漫画作品の同人音声台本を作ってて思ったこと

こんばんは、カマキリです。
深夜4時に起きて思ったことを書いております。

先日漫画原作を音声作品化するということで台本を書く過程で得た気づきというのを書いていこうと思います。


漫画作品の音声化について

以前から漫画 X 音声作品というメディアミックスについては個人的に面白いと思っておりました。

音声作品ではジャケットイラストやそれを補うサブイラストで視覚映像を表現できないので、視聴者さんによりいろんなシーンをイメージを持っていただけるのかなと。
音声作品と漫画はお互いが視覚と聴覚の補完関係にあるので、それぞれの長所を生かせれば1つの作品として深みが増していくのかなと思いました。

正確には長所が重なってプラスになるばかりではなくちゃんとデメリットも存在するのですがそれはそれとして、今回のような企画を実行するにいたった理由についてお話します。


私の普段の仕事のスタイルとしてかなり自由度が高く作品を作ることができています。
それは自分原作でオリジナルで作れているから特に何をやっても誰からも何も言われないものです。

なのでオリジナルを続けていてもまったく問題ないのですが、たまには違うことをやりたくなることがあります。

音声作品のシナリオを書いていると、ほぼほぼ自分のスタイル、自分の好みのシチュエーションばかりになってしまうのでいろんな縛りや制約がある中でもきちんと作品を仕上げることをしてみたかったのが1つ。

それと私がこの仕事をする上でもっといろんな人に対して敬意を払うということを学ばないといけないと思ったのが1つです。

声優さんの声の特性や演技の良さをしっかり理解して生かしたり、絵師さんのイラストを活用させていただくうえでどう伝えたりするのが良いのかなど、どうしても人と関わらざるを得ないのですが、長く続けていけばいくほど「人を理解するということ」、「他人に敬意を払うこと」が大事なのだと痛感しています。

それは自由気ままに仕事をしているだけでは決して身につくものではないと思いました。
だからこそ漫画の音声作品化が今の私には合っていると思いました。

他人が作った作品があり、その作品にはファンがいて、
作者様もファンの方のどちらも大事にした作品にしないと私自身が痛い目に合う。

自分が炎上しないために、生き残るためにはちゃんとそのことを肝に銘じて仕事をしないといかんだろうなと思いながら、一心不乱に自分の為だけに台本をせっせと書いていました。

一生懸命書いたものとはいえ、燃える可能性はいくらでもあるとは思っていますので生き残りたいです…。ほんと。

ただ今回音声作品する漫画は自分の大学生の友人とご飯に行って、その友人も見ていたぐらい有名な作品だったので、音声作品化の1作目に選ぶ作品ではなかったですね。。。


漫画の音声作品化で苦労したこと

音声作品化にあたり私が取り組んだ過程についてお話します。

まずは漫画原作をいっぱい読むこと。とりあえずその作品をひたすら読みました

次に作品の台詞で音声作品の台本に入れたい台詞を抜粋することです。
これはメモ帳に書いておいて後で台本に加えられるようにしておきました。
コピペじゃねぇか!と思われるかもしれませんが、視聴者がファンの方を想定して作ってますのでこれは絶対に必要なことなのだと思いながら書き写しましたね。


その次に台本を書く作業です。

私はプロットなどを考えず、とりあえずヒロインの子をイメージしながら台詞をいきなり書いていく形で台本を作っていきます。

ただ今回は悩みに悩みました。
どのシーンから始めていいか?どこから書くのが適切なのか?

漫画の冒頭から? 

いやいや、そんなことをしたら寝かしつけるまでの時間が長すぎる。

そもそも主人公さん(男)の台詞がない状態、イラストもない状態でこのやりとりを成立させるのは絶対無理だ。

原作通りに再現しようとすると、主人公さん(男)の台詞を女の子にオウム返し的に言わせないといけないのでどうしても会話の不自然さが生まれて没入感が失われてしまいます。

今回音声作品化したのは全年齢の漫画化作品で、日常ものの ほのぼのラブコメ作品だったのですが、台本書いてて思ったのが「思ったよりも台本に入れることができるシーンや台詞が少ない」ということでした。

一方的に女の子が視聴者に対して語り掛けることを前提とする音声作品ですから、
漫画全体の3割ぐらいしか原作の台詞を台本には書き入れることができませんでした。


もう1つ書いてて申し訳ないなと思ったのは、上で述べたような事情のせいで原作とは異なるシーンで同じ台詞を喋っていることでした。

原作だと屋上の上で喋っていたのに、アニメだとなぜか主人公の家にすり替わってしゃべっていたとか、そういうやつです。

原作のファンの方が絶対怒るやつですね。

これは作る側になって初めてわかったのですが、
大人の事情(というか、メディアの都合)でそうせざるを得ませんでした。

「あぁ、俺怒られるんだろうなぁ…燃えるんだろうなぁ…」と思いましたが不可抗力なので申し訳ないですがそういうものだと思ってくださいとしか言いようがないです。


悩んだ末に今回は初手、原作台詞のコピペでした。

もうここ!と直感で決めてスタートするしかないなと腹をくくりました。


台本を書いてる途中に思ったこと

書いてる途中はプレッシャーはあるものの、

「あれ、意外と楽しいぞ、ってかいつも以上にすらすらと書けるやん!」というのが感想でした。

腹をくくってしまうとなんとでもなるというか、いつも以上に女の子のイメージが漫画を何回か読んだおかげでしっかりとしているから、思ったよりも書きやすいし楽しかったです。
後で気づくんですがこれは完全に罠でした。


あまりにも書きやすくてシナリオを書くこと自体は何も問題がなかったのですが、作中の中で耳かきをするシーンが全くなかったものでどこかで追加する必要があるなと思っていました。
本編にないものをアフターストーリーで追加すると荒れるだろうな~とは思いつつも結局そのシーンは追加することにしました。全年齢であれば耳かきはできれば抑えておきたいです。

ついでに温泉に行って誤って混浴のお風呂に入ってしまうというシーンを追加したものを書いてはどうかなと思ったので、当サークルの相談役であるヨシさんに相談したところ絶対NGだ!という回答が返ってきました。

その女の子を脱がせてはいけない!ということでした。

普段R-18音声のシナリオを書きまくっている私としては「え!ダメなの?お風呂でちゃんと水着を着せてるのにダメなの!?」というサイコパスぶりを発揮しておりましたが、言われて自分はヤバいことをやろうとしていたんだと気づきました。

こういうときに相談する相手がいるというのは本当にありがたい話です。

というかヨシさんの音声作品収録のコンサル力の高さに驚きました。

え、あなたサークル主じゃないのか!?と思わされるぐらいに全体的に自分では気づかなかったような視点を与えてくれました。冗談抜きでこの人コンサルできるなと思いました。


シナリオを原作者さまに見ていただいたときの話

私が今回一番勉強になったというか、気づきを与えられたのが原作者様に台本を見ていただいたときのことでした。

シナリオ自体は我ながら良くできていたと思っています。
それなりに自信がありました。自己評価するなら87点ぐらいはあったと思います。

原作者様からもよく作品について見られていて、驚きましたとのコメントをいただいております。

原作者様の監修のもとで作品を完成させるという話でしたので台本提出後に気になった部分について修正案をいただいたのですが、だいたい10か所前後あったかなと思います。


その修正案を見ているうちに感じたことがあります。というか反省点ですね。

キャラクターの台詞は違和感なく作ったつもりだったんですが、その子が言いそうなことを言っているだけで原作者様が使う表現とは乖離があったんだと気づきました。

これは当たり前の話ですが、私はその人ではないので絶対キャラクターの乖離が起きます。

それ自体はどうしょうもないのですが問題なのは私が「書ける!書けるぞぉ!」と得意になっていたことです。先ほど言っていた「罠」にあたる部分です。

二次創作も7年ぐらいやっていた経験がありますので、台本自体はなんとなくでできてしまうのですが書けるだけでは全然意味がないんですねえ。


私が台本を見直した時には違和感がなかった台詞でも、原作者様から見たときには違和感があり、しかもその修正案の台詞の方がしっくりくるので差は明らかでした。

作品を作る上での私の態度に問題があったのです。

この企画において「絶対に自分は作者様への敬意を最大限に払うんだ」と何度も言い聞かせていたのですが、上に述べたようにお風呂シーンを追加しようとしたり、台詞に乖離が生まれたりでライターとして人間としての未熟さを感じた次第です。

改めて自分が作ったシナリオ・台本を評価すると62点ぐらいなのかなと思います。(作者様の修正が入ったものとは違い、もっと高いです)

これは私が好きな言葉なんですが、尊敬のもともとの語源は Re-Spect (再度 観察する)(ものごとをよく見る)という意味であり、対象に対して敬意を示すとか、憧れを抱くという意味ではない。
その人の本来の姿を見た上でありのままの姿を受け入れることこそが、尊敬という言葉の意味をあらわしています。

敬意も大事ですが、この「よく見る」「受け入れる」ということが自分には足りていなかった。だから最終的な自分の台本の評価は62点としました。

もしこの視点が足りていたら作者様に感じ取られる違和感はもっと少ないものであったに違いないでしょう。

今回は自分にとってとても有意義な体験となりました。


この機会を与えてくださった作者様、
作品を紹介してくださった16bitさん、
私の未熟な台本にいろいろ知恵を貸してくださったヨシさん

ありがとうございました。

これから頑張っていい作品に仕上げていきたいと思います。

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