遠蛮亭 2021/07/23 16:36

世界包括神話⁻北欧編(2)

昨日は住宅売買契約その他で10時近くまで出先、4時過ぎまで自宅作業でしたがようやく一休み、実に40日以上? ぶりの休養日です。とはいえ家のお仕事、うちのおかんの世話やら、炊事洗濯はやらねばなりませんがお出かけやら契約やら諸手続の必要がないのはだいぶ違います。というか昨日の契約のあと、精神の緊張が解けたんでしょうね、二日市駅から博多駅に移動して博多駅にいる間中、脳神経がおかしくて妙な具合でした。普段から相当につらくはあるのですが、昨日のはかなり格別。よく倒れずに済んだなと思います。

さておきまして本日は北欧の(2)。ロキの子供たちの説話と、神々の宝物の説話になります。

ロキの子ら
ロキにはシギュンという貞淑な妻がいましたが、彼の有名な三人の子供はロキとシギュンの間の子ではありません。ロキがシギュンの貞淑と忠実に満足せず、ヨトゥンヘイムの女巨人アングルボザと間にもうけた子です。

長子は狼フェンリル、次子は蛇ヨルムンガンド、三番目はヘル。神々はいつもロキのいたずらに手を焼いていましたから、この子供たちがロキから生まれたと知ると非常に不安がりました。ノルン(運命の三女神。上からウルド、ヴェルダンディ、スクルド)たちに相談しましたが、彼女らは「彼から被る最悪のこと以外、なにも期待するな」と言うのみで解決法を提示しません。なのでオーディン以下の神々は4人(母アングルボザ含む)を捕えることに決めます。ヨトゥンヘイムを強襲、アングルボザに猿ぐつわを噛ませて捕え、まずヨルムンガンドをミッドガルド外辺の海に放り捨てます。溺れさせるはずでしたが、ヨルムンガンドはたちまちに成長してミッドガルドの海を囲みきってしまいました。このためヨルムンガンドはミッドガルドの大蛇とも言われます。

ついでオーディンはヘルをニフルヘイムの霧と闇の中に放り込みます。彼女はニフルヘイムの9つの国を支配し、死者の家エリュードニルを築き、悠々と女王然として過ごします。彼女のナイフは《飢え》であり、ベッドは《病床》、病床のとばりは《ほのめく不幸》でした。フェンリル狼だけは普通の狼に見えましたが、一番強力なのはこの魔狼でした。全ての神の中にあって彼に食事……肉の塊……を与えられたのはオーディンの子(という扱いにされた)チュールだけでした。ノルンたちは「彼こそオーディンに死をもたらす者」と警告し、以後フェンリルは日に日に巨大化していきます。ノルンたちはしきりに警告を繰り返し、神々は彼に足かせをはめることを決意しました。まずリングウィル島にフェンリルを連れ出し、レーティングという鉄の鎖がフェンリルの足に巻きましたが、瞬時に砕かれます。ついでドローミという鎖はレーティングの数倍の硬度でしたが、これも粉々。最後に、小人たちに作らせたグレ○プニルの縄、「猫の足音、女の髭、山の根、熊の腱、魚の息、鳥の唾」で作られたこれがついにフェンリルを絡め取ります。フェンリルはこれが小人の魔術の品であることが分かったので身に巻かせることを拒んだのですが、チュールが担保として自分の右腕をフェンリルの顎門に差し入れたので我慢して巻かせ、そしてやはり謀られたと知った瞬間、チュールの腕を食いちぎりました。そのときほかの神々が笑っているわけです。これは神喰らう狼をようやくとらえたという意味でもあり、かつての主神チュールの王権がこれによりオーディンに移ったことの象徴神話でもあります。

神々はグレ○プニルの端にゲルギヤという鎖をつけ、その端をギョルという、大丸石につなぐと1マイルほどの深さに埋めました。さらにギョルを固定するためスヴィティという大岩を落としました。フェンリルはなおも身をゆすり、暴れ、大口を開けますが、このとき神の一人が剣を抜き、フェンリルのあごを地面に串刺しで縫い留めます。フェンリルは遠吠えし、涎を垂らし、これがリングウィル島の支流アーム《期待》川となりました>
フェンリル、ヨルムンガンド、ヘル。この三匹の怪物はそれぞれに終末の日を待ちます。

神々の宝物
神々はオーディンのグングニル、トールのミョルニルなどそれぞれの持物がありますが、これはもともと神の持ち物ではなく小人たちが作って与えたものです。小人たちが進んで神々にプレゼントしたのではなく、ロキの計略により献じさせられたのでした。いきさつとしてはロキがまず雷神トールの妻シフの髪を刈り取るといういたずらをします→トールブチ切れ→殺すぞロキぃ! →ロキは冗談だったから許せというものの、トールは聞かず。殺そうとしますがロキがシフの髪と、それともっと素晴らしい宝を持ってくると言ったのでかろうじて命だけは助けました。

シフの髪をもとに戻せるとしたら小人しかいません。なのでロキはまず小人イーヴァルディの息子たちに会いに生き、まず前以上に見事な、輝き風になびく金のかつらを作らせます。ついでにスキーズブラズニルという分解可能な大船と、稲妻の神槍グングニルをも作らせ……そしてすぐ帰るのではなく、ブロックとエイトリという小人の館を訪れるとイーヴァルディの息子らと彼らの対抗意識をあおり、これより優れたものを作るなんて、キミらには無理だよ、と煽ります。

煽られたブロックとエイトリは完璧な黄金の猪、草原も海も空も構わず駆けるグリンブルスティ、また同じく完璧な黄金の腕輪、9日ごとに自分と全く重さの金腕輪を8つ生み出すドラウプニル、そしてもう一つ完璧なものを作るはずがロキの横やりで不完全になった銀の大斧、雷霆のミョルニルを作りました。

ロキは両者を連れてアスガルドに戻り、彼らにプレゼンさせて、「勝者に神々の感謝と友情、そして褒賞を与える」と約束。イーヴァルディはシフにかつらを、スキーズブラズニルをヴァン神族の王子であり神々の福王であるフレイに、グングニルをオーディンに捧げ、ブロックとエイトリはグリンブルスティをフレイに、ドラウプニルをオーディンに、ミョルニルをトールに捧げます。そして神々が最も素晴らしいものと決したのは、ロキが邪魔をして不完全なものとなった大斧ミョルニルでした。ブロックは賞品としてロキの頭を求め、神々は進退窮まるロキを嘲笑しますが、ロキは「頭をとってもいいが、首に触れるのは許さない」こう言ってまぬかれるものの、ブロックはならせめてお前の口を縫い合わせる、と腕を伸ばします。ブロックのナイフでロキを傷つけることは出来なかったのですが、兄エイトリの錐を借りると刃が通り、革ひもでロキの口を縫い留めます。この革ひもはすぐに引きちぎられますが、激痛にロキは復讐の事ばかり考えるようになったとのこと。それまでのロキはいたずら好きの変質者ではあっても外道な悪魔ではなかったのですけども、このあたりから神々の黄昏の予兆が始まります。

本日これにて。次話で光の神バルドルが死に至る顛末と、ロキの捕縛、最後に神々の黄昏ラグナロクを語りたいと思います。

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