ダラナ 2023/05/26 20:08

BL短編「鬼退治のゲームオーバーは屈辱的で死よりも救いようがない」試し読み

難易度が高いながら、ゲーマー以外にも知られているアクションゲーム「鬼退治」。
ゲームオーバーになったときの意味深な映像が話題となり、プレイヤーの男も興味津々だったのが、まさか身を持ってその謎を知ることに・・・。

ゲーム転生をテーマにしたアダルトなBL短編です。R18。
ホラーチックでグロ描写もあり。





俺が今、血道を上げてプレイしているのは「鬼退治」というアクションゲーム。

鎌倉時代のころをモチーフにした世界で、世に溢れる魑魅魍魎を刀で斬り倒していき、最終目標は、題名通り、ボスの鬼を退治すること。

ゲーム展開はシンプルなれど、難易度は高い。

なにせ、技の数が多ければ、コマンド入力も多くて、覚えきれないから。
その分、ここぞというタイミングでコマンド入力を成功させ、とっておきの技が繰りだせると、会社のストレスが吹っとぶほどの爽快感が。

上級者むけであり、マニア好みのゲームなれど、難易度に比例して世間での知名度も高い。
ゲームオーバーになったときに流れる映像が注目されてのこと。

鬼退治では、体力ゲージがゼロになっても、操作する、もののふは死なない。
倒れはするものを、満身創痍で生きたまま異形の者に髪をつかまれ、引きずられていく。

画面端までいくとムービーに切りかえ。
真っ暗闇の中、両端に松明が灯る真ん中を、どこまでも引きずられていき、そのうち、画面中央に白いなにかが。

近づくにつれ見えてくるのは障子の戸。
和紙に写るのは頭に二つの角が生えた、その影。

異形の者が、血だらけのもののふを放ると、障子の戸が開いて、ぬっと巨大な赤い腕が出現。
頭をつまんで引きずりこむと、戸は閉めきられ、見届けてから異形の者はそそくさと退散。

異形の者が消えてから、障子に写る影が蠢き「ああああああ!」と絶叫が暗闇に響きわたり。

そうして障子が開かないまま、もののふの断末魔の叫びが響くまま、徐々に画面が暗くなり、少しの間を置いて、メニュー画面にもどるという。

痛快アクションゲームにして、ホラー的な結末だが、おそろしいのは、もののふが最後まで殺されなかったこと。

どうして人を虐殺してきた鬼にして障子を血で染めあげなかった?
障子のむこうで鬼はもののふになにをしているというのだ?

当然、疑問に思うところで、ゲーマーの間では憶測がとび交っている。

憎たらしいからこそ、死んだほうがましと思うほどの責苦にあっているとか、その一環で強○されているとか。
なかでも多くの人が考えるのが「天子さまの居場所を吐くよう○問をうけているのでは」説。

「天子さま」とは、この世界で代々神の子として崇められてきた存在。
世に魑魅魍魎がはびこってからは、若干十六才の天子さまが、鬼退治の総大将となり、もののふたちをまとめあげ、率いている。

どれだけ魑魅魍魎が世を狂わせようと、もののふや庶民が歯を食いしばってくじけず、結束を固めるのは、そんな勇猛な天子さまが心の支えになっているから。
逆にいえば、その存在が大きすぎるが故に、失ったら総崩れとなる危険が。

鬼にしたら、そりゃあ、天子さまは目障りであり、人間勢にとっての弱点、滅ぼすための鍵と見るわけだ。

もちろん、鬼がそう考えるだろうことは百も承知で、もののふたちは天子さまの居場所を秘密に。
情報が漏れないよう厳重管理し、影武者でない本物がどこに居るのかを知るのは、数少ない側近だけ。

その一人が、プレイヤーが操作するもののふ。
となれば、体力がゼロになっても殺されず、鬼の元につれていかれて、○問されるのも腑に落ちる。

この説がいちばん有名だが、俺が支持をするのは「○問でも、間者(スパイ)になるよう迫られている」説。



ゲーム転生もの四作を収録したBL短編集もあります。

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