【備忘録】漫画制作の流れ
今後また漫画制作をするときのために今回の制作の大まかな流れを記録しておきたいと思います。
取材・準備
どんな制作でも最初の取材と準備が大切なので、まずは制作に使えそうな情報や素材を収集しました。集めた情報は主に
・過去作品のアンケート結果
・原作に関する情報
・ゲームのプレイ動画
・舞台となる場所に関する情報
・創作論・テクニック
などです。
原作に関する情報は設定画やプロフィール情報の他、ゲーム中の台詞などの資料を集めました。
ゲームのプレイ動画では絵になるモーションをキャプチャして画像資料として集める他、「この技を出したらこの技で返された!」のような劇的な展開がプレイ動画の中にあった場合にはアイデア用にその展開と動画のURL、再生位置を一緒に記録しました。
場所に関する情報は背景画を描くときに必要ですし、場所情報からアイデアが浮かぶことも多いので、作品で使えそうな場所をストリートビューで探してURLを記録しました。主に調べたのはスペインの闘牛場とドイツ・オーストリアあたりのお城です。
また、すでに読んだ脚本術などの創作論の本(Kindle)をハイライト部分だけ全部読み直して、今回の制作に役立ちそうなものをピックアップしました。
画像以外の資料用のデータはすべてアイデアや考察のメモと一緒にExcelに記録し、何の参考用のものかわかりやすいように「バトル」とか「台詞」のようにタグを付けました。
メモを増やす
情報収集とアイデアメモは基本的に同時並行です。
たくさんの情報に接しているとそこで刺激されてどんどんアイデアが出てくるので、何でもいいのでとにかく頭に浮かんだものはすべてExcelにメモとしてタグを付けて残しました。例えばそのメモがラストシーンの台詞に関するものならば「ラスト」「台詞」などのタグをちゃんと付けておくことが何よりも重要で、こうしておけば行き詰ったときにたくさんのアイデアを瞬時に検討できます。
ちなみにこれがメモデータの一部。
完成後にボツになったシーンのアイデアを見ると、シーンはボツになったのにシーンの機能や伝えたかったニュアンスなどは作品に残っていたりすることがよくあります。つまり使わなかったアイデアというのは実際には生きていることが多いということです。
シーン構成・ラフな脚本作成
この段階ですでにシーンに関する断片的なアイデアも相当数出ています。それらを並べながら構成を検討し、ラフな脚本のアウトラインを作ります。シーンのメモを並べ替えたり、別の物に変えたりしながら全体像をチェックする作業なので、ネームを描きながら検討するよりもはるかに楽でした。
ただ、制作後記でも書きましたが、このときに脚本として作り込んだ部分は実際にネーム段階で漫画的表現にするときにかなり翻案とやり直しを余儀なくされました。その原因は「この脚本が漫画の形になったときにどうなるか?」をイメージする力が脆弱だったことにあると思っています。
ラフスケッチの蓄積
取材・準備の段階からずっと練習目的でラフスケッチは続けていましたが、脚本と漫画化イメージが上手く結び付かないときの橋渡しとしても機能することが途中で分かったので、シーンのアイデアは言葉で記録するだけでなく、なるべく漫画化した場合の実際のシーンをイメージしてラフイメージも描くようになりました。
このラフイメージはネーム作成のときにコピペしてそのまま使ったり、ネーム上で複数案を比較検討するときに大活躍したので、たくさん描いておいても損はないです。もちろん練習にもなるので一石二鳥です。
ネーム作成
ストーリーのアウトライン、キャラ立て、台詞などはラフな脚本で大体確定しており、実際のシーンをイメージしたラフスケッチもそれなりにあるので、それに基づきながらネームを作っていきます。
ここまでの準備や蓄積があるのでこの作業はいきなりネーム作成に取り掛かるのにくらべて相当楽なはずです。ただし、私の場合は漫画制作の経験が浅いので、それを差し引いてもネーム作成にはそれなりに苦労しました。制作後記にも書いた通り、この辺は完全に泥縄式に進めていきましたが、これはもう制作工程の組み方とは関係なく避けては通れない苦労だったと思うので、ここでは触れません。
仕上げ
おそらく漫画制作に慣れている人のネームは仕上げイメージがその中でばっちり出来ているのだと思うのですが、私はまだそんなレベルには程遠く、必要なニュアンスや迫力が出なくてネーム段階に戻ることもありました。これも作業工程の問題というよりも漫画経験の浅さの問題だと思うので、ここでは触れません。
以上が今回の漫画制作大まかな流れで、脚本とネームの橋渡しをもっとスムーズに出来れば、基本的にはこのままの形で次回以降も踏襲していいのではないかと思っています。
貴重なものが手元に残る
最後に強調しておきたいのが、Excelへのメモ書きの蓄積は絶対に必要(ただしデータ管理にどのソフトを使うかは自由)だということです。これは中盤での試行錯誤や制作に行き詰ったときの解決のスピードを格段に上げてくれるだけではなく、制作後にも貴重なものを残してくれます。それは次の制作にも使える教訓やチェックリストです。作品のクオリティを上げるために注意すべきポイントなどは、制作から離れているときにはあまり浮かびませんが、最前線にいるときはどんどん湧いてきます。自分が自分のために作った要点集は確実に次の制作でも活躍するので創作をする人間にとっては貴重な財産になります。
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というわけで完成した漫画がこちらになります。
強気なヒロインが追い詰められ完全敗北するまでの姿を描いたソフトリョナ・ヒロピン漫画です。