遠蛮亭 2021/09/14 11:53

進捗21-09ー06-世界包括神話‐ロシア篇(2)

皆様お疲れ様です。
ゲームの進捗がないので、本日は世界包括神話、ロシア編の2でお茶を濁すとします。というか最近こことは別に個人ブログ始めまして、直接ゲームに関わってこない神話とか、あと歴史やら軍事やらのお話はあちらに移行しようかとも思うのですが、そもそもそれらは遠蛮の創作活動の基盤なので不可分かもなぁと、現在悩み中です。ともかくも本日の分、よろしくお願いします。

英雄伝説
 スラヴの英雄叙事詩をブィリーナ、その複数形をブィリーヌィといいます。ブィリーヌィの中でも古い年かさの勇者たちについてのそれと若い勇者たちについてのものがあり、古い方が当然、神話的要素を強く帯びています。ただし例外なのは若き英雄の物語におけるイリヤ・ムローウメツで、彼だけは古き勇者たち以上に神話的・魔術的な要素を帯びますがしかしやはり、その行動規範やらなんやらでキリスト教に強化されている部分は否めません。では、以下に代表的なポガトゥリ(勇者)を列挙。

スヴャトゴール
 剛力無双の勇者。「地面を一つところに集めることができるのなら、それを持ち上げて見せよう」と豪語するほどの怪力ですがステップを冒険の途中、小さなずだ袋ひとつを持ち上げることすらできないという怪異に出会います。力を込めるほど彼の脚は大地にめり込み、目からは涙の代わりに血が流れ、そして立てなくなった彼はそのまま死んでしまうのでした。

ミクーラ
 木製の小さな鋤で戦う勇者。この鋤はミクーラが片手で軽々扱えるのですが、他の勇者たちが束になっても持ち上げることができないというもの。そしてミクーラの小馬は最も速い駿馬よりなお速いと言われます。スヴャトゴールは「母なる湿潤の大地」に嫌われて力を封ぜられ、ミクーラは逆に「母なる湿潤の大地」の恩寵を受けて数々の奇跡を発揮するというところ、対照的です。

ヴォルガ
 鷹や狼や白牛、あるいは蟻など、あまたに姿を変える勇者。名前そのものが司祭あるいは呪術師を現す古スラヴ語ヴォールフヴィの転訛であって、彼が変身魔術師であることを雄弁に語っています。彼らはみなスラヴ的英雄ですが、それでもやはりキリスト教伝来の影響は強く、一番魔術的なヴォルガでさえ教会と聖都キエフを護るため「インド皇帝」と戦います。

そして若い勇者の物語になるとキリスト教の影響は実に顕著になり、その最大の花形がイリヤ・ムロウーメツとなります。

イリヤ・ムロウーメツ
 33才になるまで座ったまま、立って歩くこともできなかった障害者。ある日二人の吟遊詩人に出会い、彼らから送られた「蜜の飲料」によって「大いなる力」に目覚めるのですが、良きキリスト教徒である彼は老いた両親の祝福なしには武勲を立てることはできず、信仰のために戦い、そして死ぬときにはキエフ大聖堂を建立します。この最後の功績の後、イリヤは石となって現在までその姿で残っている、ということになっています。ちなみにイリヤの馬は地上を走らず祖空を駆け、また彼の弓は雷霆であり木も石も打ち抜き、粉砕したといい、このあたり神話に言う雷神にして軍神・ペルーンに非常に酷似しています。ある意味でキリスト教がペルーンを軍門に降した象徴神話といえなくもないかもしれません。

他にも勇者(ポガトゥリ)についての物語はいろいろあるのですが、スラヴ神話についてあまり詳しくないのでボロを出さないうちにこれで。本日短くてなんだか申し訳ないですが。

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