Resta! 2023/08/03 19:00

【第34回】『ハーレム島へようこそ!』イコクと過ごす一日

 どこまでも晴れた青い空、白い砂浜。
 そして、澄んだオーシャンブルーの海。

 ここは、異世界の南の島・ハーレムン島。

 今日はイコクと一緒に牧場の見回りに来ていた。

「直す所はここで最後かな?」

 俺たちは定期的にこうして牧場を一周見回っている。
 目的は手作り感溢れる設備の修繕やどうぶつ達のお世話など、その時気が付いた作業をしているのだ。

「これくらいなんでもないよ」

「んもぉぉ!(こんにちは!)」

 と、後片付けをする俺たちの元に、一頭の子牛がやってきた。
 その子牛のおでこには、小さな星みたいな模様があって、俺は彼に密かに名前を付けていた。

「お、牛太郎じゃないか
 どうしたんだ~?」

「んもっ!(お腹空いた!)
 んもぉぉ!!(ごはん頂戴!!)」

「えっと……ごはんだな
 ちょっと待ってな」

「ん? まぁ少しならな~」

 俺は哺乳瓶にミルクを入れて、お待ちかねの牛太郎にあげる。

「んくっ、んくっ、んもぉぉ♪(おいしい♪)」

 ご機嫌の牛太郎は、俺のもう片方の手に頭を擦りつけてくる。
 甘えるその姿は、多量の癒し成分を含んでいて、日々の疲れやストレスも吹っ飛んでいくようだった。

「でも、正直牛太郎の言ってることしか
 あんまりよくわからないんだよなぁ~」

「え?」

「あははっ! それすごくいいな!
 めちゃくちゃいいこと言うじゃないか!」

 と、イコクに言われたことが嬉しくて、つい選ばれずに出た言葉がポロリ……

「あっ……ごめんイコク……
 俺が言いたかったのは――」

 そう言い捨てると、イコクはそっぽを向いて歩きだしてしまった。

「ちょっ、イコク!?
 待てって! イコクさ~ん!!」

「んもぉぉ……(なにやってるんだよ……)」

 牛太郎があごをくいっくいっ動かし「追いかけてあげて」と、ジェスチャーしている。

「あぁ、ごめんな牛太郎……
 また今度!!」

「んももぉぉ~(またね~)」

 俺は牛太郎に別れを告げて、イコクの後を追うのだった。

 今日も島での生活は、退屈の暇も無さそうだ。


あとがき

今回の書き下ろし ss は、
【イコクと牧場で兄弟喧嘩!?】
というシチュエーションでした~

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それでは次回の記事でお会いしましょう!!!


【SLG】ハーレム島へようこそ!

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