レモネードオアシス 2022/05/01 15:57

田舎の元気娘と!1

夏の田舎に越してきた主人公(高校生)が、
田舎の○女に懐かれてイチャイチャするお話を更新していきたいと思います!

一緒にお風呂入ったり、寝たり、怖いテレビを見て一人でトイレに行けなくなったらついていってあげよう!!



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田舎の元気娘と!(カテゴリー)

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田舎の元気娘と!




青々とした稲穂が風に波打ち、空を流れる雲の流れはゆったりとしている。
 日差しは強いけど、田んぼを撫でていく風は爽やかだった。

「凄いな、本当に田んぼしかねぇ……」

 間中真太郎(まなか しんたろう)は田んぼのあぜ道を歩きながら呟いた。
 爽やかな風のおかげでほとんど汗をかくことはなかったけど、それでもどこまでも続くあぜ道はそれだけでごっそりとヒットポイントを削っていくものだ。
 白のYシャツに黒のズボンというどこにでもいるであろう日本の学生の格好をしているが、同じ姿をしている生徒は一人もいない。
 それどころか、田んぼを見回しても人影といったらカカシくらいしか見当たらなかった。
 なぜ、真太郎はこんな田舎のあぜ道を歩いているのか?

 ――両親の都合で田舎の農村……盛りそば村に引っ越してくることに決まったのは半月前ほど。

 急な決定だったので、真太郎は転校先の学校を探すことになるも全寮制の学校はことごとく満室で、最後に残されたのが盛りそば村にたった一つだけある学校だった。
 仕方がないので寮の部屋が開くまでの仮の措置と言うことで盛りそば学園に通うことになったのだが……、
 登校初日から、早くも心が折れそうな次第だった。
 家を出てからほとんど代わり映えもしない田んぼを歩き続けること三十分ほどが経過していた。
 そのあいだ、原住民はおろか、同じ学校に通うであろう生徒たちともエンカウントしない。
 もっともそれは転校初日から遅刻しないようにと早めに登校してきたからというのもあるのだろうけど……。

「なにはともあれ、どこか休めそうなところはないか……」

 30分以上も知らない道を歩き続けてきて、そろそろどこかで立ち止まって地図を確認したいところだ。
 幸いなことにケータイの電波は届いているみたいだし。

「おや、あれは……?」

 真太郎が目を細めたのは、左手に雑木林に覆われた小高い山が見えてきたころのこと。
 そこに年季の入った鳥居があった。
 鳥居の前で足を止めてその先を見上げてみると、苔むした石段が急角度で刻まれている。
 木々がつくる影が濃く、緑の香りが吹き抜けてくる。

「鳥居があるっていうことは、この上は神社になってるのかな?」

 幸いなことに、まだ登校するまでには時間がある。
 せっかくだしお参りしていくのもいいだろう。
 特に深く考えることなく急な石段を登っていくと――、

 ぽーん、ぽーん、ぽーん……。

 聞こえてきたのは、ボールをつく音。
 どうやら境内には先客がいるらしい。邪魔しないように静かに石段を登っていき、やがて境内へと辿り着くと――、
 そこは掃除が行き届いた静謐な空間だった。
 朝日に木々の青葉が色濃く影を落としている。
 そこにいたのは、たった一人の女の子。

「にじゅう……、にじゅういち……」

 ぽーん、ぽーん、ぽーん……。

 短いかけ声と一緒にスイカほどの大きさがあるピンクのゴムボールをついていた。
 バスケのようにドリブルをするわけでもなく、ただひたすらに地面に打ち付けて返ってきたボールを、再び地面に打ち付けて――、
 それでも女の子は実に真剣そうにボールをついている。
 年の頃は……、最近の子供は成長が早いからよく分からないけど、身長140センチほどということから考えると、よほどのことがない限りは年下だろう。
 黒髪はショートカットに切り揃えられていて、もみあげの部分のところだけが胸元をくすぐるほどに長く伸ばされていた。
 どんぐりのように大きくて黒瞳は、上下するボールを真剣に追っていて、そのたびにもみあげが揺れていた。

 セーラー服……いや、ワンピースだろうか?
 丈の短いワンピースの余った布をキュッと腰の部分で結び、更に丈を短くして動きやすくしている。
 そこから伸びる脚は黒タイツで覆われていて、健康的な脚線美を一層強調していた。
「よんじゅうきゅー、ごじゅうっと……!」
 ボールをついていた女の子はそこまで数えると、胸のところでピンクのボールを受け止める。
 どうやら50回で打ち止めのようだ。
 女の子は満足げに額の汗を拭うと――、

「……およ?」

 こちらに気づいたのか、どんぐり眼を見開いて首をかしげてみせた。その仕草が、どこか小動物を思わせる。

(って言うかヤバいだろ、この状況は。小さな女の子と二人きりって、警戒されて当然……。早いところ逃げたほうが……)

 少なくともついこの前までいた都内の街では、女の子に話しかけたりなんかしたら下手したら通報されて『事案』になることだってあった。
 面倒なことにならないうちにさっさとUターンして石段を降りなければ。
 そんなことを考えていると。

「おはようございます! お兄ちゃん!」

 なんと女の子のほうから話しかけてきたではないか。無垢な笑みが朝日に眩しすぎる。
 さすが田舎。
 もう少し警戒したほうがいいと思うぞ。
 いや、でもこういうときって確か不審者に対しては先に挨拶をして先手をとれと教えているとかいないとか……。
 と、言うことは俺は不審者認定されているっていうことか!?
 真太郎が迷っていると――、

「お兄ちゃん、このへんじゃ見ない顔だね。もしかして……今日転校してくる人って、お兄ちゃんのこと?」
「え、あ、ああ……。多分、そうだと思うけど」

 小さな農村である盛りそば村のことだ。
 転校生がくればそれなりに情報が出回っているのだろう。
 戸惑いながら頷くと、

「やっぱりそうなんだ!」

 女の子はそれはそれは嬉しそうな笑みを浮かべてみせる。なにがそんなに嬉しいのか分からないけど、見ているこっちまで幸せな気持ちになってくる、そんな笑顔。
 そんな女の子は、ピンクのボールを抱きながらいうのだった。

「あたしの名前は甘露桜子(かんろ さくらこ)! よろしくね!」
「あ、ああ……。俺は間中真太郎。よ、よろしく……」
「うん、お兄ちゃん!」
「お、お兄ちゃん……」

 一人っ子だったから『お兄ちゃん』だなんて呼ばれるのが初めてで、なんだかむず痒い感じがする。
 だけど桜子はそんなことお構いなしで、トテトテと駆けてくると右手を差し出してきた。
 握手、したいのだろうか。
 小さな手はモミジのように赤らんでいて、見るからに柔らかそうだ。
 この手に触れた瞬間に突然アラームが鳴ってお巡りさんが駆けつけてきたりなんかしないだろうか?
 一瞬だけ躊躇してしまうけど、子供相手に及び腰でいるわけにもいかない。

「今日からよろしくな」
「うん! 桜子って呼んでね!」
「い、いきなり名前プレイ……」
「名字よりも名前のほうが好きなの! それじゃあお兄ちゃん、自己紹介も終わったことだし……一緒に遊ぼう!」
「ちょっ、学校は」
「まだ時間あるから大丈夫だよ。この神社の裏側、近道になってるしさ」
「そ、そうなのか……? それじゃあ少しくらいゆっくりしても、いいかなぁ……」

 慣れないあぜ道を30分ほど歩いてきたり、苔むした石段を登ってきたりと、朝だというのに早くもお疲れモードだ。
 木造の神社の庇のところがちょうど日陰になっているので、ちょっと失礼して階段のところに座らせてもらうことにする。

「あー、さすがにここまで登ってくると喉渇いたな。自販機は……なさそうだよなぁ」

 葉っぱ一枚も落ちていない境内はよく手入れが行き届いているけど、街路灯の一本さえも見当たらない。
 文明から何百年分くらいかは隔絶された空間のようだ。

「お兄ちゃん、お茶で良かったら、はい、どうぞ」
「んん……? わ、悪いな……って、ちょっ」

 真太郎が言葉に詰まったのも無理はない。
 桜子はすぐ隣になんの警戒心も抱くことなく座ると、脇に置いてあった水筒からコップ兼蓋へとトポトポとお茶を注いだかと思うと、

「んく……っ、んく……っ」

 まずは自分で飲んでからこちらへと差し出してきたのだ。

「あ、あの、桜子さん……!?」
「ぶー、なんでお兄ちゃんなのに桜子さん!? 桜子って呼び捨てにしてー!」
「そ、それじゃあ……桜子……」
「よくできました! それじゃあご褒美にお茶飲んでいいよ!」
「あ、ありがとう……」

 なし崩し的にお茶の入ったコップを受け取ってしまってけど、これは間接キス待ったなしというやつでは?
 ここでお茶に口をつけずに返すというのも変だし。

(そう、そうだ……桜子はまだ子供じゃないか。だから変に意識するのがおかしいってもんだ。ここは純粋な厚意に甘えてお茶を飲ませてもらうだけ――)

 ごくん。
 心を無心にしてコップに口をつけ、お茶を飲み下す。
 よく冷えた緑茶だった。
 口を、喉を、食道を潤して、冷たく心地いい感触が胃に溜まっていくと、火照った身体に染みていく。

「ぷはぁ……。染みる~」

 ごく自然にそんな言葉が口をついて出ていた。

「いい飲みっぷりだね! そしてそして……間接キス! お兄ちゃんったら大胆なんだから」
「ぶふぉ!」

 急にそんなことをいわれて、せっかく飲んだ緑茶を噴きだしてしまいそうになる。
 純真な笑顔でとんでもないことを言ってくれるもんだ。

「冗談だよー。そんなに怒らないの」
「大人をからかうんじゃないの!」
「およよ? 鬼ごっこかな? あたし、足速いんだから! 捕まえられるもんなら捕まえてみて!」

 勢いよく立ち上がった桜子は、軽やかに数歩ステップすると、くるりとターン。
 そして挑発的な笑みを浮かべると、お尻を振ってみせる。

「鬼さんこちら! 手の鳴るほうへ!」

 どうやら初登校する前に、もうちょっとだけ運動することになりそうだ。


田舎の元気娘と2につづく!

この小説は同人誌として配信しているものです。
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