ベテルギウス 2022/07/25 05:00

キムゲイン過去編③

~キムゲイン過去編~『Bad influence』
☆第三章:隼鷹(はやたか)の男☆

https://www.youtube.com/watch?v=gBm0AaUGeWw

シノがチーム葛城に来てから数年が立っていた
バイ・スゥ「ではシノくん、ヤクシマタウンの制圧は君に一任する」

葛城のリーダーはバイ・スゥになっていた
前のリーダーが彼のオカズにされたかは定かでは…いや
ほとんどのメンバーが知っていた

バイ・スゥ「別の地区が手いっぱいでな、悪いが…」
シノ「バイ・スゥさん、また少人数で行かせる気ですか
いい加減その内オレやられちまいますよ?」
バイ・スゥ「いやいや~、ボスのオキニのシノ君なら余裕な筈だ
だからサ」
バイ・スゥ「今回はテメーひとりで行けや」

キムゲイン「なッ…!?」
思わず声を出してしまった、葛城にとって代えのきかない
戦果をぶっちぎりで出しているシノを
わざわざ潰す理由が分からないのだ

ましてやリーダーの座も勝ち取ったバイ・スゥに
シノをいじめ続ける理由がない
いや、キムゲインには分かっていた
バイ・スゥにとってシンプルな動機「なんかムカつく」だからだろう

バイ・スゥ「キム君なにか言ったかね」
キムゲイン「ナッツ買い忘れたな~っと、今思い出しまして」
バイ・スゥ「ナハハハハ!オマエは頭いいくせして
時々ワケわからんこと言ってくれるから好きだゾ~」
そうなのだ、キムゲインはバイスゥとの長い付き合いで
彼は訳が分からんことに対して喜びを感じるという習性を
なんとか把握したのだ

「じゃーまー、なんとかガンバってきます」
シノはそう言って部屋を出た

バイ・スゥ「つまらんナ~
あのスカシ野郎少しは困惑した表情見せろや、余裕ぶりやがって」
バイ・スゥ「だがあれはマジで余裕なんだろうな、2~3度アイツが
戦ってる所を見に行った、アレは人間の見た目しとるがバケモノだ」
バイ・スゥ「ヤツが本気なら一人で傾国党を乗っ取…
いやボスには勝てんかな、それでも」
バイ・スゥ「とにかく今回の件もやってくれるだろうよ
人員不足なのはマジだしな」

キムゲインは驚いた、嫌がらせだと思っていたシノへの
少数配備は確信のもとからの指示だったのだ

バイ・スゥ「あんなのが野心ももたず戦闘要員の身分で
フラフラしとんのは理解にくるしむね~」
理解に苦しむ…コイツの口からそんな言葉がでてくると
ふきだしそうになったが、なんとかこらえて部屋に戻った

https://www.youtube.com/watch?v=ScBtSbtWC9I&list=PLOok-mebfTT-_jVT9Dzc8FRAgsHfajxi0&index=3

その夜
コンコン
扉をノックする音が

廊下には
スコッチとグラスと氷をもったスレンダー美人が立っていた
名をグローアという
「キム兄♡一杯飲もっ」
セリーヌである、グローアというのは芸名だ

バイ・スゥが「化けたもんだ」というほどに彼女は美しく成長した
外見だけでなく歌、演技の才能も開花し
女優として音楽劇で引っ張りだこである
この辺りで彼女を知らないものはいない

何度も神父の墓の前で彼女の幸せを祈った
自分と同じくマフィアの稼ぎにかりだされてほしくなかったのだ
その祈りは通じた

バイ・スゥの彼女にされてしまったことをのぞいて

キムゲイン「アイツに見られたらめんどうだぞ」
セリーヌ「大丈夫♡今日はどっか行くみたいだから」
キムゲイン「悪いけどボクも出かける、少し気になる事があって」
そういうと彼はそそくさと出かけた

セリーヌ「なにあれ…まさか女ぁー?」
彼が向かう先はシノの戦場である

https://www.youtube.com/watch?v=0DBv1tz7ATY

ことが終わってからでは遅い!!
なんとしても戦闘中の現場を観察したかった

ヤクシマタウンの戦場についたが車でこれ以上接近すれば
見つかる、ここからは走るしかない
彼はいわゆる内勤で非戦闘員だったので体力のなさを嘆いた

キムゲイン「普通に考えて、あの戦力差で勝てたら人間ではない」
息を切らしながらつぶやく

しかしバイ・スゥのあの表情からでた言葉は確信あるものだ
理系のキムゲインには自分の推論を覆す「何か」に対して
好奇心を抑えることができなかったのだ

現場に到着した、銃声や手りゅう弾の爆発音が鳴り響いていた
キムゲイン「よかった、まだ終わってない」
流れ弾や敵に見つからないように安全地帯を探す
そこから戦場を見渡すとシノの姿を見つけた!!

「ハァア!?なんで当たんねーんだよ!!」
「バケモンかよコイツ!!」
敵の困惑きわめるオタケビがここまで聞こえてくる

ここからだと敵の弾がはずれて
シノの弾だけが命中してるようにしか見えない

キムゲイン「くそ、もっと近づかないと何をやってるかわからない」
彼は近づくことにした

敵「おい!もう一人いるぞ」
バレた
すぐさまマシンガンの雨が飛んでくる

なんとか柱に隠れたが1ミリも動けそうな気がしない
下手すりゃ一発くらいはそのうち当たりそうだ

敵はおそらく全て地上、こちらは隣の廃墟の屋上…
3Fくらいは高さがあるので隠れっぱなしでも
手りゅう弾はとんでこないだろう

ズガガガガ!!パラパラ…
キムゲイン「マシンガンは大口径か、いずれ柱が削れて被弾する」
数名こちらの廃墟に入ってきた
キムゲイン「あっさり詰んじゃったな
セリーヌ…幸せになってくれ」
彼は運命を受け入れた。あきらめんなバカ

下を向いて体操座りの負け犬キムゲインに
聞こえるはずのない声が聞こえた

「いつか来るんじゃないかと思ってたよ、君みたいな勉強家はね」

https://www.youtube.com/watch?v=fcmgX3mOZzk

顔をあげると地上にいた筈のシノが
あぐらをかいて目の前にいた

2丁のリボルバーを構えて立ち上がる
ロングコートの布の匂いとラベンダーの香りが鼻をかすめた

シノ「そうそう見れるもんじゃない、その目にしかと焼きつけろよ
オレの狂想曲(カプリッチョ)を最前席で聞かせてやる」

シノは少し考えてからこちらを振り返った

シノ「やっぱクサすぎるな…今のナシね」
ドン・ドン・ドーーン!!!
そう言ったと同時にこちらを向いたまま後方へ3発撃った

すると廃墟屋上の出入り口に敵が3人倒れていた
キムゲイン「み、見もしないで正確に」
シノ「足音だけで十分だろ、このくらいバイ・スゥでもできるよ」
さらに数人やってきた、シノの姿をみるなり発砲してきた

敵「まただ!なんであのヤロウには弾があたらねーんだ!!」
シノは普通に右や左に歩いているだけだった
そして一人ずつ確実に一発で仕留めていく

キムゲイン「指がトリガーを引いた瞬間と銃口の向きで
弾道を見切ってるんですね」
シノ「ご名答、だがこんなのはナンチャッテの古武道の奴らなら
皆、朝飯前に習わされる」

古武術…と聞くと、この国の歴史オタクの間では有名な
神別氏族 藤原の血を濃く引く十の家柄が思いついた

古代朝廷のカウンターインテリジェンス組織…なんだっけ
名前忘れた。

だいぶ前にKOJIKIを読んだ記憶を引っ張り出す
黒石(ごくいし)というのは確か入ってない
白石(しらいし)というのならあったが何かそこにつながりが
あるのだろうか

シノ「でも俺には弾丸なんか止まって見えるんだ
もっと面白いものをみせてやるよ」

そういうと地上から乱射してくるマシンガンの雨に向かっていった
キム(どうする気だ、流石に連射銃数丁を相手に
さっきの歩術は通用しない、トリガーも握りっぱなしだ)

「ブホェあ!?」
キムゲインは驚きのあまり鼻水をふきだした

避けていた!!!!はっきりは見えない
弾丸を肉眼でとらえてから避けている!!!
あまりの速さにシノの上半身だけ分身してみえた

ききき、昨日今日できた銃なんかが
紀元前から存在する人間様に勝てるわけがない
推察の辻褄が合わずクラッシュする脳を強引な理屈で無理やり鎮めた

だが古代の人間は特定の古代言語を発音するときの音の周波数
つまり音波をもって遺跡の石材などを移動させたという
荒唐無稽だが未知の潜在能力の類でキムゲインは落としどころをつけた

あとは3階分かるく跳躍したり、異常な速度で駆け抜けたりと
もうキムゲインには何が何だか分らんうちに敵は全滅した
確かにバイ・スゥもこれを見ればあのセリフがでてくるだろう…

キムゲイン「あなたは人間なんですか?」
屋上にもどってきたシノに反射的に聞いてしまった

シノ「アハハハハ♪」
ストレートな質問がウケたのか彼は笑った
シノ「いや化け物かな…正確には化け物から力を借りれる」
そういうと彼はロングコートを脱ぎ捨てた

ムキムキだが、かなりピッチリしたハイネックが若干きもくて
キムゲインは(うわぁ~…)と言いかけたが飲み込んだ

シノ「今からみるものを誰にも喋るなよ?
…来い、隼鷹神(ホルス)」

彼の背後になにか気配を感じた
強大な、異質な、禍々しいなにかを…
見えない、見えないがシノの背後に何かが立っている

シノ「ハァアモニクスッ!!(化身)」
そう叫ぶと彼の身体は光につつまれた
火花が散り、煙が舞い、姿は覆い隠される

そこには猛禽を連想させる鳥人が立っていた

https://www.youtube.com/watch?v=CQmcSDzQZvc

月夜に照らされ羽毛輝く芸術的なフォルムは神のようだ
キムゲイン「美しい」
思ったまま言葉にする

シノ「ありがとう
別にこの姿にならなくても、ある程度は力を引き出せるんだ」
シノ「動体視力とかジャンプ力とかね
滅多に化身(けしん)することはないかな」

バサ!!
背中の羽根を広げるとキムゲインに向かってこう言った

「おくってくよ」

https://www.youtube.com/watch?v=Nq2aZDEzVpM&t=96s

次回、最終章!!
セリーヌの運命は!??

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