小説入門・視点の切り替え
今回は小説の『視点』の話です。
小説を書き始めるとき、一人称、二人称、三人称のいずれかをしっかりと決めてから書き始めたほうがいいです。
と、いうよりも、視点をしっかり定めないままで書き始めると、読者が混乱する独りよがりな文章になってしまうので、視点を定めることはとても大切なことです。
一人称視点
「俺」「私」など、主人公視点であることが多い。
段落をしっかりと区切ることによって、主人公、ヒロインが入れ替わったり、サブキャラの一人称にしたりなど、汎用性が高い。
例:俺は剣を構えた。俺の後ろにいる花子は魔法を唱えた。
二人称
「あなた」など、小説ではあまり使われない視点。ゲームやゲームブックなどに使われることが多い。
例:あなたの目の前に敵がいる。剣を構えるのも自由だし、見なかったことにするのも自由だ。後ろにいる花子にはどのような指示をだす?
三人称
「太郎」「花子」などの名前を書いていく視点。
例:太郎は剣を構えた。その後ろにいる花子は魔法を唱えた。
二人称は滅多に小説では使われていないので、小説では大きく分けて一人称と三人称の二つが使われていることになります。
昔は一つの作品で一人称と決めたら最後まで一人称で書かなければいけないという暗黙のルールがありましたが、最近ではなくなったようです。
一人称の男主人公で書かれている小説でも、女性のシャワーシーンになれば女性視点になって、しっかりとサービスシーンを読むことができることになりました。
しかし視点を変えるときは、しっかりと読者に合図を送らなければ、読者は混乱してしまいます。
そればかりか、滑稽なことになってしまいかねないので、視点を変更するときは注意しなければいけません。
今回はその視点変更を分かりやすく説明したいと思います。
例文
ここから-------
少女は剣を握り、魔王の城へとやってきていた。
少女は勇者。
ここまでやってくるまでに幾多のモンスターを叩き切ってきた。
それもあともう一息だ。
「あとは魔王を倒せば世界に平和が戻る! 私が魔王を倒すんだ……!」
少女は愛用の剣を握りしめると、巨大な扉を開ける。
この先の玉座の間にいたのは、恐竜のような皮膚を持った、身の丈5メートルはあろうかという魔王。
「よくぞここまでやってきたな。褒めてやる。私がそのはらわたを食らいつくしてやろう」
全身をピンクのレオタードに包み込んだ相手は、間違いない。
敵に違いなかった。
ここまで------
◆さて問題です!
一度も視点変更が行われていない場合、レオタードを着ているのは誰でしょうか?
今回はここまで。
次回は分かりやすい視点変更についてです。
どうすれば読者に分かりやすく視点を変更したと合図を送ることができるのでしょうか?