LIBERTYWORKS 2018/04/29 16:02

「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」について、包み隠さず全力で語ろう。(後編)

まずは最初に

 ドクター・ストレンジという人物について、軽くおさらいしておきましょう。
 
 天才外科医だった彼は、自分の有能さをハナにかけた実にイヤミったらしい人物でありました。自分以外に誰も信じない傲慢な人間だった。ところが、些細なことで大事故を引き起こして両腕が不自由になってしまう。無価値な人間になることを恐れた彼が藁をも掴む思いで頼ったのが、チベットにいるという魔術の師でした。
 けれども、徹底的にリアリストである彼は当初、魔術の存在そのものを全否定していました。後に魔術は実在すると確信して修行をし始めるんですが、傲慢なリアリストは師匠の言うことすらなかなか聞き入れようとしません。修行はトラブル続きです。
 しかし、彼のこの困った性質が、後に唯一の希望へと変わります。
 自ら学び、自ら考え、これは絶対に正しいと確信した時の彼は恐ろしく強かったのです。それは魔術への理解力でもあり、また意思力の強さとしても現れました。師の亡きあとその志を継ぎ、必要とあればタブーも破る。何千回も何万回も死ぬに等しい(っていうか実際死んでた)無限の苦しみにすら耐え、異世界からの侵略を退けて、影ながら世界を守護する大魔術師となったのです……。

 と、ここまでが、映画「ドクター・ストレンジ」のあらすじ。
 いけすかない天才が改心して正義のヒーローになる映画の模範例として教科書に載せるべきじゃなかろうか。そう思うほどムダがなく美しい脚本に加え、一歩間違えば「もうこれ何でもアリじゃんwwwww」と観客が白けるギリギリ半歩手前で抑止して説得力を持たせた魔術の応酬と超時空バトル。未見の方は今すぐ配信サービスなりDVDレンタルなりで視聴しましょう。大丈夫よ、ほんとにクッソ面白いから。
 

ストレンジの何がストレンジなのか?

 そんなストレンジ先生は「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」においても何ら変わらず。プライドが高く基本的に上から目線なので初対面のトニーとすぐ険悪になるし、基本的に他人を信用していないので容易に協調しようとしません。まァ先生の通常運転です。だがそこがいい。
 そして、ストレンジ先生の「通常運転」は、サノスの狙いが自分の持つアガモットの目(タイムストーン)だと知ったあとも一切変わりません。今ならヤツはまだストーンを全部そろえていない、敵の本拠地にこちらから乗り込んで奇襲をかけようと提案するアイアンマン:トニーと、なんだかんだでトニーについてきちゃったスパイダーマン:ピーターの前で、およそ正義の味方とは思えない冷たい顔のままキッパリ言い切りました。
 
 「憶えておけ。もしもお前たちの命と、タイムストーンが天秤にかかるようなことがあれば、私は躊躇せずタイムストーンを取るぞ」
 
 そんなことは言わずもがな。トニーも「当たり前だよバカヤロウ」てな勢いで、ピーターも言外に「まあ、うん、そうなりますよね…」てな感じで異を唱えませんでした。
 
 しかし、実際はどうだったか。
 ええ、映画を見たみなさんはご存じの通り。サノスの一撃がトニーを貫き大ピンチ、ああダメだこれはトニー絶対死んじゃう、と観客がみな思ったその時「彼を殺すな、タイムストーンはくれてやる」とあっさり差し出してしまったのです。
 それは、全宇宙の命の半数を失いかねない行為だと知っているはずなのに。
 
 ね、こうやってストレンジ先生に絞って見てみると、めっちゃ変でしょ?
 

巧妙に仕組まれた「演出上の罠」

 これは作劇上のテクニックの話なんですが、観客の誰もが「そんなのは嫌だ! やめてくれ!」と望んでいた場合、ちょっとくらいムリヤリなご都合主義的解決法でもさほど違和感を抱かず受け入れてしまう(それどころか感動すら引き起こす)ということがあります。
 例を挙げると、どこぞの人気ゲームのヒロインが大ピンチだった時、どうしようもない役立たずなポンコツ主人公が偶然にも「カリバーン」の錬成に成功しちゃったとか。あっこれもう完全に死んだわと思われていた某2号ライダーが何の説明もなく「俺は不死身だ!」の一言で最終決戦に間に合ったりとか。体力も気力も技も全て使い果たしていたはずなのに親友の死をきっかけにプッツンして「伝説のナントカ人」に覚醒して無双を始めるとか。枚挙に暇がありません。しかもたいてい名シーン扱いですネ。
 
 物語というのは原則、整合性を取りながら進められるべきですが、そのことに汲々としててもつまんないものなんです。
 お話の流れに乗せられていく中で無意識的に望んでいたことを、予想外の手段でポンと叶えられると「奇跡が起きた!」とか「待ってました!」とか「さすが正義の味方!」とか思って歓迎しちゃうんですね。
 この横紙破りをいかに上手くやってのけるか、そこのところがエンタメ作品のひとつのカギでもあるのです。たぶん気の利いた脚本術の本とかにはだいたい似たようなことが書いてあると思う。あんまそういう本読んだことないから知らんけど。
 
 さて、話を「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」に戻しましょう。
 
 冒頭、アイアンマン:トニーについて、恋人であるペッパーさんとの関係が大変うまく行っていることが語られていました。この二人の仲の進展はファンならほんとに嬉しいことだし、アイアンマンという作品にさほど思い入れがなくても「もうじきこの二人は幸せになるんだろうな」と予感したはずです。
 ところがどっこい、トニーはサノスに殺されそうになります。
 少なくともトニーのファンである永元は「頼む……やめてくれ……ペッパーさんが泣いちゃう……!」と絶望の淵に立たされておりました。頼むトニー死なないで、誰か助けて、お願いだからサノスを止めて、と必死に祈っていたのです。
 
 そこに「よせ」と言ってくれたのが、他ならぬストレンジ先生。
 やはり先生も人の子だった、正義の味方だったんだ、目の前で仲間が死ぬことに耐えられなかったんだ、しょうがないよ俺だってあの状況だったらタイムストーンを渡しちゃうよ……そう思ったものです。
 
 なんだかおかしいぞ、なんて、露ほども思わなかったのだよ。
 

「演出上の罠」はまだある

 「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」では、しつこいくらい何度も何度も繰り返された一つのモチーフがありました。
 
 自分の命よりも大切な誰かのため、本来すべきではない行動をしてしまう……。
 
 たとえば冒頭、和解したばかりだった義兄のソーを救うため、ロキは無謀にもサノスに戦いを挑み、結果として命を落としてしまいます。
 トニーはこの世界を守るため、ひいては愛するペッパーを守るため、今すぐ戻ってきてというペッパーの願いを決して聞き入れなかった。
 トニーを父か兄かのように慕うピーターは、彼を放っておけなくて宇宙の果てまでついて行ってしまう。
 ガモーラは愛憎半ばする養父サノスを本気で殺そうとしたし、妹ネビュラを助けるためにソウルストーンの在処を喋ってしまう。
 そのガモーラを愛していたスターロードは、彼女との誓いを守るため、自分より大切なガモーラを射殺すべく銃のトリガーを引きました。さらにはサノスがガモーラを殺したと知ったために逆上してしまい、サノスに勝てるはずだった唯一無二のチャンスをフイにしてしまう。
 スカーレットウィッチも、本当の本当に追い詰められるまで、愛するヴィジョンの殺害と同義であるマインドストーンの破壊に踏み切れなかった……。
 
 こうして挙げてみると、ほんとに多いんですよ。このモチーフ。枚挙に暇が無い。
 なもんで、その中に「トニーを救うためにタイムストーンを渡してしまう」というストレンジ先生の奇妙な行動が埋もれてしまうのです。
 
 だいたい、ロキには兄を救おうとする理由があった。あいつは「兄さんなんか死ぬほど苦しい目に遭えばいいんだ!」と思っていても「本当に死ね!」とまで思ったことは恐らく一度もないしね。トニーが「ペッパーのためを思って」いながら「ペッパーが望んでいない行動に出る」のはいつものことだしさ。ピーターの向こう見ずも同様。ガモーラが本当は心の優しいレディだってことはわざわざ説明する必要すらない。スターロードの正義感と激情に駆られての衝動的な行動も通常運転。スカーレットウィッチが恋人ヴィジョンの殺害を躊躇うのは当たり前。
 
 ストレンジ先生にだけは、理由がないんです。
 「本来すべきではない行動をする」その理由が、何も。
 

仕組まれた罠をくぐり抜けて

 さて、上記のような演出上のトラップを見事にくぐり抜けたとして。
 ではどうして、ストレンジ先生は「らしくない」行動をしたのか。
 
 そもそも、ストレンジ先生は魔術師です。
 インフィニティガントレットを持つサノスを除いてたった一人、インフィニティストーン(タイムストーン)の力を引き出して利用する術を持っていました。それを使って何千万回ぶんの未来を見通し、サノスに勝てる「たった一つの方法」を見出していたはず。
 だったら、スターロードが激情にかられて軽挙妄動に出るパターンも承知していたはずだし、その瞬間にタイムストーンの力を使って時間を巻き戻し、あの「ひょっとしたら勝っていたかもしれない戦い」をやりなおすこともできたはず。かつてドルマムゥと戦ったときのようにね。
 なぜ彼はそれをしなかったのか?
 
 あと、タイムストーンについて、言及しておくべきことがもう一点。
 ストレンジ先生は今、いろいろあってやむなく魔術師をやってますけど、本質的には今もドクター(医者)のまま。救えるはずの誰かが死んでしまう、だれかが犠牲になる前提で戦う、そういうことが心底大っ嫌いな人なんです。
 そして、彼が持っていたアガモットの目、すなわちタイムストーンは「宇宙の均衡を破壊しかねない禁忌の力」で、本来使ってはならないものでした。今回めっちゃカジュアルに使ってた(ように見せていた:これも演出の罠かもしれない)から気付きにくいんですが、彼がその禁忌を犯し、宇宙の均衡を破壊しかねない力を使う時の理由はたったひとつだけです。
 なのに今回、彼が禁忌を破った意味がまったくなかった格好になってる。
 おかしくね?
 
 ……そう。
 それらの答えは、ストレンジ先生が自ら言葉にしていたんですよ。
 いつも通りの、至極冷静な、詫びるでも悔やむでもない普通の顔で。
 
 
 「これしかなかったんだ」
 
 
 その意味は、ここまで読んでいただいた方なら、もうおわかりですよね?
 
 ここまでが、現役中学生のうちのぼんずが、初見で見抜いたことでした。
 この考察が本当に当を得ているのか、それは来年の続編までわかりませんが、しかし永元は(親のひいき目かもしれませんが)正解に限りなく近いはずだと信じています。
 
 この敗北は、ドクター・ストレンジが見出した完全勝利へ至るたった一つの道、その過程にすぎない。
 うろたえる必要などどこにもなく、大逆転の布石はすでに打たれているのです……!
 

ミスリードのオンパレード

 んで、ここからは永元個人の考察というか、上記を元にいろいろと考えたことになります。
 
 アメコミ映画において、敵役のキャラクターは「ヴィラン」と呼ばれますよね。
 今回の映画においては、サノスがヴィランだということになります。表面上は。
 
 でもね。
 
 単なるヴィランと言うには、サノスの言動には腑に落ちない点がたくさんあるんですよ。
 
 そもそも彼が全宇宙の人口を1/2に減らそうとしたのは、資源や食糧の奪い合いで破滅することを防ぐため。現実の地球でも人口増加・食糧問題・利用できる真水の争奪戦という問題に近々直面するだろうと言われていますけど、これもひとえに「人間が増えすぎたから」で、それが宇宙規模で起きてるんだという話がまずありきです。
 つまり、アベンジャーズがサノスに勝利していたとしても、やがて来る滅亡の時が早まるだけの話なんですよ。だからサノスは決して負けるワケにはいかなかった。どんな犠牲を払ってでも成し遂げなければならなかった。たとえ悪と手を組んででも。そういやどっかの先生もこれと同じポリシーでしたっけね?
 
 つーかね、サノスくんは宇宙最強レベルでクッソ強いし頭もキレキレなはずなのに、あんまりにも詰めが甘すぎるんですよ。冒頭からしてソーを確実に抹殺しなかったのも変だし、スターロードだってガモーラをさらうついでに一捻りでブッ殺せたはずで、タイムストーンを手に入れたらトニーもストレンジ先生もあの場にいた全員を皆殺しにしてても良かったでしょう。
 圧倒的な強者だったから余裕があった? いえいえ、これだけ重なるとさすがに不自然でしょう。いくらなんでも脇が甘すぎる。ガッバガバやで。
 
 なぜなのか?
 
 これまた作中でサノス自身が言っていますよね。ある時は「(お前のことが)気に入った」だし、またある時は「(お前の気持ちは)わかるさ」だし、もっと端的に「俺も同じだ」と言ったときもあったはず。
 要するに、奮戦するアベンジャーズの面々に、過去の自分と同じものを見出していたんです。あるいはもっと単純に「殺すには惜しい」と思っていただけかもしれない。もっと強くなって戻ってこいと思っていたかもしれない。やれるものなら俺を斃してみろ、そう思っていたフシすらある。
 
 サノスの論理は独善かもしれませんが、少なくとも「悪」ではなかった。
 どこかの地球育ちの戦闘民族(怒ると金髪碧眼になって髪の毛が逆立ち戦闘力が大幅アップするアレ)だって、最大の敵になりそうな相手を何度も何度も見逃してきたでしょう。それで大半は味方になりましたが、そりゃ結果論にすぎません。あれだって立派な独善ですよね。
 
 何が本当の善で、何が絶対の悪かなんて、神でもない人の身にわかることではない。
 だから、善を為そうとする正義の味方が独善に走りがちなのは、ある意味、仕方のないことではあるんです。
 
 ひょっとするとサノスは、自分より頭がキレて強いヤツが現れたなら、早晩、自分と同じ結論に辿り着いて同じ行動を起こすはずだと思っていたんじゃないでしょうか。
 ここについては完全に永元の推測ですけど、インフィニティストーン抜きなら自分を殺すことが可能なほどの戦闘技術を養女に叩き込んで育て上げた時点で、自分に万が一のことがあった時の後継者を育てようという意思はあったはずなんです。
 
 そういえば、アメリカ本国のプレミアの感想に「シビルウォーの30倍凄かった」という賛辞がありましたっけ。
 よく考えるとアレ、なんでシビルウォーが比較対象だったんでしょうね? どうせ比較するなら直近のアベンジャーズ(エイジオブウルトロン)や、あるいは直近の作品で大ヒットしたブラックパンサーでも良かったんじゃね?
 
 ひょっとしたら。
 
 「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」に、ヴィランは存在しなかったのではないか。
 あの二時間強の映画で描かれたのはつまり、ヒーロー同士の異なる正義の激突にすぎず、宇宙規模に拡大されただけのシビルウォーだったのかもしれません。
 

仮にサノスが「ヒーロー」なら

 彼の究極の目的は、宇宙の平和と恒久的な安定です。それは何度も劇中で言及されていました。
 でも、もしも、彼が全てを犠牲にして宇宙の人口を半減したにも関わらず、それが為されなかったら?
 
 もうホントに、子供でもわかるだろっていうそもそも論になりますけど、無作為かつ一切の差別なくランダムで半分消す、というのがよろしくない。大変よろしくない。
 サノスは「平等」なつもりだったんでしょうけど、本当に大事なのは「公平」かどうかでしてね。完全ランダムってのは実にまったくフェアじゃないんです。
 
 たとえば、スパイダーマン:ピーター・パーカーを失ったNYは今度どうなりますかね。消えたのはピーターたった一人かもしれませんけど、その一人がどれだけ多くの人々を救い、あの大都市の均衡を保っていたんでしょうか。
 同じことは、スターロードやガモーラにも言えます。彼らがいなければガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは存在しえなかったし、かつて退治したヴィランたちの私利私欲によって宇宙が破壊されるか独占されていた可能性が極めて高い。
 
 サノスは、ガモーラやドラックスの生まれた星(あるいは破滅させてきた数多くの星も含む)について、人口を半減させてきたことで秩序と平和を取り戻したと主張していました。
 しかしそれは「たまたま」だったとしたら?
 インフィニティ・ガントレットを持たないサノスは、個体としてはどんなに強かろうとも、しょせん宇宙全体から見ればそこに生きる一粒の命にすぎません。やれることには自ずと限界があり、知りうる世界と見える景色にも限りがある。彼は全能神ではないのですからね。
 いくつもの星を壊滅状態に追い込んできたとしても、宇宙は広い。全体でいえば微々たる被害だったし、致命的にバランスが崩れることはなかった。ただそれだけのことだったのかもしれない。
 
 そんな彼が、インフィニティストーンという万能の力を得て、強○的に人口を半減させちゃったワケですよ。

 もしも、神ならぬものが神の力を手に入れて、神の真似事をしただけなのだとすれば。彼の目には滅び行くだけと見えていた世界が、実は巧みに均衡を取っていたとすれば。その均衡を、他ならぬサノス自身が決定的に破壊してしまったとすれば……。
 思い込んだら猪突猛進、自らの正しさを証明すべく突っ走ってうっかり大惨事。まるでどっかの社長さんみたいですね。そう思うと確かにあの二人は似てるのかも。
 
 んで、宇宙の均衡が破れて、何かしらの災厄を招いてしまうとして。
 たとえば外宇宙からサノス以上の「悪」が現れたなら、彼はどうするつもりなのか。たった一人で勝ち目のない戦いに立ち向かうつもりでしょうかね。
 
 いえ、ひょっとすると、もしかすると……?
 

エンドクレジットの後で

 
 「サノスは帰ってくる」
 
 最後に示されたそのテロップは、マーベル映画のシリーズにとって本来、ヒーローたちの名前が表示される場所でした。いわば「アベンジャーズの一員になるべきヒーローの特等席」です。
 
 そこにサノスの名前が表示されたということの意味は、凄まじく重いのかもしれない。そしてこれこそが、マーベルが仕掛けた「最大の罠」だったのかも……?
 

などともっともらしく語ってみたが

 実は全部勘違いで、ことごとく考察や予想が外れてたという可能性もないとは言えない。その時はゴメンな! 先に謝っとくね!
 
 でも少なくとも、絶望感に打ちひしがれながら来年まで待つことはないと思うんです。
 今からみんなで期待しときましょう、あの台詞と共に、皆が集結するその時を!
 
 
   Avengers Assemble!!!!
 
 
 
 

余談

 でも、これがもし、本当に当たってたとしたら……。
 マーベルは我々観客を信用しすぎというか、よくもまあここまで思い切った仕掛けが打てたもんだよなと。
 
 自分が曲がりなりにもクリエイターだから誤解を恐れず言いますが、永元はここまでお客さんのことを信じて物語を作れません。クソ度胸ってレベルじゃない。誤解されることは覚悟の上、なんて言えば聞こえはいいけど、気付かれなかったらファンを逃がして総スカンを食らいかねないんですもん。
 それに、キャップ役のクリス・エヴァンスが今回を最後にキャップ役を降板するとか、ヒーローのうち誰かは確実に死んでシリーズを卒業するとか、そういう関連ニュースもどこまで信じていいのやら。少なくとも「ホームカミング2」と「ブラックパンサー2」はやる予定じゃなかったの? どっちも現時点では主人公おらへんやんけ!
 
 ここまで大がかりに仕掛けてきたのなら「どれもこれもぜーんぶウソでしたー! やーいやーい騙されたー!」ってなっても不思議じゃない……。
 ワシゃもう何も信じねェぞ、信じてやらねェんだからな!
 
 つーか、これでクリスのキャップが最後とか俺は納得せんからな!
 ちゃんとヒゲそってしっかり綺麗なスーツ着て、いつものあのシールドぶん投げて悪い奴をバッタバッタなぎ倒してくれずに他の役者に変わるなんて、たとえマーベルが許してもこの俺が許さん! もう一回やれ! いや、やってください……!!!!!
 
 あ、そうそう。
 上記のことを気付いて映画の印象が180度真逆になった我が家では、みんなでこぞって劇場に戻り、インフィニティウォーのグッズを買いあさるという現象が起きました。永元はアイアンマンとスパイダーマン師弟のミニフィギュアを、考察のきっかけをくれた今回MVPのうちのぼんずはドクター・ストレンジのキーチャームを選択。
 しばらくの間、ぼんず一推しのマーベルヒーローは「ドクター・ストレンジ」で決まりみたいですヨ。世間のファンたちは消滅組としてお通夜ムードみたいなんですけどねw
 
2018/04/29


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