【フリー台本】誕生日に兄から電話がかかってきた
(電話がかかってくる)
(電話がかかってくる)
もしもし? そう、私だ、キミの兄さんだよ。今日は特別な日だから、電話してみたんだ。
誕生日おめでとう!
元気そうで何よりだ。声が明るくて嬉しいよ。今日は何か予定あるのかい?
……ふむ、友達からケーキビュッフェに誘われているのか。
今でもお気に入りはチョコレートケーキなのかい? かくいう私もチョコレートケーキには目がなくてね、特にザッハトルテなんか…いいや、私の話はどうでもいいんだ。
それで? 他に予定は?
……なるほど、映画か。それも楽しそうだね。
ああ、そのタイトルなら私も興味があったんだ。たしかロマンチックコメディーだったね。せっかくの友だちからのプレゼントなんだ、大いに満喫しておいで。
しかしいいもんだね、若いって。私は今日も仕事だよ。でも、キミの声を聞けて嬉しかった、キミは私の大切な妹だからなね。
ああ、いっしょに遊んだ昔が懐かしいなあ!
公園で遊んだり、絵本を読んだり、ゲームをしたり……覚えてるかな?
あの時、悲しい絵本を読んで泣いてしまったキミを私が抱きしめてあげたこととか。そのあとキミが笑ってくれたから、私もつられて笑ってしまったこととか。こんなこと言うからすっかりおじさんになったんだってキミに笑われるんだろうな。
さて改めて誕生日おめでとう。これから先のキミがきっと幸せになるように。
でも、けっして無理はしないで。体と心の両方に気をつけなきゃな…それは私のほうだって? ハハハ、キミに心配されるようじゃ私もまだまだだな。じゃあ、また電話するよ。キミの声が聞けてほんとうに良かった。
(電話が切られる)