【第30回】『ハーレム島へようこそ!』チヨと過ごす一日
どこまでも晴れた青い空、白い砂浜。
そして、澄んだオーシャンブルーの海。
ここは、異世界の南の島・ハーレムン島。
今日は朝早くからチヨと一緒に森にやってきていた。
チヨは愛用しているオノを力いっぱい振って、俺でも硬くて切り倒すのに時間のかかる黒堅樹の幹を傷つけていた。
「その木、切り始めて今日で何日目だっけ?」
「せいっ……! はぁ……こっちは切れた……
で、何でそこまで?」
俺はふと浮かんだ疑問をチヨに投げかけてみた。
「チヨ?」
チヨを一瞥すると、彼女は少し俯いていた。
その顔は彼女が自分に自信がない時にする顔そのものだった。
チヨは右手の平を撫でながら呟いた。
「……ちょっとこっちに来い」
俺はチヨを湖まで引っ張っていった。
「ほら、ちょっと手を冷やせ
無茶しやがって……」
チヨはおとなしく、マメが出来て赤くなった手を湖で冷やした。
「あたりまえだろ?
それに――」
俺はチヨの頭を優しく撫でてやる。
「チヨは十分、役に立っているじゃないか
俺も他のみんなもいつも助かってるんだから」
堪えていた涙が限界を迎えて決壊し、チヨは俺の胸に飛びついてきた。
「お、おい……チヨ!
くっつくなって!!」
ぐりぐりと顔を俺の服で拭うチヨ。
もちろん俺のシャツは、溢れ出た涙や鼻水でびちょびちょだ。
だが、まぁ――。
「ぜひそうしてくれ。
みんなで頑張ろうな?」
いつもの眩しい無邪気な笑顔を浮かべ、チヨはそう高らかに宣言するのだった。
今日も島での生活は、退屈の暇も無さそうだ。
あとがき
今回の書き下ろし ss は、
【チヨと秘密の特訓?】
というシチュエーションでした~
次回なのですが……、何かのお知らせができるかも……?
ご期待ください!!
今後の最新情報を見逃さないよう
Ci-en『Resta!』アカウントのフォローの方、
よろしくお願いいたします(人>ω・*)オネガイ
それでは次回の記事でお会いしましょう!!!
★☆★ お気に入り登録よろしくお願いします ★☆★