饗庭淵/喘葉の森 2021/10/25 19:25

お前もエロ同人作家にならないか?


ふと気づくとエロ同人作家としてそれなりの経験と実績を積んでる気がする饗庭淵です。
さて、知人が新たにエロ同人の道に足を踏み入れるとなんか嬉しいことに気づいたので、今回はその知見っぽいものを共有できればと思います。

以下、「DLsiteでエロCG集を販売する」という想定で話を進めます。

①作品をつくる

いうまでもないことですが、一番重要で大変なのがこれです。

「どうやってつくるのか」「どういうものをつくればいいのか」

初心者はまずその点が霧の中かもしれません。
深入りすると長くなりますので、ひとまず初歩的なノウハウを書いておきます。

さて、エロCG集といえば以下のような差分画像で話を展開させる形式です。


この形式での制作は、漫画を描くよりは楽であるものの、それなりにめんどくさいものではあります。
基本1枚につき10枚の差分を用意するとして、基本10枚であれば合計100枚です。大変ですね。


その作業を手助けしてくれるのが「クリップスタジオペイント」「タイムライン」機能です。
元来はアニメーションを作成するための機能ですが、差分画像をつくるのにも便利です。

たとえば、1枚ごとに台詞が異なりますから、「台詞」というフォルダに「1」「2」「3」……といったフォルダをつくります。
1枚目はフォルダ「1」だけを表示状態、2枚目はフォルダ「2」だけを表示状態……というふうに管理します。

表情の変化についても、「ここでは目を細めている」「このとき口元は笑っている」など表示状態を指定することでつくることができます。
上の画像では4枚目に乳を締めつけて大きく形が変わっていますが、これも同じ要領です。

そして出来上がってしまえば「ファイル」→「アニメーション書き出し」→「連番画像」でまとめてjpgなりpngで出力することが可能です。



さて、次に「どういったものをつくればいいのか」

パイズリオンリーをつくりなさい。神もそれをお望みです。

と、このへんは趣味と好みの問題になるのでにんともかんともですが……

より汎用性の高い好みの話をすれば、「体験」性の高いものが好みです。
たとえば「○○な女の子といちゃいちゃラブラブ同棲生活!」というような体験。そういった「軸」のある作品です。

あるいは、こうも言い換えられます。
「10人に1枚ずつのシーン」よりは「1人に10枚のシーン」
つまりは「濃さ」「深さ」というべきでしょうか。

ただ、これはヒロインを一人にしろという意味ではなく、人気でいえば「ハーレム」ものはかなり高いという噂です。
というか私も好きです。
その場合は(ヒロインが2人として)「1人5枚ずつ、最後に2人同時に」といった構成になるでしょうか。
この場合は「信じられなほどえっちであなたに好意を寄せている複数の女の子に囲まれる」というような「体験」になります。

さらにいえば特定のプレイに偏った「オンリー」ものが好みですが……まあ、そこまではいいでしょう。
先の「体験」性云々も好みといえば好みなのですが、数字が出ている作品はだいたいそういう傾向にある……気がし……ます……?

実際、エロとしては趣味から大きく外れていても強烈すぎるコンセプトに惹かれてつい購入してしまう作品というものはあります。
そういった作品はエロとしては実用性はなくてもそれなりの満足感は得られるものです。


さて、他にも「分量や値段はどのくらいがいいの?」といったことも気になるかもしれません。
これはDLsite様が「人気作品分析データ」(要ログイン)を公表していますので、こちらを参考にするとよいでしょう。
先ほどは基本10枚くらいを例に考えましたが、中央値は19枚くらいだそうです。結構多いですね。
私の感覚としては10枚あれば十分なのではないかという気はします。


②タイトルとパッケージ画像を用意する

DLsiteであれFANZAであれ、これは必要です。


つまりこれのことです(ちなみにこの作品)。
技術的に拙い点もありあまり偉そうに教えられる立場でもないですが……(上の画像だと「じゃあくな妖狐と」の視認性がわるい)
私自身が気をつけている点を書いていきます。

・タイトルはコンセプトが伝わりやすいようわかりやすく
たとえば、ヒロインが負ける作品であるなら「ヒロインが負ける」とわかりやすく伝えましょう。
「まさかヒロインが負けるなんて!」という驚きや、「まさか……このままだとヒロインが負けてしまうのでは……?」というようなハラハラドキドキはエロ作品には要りません。
「ヒロインが負ける」作品は「ヒロインが負ける」作品が読みたい人に的確に届けましょう。

いわゆる「なろう系」の長文説明タイトルはしばしば揶揄されますが、長文説明タイトルならエロコンテンツの方に一日の長があります


・キャッチコピーをつける
と、いいつつ上の画像ではそれらしいものが見当たりませんが……

安心の「本番」なし!! パイズリオンリーCG集
本作では最初から最後までパイズリ=セックスです

この部分が該当するでしょうか。
タイトルに「乳愛(パイズリ)」とあることから「パイズリメイン」であることは伝わります。
ですが、より重要なのは「パイズリしかない(パイズリオンリー)」であるということです。
というわけで、その旨をしっかり明記しておきます。


・情報量を増やす
「なんか情報量が多いとエロいよね……」というような感覚があります。
あまりごちゃごちゃして視認性を損ねるとよくないですが、背景の方で作中の画像を切り貼りしているのはこれです。
また、サンプルのチラ見せ、「1人のヒロインといちゃいちゃしまくる作品」であるというコンセプトを伝える狙いも兼ねています。
それでいて視認性を保つために半透明の白を重ねて薄くしていたりします。

あとはメインヒロインの大きめの画像を目立つように貼りつければ完成です。


③紹介文を考えよう

上の狐CG集では以下のようになっています。

【あらすじ】
国を傾け人の世を乱す邪悪なる妖狐がその地には封印されていた。
数百年の時を経て、わずかずつ漏れ出した妖気はやがて一人の男を招き入れる。
人間の雄には抗うことのできない妖艶なる誘惑によって、封印は解かれてしまうかに思えた。

しかし、その男はパイズリ以外に目がなかった!
封印を解かずに延々と乳内射精をし続ける男に妖狐もドン引き。
「好きにせい」と言ってしまった手前、言葉の「縛り」によって妖狐は男に付き従わざるをえなくなってしまうのだった。

【概要】
爆乳狐と延々とパイズリするだけのCG集です。
基本的に服は着たままです。お札は剥がれません。
邪悪な妖狐はその力を封印されたまま乳交まみれの生活を送ることになります。
来る日も来る日も乳内射精され続けますが一切抵抗できません。
やがて、これまで一度も味わったことのない「支配される」という感覚に目覚めてしまうわけです。パイズリで。

基本CG20枚 パイズリのみ

うーむ、よくない点が一つありますね。
CGの合計枚数が書かれていないことです。

ボリューム表記は重要な指標です。本作の場合は基本CGの枚数とサンプルからなんとなく「1枚あたりn枚の差分でお話が展開するんだろうな」と察せますが、定かではありません。合計枚数は書きましょう

基本CG:〇枚
本編:〇枚
ほか、「台詞・描き文字なし」差分を収録

たとえばこのような表記が望ましいです。
「台詞・描き文字なし」差分の必要性は議論が分かれますが、需要はいくらかあり、あって困るものではないのでないよりはある方がよいでしょう。
ちょっと手間ですが、これも上で紹介したクリップペイントの「アニメーション書き出し」を使えば簡単に出力が可能です。

紹介文の内容についてはタイトルとだいたい同じです。
コンセプトを的確に、わかりやすく、キャッチーに紹介しましょう。
と、このへんは当たり前のことしか言えませんが、「ボリュームを明記しておく」重要性は伝えておきます。


④予告を出してみよう

予告を出す意義は発売直後の初速を出すためです。
基本的には発売日が一番売れます。できれば発売日はデイリーランキングに入っておきたいものです。
また、DLsiteでは販売数が表示されるため、この数字も購入を判断する指標となります。
やはり、なんだかんだとよく売れているものはよい商品に見え、あまり売れていないと「なにか問題があるのでは?」と警戒してしまうものです。

予告を出してから販売開始までユーザーを待たせることにはなってしまいます、が……認知度を上げるためには……仕方のないことなんや……!

さて、予告を出す時期ですが、一説では「2か月前」くらいがよいといわれています。
ただ、私の場合は我慢できないのでせいぜい「1~2週間前」です。
我慢できない、というより正確には「完成! あとは手直しだけだな……」という段階にならないと怖くて予告を出せない、というだけです。
予告を出しておきながら販売が遅れると信用を損ねるリスクもあります。

さて、DLsiteでは②と③で用意した「パッケージ画像」「紹介文」さえあれば予告を出せます。
ざっくりと「発売予定日」「値段」、そして「ジャンル」を選択すればOKです。

値段については悩みどころですが、DLsiteにおいては「高すぎて買うのを躊躇う」よりは「安すぎて価値を低く見積もる(別に買わなくてもいいかな)」になる方が多い印象です。
「自分の作品をこんな値段で売っていいのか……?」と不安になるかもしれませんが、先にも上げたデータなどを参考にしつつ、あまり安すぎない値段設定をしてみましょう。


⑤サンプル画像を用意する

予告の時点でサンプル画像を用意する必要はないため、私はだいたいこの段階でこの作業をしています。

さて、気になるのは「サンプルでどの程度見せてしまうか」という点。
私自身も今でも悩むことですが……サンプルは多くてもせいぜい10枚です。
本編100枚の作品であるならどれだけ見せても10分の1しか見せられないわけです。
「ネタバレだから隠しておきたい」「とっておきだから隠しておきたい」という気持ちをできるだけ拭い去って、その作品で最高だと思える1枚を思い切って見せてしまいましょう。
出し惜しみをして「大したことなさそうだな」と思われるよりは遥かにマシです。

「とかいって、きみも結構隠してない?」
「口を慎みなさい。サンプル10枚程度ではすべてを見せられないというだけです」
「10枚ぜんぶ使い切ってないようですが……?」

とはいえ、まあ、そうですね。
「体験」を重視するなら「ここは読者に驚いてもらいたい!」というような欲は生じると思います。私もそうです。
結果としてサンプル枚数が10枚まで達したことはありません。
そんな葛藤はありますが、これは作品にとって大きな「売り」なのだからやはり見せなければ……という判断で見せる決断をしたりします。

この作品におけるキスパイズリがそうです。
「キスパイズリ?! そんなものがあるのか……??」と驚いてもらいたい欲はありましたが、それなりに珍しくインパクトもあるこの絵面はやはり見せてしまった方がよいだろうとサンプルに掲載しました。

また、よもや「温泉旅館」と冠しておきながら温泉パイズリがないなんてことはありえませんが、「ちゃんとあるよ!」というのを見せる目的もあります。


また、最近よくやっているのが、クソデカフォントでキャッチコピーを載せる手法です。


こういうキャッチコピーがあると、なんかすごそうな作品に見えて、テンション上がるよね……と思ってます。

⑥体験版は必要?

CG集であれば特に必要ないと思います。
あってもよいですが、あるいはpixivに載せるというのもありでしょう。

ゲームの場合はあった方がよいです。
体験版は「どんなゲームなのか」を理解してもらう以上に、動作確認という重大な役割があります。
もしかしたら環境依存の問題でプレイできないことがあるかもしれません。
そのような悲劇をできるだけ減らすために体験版は用意しましょう。
わざわざ体験版をつくるのがめんどくさい場合はエンディングまで遊べる仕様で放り投げてもよいです。よいのか?



⑦審査を待ち、販売開始!

DLsiteで作品を販売するには審査を受ける必要があります。
だいたい営業日で2~3日かかるとされていますが、早ければ1日で終わります。
発売日を指定したい場合は3日前くらいからの登録だったと思います。

ここでの審査は主に性器の修正とか、なんかそのへんです。
クリップペイントにはありがたいことに「モザイク」フィルタが搭載されていますので、これを利用しましょう。
私の場合は1600×1200の画像でブロックサイズ20でいい感じです。

あとは悲しいことにロリ系はきびしいです。
「幼い」という表現はアウトだったりアウトじゃなかったりします。販売日を指定したい場合は余裕を持っておきましょう。
不安な場合は事前審査も可能です(私はやったことはないのですが……)。

ちなみにお得情報ですが、パイズリオンリーだと性器修正が非常に少なくて楽だという令和コソコソ噂話があります。


⑧アフィリエイト小細工

やってもやらなくてもよいですが、DLsiteでもFANZAでもアフィリエイトによってお小遣いを稼ぐことができます。
自分の作品を宣伝するときはアフィリエイト経由にするとそれなりには稼げるはずです。
あらかじめブログやツイッターなどのURLでアフィリエイトの申請をしておきましょう。

また、「Twitter自動投稿」を設定しておくと「販売開始」「予告開始」「販売本数達成」などのタイミングで自動ツイートがされます。
宣伝はしすぎることはないのでツイートさせてしまいましょう。
また、この自動ツイートにもアフィリエイトを設定することができます。


番外編:で、儲かるの?

そうですね……私は……そこそこの数字を出せていますが……(マウント)。
これについては「君も大金持ち!」とは安易にはいえない不確実性の高いものです。

目安として、DLsiteでは4割が販売手数料として取られます。
よく知らない人からすると「そんなに?」と驚くかもしれません。

エロ同人を求める人はこぞってDLsiteへ向かいます。
エロ同人を求める大勢がなにかないかとダラダラDLsiteを眺め、たまたまあなたの作品に目をつけて軽い気持ちで購入、なんてことが何度も起きます。
一方、そういった土台の整っていない手数料0円の個人販売形式でどれだけ売れるのか……茨の道でしょう。
DLsite様にはその道を先んじて整備していただいているといえます。
4割は……シカタナイネ!

さて、以上を踏まえて1000円で販売したとします。
消費税10%がプラスされます。
卸値(あなたが受け取る金額)は1本ごとに660円です。
1000本売れれば66万円、1万本売れれば660万円です。

そんなに売れるの?
ゲームであれば可能性はあります。
CG集だと1万本はかなりむずかしいでしょう。少なくとも私はそこまでの数字を出せたことはありません。
1000本は? 私は売れるが……(マウント)

販売数と卸値をかければ私の総売り上げはわかる……と思うかもしれませんが、セールの場合もあったりするので、その数値はよりは少ないです。

どうすれば売れるのか、というのは正直よくわかりません。
というより、「こうすれば売れる!」とは無責任にはいえません。
私もDLsiteで作品を販売し始めて9年は経っているのでもはや初心は忘れてしまってますが……(え、9年?)

まずは「自分だったらどんなものが欲しいか」を考えて制作するのがよいのではないでしょうか。私はずっとそうしてきました。

このへんについてデータで詳しく知りたい方は、たとえばこういうものがあったりします。DLsiteのデータをまとめた同人誌のようなものです。

「値段をつけて売る」というのは責任の生じるなんか重いアレですが、「商品」ということを意識して作品をパッケージングするのはなんかこう達成感とかやりがいとかそういうアレがあります。

エロ同人作家になろう。
そうすれば百万でも二百万でも稼ぎ続けながら強くなれる。
エロ同人作家になれ!!
エロ同人作家になると言え!!

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