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版権イラストの記事 (15)

遠蛮亭 2023/02/25 08:13

23-02-25.二次創作_きゃんバニ_スワティ(+くろてん進捗)

おはようございます!

昨日はあれからゲーム制作に戻らず、またお絵描きしてしまいました……。それも「日輪宮」のイベント絵ではなく2次創作、きゃんバニのスワテイ。時間の余裕はないはずだったのですが、昨日はなんだかお絵描きしても疲れない日だったのでつい。

こんな感じです。スワティを凌○する同人エロゲってどこかにないもんかなーと常々思っている遠蛮ですが、昨日、スワティの凌○イラストが広輪さまから上がりました! ここにアップしようかとも思いましたが、かなり激しくえげつない代物なのでたぶんやめておいたほうがいいでしょう。ともかくこれで改めて、広輪さまに「くろてん」の作画担当をお願いできる状況が整いました。

そこで、新規にイベント絵を発注するわけですが、サブキャライラストは何枚にするか……。5枚使えるとかなり余裕ありですが、4枚にしてメイン3人のイベント枚数を増やすべきかも。鬼畜2枚純愛2枚は欲しいので3枚というのは少なすぎますが。例えばフィーリアママのイベント、現在考え中なのは「雫と3P」「裸エプロン新婚プレイ」「デックアールヴに輪○」「誰の子かわからない赤ん坊を孕み、壊れた笑みを浮かべるフィーリア」の4つですが、通常イベント1つ入れることもできなくはない……サブキャラの通常イベは立ち絵でやればいいかな、とも思いますが。

こちら久しぶりに、広輪さまによるキャラクターイメージラフ。あとここにラケシスとフィーリアママが加わります。現在新規のイメージラフをお願いしてますので、それが上がるまで毎日これを上げておくことにしましょうかね。

それでは、以上でした!

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遠蛮亭 2023/01/26 06:46

23-01-26.「日輪宮」イベント絵2種+版権2次創作絵2枚

おはようございます!

昨日は成果物が結構ありです。ゲーム自体のシナリオも進め、1章2章の凌○ルート(バッドエンド)を進め、純愛(?)ルートも多少進めました。純愛ルートと言うか瑞穂さんいやらしルートですけどもね、あっちは。ともかく純愛ルートでは瑞穂さんのところにみのりんもやってきて、辰馬くんの力もあり出産を経ずして牛頭天王をブッ倒せる話に。これが辰馬くんの力を借りない(ギルドに行かない)ルートではまず自力で牛頭天王打倒は不可能、出産して強い子を産むしかないのですが。

で、今日の成果はこちら。

まず沼島さんとこの寧々さん。姫巫女のおねーさん役は天使と言う名の触手のバケモノに犯され、出産を経験。こちらライブドアブログのほうに差分14枚あります。

つぎは晦日さん。当初昔の絵を流用のつもりでしたが、なんかしっくりこないということで全部描き直し。結構いい感じになったのではないかと思います。これもライブドアブログに差分6枚。

以下2枚は2次創作・版権。まずはあいミスのティア。きのうすごく久しぶりにあいミスやりましたので描きましたけども、なんか雰囲気違う。

ランスシリーズのウルザさん。この絵は凌○差分ありなんですが、ライブドアブログにもあげてないです。あくまで自分用のお遊び絵なので、まあ上げなくていいかなと。

https://enban-no-toraware.blog.jp/archives/18595500.html

↑以上ライブドアブログのリンク。それでは、本日以上でした!

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遠蛮亭 2023/01/25 06:41

23-01-25.【二次創作】KOF-麻宮アテナ

おはようございます!

昨日は最強寒波の影響か身体の節々が痛く……。手首がどうこうぐらいならなんとかするのですけども、首がギシギシ言うのはいかんともしがたく、最近には珍しく早めに横になりました。

それで、キーボードを打つのが困難でシナリオを進めるのもほとんどできなかったわけですが、一応お絵描きはやりました、1枚だけですが。

https://enban-no-toraware.blog.jp/archives/18577026.html

↑ライブドアブログに差分5枚ありです。向こうにも書きましたけどもアテナ、髪色とかヘアバンドとか、髪解いたときの瑞穂さんに似てるなぁと。影響受けたのかな……。瑞穂さんのベースになったのはきゃんバニのスワティとVBAのセレナのはずなんですが(スワティのあっぱらぱーな部分は雫おねーちゃん、エーリカの性格はサワディから取った気がします)。

それでは。今日は全身の痛みも和らぎ、これからゲーム制作に奮力できる気がします!

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遠蛮亭 2023/01/09 07:07

23-01-09.くろてん4幕3章8話+イベ絵1枚+版権絵1枚

おはようございます!

昨日はゲームシステム部分を進めました! とはいっても初日(三日目)のごく一部ですが、8時に学生闘技場で雫おねーちゃんに会い、夕方に模擬戦の約束。その後聖堂か教室でラケシスかエーリカを仲間に、さらに鍛錬ダンジョンに入って敵を何体か殺し罪業値を上げたうえで16時、もう一度学生闘技場に行き模擬戦。ここでは普通に戦っても勝てない設定(雫おねーちゃんHP5000、攻撃力126、魔法防御999)なので敗北が通常の純愛ルート、好感度アップ(夜会話で上昇する好感度に追加、一定以上になると夜会話で純愛エロイベント発生)になりますが、ここで罪業値を上げた上で勝ってしまうと鬼畜ルート突入、雫おねーちゃんを蹴り飛ばし、ゴミ扱いし、自分では犯さず雫おねーちゃんに劣情を抱く幼年学生に犯させます。罪業値あげてなかったら普通に好感度が上がるだけですが。……というあたりのシナリオを組みました。まだ3日目の他の場所のイベントとか作れてないのですけどね。朝の教室で夕姫さん、昼の学食で出水、昼の職員室でふたたび雫おねーちゃんとか。

で、成果物がこちら。

エロガキに犯されるのが似合う女、牢城雫。全校生徒が見守る中自分を慕う先生をこんな目に遭わすとか、辰馬くん鬼畜モードは常軌を逸します。

差分、苦悶の表情。

差分、苦悶2。

差分、ぶちまけられてさらにピストン。

全校生徒の前でアヘ顔晒させられて、まだ犯され続けるおねーちゃん。


これはゲーム関係ないですが、ゼロインの爲妹さん。

こっちも差分。

以上でした! 今日は10時ごろからお出かけですが、そんなに長くはならないと思うので引き続き作業します。

………………
黒き翼の大天使.4幕3章8話.正攻と陰謀

7月半ば、ヘスティアから2万トンの氷は届き、酷暑対策は整った。ヘスティアからは皇帝オスマン、旧桃華帝国自治区からは戚凌雲が京師太宰に集い、ガラハド以下の故ラース・イラ組も宰相ハジルの弔い合戦と士気は高いが、肝心の赤竜帝国が振るわないのは国内に獅子身中の虫を飼うためだ。三河前久、アカツキ帝政と元老院制度の復活を求める政財界の大物を放ったままに出撃しては正面のウェルスと背面から三河配下の旧アカツキ勢という二正面作戦を強いられることになり、さらにいうならばクールマ・ガルバの動静もわからない。ウェルスから人質を殺されたくなければ与力せよと通達されているクールマ・ガルバの若き国王ドリシタデュムナ、彼はまっすぐな気骨の持ち主であるだけに、積極的に敵にまわることはしなくとも自国の民を捨ててまで赤竜帝国に合力することはできないだろう。

この状況で赤竜帝国に有利な情報としてはエッダ=ヴェスローディアの2か国連合軍が南方からの侵攻をひとまず撃退したこと。オクセンシェルナの献策を受けたインガエウはまず敵を奔命に引きずりまわして山谷地帯に引きずり込み、6月とは言えすでに雪深い深山を大いに揺らして雪崩でウェルス勢を覆滅した。しかし余勢を駆っての反撃戦は敵の新司令官レンナート・バーネルによって阻まれ、ふたたび大陸北西地方はにらみ合いの膠着状態と相成る。レンナートに止められたとはいえ、ここのところの敗戦、遷延ムードからしてみれば大金星であり、インガエウを勝たしめたオクセンシェルナの名はおおいに天下に轟く。

もうひとりのウェルス軍軍師、マウリッツは大兵を率いてクールマ・ガルバに入り、前進も後退も躊躇して進まないクールマ・ガルバ軍を後ろから銃撃、強○的に前進させた。背後からウェルス軍に銃撃されることを畏れたクールマ・ガルバ王ドリシタデュムナはやむなく赤竜帝国への進撃を宣言し、一陣の怒濤と化したクールマ・ガルバ軍は一挙国境線を超える。

「おいでなすったわねー! そんじゃ、この戦車の実戦テストといきますか! んふふー、ここで大勝ちすればたつまもアタシに……えへへ♡」
 先んじて最前線に配備されたエーリカ・リスティ・ヴェスローディアと、前線の情報を拾うべく配備された晦日美咲。そして50輌の戦車……正確には対地空連射式貫通移動砲台、通称は零式……とそのクルーは一斉にそれぞれの戦車のハッチに躍り込み、零式を駆動させる。ブロロロロロ、という力強い排気音に勇気づけられるように、ワゴン歩兵3万も整然と続いた。

 まず前哨、クールマ・ガルバの魔族兵、飛天夜叉の群れが空中で陣形をなして鋼の連城に襲いかかる。が、上位天使の攻撃にも耐えるだけの設計で作られた零式戦車は魔力の衰えた飛天夜叉の魔術砲弾ごときではびくともしない。逆に一撃必殺の砲撃を五月雨のごとく連射して、瞬く間に空を舞う敵影は数を減らしていった。

 エーリカ、美咲率いる戦車隊はそのまま突進、敵中を錐のように割って突き進み、圧倒的な突破力で敵陣を貫通していく。砲撃で堅陣を粉砕し、どうにかしてこの鉄戦車を止めようと前を阻んだ巨人兵も一撃で跳ね飛ばす。それはおよそ対等の戦闘と言えるようなものではなく、一方的な蹂躙だった。クールマ・ガルバ前衛魔族部隊は打ち据えられ、叩きのめされ、兵力こそまだ残っていたが士気を大きくくじかれ、戦闘に耐えられる状態ではなくなる。むしろ自分たちを使役して戦わせるクールマ・ガルバの使魔師に向かって転身、牙を剥き、せめて魔族としての矜持を取り戻そうとすらした。

 魔族兵を蹴散らしたところでいよいよ軍勢同士の対決である。クールマ・ガルパ軍は国土を半分に減らしたとはいえ軽く20万近く、赤竜帝国がわは前述のとおり戦車隊以外には歩兵が3万でしかない。しかしクールマ・ガルバの戦力の多くは戦車(チャリオット)であり、つまりは騎兵が主体。対する赤竜帝国歩兵は前面に火器を満載したワゴンを押し出しており、これは神楽坂瑞穂が得意技(ドクトリン)として兵士たちに叩き込んだワゴンブルク、騎兵殺しの陣形である。チャリオットのシャフト上に立って銃撃してくるクールマ・ガルバ兵もいるがやはりガタつく戦車上では狙い定まらず、そしてワゴンブルクとチャリオットが衝突するとそれだけで振り落とされる騎手が続出した。そうして敵が混乱し、機動力を削がれたところに赤竜帝国軍は猛然と火力を叩きつける。戦力差10倍といえど兵科の相性が不利を帳消しにしていた。さらに敵の動きがとまったところに零式戦車隊の砲撃が容赦なく襲うのだから、クールマ・ガルバにしてみればたまったものではない。

「ブラフマーストラを使いますか? 王よ」
「いや……そこまでウェルスのために必死で戦う義理はない。後背からの銃撃に気を付けて、適度に戦えばそれでよい」

 叔父である宰相ビーシュマの言葉に、ドリシタデュムナはしずかにかぶりを振った。この戦場に新羅辰馬が出てきていない以上、彼らの必殺、梵天極光陣(ブラフマーストラ)を破りえる人間は存在しない。が、ここでブラフマーストラを放てば赤竜帝・新羅辰馬は決してドリシタデュムナを許すまい。それゆえに辰馬を敬愛するドリシタデュムナは必殺の一撃を繰り出すことをしなかった。

 そうして、まず赤竜帝国とクールマ・ガルバの前哨戦は帝国有利で終わる。マウリッツはウェルス超越人兵と天使の軍勢をあげてドリシタデュムナに指揮権の移譲を迫り、ドリシタデュムナがそれにうなずいて王宮に帰ると明け渡されたクールマ・ガルバ兵を虐殺した。

「クールマ・ガルバ人の血はこの大陸になお脈々と残る神魔の力です、吸えるだけ吸い取りなさい」

 血に群がる上位天使たちに向けて平然とそう言うマウリッツの目は、ルクレツィアのような狂気に犯されていない。ただ兵士を強化するために必要な道具として、クールマ・ガルバ兵を鏖殺することに彼はなんらの良心の呵責も感じなかった。勝つために当然のことであり、彼にしてみればやらないほうがおかしい。

 翌日の戦闘、まだ月の巡りは8月にもならず、天使たちの力は圧倒的。零式戦車から放たれる砲弾はフィーリア・牢城の霊質殺しに加護されて天使たちを射貫き、歩兵の武器もおなじように強化されて十分天使に通用はするのだが、まず決め手になりうる戦車砲は数が少なすぎ、そして歩兵たちの攻撃は当たりさえすれば効果を発揮するが空を舞う天使になかなか当たらない。さらに言えば天使にかまけているとウェルス強化超越人種兵による猛突撃が側面から突き刺さる。簡潔に言って、強化された上位天使を相手にするには不足があった。エーリカは美咲と相談して防衛陣を敷き、ひとまず持久戦に入る。

そしてこのとき、ようやく辰馬の本隊が動く。三河の猖獗を放置もできないがエーリカ、美咲の窮地を放ってもいられない。三河前久対策は北嶺院文、磐座穣を国許において対処してもらうとして、辰馬は神楽坂瑞穂を軍師に大将軍・明染焔、右将軍・朝比奈大輔、左将軍・上杉慎太郎、前将軍・出水秀規、後将軍・長船言継で進軍を開始する。皇帝のSPである近衛隊長は牢城雫、近衛副隊長は厷武人。赤竜帝国全力をもっての出撃だったがここまでの連戦による消耗と三河牽制のために全兵力を出撃軍に宛てることはできず、12万が限界だった。これにオスマンのヘスティアイェニ・チェリ部隊が10万、戚の率いる旧桃華帝国軍が6万、ガラハド率いる旧ラース・イラ騎士団が1万5千。合計29万5千、といいたいところだがオスマンと戚は途中で道を分かって旧ラース・イラに入り、辰馬と両路に分かれて戦闘を続ける。ガラハドたちもラース・イラ道をいきたいところだっただろうが、そうすると兵力権力の立場からどうしてもオスマンや戚の隷下に置かれることになってしまう。よって辰馬の直属に置くのがベストだった。

「遠征軍は新羅と神楽坂さんに任せれば大丈夫でしょう。法王ルクレツィアにももういちど御前天使を下ろすだけの力はないはずです……。ということで、わたしたちはわたしたちの仕事をしましょうか、北嶺院先輩」
「了解。まず父から当たりましょう。おそらく間違いなく、三河は父に接触しているはず」
 磐座穣と北嶺院文は、そう言いあうと汽車に乗って太宰から鮎原へ向かう。その間の太宰の守りは月護孔雀と覇城瀬名に任された。孔雀はともかく瀬名は旧アカツキ三大公家筆頭、三河からのコンタクトがあることは必定と思われたが、若き覇城家当主はすでに辰馬に心服して久しい。それに、牢城雫を悲しませるようなことを瀬名はすまいと穣は考えて京師の守りを託す。

 鮎原は気候温暖な草木多い高原地だった。八幡平野という、全体に盆地の底にある太宰やその一帯に比べると暑苦しさはだいぶ緩い。果物の物産多い観光地であり、状況が状況でなかったら食べ歩きでもやってみたいところだが、残念なことに今、穣にも文にもそんな余裕はなかった。

「ここですか」
「随分と大きな邸よね。我が父ながら自己顕示欲が強い……」

 文が呼び鈴を鳴らすと若く美しい、メイドらしき少女が姿を現す。鮎原北嶺院公の妻、つまり文の母はつい先年まだ十分若くして亡くなったが、どうやら父は早くもその後釜をここで見つけたらしい。ここ十年来感じることのなかった男というものへの憎悪と嫌悪感が、文は急速に高まるのを感じた。

「え、と。どちらさまでしょうか……?」
「私は北嶺院文。鮎原北嶺院公北嶺院宰の娘です。父は在宅?」
「は、はい! ご在宅でいらっしゃいます、お嬢様!」
 いぶかるようなメイド少女に名乗ると、メイド少女は今度は怯え切った顔になりドアのチェーンを開けた。二人が邸内に入ると、奥でガタガタ、ドスン、と狼狽えたような物音がして穣は「?」という顔をしたが文は平然たるものだった。

「な、なにをしにきた、文!?」
「父様。単刀直入に言います、三河前久の陰謀の証拠をお渡しください」
「そうしてくだされば悪いようにはいたしません。このままなら鮎原北嶺院家は取り潰し、改易ですが」
「脅す気か。が、知らんな。知らんものはどうしようもない」
「そうですか。では、邸内を少々、見せていただいても?」
「駄目だ! 貴様らなんの権限があって人の家を踏み荒らすつもりか!?」
「権限ならここに、皇帝印璽があります」
「ぐ……」
 呻く宰。穣は所在無さげなメイド少女になにやら耳打ちすると、この場にいるのがいたたまれなかったのかメイド少女は承知いたしました、とパタパタ部屋を飛び出していく。
「父様。すでに趨勢はアカツキを去っているのです。今、新羅くんを倒そうとしても無益ですし、倒せたとしても道統がアカツキに戻ることはありません!」
「そんなこと、わかるものか!」
「失脚したとはいえ十分すぎる隠居所と隠居料をもらって、美人のメイドさんまでつけて、それでなにがご不満ですか!?」
「あの若造はワシの顔に泥を塗った! いままでワシを三大公家の次席と崇めた者たちが一斉に手のひらを返したときのあの気持ちが! 貴様にわかるか、文!」
「自分の実力で三大公家に収まったわけでもないでしょうに!」
「……黙れ!」
「磐座様、こちら、でしょうか?」
 戻ってきたメイド少女が差し出した紙束に穣はざっと目を通し。
「……政府転覆計画連判状。はい、間違いなく。ありがとうございます」
「!? 貴様ァ! なにを勝手に持ち出しておるか!?」
「っひ!?」
「父様。見苦しいですよ。こんな少女に当たり散らして」
「そもそも、勝手に部屋を荒らすなと言ったはずだ!」
「客のわたしがやってはまずいだろうということで、こちらのメイドさんにお願いさせていただきました。とはいえ……こんなに簡単に見つかるところに重要書類、それも国家転覆計画などという大犯罪の証拠を置いているようでは、あなたの器も知れます」
 穣の、突き放すような冷徹な口ぶりに、宰のなかでなにかが切れた。声にならない獣じみた咆哮を上げ、立ち上がるなり穣に殴りかかる。どんくささにおいて世界レベルの穣にそれを躱わすだけの余裕はまったくなかったが、避ける必要はなかった。文が間に入って入り身で宰の懐に入り、肘打ちをみぞおちに叩き込む。吹っ飛び目を回した父を尻目に文は身をひるがえし、そして怯えて震えるメイド少女に声をかける。

「あなたは、父に無理矢理?」
 こくこくと、首を縦に振るメイド少女。ならばと文はこの少女を保護することに決めた。メイドとしての能力は及第点、京師に連れて行けば働き口はいくらでもあるだろう。

「北嶺院先輩、電話、使わせていただきますね。ヒノミヤと京城に危急を伝えます」
 穣が言って、電話に歩み寄る。この連判状を証拠に三河をおさえるだけでは足りない。計画は人間として最大の不敬、女神イーリスを殺しうる毒を錬成しているヒノミヤのサティア殺害に言及しており、これはどうあっても未然に防ぐ必要があった。そのうえで、おそらくは三河が囚われれば暴発するであろうリストラ武人たちの対処。こちらは京城の月護、覇城両名に動いてもらわねばならない。京師に帰ったら民心安定と事後処理で当分動けそうになく、よって穣と文が今回の大戦に参加することは無理そうだった。

「まあ、あの新羅が負けるわけはありません。戦うことしか能がないんですから」
 穣はやや屈折した言い方で、辰馬の必勝を願う。

………………

以上でした、それでは!

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遠蛮亭 2023/01/05 06:59

23-01-05.くろてん4幕3章4話+版権絵1枚

おはようございます!

昨日はシナリオ優先、1階に下りてフィーリアママの筆おろしシーンをやっと完成させました。あと瑞穂さんによる筆おろしルートもありなのですが、そちらはとりあえず放置でシナリオを侵攻しようと思います。現在ギルドでルーチェさん登場、雫おねーちゃん、エーリカに遅くなったことを咎められながら報告のシーン。このシーンを終えて1日が終わり、ここからなのですよね、ここからRPGで行くか、それとも陣取りSLGに変化させるか決めなくてはなりません。個人的にはSLGシステムを使いたいところながら、現状「外交→内政」への遷移がうまく行えない状態なのでそもそも使えません。まあ、6月19日から7月頭までの2週間という区切りでSLGは難しいかもしれないですが、せっかく立ち絵も45キャラまで登録したので使いたいのです。どうなるかなぁ…。ゲーム内での使用にかかわらず今後「くろてん」で使用するファイルは全部入れておきたいところなのでファイルサイズがやたらデカいのも難点ですし……あと広輪さまは果たして間に合うのかどうか。昨日古本屋さんに書籍を何点か売ったのですが、前金で全額支払い済みにもかかわらず1年以上あって立ち絵5枚、ほかイベ絵1枚+着彩監修3枚ははたしてどうだろうかという話に。あんまりだから弁護士さん紹介しましょうかと言われてしまいました。そういうことはやりたくないですが選択肢の一つとして考えに入れておくべきかなぁという、あまり気分の良くないお話です。

で、昨日はシナリオを進めてほか「徳川16将」とか「スウェーデン絶対王政の研究」とかそのあたりを読みましてまた話のネタになるエピソードを仕込み、しかしそのぶんお絵描きがなし。うーん、ということで今朝パッと描いたのがこちら。

きゃんバニ、スワティ。遠蛮がどんだけこの子を好きかと言えばエロCG集3つ出したことからもお分かりいただけるかと思います。もし90年代にこの子のエロシーンがあれば凌○好きには傾かなかったかもしれないんですが、なかったので「ちくしょーが!」と荒んで凌○大好きになりましたよ。でも純愛も好きなのは荒む前の残滓。

いわゆる「うちの子」でない版権キャラでご挨拶するのもなんだかしっくりこないのですが、ともあれ今日はこれだけで以下くろてんになります。小説ちゃんと読んでるよと言う方々、いつもありがとうございます、本日もよろしくおねがいいたします!

……………
黒き翼の大天使.4幕3章4話.御前天使

 アトロファの「命を奪う」力が無効化されたところで、ようやく赤龍帝国軍に優位な状況が生まれつつある。それでも兵勢はウェルス側にあるが、指揮官各位の指揮統率力で赤龍帝国側は大きく優位にあった。辰馬が威風堂々、陣を前進させると、ウェルス勢はおびえたように一歩二歩と下がった。

「下がることは許しません」
 法王ルクレツィアは冷徹に呟くと、配下の「御前天使」に命を下す。光の翼を広げて舞い上がった天使たちは空中で弓をつがえ投げ槍を構え、味方のウェルス兵ごと赤龍帝国軍を貫いた。

「!?」
 友軍に背後から貫かれて絶命する敵兵に、辰馬が目を見開く。鮮血をごぶりと吐いて倒れ伏す兵士の姿に、普段なら血を見て吐瀉するところの辰馬が怒りで吐くことも忘れる。天空に舞って戦場を蹂躙する上位天使たちにこの戦への女神の介在を改めて確認し、激怒して、こちらも金銀黒白の光翼を発した。天桜の64枚の刃に光の矢を乗せ、我が物顔で天空を支配する天使どもめがけて矢継ぎ早に放つ。一発一発が輪転聖王に匹敵する威力の盈力弾。しかしそれを、天使たちは翼に身をくるむことではじいてのけた。

「我らは御前天使。熾天使以下の下級天使などとはわけが違うぞ、魔王継嗣!」

 天使たちのリーダー、ルクレツィア曰くアリミエルが、翼のガードを解いて高らかに宣う。彼らは明らかに、人間同士の戦争より神の使徒として魔王継嗣の命を狙っていた。そしていま、新羅辰馬の力は先刻のアルス・マグナといまの輪転の魔弾、このふたつで大きく消耗している。御前天使カイオト・ハ=クァデシュの筆頭アリミエルと、それに準じる力を持つ上位天使たちを前に押し返すのは相当に難しい。辰馬は再び輪転の魔弾を放つも、盈力弾はやはりはじかれてしまう。そしてごぶりと、辰馬の頭部と胸郭をえぐるような痛みが走る。口と右目から出血し、辰馬は激痛に呻いた。先刻のアルス・マグナの代償。本来パスの繋がっていない術を素養だけで無理矢理に発現させたことで、辰馬の体内はズタズタに傷ついてしまっていた。30万全軍の生命力賦活となると、代償も深刻なものにならざるを得ない。

「たぁくん!?」
「だいじょーぶ! しず姉、ちょっとだけ頼む!」
 悲痛に叫ぶ近衛の牢城雫に叫び返し、辰馬は自分の竜袍を裂いた。裂傷の入った目の周りにぐるりと巻いて応急の包帯にし、眼奥と胸郭の痛みにもかかわらず鐙に立ち上がって指揮杖をかざす。皇帝の健在に士気上がる帝国軍だが、その象徴、新羅辰馬を抹殺すべく御前天使が舞う。アミリエル、ガブリエル、バラキエル、ヘリソン、レベス。彼ら東の天の支配者は天使、という名ではあるが限りなく神に近い存在。神軍の統率者、混元聖母や魔王クズノハにはやや劣るだろうが、いま法王ルクレツィアより女神イーリスの加護を受けて力は女神や魔皇女以上。辰馬もすでに死に体ながら、極限を超えて奮起する必要があった。髪飾りの封石を外し、ぱん、と掌を打ち合わせる。

「我が名はノイシュ・ウシュナハ! 勇ましくも誇り高き、いと高き血統、銀の魔王の継嗣なり!」
 金銀黒白の翼が燃える。天が謳い地が嘶き、大気が吼え猛る。実に10年ぶりに顕現する、魔王モードの新羅辰馬。天桜に盈力を乗せ、駿馬を跳ねさせ天使たちと交錯。真っ先に立ちはだかった、赤き旗を持つ天使レベスとヘリソンは血の天使。なぎ倒した帝国兵の血を操って大鎌にし、二人同時に虚空を薙ぐと実に数キロメートルの直線上にあるものが真っ二つに裂かれる。当然、人間が耐えうる威力ではなく、帝国兵数万が一撃で腰斬にされて絶命した。

「この……!」
 あとのことを考えるならば辰馬はここで力を使い果たすべきではないが、そこを割り切れるほど新羅辰馬は老成も達観もしていない。全力の盈力を込めてレベスに報復の腰斬、相手が再生するそばから霊質を消し潰していき、消滅させる。自分を不滅の存在と信じていたヘリソンはレベスの消滅にはじめて怯え、背を向けて逃れようとするが、辰馬は今回に限って容赦しない。背後から唐竹割りにして、これまた女神の神気に自身の盈力を上書きして存在を抹消した。

 バラキエルは「神の雷光」を意味する名の通りに雷霆をもって帝国軍を襲う。その雷撃の破壊力はエッダの「雷神」ことホラガレスや往事の磐座穣が神杖・万象自在<ケラウノス>から発する雷霆の比ではない、まさに神雷。空は突然曇天、豪雨に変わり、騎兵たちはぬかるみの泥濘に足を取られる。全軍に襲いかかる竜の如き雷に、しかし、辰馬は天楼を高々とかざしてすべての雷を受け止めると、盈力を上乗せした雷をバラキエル自身に打ち返した。バラキエルは苦悶するまもなく消滅する。

 ガブリエルは愛と慈悲の天使であり、同時に死と報復の天使でもある。そしてその最も有名な職能のひとつは「終末のラッパを鳴らす」こと。滅びと災厄をもたらすこのラッパがひとたび吹き鳴らされれば人類は滅亡するしかないと言われる。辰馬は相手の名前や能力を見切っていたわけではないが幸いなことに、バラキエルが倒れたときこの天使はまだわずかに残った慈悲心ゆえか、終末のラッパを構えることを躊躇っていた。滅びのラッパを使うまでもなく、魔王継嗣を十分に殺せる、そう確信していたのかもしれないが。

「……アンタは、話が分かりそうだが……」
「いや、分からんよ。魔王の言葉に私が、揺らぐわけにはいかん」
「なら、消滅して貰う。どっちにせよこの世から神魔には退場願うんでね!」
「この世界は女神イーリス様の所有物。実験動物が領分を越えて箱庭を壊そうとしても、幸せにはなれん!」
「そーいうことはこっちで決める。上から目線で勝手に決めんな」

 辰馬とガブリエルの剣舞が始まる。天を舞うガブリエルに、辰馬の駿馬は翼を生やされたように飛び、舞い、踊り、追いついて、辰馬の剣を届かせる。両者の剣腕は帝国兵、ウェルス兵双方が息を潜めて見守るほかないほどのものだった。辰馬は天楼でガブリエルの神剣を受け、くるりと手首を返して巻き込み、相手の腕に巻き付けるようにして鋭い突きを繰り出す。ガブリエルも、のどもと狙いのこれを軽く首を逸らして避けると辰馬の脇腹に蹴りを繰り出し、辰馬は軽く左手を添えて受け止める。

 はずが。

「っく!?」
 強烈な蹴りの衝撃を殺しきれず、胸の傷が広がる。胸郭の内出血からごぼっと血を噴き出し、また目の傷も開き、竜袍の包帯も赤く染まった。そこに神剣をかざし、振り下ろすガブリエル。辰馬は体でそれを受け、ざっくりと左胸が貫かれる。魔王に対する勝利を確信し、しかし強者への哀悼の念に瞳を伏せるガブリエル。辰馬は相手が見せた須臾の隙に、神剣を掴んだ。「輪転聖王・梵」一瞬、驚いた表情を最後に残し、消滅する天使ガブリエル。

「さて……あと、一人だ……」
 内傷外傷を抱え、それでも気迫なお衰えずアリミエルを睨み据える辰馬。天に浮いたまま腕を組んでいた御前天使の長は、ようやく腕を解いて軽く拳を慣らした。

「ルクレツィア殿。少々、地形を変えることになりますが、宜しいか?」
「構いません。魔王を討ち取ることが第一義」
 大音声で伺いを立てるアリミエルに、躊躇うことなく即答するルクレツィア。本来の目的はウェルスの国土を守ることであろうに、女神の意思に操られたルクレツィアはなんの疑いも感じることなく魔王殺しという聖女の任務を選択した。今の彼女にとって、ウェルス全土が火の海に変わっても魔王・新羅辰馬を殺せればおつりが来るのだろう。

「了解した。では……」
 天使の長は指を鳴らす。次の瞬間、天から落ちる火の玉と……数え切れないほどの隕石雨。最大級に悪夢的な神の奇跡に、帝国、ウェルス両軍の兵は今度こそ恐慌を来した。誰もが我先に戦場から離脱しようとして団子になり、互いに押し合いへし合いして潰し合ってしまう。

「うろたえんな!」
 吼える、辰馬。このたった一言で、両軍の動揺が静まる。天性の指揮官、指導者のカリスマ。血まみれの辰馬は天楼を鞘に、掌をかざして輪転の盈力を極限まで高める。普段の輪転聖王は一点突破の光の柱、これを全天に向けて極大威力で放ち続け、隕石雨が止むまで展開し続けた。隕石は地上に一発も着弾することなく天空で消失し、両軍の将兵は助かった喜びに思わず新羅辰馬を讃美する。その賞賛を受け取る辰馬はすでに力を使い果たして虫の息だったが。

「驚いた。さすがは真なる魔王、といったところか……。だが、もう余力は残っていまい?」
「あんたもな……。そんくらいなら、あいつらがやってくれる……」
「あいつら……?」

 怪訝な顔をしたアリミエルの眉間に、銃弾が穿たれる。アリミエルの霊質の肉体はわずかに揺らめいただけで再生したが、天使長に気づかれることなく間合いまで迫り、一撃を与えた技量は……。

「テメェ辰馬サンになにしてくれやがんだコラァ!」
「赤ザル、銃はダメだ。いつものダガーに戻せ!」
「弔い合戦でゴザルよおぉ!」
 後衛から前衛まで、全速力で走ってきた三バカが叫び。

「あたしもやっちゃう! たぁくんの仇っ!」
 息を潜めてうかがっていた雫が叫び。

「限界まで力を使い果たした天使ぐらい、倒さないと泉下の新羅に笑われますからね。やりましょう、神楽坂さん」
「というか、ご主人さま生きてますよう! 急いで手当てするために、まず貴方を倒します!」
 穣と瑞穂も叫ぶ。

「アタシも忘れてくれないでよね、盾役といえばアタシ!」
「みなさんの力、わたしが「加護」でサポートします!」
 エーリカと美咲も参じて叫んだ。北嶺院文は左翼の統御があるためにこの場にいないが、新羅辰馬の6人の妻の内5人までがここに揃った。そして文のもとには魔王を殺すため味方を殺すことも厭わない聖女を見限ったウェルス兵たちが続々と投降し、ウェルス国軍は自壊。聖女ルクレツィアはこの場での戦闘継続を諦め、新たな兵を募るため戦線を離脱、王都シーザリオンに逃れる。

「あとは任せますよ、アリミエル」
「承知仕った」
 冷たく自分を見限るルクレツィアに平然と返すなり、アミリエルは電光の速度で立ちはだかる瑞穂たちに襲いかかる。両手に神剣を抜き、天空に飛翔してからの急降下斬撃を止めるのは、雫とエーリカ。物理攻撃と物理防御なら世界有数の二人が、がっちりと神剣を受け止める。先刻の辰馬とガブリエルの再現、それ以上に苛烈な剣舞となった。アリミエルは限界まで消耗しているはずだが、それでもなお雫、エーリカと互角か、圧倒するだけの力を残す。

 が、雫とエーリカ二人だけで戦うわけではない。

「上杉、頭部にダガーを!」
「了解!」
 穣の声に、すかさずダガーを飛ばすシンタ。シンタの精度に加え、さすがに世界最高峰の攻防を誇る二人を相手にしながら回避する余力はなく、ダガーは天使長の脳天に突き立つ。そこに穣が神杖を振り上げ「ケラウノス!」雷霆を落とす。

「ぐぁ!」
 仰け反るアリミエル。そこに大輔が走り込み、全身全霊の一撃。魔力を付与された手甲での一撃は確実に天使長にダメージを与えたが、この場の最大火力である雫の剣がアリミエルにほとんどダメージを与えられない(魔力欠損症の雫は魔法の武器を持っても無効化してしまうため、魔法生物に対して攻撃力が低い)のが痛い。魔法攻撃力なら出水が最強レベルなのだが、こちらは仲間を避けてうまくアリミエルだけに攻撃を当てる技量がない。結果としてまだアリミエルに致命の一撃を与えるには遠い。

「神楽坂さん、天使の周囲の時間だけを止めることは?」
「やってみます! すみません晦日さん、力を下さい!」
「了解しました!」

 神力を練り上げる瑞穂に、美咲が力を増幅させる。往時の、存分に神力を振るえるだけの力を取り戻す瑞穂。瞳を開き、掌を天使に向ける。ぴたりと制止する天使長。次の瞬間、絶妙の呼吸で一同が飛び退き、そこに出水の盈力波が大鎌となってアリミエルを襲う。直撃の直後に時間の流れがもとに戻り、ダメージに気づいたアリミエルは呵々として笑った。

「人間もやるものだ。これは、我らも認識を改めるべきかもしれん」
「ここは退きなさい、天使。このまま戦い続けても、あなたに勝ち目はありません」
 穣の言葉に。

「いや。戻ってはルクレツィア殿に逆らえんのでな。ここで私は自らの存在を抹消することにする」
「? それならいっそ帝国の味方に……」
 瑞穂の言葉に。

「そうしたいところだが。イーリスさまの被造物である私はいずれ貴殿らを裏切ることになるだろう。よってここで死ぬのが最も良い。魔王殿の言葉通り、これからの世界は人間が自分で決めるのがよいだろう。……魔王殿も、息災でな」
 答えた天使長は、宣言通り自らの存在を抹消して消える。感慨にふける間もなく、瑞穂たちは辰馬に駆け寄り、その命があることを確認してひとまずは安堵したが、瑞穂と穣の回復魔法もかつてのような超回復力を発揮できない。内臓の怪我を相手にはなおのことであり、新羅辰馬を旗頭にしての進軍はここでいったん、下がらざるを得なかった。ウェルス陣営の幕舎に入った面々は辰馬の傷を看れる医者を手配すると同時に、置き捨てられた電話から赤龍帝国本国(旧アカツキ)に電話、ヒノミヤのサティアに連絡を取る。

「シドゥリの媚毒?」
 全身ぐるぐる巻きで首から「絶対安静」の札を下げた辰馬が、さすがにぐったりした声で電話口のサティアに問いかける。

「はい、旦那様。おそらくお母さま……創世神を滅ぼしうる唯一の毒です」
「すぐに作れるか?」
「それが……生成には10年はかかるかと……」
「10年……。その間、どーにかイーリスを抑え込む手段は?」
「覚醒に近づいたお母さまを封じるには、絶えず強い創世の力……あるいは盈力で抑え込むしか……」
「……」
 電話を切る。サティアの言葉通りだとすれば、辰馬は結婚したばかりで妻たちと別れ、神域の霊峰でイーリスを封じ続けなければならない。

「まあ、しかたねーわなー……」
 呟きは力なく、それは怪我のせいだけではなかった。

………………

以上でした、それでは!

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