レモネードオアシス 2024/01/29 14:37

おもらし日記9

いつもあたたかいご支援ありがとうございます。

今週も月曜日が始まりました。
この一週間も、平日は更新というペースを維持していきたいところです。

さて、今日は月曜日ということで同人誌の既刊を更新したいと思います。
少しでも楽しんでくれている人がいたら嬉しいです。


目次

おもらし日記

この小説を最初から読む!


💧3章目 恐怖失禁!


「ふぅ……。今日はこのくらいでいいかな」

 美雪が物憂げな溜め息をついたのは、放課後の図書室でのことだった。
 今日は社会の授業でわからないところがあったので、図書室で調べ物をしていたのだった。
 なにか疑問に思う点があると、図書室で調べ物をするのが美雪の習慣だった。

(うわ、もう誰もいないし)

 気がつけば、最終下校時刻の六時がもうすぐ目前のところまでやってきている。
 図書室には、美雪の他には誰もいなくなっていた。

(もう、外も暗くなってる……)

 夏場のこの季節、この時間はまだまだ明るいはずだけど、図書室から見える空は分厚い雲に覆われて真っ暗になっていた。
 今にも降り出してきそうな空模様だ。
 そう思った、その直後。

 カッとまばゆい閃光が襲いかかってきたと思ったら、十秒ほど経ってから雷鳴が響き渡ってきた。

「早く帰らないと。傘、持ってきてないし」

 使っていた本を元の本棚に戻して、急いで図書室を後にする。
 もう既に他の生徒たちは下校してしまったのか、薄暗い廊下には美雪の他には誰もいなかった。

(やだ、ちょっと、怖い、かも)

 誰もいない校舎というのは、それだけでも不気味な雰囲気を醸し出しているものだ。
 さらには今にも降ってきそうな空模様だから、不気味さがより一層際立っている。

(教室に戻ってカバン取りに行かないと)

 足早に廊下を急ぐ。
 だけど、上履きの自分の足音が、妙な感じで廊下に響き渡ってしまう。
 やがて、その足音に重なるように、自分のすぐ後を誰かが追いかけてきているような気がして――、

「だ、誰……?」

 戸惑いながらも振り返るけど、そこには誰もいない。
 どうやら、自分の足音が反響していただけらしい。
 ただでさえ極度の怖がりの美雪は、自分の足音にさえも敏感に反応していた。
 誰もいない、薄暗い廊下……。
 しかも、いつ雷鳴が轟くかわからないというシチュエーションはヘビーすぎる。

「怖くない、怖くない。全然怖くないんだから……っ」

 自分に言い聞かせるように、何度も呟く。
 だけど、どんなに言い聞かせようとしても、身体は正直だった。

 じゅわっ、じゅわわ……。

 恐怖と緊張のあまり、こみ上げてきたのは尿意だった。
 今日は放課後になったときに、しっかりとトイレに行っておいたというのに。
 だけど、それはもう二時間も前のことだ。
 図書室で調べ物をしているあいだは集中していたから、一度もトイレに立っていなかった。
 気がつけば、膀胱は水風船のように膨らんでいる。

(どうしよう。こんなに暗いのに……。しかも、誰もいないトイレなんて無理、だよ……)

 そんなことを考えながら、トイレに行くかどうかを迷っていた、その時だった。
 カッッ!
 視界が突如閃光に包まれると、雷鳴が轟き渡ったのだ。

「あうっ!」

 ぷっしゅぅぅぅ!

 身体を縮こまらせた拍子に、おしっこが噴き出してきてしまう。
 クロッチの裏側が生温かくなって、

 たらり……、

 内股を、一筋のおしっこが流れ落ちていく。
 今日はずっと、軽失禁を受け止め続けてきたクロッチが力尽きようとしていた。
 美雪の穿いているショーツは、お尻のほうまで黄ばんでいるほどに湿っている。

「トイレ……行く? 行かないと……だめ?」

 何度も自問自答しながら廊下を急ぐ。
 教室に向かう途中にトイレがあるから、入るならそこになるが……、

 しかし、誰もいない放課後の女子トイレというのは、なかなか不気味な雰囲気を漂わせている。
 できることなら使いたくないところだった。

「我慢、できそう……? ううん、しないと……っ」

 もう膀胱の限界はすぐそこにまで押し寄せてきていたけど、薄暗い女子トイレは怖すぎる。
 美雪は女子トイレの前を通り過ぎると、教室を目指すことにする。
 家までおしっこを我慢しようと決めたのだ。
 それに早く帰らないと、いつ雨が降ってくるかもわからない。

「ううっ、いつもならまだ明るいのに……。なんで今日に限って雨が降るかなぁ。しかも雷なんてっ」

 尿意を堪えつつ、薄暗い廊下を急ぐ。
 内股にはおしっこの筋が垂れていて、靴下に染みこんでいた。
 それでも美雪は『家まで我慢できる』と自分に言い聞かせてトイレをスルーしてしまった。
 その数十秒後に、悲劇が待ちかまえているとも知らず――。

「お化けなんていない、お化けなんていない。あともうちょっとで教室。カバンを持って早く帰ろう。帰ろう」


おもらし日記10につづく!

ここまで読んでくれてありがとうございました!
もしも少しでも楽しんでくれている人がいたら嬉しいです。

この小説は同人誌『おもらし日記』と同じものです。
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