おもらし日記9
いつもあたたかいご支援ありがとうございます。
今週も月曜日が始まりました。
この一週間も、平日は更新というペースを維持していきたいところです。
さて、今日は月曜日ということで同人誌の既刊を更新したいと思います。
少しでも楽しんでくれている人がいたら嬉しいです。
💧3章目 恐怖失禁!
「ふぅ……。今日はこのくらいでいいかな」
美雪が物憂げな溜め息をついたのは、放課後の図書室でのことだった。
今日は社会の授業でわからないところがあったので、図書室で調べ物をしていたのだった。
なにか疑問に思う点があると、図書室で調べ物をするのが美雪の習慣だった。
(うわ、もう誰もいないし)
気がつけば、最終下校時刻の六時がもうすぐ目前のところまでやってきている。
図書室には、美雪の他には誰もいなくなっていた。
(もう、外も暗くなってる……)
夏場のこの季節、この時間はまだまだ明るいはずだけど、図書室から見える空は分厚い雲に覆われて真っ暗になっていた。
今にも降り出してきそうな空模様だ。
そう思った、その直後。
カッとまばゆい閃光が襲いかかってきたと思ったら、十秒ほど経ってから雷鳴が響き渡ってきた。
「早く帰らないと。傘、持ってきてないし」
使っていた本を元の本棚に戻して、急いで図書室を後にする。
もう既に他の生徒たちは下校してしまったのか、薄暗い廊下には美雪の他には誰もいなかった。
(やだ、ちょっと、怖い、かも)
誰もいない校舎というのは、それだけでも不気味な雰囲気を醸し出しているものだ。
さらには今にも降ってきそうな空模様だから、不気味さがより一層際立っている。
(教室に戻ってカバン取りに行かないと)
足早に廊下を急ぐ。
だけど、上履きの自分の足音が、妙な感じで廊下に響き渡ってしまう。
やがて、その足音に重なるように、自分のすぐ後を誰かが追いかけてきているような気がして――、
「だ、誰……?」
戸惑いながらも振り返るけど、そこには誰もいない。
どうやら、自分の足音が反響していただけらしい。
ただでさえ極度の怖がりの美雪は、自分の足音にさえも敏感に反応していた。
誰もいない、薄暗い廊下……。
しかも、いつ雷鳴が轟くかわからないというシチュエーションはヘビーすぎる。
「怖くない、怖くない。全然怖くないんだから……っ」
自分に言い聞かせるように、何度も呟く。
だけど、どんなに言い聞かせようとしても、身体は正直だった。
じゅわっ、じゅわわ……。
恐怖と緊張のあまり、こみ上げてきたのは尿意だった。
今日は放課後になったときに、しっかりとトイレに行っておいたというのに。
だけど、それはもう二時間も前のことだ。
図書室で調べ物をしているあいだは集中していたから、一度もトイレに立っていなかった。
気がつけば、膀胱は水風船のように膨らんでいる。
(どうしよう。こんなに暗いのに……。しかも、誰もいないトイレなんて無理、だよ……)
そんなことを考えながら、トイレに行くかどうかを迷っていた、その時だった。
カッッ!
視界が突如閃光に包まれると、雷鳴が轟き渡ったのだ。
「あうっ!」
ぷっしゅぅぅぅ!
身体を縮こまらせた拍子に、おしっこが噴き出してきてしまう。
クロッチの裏側が生温かくなって、
たらり……、
内股を、一筋のおしっこが流れ落ちていく。
今日はずっと、軽失禁を受け止め続けてきたクロッチが力尽きようとしていた。
美雪の穿いているショーツは、お尻のほうまで黄ばんでいるほどに湿っている。
「トイレ……行く? 行かないと……だめ?」
何度も自問自答しながら廊下を急ぐ。
教室に向かう途中にトイレがあるから、入るならそこになるが……、
しかし、誰もいない放課後の女子トイレというのは、なかなか不気味な雰囲気を漂わせている。
できることなら使いたくないところだった。
「我慢、できそう……? ううん、しないと……っ」
もう膀胱の限界はすぐそこにまで押し寄せてきていたけど、薄暗い女子トイレは怖すぎる。
美雪は女子トイレの前を通り過ぎると、教室を目指すことにする。
家までおしっこを我慢しようと決めたのだ。
それに早く帰らないと、いつ雨が降ってくるかもわからない。
「ううっ、いつもならまだ明るいのに……。なんで今日に限って雨が降るかなぁ。しかも雷なんてっ」
尿意を堪えつつ、薄暗い廊下を急ぐ。
内股にはおしっこの筋が垂れていて、靴下に染みこんでいた。
それでも美雪は『家まで我慢できる』と自分に言い聞かせてトイレをスルーしてしまった。
その数十秒後に、悲劇が待ちかまえているとも知らず――。
「お化けなんていない、お化けなんていない。あともうちょっとで教室。カバンを持って早く帰ろう。帰ろう」
ここまで読んでくれてありがとうございました!
もしも少しでも楽しんでくれている人がいたら嬉しいです。
この小説は同人誌『おもらし日記』と同じものです。
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