鶯命丹 2022/08/17 18:00

コミッション作品・女性向けBL二次小説(放サモ)

以前ご依頼いただきましたコミッション作品を公開いたします   注意事項  ・二次創作小説(東京放課後サモナーズ・主4×スルト)・R18・ガチムチ受け




 流者がひとり、スマホで動画を観ている。
 珍しく予定のない休日の午後、寮部屋の備え付けのベッドでゴロゴロとのんびりとした時間を過ごしてる。
 ボーっと画面をスワイプしているところに、いきなり意識が覚醒した。
「え……スルト?」
 そこには見知った顔。それどころか流者の想い人が画面に映っている。
 黒い兜に赤い炎をまとった巨人。
 巨躯をシンプルな洋服に身を包みエプロン姿の巨人が、なにやら綺麗に盛り付けられた菓子類を持って画面の中に納まっていた。
「マジでか……」
 動揺に一人で呟きながら、震える指でサムネをタップすると、聴こえてくる心地の良い重低音。
「マジでスルトだった」
 見間違いかと祈るような流者の思いと裏腹に、動画の中で楽しげに調理をする姿があった。
「しかも、生じゃん。これ」
 更に孤狼の独り言は続く。チャンネルは絶賛生配信中であった。
「結構盛況みたいだし。コメントもにぎわってる」
 概要欄を覗けば予想以上のチャンネル登録者数に、盛況に書き込まれているコメント欄。
 どうやら何度目かの生配信らしく、視聴者からの『楽しみ』だとか『待ってた』だとかの、のどかで好意的なコメントに溢れている。
「なんか、すげーな」
 感心と共に零れた呟きは、それだけでなかった。
 スルトが料理上手なことも、見かけによらずひと好きのする好漢であることも、彼の良さが認められたようで誇らしい気持ちは本心である。
 しかし、自分の想い人があまりにも他人に好かれすぎるのも、複雑な気持ちがする。
「面倒くせぇな……我ながら」
 自嘲する流者はふと、彼の家族はどう思っているか気になった。
「これ、みんな知ってんのかな……アルクに聞いてみるか」
 仲の良い家族の事だ。秘密であるとは考えずらいがしかし、ハーロットあたりが反対しなかったのだろうか?
『アルク スルトが生配信してる』
 脈絡ない短文をアプリを使ってアルクへいきなり送り付ける。
 普段ならばもう少し取り繕って久しぶり! だの、元気? だの愛想よく展開させているだろう文面も、だいぶシンプルな文言しか思いつかなかった。考えている時間すら惜しかった。
 返信は意外にもすぐに来た。
 ぽこんとかわいらしい電子音と共に届いたメッセージには『見てくれてるの? 父さん喜ぶよ』とこれまたシンプルな文章が届く。
『知らなかったからすげー驚いた!』
『最近始めたんだ。キッチンを占拠されるって母さんが怒ってた』
 アルクからの返信に、流者は苦笑した。
「やっぱ反対されてる」
 怒っているハーロットの顔が目に浮かぶようで、ひとり笑っていると、更にメッセージが届く。
『良かったら感想伝えてあげて。君の感想なら父さんすごく喜ぶはず』
 文章から、家族を思うアルクの優し気な顔が浮かび、流者もつられるように微笑んだ。
『分かった見て感想送るわ』
 返信し、動画に集中するためメッセージ画面を閉じた。
 動画の中では、キッチンの中に巨体を窮屈そうに押し込めながらも、よどみなく調理を続けているスルトの姿があった。
 粉に卵やら砂糖やらを入れて捏ねる手は大きく筋張っている。
「手、デカいな……」
 ぽつりとつぶやいた言葉は、思った以上に自分の欲望が滲んでおり、流者は誰もいないのに部屋の中をきょろきょろと見回してしまった。
「いやいや……スルトは巨人だしな。でっかいのが普通なんだよ」
 誰に聞かせるわけでもない弁明をする。
 仕方がない。
 思春期の少年が、好きな相手の体のパーツを見て、無心でいろと言うのが無理な話なんだ。俺の反応は普通、普通……
 心中で言い訳を繰り返しながら、流者は画面の中のスルトをじっと見つめ続ける。
 粗野にも見える巨体が器具を操る音は、意外にも静かに丁寧な音が続き、なんとも心地よい。
 ときおり注釈もかねて、落ち着いた声音でスルトが一言、二言、喋っている。
 むくつけき大男の第一印象とは異なる、穏やかなスルトの人柄そのままの、しっとりと落ち着いた動画の内容に流者はふうと息を吐いた。
「なんか、スルトらしいな」
 のどかな内容に毒気を抜かれて、流者が口元を緩めた瞬間に、それは起こった。
 スルトが太い指で掴んでいたボウルには、たっぷりと白い生クリームが入っていた。
 それをカチャカチャと混ぜていた時、ボウルがつるりとスルトの手から滑り落ち、作業台にごつっと音を立てて落ちた。
 衝撃で跳ね上がる生クリーム。
 幸いにもひっくり返ることはなく多少跳ねた程度だったので、大した被害もなかったのだが――カメラが、流者の目が捉えたのは、スルトの胸元に飛び跳ねた少量の生クリームだった。
「うわっ……なにこれエロじゃん」
 思わず、欲望の声が出る。口元がにたにたといやらしく歪んでしまうのを手で隠した。
『失礼。手が滑りました』
 恥ずかしげに兜の奥の目を細めて視聴者に詫びるスルトが、分厚い指先でエプロン生地をつまみあげて、布巾で跳ねたクリームを拭っている。
 少し慌てたような、とんとんと素早く動く指に可愛らしさすら滲んでおり、流者は目頭を抑えて唸った。
「くぅ……大丈夫なのかこれ、卑猥じゃないか?」
 ひとりもだえる流者は、ひと呼吸分目頭を揉むともう一度画面に目をやる。
『結構いっぱい飛びましたね。いろんなところが汚れてました』
 照れ笑いを浮かべて、エプロンだけでなく、作業台の上も布巾で拭っていくスルトを見て、流者はもう一度深く深呼吸をする。
「いやいや。いかんいかん……スルトはけっしていやらしい意味では言ってない。そんな目で見る俺が悪いんだ……」
 邪な目で見てしまう己を律し、頭を振る。
「俺が思春期なのが悪いはずだ……そうだ、あののどかなコメント欄を見よう。きっと平和なはずだ……平和でなければならない……」
 不穏な言葉と共に、流者はコメント欄を開く。
 そこにはさっきまでののどかな雰囲気から一遍、祭りのような賑わいでコメントが次々と流れていく。
「んだよっどいつもこいつも……『ありがとうございます』? 『白いのぶっかけ』?! 『俺のも拭いて』だぁ? はああ?! スルトのことをいやらしい目で見てんじゃねえよっ」
 少し前の自分の言ったことは棚に上げ、流者は苛立たし気に声を荒げた。
 しかしそんな流者の葛藤も怒りも画面の向こうにいるスルトには一切伝わらず、すでに作業へと戻っている。
「スルト、本当大丈夫なのか……俺が気にしすぎなだけ?」
 コメントを気にする暇がないのか? それとも無知なのか?
 流者はもやもやとしながら、スルトの配信を見守り続けるなか、着々と完成に近づく菓子。
「やっぱり、エロいよな……この手」
 繊細な菓子類を作り出すスルトの武骨な手を見て、流者の身体には消えない熾火のような欲情が渦巻き、横たわったまま部屋着のズボンを下ろして、既にほんのり固くなっている陰茎を握る。
「……っはぁ」
 さくさくと作業を進めるスルトの手を見つめ、この手がちんぽを扱いてくれたらと妄想に耽る。
 画面の中で無防備に映る、あの逞しい胸に自分の精液をぶっかけられたらと夢想しつつ陰茎をしごく手が早くなっていく。
「はっ……ぁ」
 勃起した陰茎から、ぞくぞくと痺れるような快感が身体を支配して、思考がぼやける。
 脳みそが快感だけを追うように指示を出す。
「あっ……ぐ、でる」
 それに素直に従って自身の肉茎を扱く手が早くなり、流者は精液を噴出した。
 絶頂の後の気だるい身体を起こして片付けをしていると、動画の中のスルトが作品の完成を告げていた。
 出来上がったまあるい菓子はころりと可愛らしい形をして、スルトの分厚い手のひらの上にいると更に小さく可憐に見えた。
「このままじゃ、良くないよな」
 このままぼんやりとみているだけでは、万が一スルトをいやらしい目で見る有象無象に彼を奪われるかもしれないと自身を奮起させて、流者はスルトのアドレスへ、メッセージを送った。


 完成版は各種支援サイトで・全文10800文字

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