鶯命丹 2022/10/17 23:11

お兄様襲来!

以前書いた
「美少年吸血鬼に愛玩用兼食用の豚として飼育されることになったおっさんの話」の続きもの。

前作の販売場所は下記にて販売中

BOOTH→ https://mt-pikarya.booth.pm/items/3951973
とらのあな→ https://ec.toranoana.jp/joshi_rd/digi/item/042000041063
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あらすじ
咲夜のお兄様、トラブルメーカー寿夜(ひさや)が登場し、ふたりの仲をひっかきまわしたりわいわいしたり、えっちなパーティーに巻き込まれたり、囚われの子豚ちゃんになったりする話(の予定)です。

こちらは簡易版。
冒頭、寿夜の登場シーンあたり。
簡易版をいくつか支援者様限定公開し、完成版を本にして出す予定です。

前作の本の中に出したオリジナル設定とかありますが、大した設定でもないので、こちらだけでも問題なく読めるかと思います。


お兄ちゃん襲来!
 ある日の朝、厚司と咲夜が連れ立って食堂に行くと、ひとりの若い男が座って食事をしていた。
 厚司がその人物を訝しげに見ているあいまに、咲夜が驚いた声を上げる。
「お兄様! いつ帰ってらっしゃったんですか?」
「お兄様?」
 咲夜が珍しく目を見開き、慌てたように小走りで食事中の若い男に近づいた。
 釣られて目を開き、咲夜と、テーブルに着く青年を見比べる厚司は、確かに似てるなとひとり心中で頷いた。
 すっと涼し気な切れ長の目に、鼻立ち整った顔、青いほどの色白の肌は潤って、艶やかな黒髪を短く切り揃えている。
 端的に言えば、だいぶ美男子である。
 まだまだ子供の容姿で、まあるい頬と顎を持った咲夜が、青年期になれば目の前にいる青年のようにしゅっとスマートな輪郭になり、甘いマスクの男になるのか。と厚司はまじまじと青年を見た。
「門真は知ってたの?!」
 青年に給仕していた門真に問い詰める咲夜。
 いつもは表情を崩さない余裕の執事が眉を下げて困ったような表情をする。
「朝、屋敷の周りをひと回りする際に、玄関に座り込んでいらっしゃいました」
「もう! 来るなら来るって早めに連絡ください!」
「わかったわかったごめんてば。咲夜は相変わらずおこりんぼだなぁ」
 キャンキャンと吠えるように怒る咲夜に、暖簾に腕押し風なゆるい兄貴。
 門真の様子も、常よりも慌てるような困ってるような印象に、厚司は興味津々と三人を見ていた。

 一歩引いて周囲を見てる厚司に気付いた青年が、目を輝かせてテーブルを立つ。
「ねぇねぇ咲夜。この子はどうしたの? 新しい子?」
 犬猫でも触るつもりなのか無遠慮に近づき手を伸ばしてくる青年の手を、咲夜が掴んで止める。
「僕の子豚だから。勝手に触らないで」と咲夜は眼光鋭く兄を睨み付ける。
 しかし兄である青年は咲夜の眼光など意にも介さずへらへらと笑って言った。
「ええー! いいじゃないちょっと撫でるくらい! ねぇ君名前は? いつからここにいるの? 俺はね、寿夜(ひさや)って言うの。咲夜のお兄ちゃんだよ〜」
 あいだに立つ咲夜を無視して捲し立てる寿夜。圧倒された厚司は「厚司、です……どうも、弟さんにはいつもお世話になっております……」と辿々しく頭を下げた。
「ちょっと、子豚ちゃん。余計なこと言わなくていいの!」
 下から睨みつけられ、むぐ、と口を閉じる厚司。
「子豚ちゃんて呼ばれてるの? かわいい〜! 俺も子豚ちゃんて呼んでいい?」
「ダメです」
「咲夜に聞いてないよ〜! 良いよね子豚ちゃん。ねぇつるつるの頭かわいいね。触ってもいい?」
「ダメです」
「だから〜、咲夜には聞いてないでしょ〜! ね、良いよね子豚ちゃん」
「ダメです! 子豚ちゃんも、お兄様には近づかないようにしてね!」
「あ〜ひどいんだ〜! 咲夜そんないじめっ子だったかなぁ? しばらく会わないうちにやさぐれた?」
 キャンキャン喚く兄弟に押されて、厚司は視線を彷徨わせる。控えていた門真と目が合うも、逸されてしまった。
「あ、あー……仕事が始まりますので、これで、失礼します」
 厚司は踵を返し、頭を下げつつ、食堂から早足で逃げた。
 背後からはいまだに兄弟の騒ぐ声がする。
「朝飯、食いそびれたな……まぁ、あの喧騒の中に戻るなら一食くらい抜いたほうがましだな」
 厚司はぐるぅと呻く腹を支えて、ため息交じりに呟いた。

 
 喧騒の食堂を出て、厚司は中庭へと出る。
 今日の仕事は花を植えることだ。土を掘り返して、新しい花の球根を植えていく。
 ここに来てからすっかり庭師の仕事が板についてきた厚司は、スコップ片手に土いじりに精を出す。
 花壇の土にしゃがみ込み、黙々と作業を進める厚司の背後から、長い腕が首に巻きつき、背中にぐっと重みがかかる。
「うぉぉっ!」
 バランスを崩し膝をつく厚司。戸惑いのうちに、ざくり、と首の皮膚を噛み破られた。
「ぁぐっ! う、ぐっなに……」
 痛みにうめきながら、厚司は自分を捕らえる腕を掴む。
 腕の長さが、背にもたれかかる重さが、咲夜のものとは違う。
「あ、んたっ……っつ、咲夜のっ、ゔっ!」
 寿夜はふふ、と吐息で笑い、噛み付いた傷口からぢゅっぢゅぅっと血を啜り上げた。
 傷口に空気が触れる疼き、舌でくじかれる痛みに呻く厚司が、必死に寿夜を引き剥がそうともがく。
 しかし、寿夜の細い腕はびくともせず、厚司の身体を抱え込んでいる。
「ぅ……ゔゔっ、ぐっ……んっ、あ゛、あ、あぁっ」
 痛みに呻いていた声が、徐々に甘さを帯びる。
 身体の力が抜け、ぞわぞわとした快感が肌を粟立たせた。
 痛みの裏側から、快感がじくじくと全身を蝕み、厚司は力なく土に手をついた。
 弱った獲物をいたぶるように、寿夜の腕が不埒に厚司の身体を這い回っていく。
「や、ぅ……ぅぅっあ、やめろっんんっ!」
 ぢゅーぢゅーと血を吸われながらその身をまさぐられ、力の入らない厚司に、さらに体重をかけ覆いかぶさる寿夜。
「あっ! やだっ! いやだっ離せっ」
 ちゅぷっずりゅうっ
 滑った音をたてて、長い牙が抜けていく。
「んひ、ぃぃんっ」
 吸血鬼が、吸血のために獲物に注入する淫毒が、長い牙を抜く痛みをすら快楽として厚司を責める。
「びくびく震えて、子豚ちゃんかわいい〜! 大丈夫だよぉ。優しくするから」
 寿夜の舌が傷口をゆっくりと舐める。
「ゔ、んっ……あっ、うぅ」
 強い淫毒に侵された、厚司の身体が敏感に震えた。
 無遠慮に身体を撫で回す手に、傷口をくじる舌に、目の前に火花が散るほどの快感を拾ってしまう。
「あぐっゔ、やめ、ろっ……」
 厚司は太い腕をぐっと伸ばして体を反転させ、寿夜を自身の身体の上から転げ落とす。
「ありゃ! 逃げられちゃった。そんなへろへろでどこ行くの? 子豚ちゃん」
 寿夜はころりと転げ落ちた。
 楽しそうに笑いを含んだ声が厚司の背後から囁く。
「今から咲夜を探すより、俺とした方が楽になるよ? 子豚ちゃんのうずうずした身体いっぱいよしよしして気持ちよくしてあげるよ?」
 耳元で囁かれる声は甘く厚司を誘惑する。
 霞む視界を向ければ、美しい青年が蠱惑的に微笑んでいた。
 艶やかな黒髪、切長の瞳。色っぽい薄い唇にはありかなしかの微笑みを浮かべている。
 美しい男の顔が近づき、吐息のかかる距離で止まる。
「大丈夫、咲夜にはバレないよ……んぶっ!」
 厚司は土がついたままの手で寿夜の顔を覆うと、押し退けるようにふらふらと立ち上がった。
「っ……アンタじゃ……嫌だ」
 しかめっ面で呟いた厚司は、ふらつく足取りでゆっくりと歩き出す。
「わぁ、フラれちゃった」
 言葉の割には楽しげに、寿夜は厚司を見送った。

「なんで、こんな……広いんだよっ……くそっ、ぅ」
 厚司は館の中をこんなに恨めしく思ったことはなかった。
 以前咲夜から「お預け」を食らった時よりも、身体が疼いている。
 一歩歩くごとに歩行の振動すら、腹の奥にじんじんと響いて、数歩ごとに止まってしまう。
「はぁ、はぁ……ゔっ、ぐ」
 壁に肩をつけ、もたれていたところに背後から声がかかる。
「あれ、子豚ちゃん。どうしたの?」
 厚司は反射的に振り返って声の主を見た。その途端、耐えていたものが決壊し、顔をくしゃくしゃにして喘ぐ。
「ゔ、あ゛あ゛っ! さ、さくやぁっ」
 厚司は腕を伸ばし、咲夜の細い身体に取りすがる。それを軽く受け止めて咲夜は目を見開いた。
「どうしたの一体? こんなヘロヘロのとろとろで……ああ! お兄様にやられたのね! だから近づいたらダメって言ったのに!」
「ちが、ああっ! ちが、ううっん、ぁっ俺じゃないっ向こうがっあっ!」
 倒れ込む厚司を抱き上げ、咲夜はぷりぷりと怒りだした。
 厚司は必死に弁明するも、抱き合う温もり、衣擦れにすら敏感に反応してしまい、まともに言葉が紡げない。
「もうっ! 話はベッドで聞くから。ほら子豚ちゃん、ちゃんと捕まって。手足でぎゅぅってしがみつくの得意でしょ」
 怒りを含んだ冷たい物言いに胸が痛むが、それもすぐに快感に散ってしまう。
 厚司は必死に太い腕で咲夜の華奢な首に縋りつき、脚を浮かせて細く頼りない腰に絡める。
 咲夜は倍以上もある厚司の身体を軽々と抱きかかえ、歩き出した。
「ん゛ぉっ! おっ、お、おん゛っ! ま、って! 待ってくれっあ゛っもっと、ゆっくりぃっ」
 咲夜が歩くたび、淫毒ですっかり勃ち上がった厚司の陰茎が腹のあいだで擦れ、びりびりと甘く痺れる快感を与える。
「ゆっくりしてたら余計辛いでしょ。我慢して」
 ピシャリと叱られて厚司は黙った。
「……行くよ。ちゃんと捕まっててね」
「あ゛っ! ああっ、あ、あ、あ、ああっさ、さくやぁ゛っ! 擦れるっ、ちんぽ擦れてっ気持ちいいっあ゛あ゛っ」
「うんうん、気持ちいいね。腰へこへこしてるもんね。部屋に着く前にでちゃうかな?」
「あ゛っゔぅっ出るっ出るっ腰へこ止まんねぇっぁ゛え゛っえ゛っ出るっゔゔっぐ、っ」
 正面から抱きかかえられ、挟まれる陰茎をへこへこと擦り付け厚司は絶頂した。
「もうイッちゃったの? やっぱりお兄様の毒は強いなぁ……ほら、子豚ちゃんお部屋着いたよ。今からたくさん中に入った毒を抜かないとだからね。いっぱい頑張ってね」
「が、んばるって……」
 射精後もいまだふわふわとした悦楽の中にいる厚司が、ぼんやりと問い返す。
「もっともっとたくさん射精しないとダメだってこと!」
 



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