マスター】
そこがヒロピン的に重要なんです。「攻勢に出ているときこそが危うい」という状態は第一回目の座談会企画(【座談会1_1】ヒロインが優勢なのに漂う不穏な空気)のテーマである「優勢なのに不穏」という状況と同じなんです。

【ブレーン】
あのときは、「優勢に見える状況の中に潜在する転落の可能性をヒロインが自覚しているかどうか」を判定基準にしてタイプ分けをしましたが、マァムの場合は「自覚していない」にあてはまりそうですね。

【マスター】
そうなんです。マァムは戦闘における自分の強みと弱みを正しく理解していない。自身の性的魅力に関してもそうなのですが、マァムはとにかく自覚がないヒロインなんです。次回は最終回を予定しているのですが、出来ればこの問題をテーマにして議論の総括を行いたいと思っています。





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⇒「「武道家マァムCG集制作のためのご意見募集」ページへ

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