田舎の元気娘と!8
一緒に寝たいと言い出す桜子。
寝る前にはしっかりトイレに行っておこう!
「さあ、夕飯作っちゃおうよ!」
桜子はそれはそれは張り切ってソーメンを茹ではじめる。
今夜は真太郎の両親が出張でいないから、一人でのんびりしているつもりだった。
そのことを学校で桜子に話したら、それはそれは嬉しそうに言うのだった。
「それじゃあ、あたしがお兄ちゃんの夕飯を作ってあげる!」
こうして桜子とソーメンを茹で、更には桜子が持ってきてくれた近所のおじさんからもらったスイカを切って今夜の夕食とすることになった。
いつもは両親と囲んでいるちゃぶ台も、桜子と二人きりで向き合って座ると、なんだか新鮮な気分になってくる。
「なんだか新婚さんになったみたいだね!」
「ぶふぉ!? 桜子、意味分かって言ってるのかよ!」
「うん! お兄ちゃんのお嫁さんになるって言うことだよね!」
「お、おう」
満面の笑みで言われて、真太郎の方が恥ずかしくなってきてしまう。
会話が途切れると、部屋の隅でつけっぱなしになっていたテレビの音が妙に大きくなる。
テレビの内容は、この夏の季節らしく心霊特番だった。
様々な怪談や心霊写真、それになぜか夜にトンネルや廃墟などに赴いてタレントたちが悲鳴を上げてみせたりと、ツボを押さえた番組構成となっている。
「やっぱり心霊番組はこうでないとな。……って、どうした、桜子、さっきから妙に無口だが」
「えっ? ええ? そ、そそそ、そんなことないよ!?」
「ほうほう、それじゃあ今夜は一人でトイレにも行けるよな」
「も、もちろんだよ!」
頬を引き攣らせたまま、桜子はデザートのスイカにかぶりつく。
真太郎もシャクシャクとスイカを食べると、よく冷えていて美味しかった。
まさか、この冷えたスイカが数時間後に悲劇を生み出すとも知らずに……。
☆
それからお風呂に入る前に桜子はしっかりトイレに行き、一緒にお風呂に入った。
以前一度だけ一緒に入ったことがあったから平気だと思っていたが……、それでも桜子がなんの躊躇いもなくスッポンポンになったときは目を逸らしてしまったものだ。
だけど桜子は裸を見られても恥ずかしいという感情を持っていないのだろう。
「おっふろー、おっふろー♪」
ちょっと窮屈な湯船に一緒に浸かって、それから背中を流しっこする。
そのときは当然のように『前の方』も洗い合うことになって、
「おまたは指を入れてゴシゴシ~って洗うんだよ!」
と、なんの躊躇いもなく言い放たれたときには危うく息子が元気になりそうだったけど鉄の意志で堪えることができた。
「えへへ~、お兄ちゃんにおまた洗ってもらっちゃった! なんでだろ、すっごく気持ちイーの!」
「な、なんでだろうなぁ……」
これにはさすがに言葉尻を濁さざるを得ない。
そんな真太郎をよそに桜子は元気いっぱいでちんちんまで洗ってくれた。
☆
なんとか無事にお風呂というイベントを終えてバスタオルで身体を拭いていると、桜子も狭い脱衣所に入ってくる。
新しいバスタオル準備するからちょっとだけ待っているように言うけど、桜子は、
「ううん、お兄ちゃんが使ったバスタオルがいいの!」
と言い張って譲ってくれなかった。
仕方がなく小さな身体を拭いてあげると、
「あはっ、お兄ちゃんの匂いに包まれて、とっても幸せだよ~」
だなんて言う。
沿面の笑みでこんなことを言われたら、たとえロリコンでなくてもクラッとくるに違いない。
照れ隠しに、
「はやくぱんつ穿かないと風邪引くぞ」
「うん。着替えの準備はバッチリなの!」
桜子はくしゅくしゅなこっとんショーツを一気に穿いてみせる。
……でも、それだけだった。
「あの、桜子さん? せめてシャツは?」
「えっ? あたしはいつも寝るときはぱんつだけで寝てるけど。だって暑いじゃん」
「お、おう。たしかにそうだな」
「お兄ちゃんもぱんつだけで寝ようよ! お布団とタオルケットの肌触りが気持ちいいんだよ!」
「お、おう……」
これにはさすがの真太郎も引いてしまったけど、桜子はもうその気らしい。
「それじゃあ今夜はふたりでぱんつ一丁! お布団敷いてあげる! やったー、お兄ちゃんと一緒のお布団だー♪」
なにか今、聞き捨てならないことを口走っていたような気がするけど、もうここまできたらなるようになれだ。
ただ真太郎は心の中で何度も『俺は断じてロリコンでは……ッ』と、念じるのだった。
☆
「お兄ちゃん……。おトイレ、一緒に行こ?」
桜子が切なげに呟いたのは、床につくその直前のことだった。
田舎の家のトイレというのは、なぜか間取りの端っこの方にあるものだ。
昔は汲み取り式だったから、食卓に臭いが届かないようにという意味もあるのだろう。
だけどそれは子供にとってはちょっとした恐怖でもあるわけで。
「それじゃ、寝る前に一緒にトイレに行くか。俺もちょうど行きたいと思ってたところなんだ」
「うん! 一緒に行こう! お化けが出たら大変だし!」
そんなことを言いながら、薄暗い縁側を歩いてトイレへ。もちろん、桜子と一緒に手を繋いで、だ。
庭からは、スズムシの大合唱が聞こえてきている。
「先に入っていいぞ」
「うん。それじゃ、お先に失礼なの」
桜子は先にトイレに入るとドアを閉め……なかった。怖くて閉められないのだろう。ちょっと空いたドアの隙間から、
「お兄ちゃん、そこにいるー?」
「ああ、いるぞ」
短く返事をすると、桜子はようやく安心してくれたらしい。
ぱんつを脱ぐ、かすかな衣擦れの音とともに、
「はぁ~~~」
しょわわわわわわわ!
勢いよくおしっこが便器に弾ける音が聞こえてくる。
ちなみに我が家は水洗式とはいえ、和式である。
だからおまたから勢いよく噴き出したおしっこは、便器に当たって元気な水音を立てていた。
しゅおおおおおおおお!
……ぷしゅっ!
「はぁ~、すっきりした~」
ガラガラとトイレットペーパーが巻き取られる音と、
「……ンッ!」
柔らかいものを拭うかすかな音。
そして桜子の悩ましい吐息。
スズムシの大合唱に、本当に小さな物音が耳に届く。別に聞き耳を立てているわけじゃないけど、小さいとはいえ薄い扉の向こうにはおまたを剥き出しにしている女の子がいるのだ。どうしても気になってしまう。
真太郎が鉄の意志で扉の前で待っていると水を流す音が聞こえてきて、
「おしっこ出た!」
ぱんつ一丁の桜子が元気に飛び出してきた。
「ちゃんとトイレ出てきて偉いぞ」
なでなで。
頭を撫でてやると、
「やった♪ お兄ちゃんに褒めてもらっちゃった!」
飛び上がって喜ぶほどだ。
それから真太郎も桜子の残り香が残るトイレで用を足してトイレから出ると、桜子は心細そうに待っていてくれた。
ここも頭を撫でてやると、
「えっへん! お化けが来ないように見ててあげたんだ!」
だなんて胸を張ってみせる。
これはロリコンでなくてもコロッと逝ってしまいそうだ。
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