鶯命丹 2023/12/12 00:02

初夜

 以前企画であった、「神々の伴侶」のお題で書いた蝕神と伴侶の七の初夜の話
【あらすじ】
 触神様の伴侶に選ばれた加害趣味の少年七と、ガチムチの上半身とグロテスクなムカデの下半身と触手の腕を持った蝕神様の初えっち話。

【要素】 
 ショタ攻め(人間)×虫系人外受け
 蝕神の容姿の描写に虫、触手、人外要素
 攻めが受けに対してナチュラルに傷害するシーン(軽度のリョナ)
 受けのフェラ
 受けが不感症表現あり
 軽度の虫○(虫を姦する方)

 全文7000文字

 文体に合わせてハート喘ぎはなしにしました。
 喘いでるのも美少年なので濁点・汚喘ぎもないです。
――――――――――――――


 さわさわと草葉を揺らす夜風が、縁側から吹き込んで御簾を揺らす。
 涼しい風は心地よく七の身体を冷まし、布団に包まる暖かさを味わった。
 枕に頭を預けて目を閉じた七の耳に、低くしゃがれた声が届く。
「七や、いいか?」
 低く落ち着いた声音で呼びかけるのは七を伴侶と選んだ神、蝕神のものだ。
「はっ、はい! いかがなさいましたか? 蝕神様」
 七はくるまった布団から飛び出して御簾をからげる。
 そこには寝間着に身を包み、面布を付けた蝕神が立っていた。
「起こしたか?」
「いいえ、まだ寝ていませんでした」
 七が首を振り、蝕神を招き入れた。蝕神はするりと身体を滑らせて七の部屋に入り、七もその正面に座った。
 薄暗い部屋の中にひと柱とひとり向かい合って、押し黙っている。先ほどまで心地よく感じた涼しい風が、妙に寒々しく、七はもぞりと自身の腕をさすった。
 いったいどうしてここに来たのか?
 そう問いかけるため、七が顔を上げたとき「今日はお前と床を共にしようと思ってここに来た」と蝕神があっさり告げた。
「え」
 突然の言葉に七はあんぐりと口を開け蝕神を見上げる。面布に覆われた蝕神の顔色は伺えないが、少し言い淀む空気のあと低い声が静かに言った。
「しかしな、私の姿はヒトから見れば醜く恐ろしいモノだから」
 言うと蝕神は着ている白い寝間着を脱ぎすて、面布と頭巾を取り去った。
「あ……」
 蝕神の姿を見て、七はあんぐりと口を開けた。
 ムカデのような硬質な節のついた下半身が、ガサゴソ、ととぐろを巻いている。
 上半身は逞しい男のもの。盛り上がった胸とぼこぼこと浮き出た腹筋。首は太く背中も広く、大層筋肉質だった。
 人間であれば腕のあるはずの部分には腕ではなく、蛸のような無数の触腕が蠢いている。触腕の先は手指のなり損ないのような、ぐねぐねした細長いものが触腕の蠢きに振られるようにぶにぶにと揺れていた。
「醜いだろう? お前が怖がるといけないと思っていたが……」
 蝕神のしゃがれた声をこぼす口が、蛇のように大きく開く。顎の上下に長く鋭い牙があり、肉色の舌がひとつではなく複数枚生えて、チロチロと動いていた。
 黒く大きな目は虫のような複眼であるようで、その目にはたくさんの七が写っていた。
 一糸纏わぬ蝕神の姿をまじまじと見つめて、七は「触れてもいいですか?」と好奇心と不安を混ぜた視線で問う。
「構わない」
 蝕神が許可すると、七の幼さの残る手が、恐る恐る蝕神の身体に触れる。
 まずは蠢く触手を優しく掴む。
 先を握るとぷるぷると跳ねる触手は、逃げようともがくいも虫のようで、七の心をときめかせた。
 いも虫よりもみっちりと太く、握り込むと筋肉の躍動が手のひらに伝わる逞しさだ。
 体温は低いようで、さわるとひんやりする。強く握りしめるとむぎゅぅと潰れた。
「あぁ……潰れちゃった……」
 ぐちゃりと生の肉を握りつぶす感触に七はにんまりと口の端を上げた。薄い赤い体液がポタポタと七の手から滴り落ちる。
「痛くないですか?」
 潰れた肉をくちゃくちゃとこね回しながら顔を上げて蝕神を見る。
「いいや。あまり痛くない。私の感覚は鈍いんだ」
「そうなんですね……」
 七が触手を握っていない腕を伸ばすと、蝕神はかさかさと下半身にある無数の節足を動かし、もたげた上半身を下げる。七の手は、躊躇うことなく蝕神の顔に触れた。
 触手はぶにぶにと生肉のように柔らかいが、身体はひとの肉と同じ弾力の皮膚を感じる。
「触神様……体温は、やっぱり低いんですね。ひんやりする……」
「寒くないか?」
「いいえ、冷たくて気持ちいいです」
 肌の感触を確かめるように七の指がそっと蝕神の頬をなぞる。瞼は無く、真っ黒な複眼が無機質に七を見ていた。
 七は蝕神の眼を見てから視線とともにゆっくりと手のひらを下げていく。
 筋張った太い首筋を撫でて逞しく盛り上がる肩を摩り、脇腹を指先でたどると、ぽこ、ぽこ、ぽこ、と小さな孔に指先がはまる。感触が面白くて、七は蝕神の脇腹に並ぶ孔を何度か往復してくりくりと弄った。
「これは……いったいなんでしょう?」
 七の瞳が好奇心に輝いている。
「空気を取り込む孔だ」
 蝕神が答える。
「空気を……」
 七は蝕神の両脇腹に手を当ててじっと胴体を観察した。
 見つめていると確かに、一定の間隔で蝕神の体が膨らむとその穴が広がり、身体が萎むと共にその穴と小さくなる。
「わぁ、本当だ」
 七は弾んだ声を上げ、空気を取り込むために広がった孔のいくつかを指を入れて塞ぐ。塞いだ孔だけ開閉が出来ず、蝕神の胴体が小刻みに揺れた。
「……七」
 苦しげに七の名前を呼ぶ蝕神の声に、七は顔を上げた。 「苦しい?」
 七が問うその表情は楽しげに歪んでいる。
「少し息苦しさを感じる。だが平気だ」
 蝕神は掠れた声でそう答え、自身の空気孔を塞ぐ七の手を握った。しかし、七の手を握る触手はそれを無理矢理はがそうとする事もなく、ただ七の手を握っている。
「下の方も、触ってもいいですか?」
 七の手が空気孔から離れ、触手の先に指を絡めて聞いた。
「ああ、いいよ」
 握り合った触手を下ろして、蝕神は自らの下半身へ七の手を導く。
 上半身よりも硬く、端くれだった長い下半身を撫で回して、七は嬉しそうに笑っていた。
「ほんとに、ムカデみたいな手触り……この足も、同じだ」
 そう言うと七は自然な所作でムカデのような節足をパキッ! と逆向きに曲げ折った。
「あ! 折れた! 案外脆いんですね……」
「そうみたいだな。折れたところは初めて見た」
 パキッ、パキッと小気味いい音に表情を綻ばせて、七は手の届く範囲の節足をひとつひとつ折っていく。
 折れた足から滴る血で床が汚れ、七の寝間着が薄桃色に染まって行く。


 
 楽し気に自身の足を手折る七を見下す蝕神の顔には、かすかな興味と、淡い慈愛が浮かんでいた。
「ムカデとは違うところもあるぞ」
 そう言うと蝕神はごそりと下半身を蠢かし、自身の身体の内側を曝け出すことにした。
 七の態度は、今まで伴侶にしてきた人間のどれとも違った。
 永く生きる神々は、その悠久の暇つぶしに人間を伴侶に迎えている。
 蝕神も人間の伴侶を得たことは数え切れない程あるが、寝所をともにした人間の数は少ない。
 蝕神の性質なのか、なにか他の理由があるのかは不明だが、蝕神の身体は快も不快も受け取らない。
 肉欲は人間だけのものではなく神々も好むものだが、蝕神は交合に快感を得られず、そのせいで興味関心が薄かった。
 また、人とは違う醜い身体は伴侶を怯えさせるだけであり、そうすることは蝕神の望みではなかったからだ。
 しかし、ここ最近伴侶として迎えた人間は、今までの善良で弱々しい伴侶たちとは違う。
 美しい見かけと裏腹に生き物を傷つけずにはいられない醜穢な心を持つこの伴侶ならどういう態度を取るのかと蝕神は悪戯のような好奇心で、己の秘密を晒したのだ。
 案の定、七の瞳は後ろ暗い興奮にギラつき、自然な仕草で蝕神の身体を傷つける。
 禍々しくも神である蝕神の肉体は損失してもいづれ元に戻る。痛みもほとんど感じない。
 蝕神は荒く熱い息を繰り返す七へ、かさこそとにじり寄り耳元で囁いた。
「ほら、見てごらん七や。私には肉の中身があるんだ。ムカデと少し違うだろう?」
 触手が七の顎をくすぐり、視線を誘導する。
 視線の先には蝕神の下半身の先端、尻尾があった。
 蝕神は硬質の尻尾をくねらせると、くるりと腹側を向ける。
 パキパキ、パキッ、と小気味いい音を立てて節と節とのあいだを開くと、尻尾の先端より少し上がぱっくりと割れた。
 硬質の外骨格の中には、肉の色をした粘膜があった。
「蛇の孔のようだろう」
 蝕神は低い声を少し弾ませて尾部を持ち上げると、孔の部分に触手の先を突っ込んだ。
 ぐちゃ、ぬちゅ
 濡れた音がする、潤んだ肉色。
 七の目は釘付けになり、ごくりと喉が鳴る。
 ぬちゃと音を立てて広がった粘膜を見せびらかして、蝕神がにやりと耳まで唇を引き上げた。
「七、触ってみるか?」
「え?! いいんですか?」
 蝕神は嘲るような低い笑い声で身体を揺らす。
「お前が気色悪くなければ触っていいぞ」
「嬉しい……」
 七は手のひらを肉色の肉壁に当てすりすりと撫でる。
 肉壁はビク、ビクと脈打ち、とろりとした粘液がか細い糸を引いている。
「うわぁ、ぬるぬるしてる……これ、手はどこまで入るかなぁ」
 指を少しずつ入れていく。ぬるぬると柔らかい肉が指を食む感触に頬を弛める七。
「はぁ……あぁ……すごい……手が、全部食べられちゃう……」
 ぐちゅっ、ぐちっ、ぬちゅ
 肉穴の中を一心不乱に手でかき混ぜる七を、蝕神は長い身体をぐねりと曲げて至近距離で見つめる。
 ハッと顔を上げた七は、眉を下げバツが悪そうに目を泳がせた。
「あっ……ごめんなさい……い、たい、ですか?」
「いいや、特に何も感じない。お前の顔が楽しそうだから」
 怯えた顔で伺う七へ、蝕神は長い身体を屈め少年の薄い唇にそっと口付けた。
「ん!?」
 七の喉から驚きの呻きが漏れる。薄い唇が緊張に引き結ばれたのは一瞬だけだった。
「ん……ぁ、ぅ」
 七の唇から力が抜け、ゆるく開く。
 細い腕が蝕神の太い首に絡まり、頬を真っ赤に染めながらも七は蝕神の口付けを受け入れる。
 開いた唇のあいだから、蝕神の舌が複数、七の口の中に入り込みうぞうぞと動き回る。
「あう……んぅ……ふ、ぁぁ~……」
 七は蝕神の複数の舌に口内を舐め回され、華奢な身体を震わせ、甘い声を漏らしている。
 下半身が、もじもじと控えめに蝕神の硬い外骨格に擦り寄せられている。
 蝕神は興奮する七を、じっと複眼で見つめていた。
 整った造形をした七が、己の醜い身体を見て、害して、ふっくらとした丸い頬を赤らめて興奮するさまは、蝕神の心に充足感をもたらした。
「あぅ……ん、蝕神さま……」
 柔らかくほてった頬を触手で撫でると、七はそれをぎゅっと握り、頬をすり寄せて甘えた。
 七の仕草に、蝕神は他の触手も伸ばし、長い胴体をも巻きつけ、閉じ込めるように七の華奢な肉体を抱き締めた。
「あぁ……蝕神様」
 触手に抱きしめられた七が甘く息を吐く
「七……かわいい七」
 蝕神の低い声が、七の耳にかかる。
 巻きつけた長い触手で、華奢な身体を摩り、より一層強く尾部を絡めると、突然「ふぁっ!」と大きな声を上げた七。
「どうした? 痛かったか?」
 蝕神は驚き、絡まった身体を離す。
 ふるふると震えている七は、目を潤ませて下腹のあたりの衣をぎゅぅと握りしめている。
「い、いえ……あのっ、えっと……」
 視線をうろうろと彷徨わせて、言い淀む七。
 強く隠すように衣を握りしめるその姿に、蝕神はふと、ひとの身体のしくみを思い出し「気をやったのか?」と静かに問う。
「ふあっ!? あ、あの……えっと……はい」
 蝕神の問いに七は肩を跳ねさせ、ますます俯いたあと、蚊の鳴くような声で肯定した。
 蝕神は、うぞうぞと無数の足を動かして小さく俯く七の周りをぐるりと囲むと七の背を優しく撫で、赤い耳に囁いた。
「見せてほしい」
「え?」
「七の魔羅を見たい」
 蝕神の黒い目がじっと七の目を見つめている。柔らかい触手がスルスルと伸びて七の頬を、首を撫でていく。
「あう、う……はい」
 蝕神にねだられ、七は紅潮した顔で頷くと身体の力を抜いた。それを待ちかねたように触手が手早く、スルスルと衣服を剥ぎ取った。
 裸になった七の裸体は可憐であった。
 白くみずみずしい肌に、青年へと成長し始めたすらりと伸びた手足。
 つるりとした胸、腹、そしてわずかな下生えを押し分けるように、いまだ上を向いてピクピクしている若い茎。
 蝕神は長い身体を下げて七の魔羅をまじまじと見つめる。
「あ、ぅぅ……」
 あまりにも近くで見つめられて、七は真っ赤な顔を腕で覆った。
「どうした?」
「は、恥ずかしい……です……」
 首まで赤くしてくぐもった声で七は応える。
「恥ずかしいがらずとも良い。七は魔羅までかわいいなぁ」
 蝕神の声には、うっとりと熱がこもっていた。それは当の蝕神さえも気づかないかすかな熱。
 しかし、身体は熱情に正直に動いて七の身体に触手を巻きつけ撫でさすり、複数ある舌は七の魔羅に絡みついた。



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