ダラナ 2023/06/11 20:46

BL短編集「欲情する獣人におしおきを」試し読み

2000字前後のエッチでやおいなショートショートを十作収録したBL短編集です。R18。
ゲーム転生、フェンタジー、コメディっぽいの、学生ものなどいろいろ。





【欲情する獣人におしおきを】



俺が剣士としてお供をする勇者一行には獣人がいる。
銀髪に銀の毛並みの三角耳と尻尾を生やし、精悍な顔つきをした男前だ。

その正体は合成獣の実験体という。

合成獣はふつう動物や魔物を二体以上、錬金術で合体させたもの。

人体を使うのは禁忌とされているし、これまで秘密裏に実験されたのは、すべて失敗。

そう、唯一の成功例がこの獣人、ギンジュなのだ。

研究所の地下で日々、データをとるため実験体として虐げられていたのを、その噂を耳にした勇者が単独で侵入し、救出。

以降、勇者一行に加わり、命の恩人に一生、忠誠を誓うとばかりつき従っている。

そりゃあ勇者には尻尾をぶんぶんふるし、仲間にも懐いて健気に戦闘のサポートをしているし。

俺以外に、はだ。

初対面から、ギンジュは俺と目を合わせないし、口も利かなければ、寄りつきもしない。
切迫した戦闘中でも、仲間を通して伝達するほどの徹底ぶり。

いやいや、きらわれる理由に心当たりがなく、勇者や仲間に聞いたにしろ「ほかの人よりギンジュには気をつかっているように見える」とのこと。




【発情期の獣人は恋焦がれて魔物とまぐわう】



動物や魔物を錬金術で合体させて、あらたな生物をつくりだす研究所。
地下深くのそこでは禁止されている組みあわせの実験がされ、生みだされた一例が俺だ。

魔物の銀狼と売られた奴○の俺。
しあがったのは、意識の主体が俺、姿形も基本が俺という、銀に髪が染まって、三角耳と尻尾が生えた程度のもの。

それでも狂喜した博士は「さらに実験の精度をあげるぞ!」と息巻いたものを、以降は失敗ばかり。

このままでは自分が生きているうちに奇跡の二例目を拝めないかもしれない。

そう心配したらしく、いよいよ博士は禁忌を犯し、俺の体を妊娠できるように改造。
錬金術でだめなら、交配によって奇跡の獣人の後継を得ようとしたわけだ。

体が改造されてからは地獄だった。
定期的に発情期がくるたび、興味本位の研究員たちに犯されたし、外からつれてきた男たちをあてがわれたし、あらゆる魔物に凌○されたし。

動物と性行為できなかったのは、せめてのもの救い。





【俺が男子校に潜入する男装女子になっただと?】



訳があって女子が男装をして男子校に潜入。
なんて、少女漫画あるあるなアニメに妹は無我夢中。

居間の巨大なテレビで、暇さえあれば視聴していたので、たびたび目にした俺は、おおまかな内容やキャラ、流れを把握。

案外、おもしろくなくはないし。
ただし、あくまで男目線で視聴してのこと。

たとえば、自分がヒロインの正体に唯一気づいているルームメイトだと想像。
なにも知らない男どもに囲まれながら、ひそかにヒロインといちゃいちゃするのとか。

過激なのだと、ヒロインの正体がばれて、複数の男に犯されるのとか。
夜のおかずにもさせてもらっている次第。

もちろん、妹にはそのことを明かさず、居間に流れっぱなしのアニメを見ては、よからぬ妄想をしていたのだが。

高校で友人とじゃれあっていて、開けっ放しの窓から落下し死亡。

首を折って即死したはずが、すこしして目が覚め、ベッドに横たわっていた。
真っ白な布団に枕、ぐるりは白のカーテン。





【俺のちんすこうを食べてくれ】



ただの地方色の強いお菓子ながら「ちんすこう」は響きからして下ネタにされやすい。
小学生なんて格好の餌食に。

給食の時間、担当教師がお土産を配ったとき、そりゃあ、男子はどんちゃん騒ぎ。
下ネタを喚きちらすものだから、女子や混ざらない男子たちも食べることができず。

甘いもの大好きな俺は、そりゃあ、食べたくてしかたなく。
が、標的になるのを避けて、がまんをしたのだが、向かいの席には猛者が。

まわりの目を気にせず、もくもくと食べる霜月。
もちろん、すぐに男子に囲まれて「エッチ!」「助平!」と囃されたのを、どこ吹く風で食べきったもので。

おもしろがって男子たちが、自分のを献上し、それを食べづつけるのを、向かいの俺は口を開けたまま凝視。

そして「うまいか!」と肩を叩かれて、思わず噛みちぎったのを目にした瞬間、ある扉を開けてしまったらしい。

自覚したのは、思春期に突入した矢先。





【暗殺者だって男に愛されたい】



幼いころから英才教育を受け、今日、いよいよ俺は暗殺者のデビューを。

仕事にむかうまえ、伝説の暗殺者と称される父が俺の肩に手を置き、告げたもので。

「わたしの血を受け継いだ最高傑作のおまえを誇りに思う。
見事に仕事を完遂してみせ、その崇高なる遺伝子を、おまえもまた後世にのこしてほしい」

神妙にうなずきつつ、内心は複雑。
「俺は」と口を切ろうとしたのを飲みこみ、ターゲットの元へ。

俺の初仕事のターゲットは、若く有望なエンジニアだ。
効率的に電気を供給できる革新的な火力発電のシステムを開発したという。

依頼者については、詳細が知れないものを、おそらく外国勢力。
今、日本に太陽パネルを売りつけようとしている某国。

もし、例の火力発電がお披露目されれば、電力不足の救世主としてもてはやされ、国中に建設されるだろう。
そうなっては、太陽パネルがお役御免となり、某国の商売はとん挫。

ので、まだ火力発電が試験中で、発明者なしには開発がままならない段階でつぶそうというわけ。

そう予測したところで、なおのこと気が重くなったが。
俺は犯罪者の息子だし、愛国者だと胸を張れる立場にないとはいえ、外国に加担して自国を貶めるなんて、気がすすまない。





【グラビアアイドルの俺はエロカメラマンに弄ばれる】



世の中には想像もつかない趣味趣向の人がいる。
女物の水着を装着した筋肉質な男に惹かれる男とか。

そういった性的倒錯者が意外といて、雑誌も存在。
男版のグラビアアイドルの写真が掲載され、袋とじもあるのだ。

その雑誌に載る常連のグラビアアイドルの一人が俺。
いや、本職はサラリーマンで、副職でしていること。

大学まで水泳をして、今も仕事おわりや休日にプール通いしているとあり、競泳選手独特の筋肉美を誇っている。
それを売りにしたグラビア写真で稼いだ分を、世界のアマチュア水泳大会に出場するための資金に。

会社にはもちろん、副業のことは隠しつつ、水泳人生を歩みつづけるため、地下系の雑誌の仕事に励んでいたのだが。

ある日、撮影にむかうと、雑誌編集者から「あらためて撮影の訓練をしない?」と打診が。

「雑誌としてはきみを、もっと推したいんだけどさ。
カメラを向けられると、どうしても緊張するのかな?

せっかくの柔軟性のある筋肉や、しなやかな体の輪郭が、思ったより映えない。
もうすこしカメラに慣れてくれれば、十分、表紙を飾れるし、写真集だってだせるかも」

個人的に世界の水泳大会を出場してまわるには、ひどく費用がかかる。
多少、むりしてでも稼げるなら稼ぎたいところで「こちらこそ、お願いします」と頭をさげたもので。





【夜○いしにきたお前は、どちらさま?】



エッチがマンネリ化していたので恋人のナオキと「夜○いごっこ」とすることに。

俺は寮暮らし、ナオキは実家暮らしで、なかなか夜を長く共に過ごでなかったし。
寮生や管理人にばれないよエッチするのは、さぞ燃えるだろうと。

春休みにはいり、みんなが実家に帰っていき、同室のやつと隣の住人が不在となったところで決行。

十一時に消灯し、俺はベッドイン。
「教えた警報システムや監視カメラをかわして、俺の元へこれるかな」とわくわくしながら待つことしばし。

長かったような短かったような、ひそかにドアの開く音が。
足音を忍ばせて近より、とうとう布団をめくりあげて。

こんなにも胸を高鳴らせて、肌を熱く痺れさせるのは久しぶり。
生唾を飲みこんで、寝たふりをする俺を犯してくれるのを待ったのだが、一向に動きなし。

どうも焦らしているようでなく、なにか不都合があった?
そう考えて、すこし瞼を上げたなら、目にしたのは見知らぬ男。




【大型犬のように愛くるしい男に食い散らかされました】



大学の友人の桜庭は、見境がないやりチンだ。

気にいった女の子とは絶対エッチをし、そのくせ交際せずに一晩過ごして、おさらば。
彼氏持ちだろうと、かまわず。

おまけに病的なやりチンでありながら、天性の人たらし。

ふつうなら男女ともに刃物に刺されそうなものだが、愛くるしい大型犬のような見た目をし、底なしの愛嬌も備わっているので、結局、みんな許してしまうらしい。
そんな神から愛されたような天下の陽キャラと、対照的に死神をつれて歩いているような底辺の陰キャラの俺が、よく親しくなったのだと思う。

人間不信で疑い深い俺には、桜庭の人たらしオーラが効かないのに。
俺にしろ、桜庭のような人生を舐めているチャラ男は疎ましいはずなのに。

どれだけ多くの人に囲まれていようと桜庭は、尻尾をふるようにして俺の元に走ってくるし。
「おまえといると目立ってやだ」と憎まれ口を叩きながら、桜庭がくっついてくるのを拒めないし。

そうして、つかず放れずの距離感で桜庭とキャンパスライフを送っていたのだが。

ある日のこと、背広姿の男が構内に突進してきて、桜庭を殴り倒した。
どうやら、桜庭が人妻に手をだしたせいらしい。





【白魔導士の回復で俺はエッチになる】



新しく加入したパーティーの剣士にしてリーダーに、まず忠告された。
「白魔導師の回復魔法を受けるな」と。

白魔導師はサポート役であり、仲間を回復するのも仕事だ。

その仕事をさせないとはどうして?と首をひねるも、剣士は目を逸らして、だんまり。
ほかの仲間に聞いても、はっきりとは応えてくれず。

皆の態度が意味深だから、本人に聞くのもためらわれて。

まあ、回復魔法が使われない分、回復アイテムが支給されて、困りはしなかったのだが。

ある日のこと、魔物の多数の襲撃があり、乱戦となって、気がつけば、俺と白魔導師は仲間とはぐれていた。

襲ってきた魔物は倒したとはいえ、危険な森のど真ん中。
「早く合流せねば」と白魔導師を護衛しながら仲間の捜索を。

疲れてきたころ、開けた場所にでて川を発見。
ほっと一息つき「休憩しよう」とふりかえったら、藪から魔物が跳びでてきて。

巨大な手が、白魔導師に襲いかかったのを、とっさに庇い。
上半身に深く爪がのめりこむもかまわず、血反吐を吐きながら、鉄拳を繰りだし、波動で魔物の腹に風穴を開けた。





【乙女ゲーに勝ったらヤれるはずが、悪役王子にヤられてしまった俺の話】



熱烈なアプローチをして交際に至った彼女だが、なかなかエッチをさせてくれず。
奥ゆかしいのではなく、じりじりする俺の心を弄んでのこと。

やっとOKをもらえたと思ったら「条件があるの」とにんまり。

彼女が今、はまっている乙女ゲームで、悪役王子を攻略したら、やらせてくれると。

乙女ゲー愛好家の彼女にして、難攻不落の悪役王子とは。

親馬鹿の王に甘やかして育てられ、根性が腐りきった、絵に描いたような悪役。
はじめて主人公のヒロインに会ったときは「俺の愛人にしてやろうか。週一回の性処理にはちょうどいい」と侮辱を。

対して、逆に恥をかかせてヒロインがふったことで、権力をふるってのいやがらせがはじまるわけ。

ふつう、こういう悪役は、引き立て役にすぎないが、このゲームでは攻略相手の一人。
ゲームでいちばん落とすのが難しいキャラでもあるという。

ネットでは、攻略をあきらめた人が続出していたが、念願の彼女とのエッチのためなら、なんのその。
スマホを片手に情報収集しながら、レッツプレイ。

コツは、媚びすぎず、突き放しすぎず、微妙な加減の選択をすること。
具体的なやり方は、攻略した人も言語化できないとかで、そりゃあ、俺は大苦戦。



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