ダラナ 2023/04/14 20:18

BL短編集「代わりでいいから俺だけを見て抱いて」試し読み


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【代わりでいいから俺だけを見て抱いて】



俺のすきな人には恋人がいる。

相手は同性の千秋、恋人も同性の黒木。
もともと俺たち三人は会社の同期であり、ゲーム仲間。

毎週末に、親が資産家で、高級マンションに住む千秋の部屋に集まり、ゲーム三昧。
防音が鉄壁だから、酒を飲んではっちゃけたもので。

そんなごきげんな週末をすごしつづけて、二年経ったころ。
千秋と黒木から「じつは交際をはじめたんだ」と告白。
そのうえで、週末の三人の集いは今までつづけたいとのこと。

そう提案しただけあって、三人でいるときは、惚気たりせず、今までどおりに、ふるまってくれて。
まあ、さすがに俺も気をつかって、徹夜明けの土曜の朝は、二人を起さないよう帰宅したものだが。

そんなこんなで三人の関係性は良好なまま。
というわけにはいかなかった。






【ご主人さま食事になさいますか、お風呂になさいますか、それとも】



俺はこのごろ、執事喫茶に通いつめている。

いつも指名するのは、店長も兼ねているロバート。

四十代で肉体は若若しいながら、熟練の職人といった渋い雰囲気。

あまり笑うことなく、常時、真顔で、従順とは限らず、たまにご主人さまを、たしなめるところもいい。

たとえば、まえに俺が「ロバートが励ましてくれたら、もっとがんばるよ」と呟いたときなんか。
「申し訳ないですが、ご主人さま、お断りします。
そんなに疲れた顔をなさっているのに、さらに鞭打つようなことはできません。

代わりにすこしでもご主人さまの心身の負担が減るよう、尽力しましょう」

表面的に話しを合わせるのではなく、ときには要求を跳ねつけ、苦言をしたり、べつの提案をする。

サービスを超えたような、心から相手を思っての真摯な仕事ぶりに「しゅきいいい!」といちころになったのは俺だけではない。






【ご褒美に殿の処女をいただきたいでござる!】



俺のクラスに珍しい名前の転校生がきた。

服織半蔵(はとりはんぞう)という。

「はっとり」なら、歴史上の忍者だったのに惜しい。

「これは、茶化し甲斐がありそうだ」とクラスのみんなが思った矢先、服織は自己紹介をせず、どうしてか、俺のほうへつかつかと。

机のまえまでくると、跪いて「殿!」と叫んだもので。

「今世でまた会えるとは、拙者、万感の思いでござる!」

説明によると、前世の戦国時代のころ、服織は孤児だったという。
で、殿さまに拾われて、忍者になるための修行をさせられ、また跡継ぎの従者となった。

その跡継ぎが俺だったらしい。

そりゃあ服織は殿への恩があるに「わたしの命にかえてお守りする!」と従者兼忍者として仕事に専念。

俺の命を狙う不届き者がいないか、つねに目を光らせ、ある日のこと、部下たちが謀反を起そうとしていると嗅ぎつけた。
ただちに俺をつれて逃げたものを、海の断崖絶壁まで追いつめられてしまい。

「安江さまに申し訳ないと謝ったら『いや、よくやってくれた。褒美をやれないのが、心のこりだ』とおっしゃられて。
そして手をつなぎ『生まれ変わったら、褒美をやろう』と海に二人で身を投げたでござる・・・」





【ガチムチが胸を突きだして誘惑するんだが】



知りあいのオーナーに経営不振のジムの支援を頼まれた。

が、俺も手がけている複数の店の経営がふるわず、手一杯なところ。
そう説明して断ったものを、オーナーが食いさり、提案したことには。

「どうです?ジムの選手の思いを聞いて、あらためて考えてみては。
三島あたりとでも、食事をして」

三島くんは、ジムの新人格闘家で、俺のお気にいり。

もともと格闘家好きで、将来有望な若手の応援をするのが趣味なのだが、三島くんは才能があるのはもちろん、そのおっぱいに惹かれたもので。

ガチムチにして、輪郭や凹凸が滑らかな曲線を描き、動作にも柔軟性がある。
胸も固そうでなく、大福のようにふっくらとして、しかも肌が白くて突起が薄紅色。

試合のときは、より胸が張りつめ、汗で艶めいて、突起が腫れたように赤くなって、ぷるぷるするのが、もう、たまらない。






【助平な毛布が放してくれません!】



寒い朝に布団をからでるのは、死ぬほど辛い。
とくに俺は毛布に愛着があるから、なおのこと。

中学から使っている赤い毛布は、古めかしく、どぎつい花の模様が描かれているし、やけに重量感がある。

今の毛布はかるく薄いながら、温かくもあり、ずっと利便性が高いものを、買い替える気はなし。
胸が押しつぶされそうな厚みと重みがないと、物足りないから。

おかげで社会人になっても、使い古された毛布を手放せず、朝、起きるときも離れがたい。

「ああ人生を捨てでも、毛布を抱きしめて寝ていたい」と願うほどに。

とはいえ、現実に仕事をさぼることはできず。
起床するすこしまえに暖房器具がつくよう、タイマーをセットするという対策を。

が、その日は前夜、タイマーの操作をし忘れたよう。
しかも外の気温が氷点下になり、部屋も肌が刺すような寒さ。

そりゃあ、いつにも増して、毛布から抜けだせそうになく。






【先生、もっと俺を蔑んで乱れて】



「数学を愚弄するやつは万死に値する」

授業でたびたび数学担当の先生は、そう告げる。
言葉どおり、数学の勉強をおろそかにしたり、成績がわるい生徒を、とことん先生は蔑み、対する態度も冷たい。

とあって、生徒は怯むか、鬱陶しがるか、とにかく先生を敬遠するのだが、俺は例外。
根っからのエムなものだから、先生がだれかを蔑視するたびに恍惚とする。

そりゃあ、俺も眼鏡越しに刺刺しい視線を注がれたい。

そのために、わざと授業で舐めた態度をとり、テストで赤点をとろうかと思ったが。
面とむかって軽蔑されたら、かくじつに勃起するし、なんなら、すぐに射精しそうだし。

先生やクラスメイトのまえで、そんな醜態をさらした日には、学校生活は終了。
進学校だけに、中退したなら、人生が狂うことは必至。

なんて懸念のほうがまさって、欲求は抑えこまれてしまい。

数学の授業を真摯に受け、いい成績をキープ。






【生配信で健康器具の罰ゲームをするのもほどほどに】



今、はまっているのは、ツインテールの美少女「タキト」の動画。

無邪気にゲーム実況をしつつ、クリアできなければ、罰ゲームとして健康器具を使用する。
ぶるぶると微かに振動音がするなか、息を切らして喘ぐのが、最高のおかずになるのだ。

といって、画面に映っているのは3DCGのアニメキャラだし、声にあわせて表情が変わるだけ。
ほんとうに健康器具を使用しているのか確かめようもない。

そうと分かっていても、タキトが身じろぎする音を立て、熱っぽい吐息をし、涙声を震わせるのを聞くと、むしろ妄想爆発して、そりゃあ高ぶる高ぶる。
すこし加工してある低めの声の響きも、耳にきんきんするのが得意でない俺にはどストライク。

俺のようなファンはすくなくなく、一定の人気を保ってチャンネルは繁栄。

おかげで、ファンを大切にするタキトは「恩返しをしたい」と誕生日に特別な生配信をしてくれることに。
いつもは健康器具を挿入するのが、その日はまえとうしろ同時にスイッチオンするという。






【格ゲーに転生したら巨乳の男がチャイナ服を着ていた件】



酔っぱらいの喧嘩に巻きこまれて、頭を打ち死亡。

とんだ、つまらない死に方をしたものだが、目を覚ますとそこは愛好する格ゲーの世界。

で、自分はどのキャラになったかというと、ロボットの天才開発者、通称「ロボオタ」。

いくつかステージをクリアすると使用が解禁になる特殊キャラ。

格ゲーにして華奢な体をし、いつも猫背。
自分は戦わず、開発したロボットを操作し、守らせたり戦わせたりする。

変化球的な色物キャラで、プレイする分には割とお好みだが、当事者になるのは微妙。
せっかく格ゲーに転生したのだから、パーフェクトボディのイケメンになりたいところ。

まあ、俺自身のことはいい。
気になるのは推しキャラのレイミーのこと。

レイミーはチャイナ服を着た巨乳美女キャラ。
チャイナ服からはみでる豊満な太ももを武器に、像もふっとばす必殺の蹴りで、屈強な男どもをKO。






【『触らないで』と泣く幼なじみは、とんだむっつり助平】



俺の幼なじみ、清志は性的なことへの拒否反応が尋常でない。

原因は母親。
夫に十股されて離婚してから、清志から、ことごとく性的なものを遠ざけた。

おかげで、お盛んな年ごろの高校生になっても、清志は年並の性的な知識も経験も、まるでなく、まわりと馴染むのが大変そう。

「いやあ、俺の息子がだまっちゃないぜえ?」という下ネタくらいで、吐くほどだから。
昔から、つきあいのある俺は、母親の異常な躾ぶりを知っているに、清志を不憫に思いつつ、幼なじみとして親交をつづけていた。
学校では、下ネタ的な発言や野蛮なふるまいをする男子から庇ったり、間にはいって庇ったり。

「いつも、ごめん」と清志は申し訳なさそうにするとはいえ、小学生のころから惚れている相手なだけに、なんの苦でもなく。
いや、ある意味、俺も困ってはいたが。

なにせ思春期を迎えて、性的にも、とてつもなく惹かれていると自覚したから。

俺の好みのタイプは「オウ!イエス!カモーン!」とのりのりのではなく、やだやだと首をふって恥じらうの。





【俺はレンズを通して彼を孕ませる】



若い女性むけの雑誌専属の、俺はカメラマン。

いや、ほんとうは世界を飛びまわり野生動物を撮りたいのだが、不景気ではままならず。

稼ぎになる仕事を渋渋ながらこなし、自費で野生動物の撮影にいく悲しき現状。

カメラマンなら、どんな仕事だろうと、その腕をふるえるならいいではないか。

なんて突っこまれそうだが、なかなか、そうもいかず。

なにせ相手は、売れかけのモデルや芸能人で、自意識過剰のナルシストばかり。
我のない動物とは対照的。

「自分らしさ」を表現することに腐心するのが、そもそもの勘ちがい。

まず「隠れた一面の素顔」を撮りたい雑誌のリクエストに応えようともしないのだから。

おかげで、自己主張おばけたちの、虚勢を剥がすのも俺の仕事に。

あまり撮影中に話さない俺の戦法は、とにかく撮りまくる。
途方もない時間、撮影をすれば、どんな、かっこつけもぶりっ子も素の顔を見せだすから、そこが狙い目。

そのできあがりは、雑誌が満足するものでも、被写体は「こんなのNG!」「ぶさいくじゃない!」とぶつくさ。



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