ダラナ 2024/01/14 10:46

BL短編集「人を殺したくなるゲームは俺の性的嗜好を歪めて無慈悲な隠しエンディングを迎える」試し読み

ホラーをテーマにしたBL小説四作を収録したアダルトな短編集です。R18。
すこしグロい描写があるのでご注意。




【人を殺したくなるゲームは俺の性的嗜好を歪めて無慈悲な隠しエンディングを迎える】



ある発禁になった伝説のホラーゲームがある。
五年前にヒットした「哀れな狼少年のあるべき最期」だ。

小柄な男子中学生が帰宅をすると、家には父と母の惨殺死体が。
家を跳びだして、さっき別れたばかりの友人に助けを乞おうとするも、彼らも八つ裂きにされて絶命。

警察に行こうとし、振りかえったところで、ピエロの格好をした小柄な男が。
全身に浴びたような血、片手に持つサバイバルナイフからは赤い滴がぽたぽた。

おそらく親や友人を手にかけた殺人鬼。
逃げながら「助けてくれ!人殺しが俺を!」と喚きちらすも、住宅街は無人なのか、近所の人も皆殺しにされたのか、誰もでてこず、誰とも会わず。

通う中学校に逃げこみ、そこから本格的に密室での殺人鬼とのかくれんぼと鬼ごっこを開始。
なぜか窓やドアから外にでられず、なにかの条件を満たすか、仕掛けを解除するかしないと、その見えない壁を突破できないよう。

その一環として殺人鬼に見つからないよう校内を回ってアイテムを回収。
アイテムを見つけるたびに、男子中学生の生生しい記憶が甦っていく。

家では不倫している父と、宗教にはまる母との喧嘩が絶えず、おかげで彼は放任されて孤独であること。
そんな家庭の事情がだだ漏れで噂の的となり、無関係のはずが息子である彼も周りから白い目で見られて、陰口を叩かれていること。

さらにクラスでも、不倫の件をきっかけに虐められていること。
教師には見て見ぬふりをされ、クラス外の生徒にも「あいつも不倫でできた子かもよ」と侮辱され笑われていること。

そして限界まで追いつめられた彼が発狂し「殺人鬼に追われている!だれかあ!」と近所や学校で吠えて走りまわる狼少年になったこと。

最後のアイテムを手にいれ、自分の悲惨な境遇をすっかり思いだしたなら、強○イベントで殺人鬼に押し倒される。
このときアイテムの「おもちゃの銃」を持っているか否かでエンディングが分岐。

持っていない場合、男子中学生は首を絞められて死亡。
起きあがった殺人鬼は画面から背を向け、ピエロの仮面を放ると、高笑いしながら暗い廊下に消える。

しばらく真っ暗な画面のまま、人人の阿鼻叫喚が聞こえるに、外へでて虐殺をつづけているのだろう。

一方で持っていた場合、首を絞められつつ、銃を撃つと殺人鬼が胸から血を噴きだして死亡。
一応、サバイバルナイフを取りあげてから仮面を外すも、顔がお目見えするまえに画面は暗転。

翌朝、登校してきた生徒が、うつ伏せに倒れる彼(殺人鬼の死体はなし)を囲み、ざわざわ。
女子生徒が起そうとしたら跳ね起きて、サバイバルナイフで彼女の首をぶっ刺す。

学ランを着ているに、主人公の彼のはずが、いつの間にかピエロの仮面をかぶり、殺人鬼と同じように哄笑しながら、次次と生徒を殺害。
生徒たちの悲鳴が響きつつ、血しぶきが画面を真っ赤に染めあげていく・・・。




【落ちぶれた鬼は特注の器具で快楽地獄に陥って俺から離れられない・・・はずだった】



高校のころ幼なじみの親友、武志が夜に失踪。
コンビニでバイト中の俺と別れたきり、夜九時を過ぎても帰宅せず。

田舎の小さな町だからネットカフェやカラオケなど、だらだら夜に入り浸れるようなところはないし、もとより家族が大好きな武志は、いつも寄り道せず家に直行。
もちろん連絡はなく、帰宅予定の七時を過ぎてから家族が武志の友人知人に「おじゃましていないか」と聞きこむも、すべてノー。

九時になって武志失踪の件が近所に伝達されて、町人たちは捜索に。
消防士と交番の警察官も出動し、山に詳しい大人たちは闇の森へと消えていった。

俺も山へ行きたかったが「お前まで遭難したらどうする」と追いかえされて。
といって大人しく引きさがらずに一人でひそかに山へ。

人一倍、夜目が効くうえに、幼いころから武志と遊んでいた山は庭のようなもので、暗かろうと手にとるように場所を把握。
大人たちでは探しきれないところを懐中電灯を照らしながら歩いていたら、遠くに仄かな光が。

明かりはとどまっていて、ということは捜索隊でない。
武志が家出をして山に潜んでいるとも思えず「なんか怪しいな」と思い、懐中電灯を消して忍び足で接近。

明かりの近くの藪に潜み、葉や枝の隙間から覗けば、なんと武志が。
男二人に前から後ろから一物を突っこまれて犯されていた。

あまりに思いがけない光景を目の当たりにして絶句、体も思考もフリーズ。
放心している間にも二人の男は腰を打ちつけ「ふぐう、うう、んんん!」と武志は苦悶。

「くう・・・!」と前後ほぼ同時に注ぎこまれたようで、一物がぬかれると息も絶え絶えに倒れる武志の痛ましいこと。
にやにやして、それを見下ろし「はーやっぱ生きた人間を○すのはいいなあ!」と奇妙な発言を。

「地獄で人間を○問するのが俺らの仕事とはいえ、陰険で醜い亡者を○すのは、気が滅いるし、具合もまるでよくないからなー。
さて、すっかり鬱憤を晴らしたことだし、そろそろいただくか!」

腹を叩いた男は筋肉を盛りあがらせて、むくむくと上に横に体を膨らませていき。
肌は赤くなって、頭に角、口に牙を生やし、お目見えしたのは三メートルくらいある筋肉質な鬼。

すこし遅れて前にいた男も鬼になり、物言いたげに向かいの鬼を見つめる。
「なんだあ?」と顔をしかめつつ、武志の首をつかんで持ちあげ、その体をふりふり。

「初めに約束しただろ?
人間を○すのは二人でもいいが、食べるのは俺だけだって」

対して応えず、じっと見つづけるのにため息をつき、大口を開いて武志を丸飲み。
骨の一つも、髪の一本ものこさず腹におさめてしまい。

「さて、そろそろ地獄に帰るか。
これ以上、人間界にいたら、もどれなくなってしまうからな」

膨らんだ腹をさすりながら、歩きだそうとした鬼に「なあ・・・」とやっと口を開いて告げたことには。

「その、人間の男を犯せるなら、俺でも、いけるのか・・・?」




【霊媒師に股を開くのを厭わない彼は、亡き愛しの男を二度●す】



俺は幼いころから亡者が見えていた。
彼らは半透明のすがたをし、虚ろな顔をして、口をぱくぱく。

なにをするわけでなく、ひたすら未練のある相手についていき、声も聞こえない。
俺が見えているのに気づいても危害を加えず、なにが訴えてくることもなし。

愛おしげに見つめたり悲しそうな顔をしていたり鬼のような形相をしていたり。
表情は豊かながら、その思いを相手にぶつけたり物理的にどうこうはできないよう。

肉体を失った存在は非力で、ホラー映画のように相手を怯えさせて呪い殺すなんてことはできないのだろう。

初めて目撃したときは、そりゃあ震えあがったが、見えるだけで害がないと知ってからは平気になり、騒ぎたてることはなかった。
一度、親に知らせたことがあるも、忌々しそうに見られたに、以降、だれにも告げず。

空気の読める子供だったから、この特殊体質について、へたにひけらかせば、疎外されるか、精神疾患を疑われるだろうと判断して社会に順応。
ただ高校生になり、進路を悩むころになって「これで荒稼ぎできるのでは?」と考えを転換。

科学が発展した今の時代であろうと、非科学的とされる事象に惹かれて信じる人はすくなくない。
昔のようにテレビにでて華々しく活躍しなくなったとはいえ、亡者と生者をつなぐ仕事をする人は未だに多く、ネットが発展したことで供給も需要も増えた面もあり。

つまり儲かる。

自分の能力や性格を考えて、企業に就職し出世するのは困難。
といって、自分で起業したり、自由業をするにも、具体的なイメージが湧かなかったのが「霊媒師」はしっくりときて。

高校卒業後は大学進学できないうえ、親が頼りにならず、独り立ちしないといけない状況。
とあって、高校二年から霊媒師になるための勉強をはじめ、読唇術も身につけようと。

読唇術はともかく、霊媒師になるには独学では難しく、俺の理想とする霊媒師を見つけて弟子入り。
安い給料でこき使われつつ、商売のノウハウを学び盗み、独自に読唇術の能力を磨きあげた。

そうして師匠の元で修業をして五年。
自分でも客をとるようになってから独立。

「亡き人の声をあなたに届けます」との売りを掲げつつ、そのやり方はイタコのようなもの。

師匠は仲介役として伝えるだけだで、どうも客の反応が今一だったに、イタコ風にしたほうがパフォーマンス的にいいただろうと考えてのこと。
中学高校と演劇部に所属し芝居をしていたから、すこし自信があったし。

仕事の流れはこう。
まずは予約した人と対面。

この時点で亡者をつれていなければ断って報酬を受けとらず。
つれていたら、その唇を読みとり、また詳しく依頼者から話を聞く。

ただし、亡者が依頼者を憎悪しているようだったら、やはりお断り。

「最期まで優しかったあの人が、残せなかった私へのメッセージがあるなら是非」なんて号泣する依頼者を、亡者が殺気だって睨むなんて場合もあるから。
死ぬまで隠した本性を、依頼者に教えても栓がないし、商売としては得でないし。

そう、あくまで客商売なので、高評価を得て口コミでロがるよう、できたら依頼者が感動感激しそうな案件だけを取り扱いたいところ。
なので初対面で事を済ませずに、しばらく期間を空けて結果を告げる。

依頼人の話や亡者の言葉の裏どりをして、また憑依したふりをして伝えるとき説得力を持たせるため。
霊感のなかった師匠によく調査をさせられたからお手の物。

もしこの時点で感動感激系にならない不安な要素が見つかれば「わたしの力不足で」と丁寧にお断り。
依頼者には曲者もいるので、断ることもすくないないが、慎重に選ぶおかげで感動感激してくれる確率は高く「あの霊媒師は態度が真摯だし、なにより、本物で腕がいい」と見こみどおりに評判は上々。

憑依は芝居とはいえ、見える亡者の言葉を伝えているから、詐欺とはいいきれず、法外な報酬を求めるでもない。
追加料金をふっかけないし、周りからちやほやされても乗せられず、客以外とは対面しないで、この目で依頼者を見極め、裏どりの調査と危機管理を徹して、ひっそりこつこつと商売をする。

我ながらうさんくさいグレーゾーンの商売だから、変な欲をだすのは命とり。
そう肝に銘じて、なにかと自戒しながら安定した経営を保っていたのだが、あいにく俺は、亡者が見えるだけでない、難儀な体質をしていたから。





【祖父に寵愛される淫売な少年は精液のように砂金を溢れさせる】



俺の故郷には、幼いころから耳に蛸ができるほど聞かされる、あるいいつたえがある。

故郷は海沿いの町で、あたりには多くの小さい島が点在。
その一つに幻の島「金島」があるとされている。

名のとおり、島中に砂金が溢れているとか。
一攫千金を狙える夢のような島だが、幻だから行きたくても行けるものではない。

漁師などが急な天候悪化で遭難したときに流れつくことが、たまに。
金島に住む人々は親切で、船が壊れていれば修理してくれ、漁師が飢えていたり怪我をしていたら、甲斐甲斐しく世話を。

船も人も全快すれば島とお別れ。
ほとんどの人は島民と涙ながらに挨拶を交わして帰路につくも、砂金をこっそりと持ちだす恩知らずも少なからず。

ただし故郷の地を踏んだとたん、それは変哲ない茶色の砂に。
金島に行きついた人で、砂金を持ち帰れた人はいないという。

一人だけ成功したものを、金島からつれてきたのは砂金ではなく島民。
海に溺れて流れついた海女さんの彼女と、看病した男が懇意になり、かけおちをしたのだ。

島から持ちだした砂金が砂になるなら、島民の男も変貌を遂げるか、結婚に悪影響をもたらすのでは。
はじめは、そう心配されたものを、島民の男に変化は見られず、彼女の家が祟られるようなこともなく、なんなら貧乏だったのが、みるみる裕福に。

二人が結婚した直後に海で真珠がとれるように。
多くの真珠が安定的に供給され、村の特産品となり、地域も潤って繁栄。

たまたまだったのかもしれないが「金島の島民は周りに福をもたらすのでは」と噂となり、かけおち夫婦に「ありがたやー」とまわりは手を合わせたもので。
あいにく二人の間に子はできなかったものを、かまわず町民たちは温かい目で仲睦まじい夫婦を見守ったのだが。

若くして妻が病死。
ここぞとばかり、都から兄夫婦がもどってきて、金島出身の夫を家から追いだし、真珠の商売を独占。

なれど、夫の彼が居なくなったとたん、真珠が一つもとれなくなり、商売は破綻。
町も昔より貧しくなり、離れる住民が続出して、ついにはもぬけの殻。

どんな教訓や戒めがあるのかは分からないが、俺の故郷では知らぬ者のいない金島のいいつたえ。
幼いころは海に行くたび、砂金が山盛りになって輝く島がないものかと目を凝らしたものの、年を重ねるにつれ、興味は失せていき。

「所詮は子供だましの迷信」なんて吐き捨てるのが反抗期のころ。
ちょうど、俺のそんな時期に金島に関わるような、ないような事件が発生。

俺の祖父と父が船をだして海釣りに行ったとき、木の板にしがみついて漂流していた少年を発見。
急いで船に上げて、失神している彼を病院へと。

ひどく衰弱していたとはいえ、とくに負傷してなく病気でもなく。
栄養剤を点滴したなら、そのうち目覚めたものの、自分が誰で故郷はどこか、まったく分からない記憶喪失状態。

会話したり食事をしたり排尿排便をしたり、生きていくための最低限の知恵はありつつ、病室にあるベッドやテレビなど、あらゆる物に驚いたり、俺の父や祖父、看護師を見て「変な格好をしている」と首をひねったり。
噂では、助けあげられたとき彼は古めかしい着物を身につけていたとか。

正体不明の少年について、町の人たちは「金島の子供では?」としきりに噂を。
俺も漏れ聞いて「まさか」と笑っていたのが、なんと、少年が家の養子、義理の弟になることに。

そりゃあ不安やら畏しいやら複雑な心境だったなれど、いざ対面したところで、胸のもやもやが霧散。
これまで俺が見てきたなかで一等、見目麗しい珠玉のような少年だったから。

祖父につけてもらった名前は「慎太」。

透きとおるような肌、血色のいいふっくらした唇、ぱっちりお目目に長い睫、すこし茶色がかった艶やかな髪。
控え目で物静かなれど、いちど心を開いた相手には懐こく、義理堅くもある。

はじめは「どうしよう!クラスの女子よりかわいい!」とどきまぎしたが、コレクションの漫画を見せたことで仲よしに。

「読んだことがないか、覚えていない」というに一から教えれば、熱心に覚えてすぐに読み方を習得。
それからは、すっかり漫画にはまり、俺と肩を並べて読みながら感想や考察を交わしたり、真似て描いてみたり、とにかく彼と過ごす日日は薔薇色だった。

なにせお高くとまった我が家とあって、漫画は害悪と見なされ「また、そんな下品なものを」とよく眉をひそめられていたし。
なんて息がつまるような生活の場で、同じ趣味を持つ弟ができたことに、俺は浮き浮きだったなれど、家の空気は殺伐としたものに。

あとから知っとことには、母や祖母が、父か祖父がよそでつくった子供ではないか?と疑っていたらしい。
愛人の子供を家に迎えるため「海で遭難した子を救った」「その子は記憶喪失」と都合のよ過ぎる方便を吹いたものと。



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