レモネードオアシス 2022/08/21 16:47

真夏の記憶9

おもらしおむつ開封の儀。


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 いくらおむつを充てているとはいえ、布団で横になったまま
 『する』
 というのは恥ずかしい。
 だけど、すずらんスリップとおむつ姿で歩き回っているところを、家族とはいえ誰かに見られるのは恥ずかしすぎる。それにもしかしたら、お客さんだって来てるかもしれない。
 それにトイレにまで辿り着いたとしても『する』ときはおむつを外さなくてはならないのだ。
 そうなると、せっかくの紙おむつを無駄にしてしまうことになってしまうことだってある。

(せっかく茜が充ててくれたのに、そんなことできないよ)

 風邪でふらふらになってさえも、葵は姉としての気遣いを忘れることができない――。
 茜は、ずっと昔からこうやって我慢したり、気遣ったりしながら過ごしてきたのだ。
 多分、茜が生まれてきた、その瞬間から。
 いつからこうして我慢してきたのかは、葵自身も思いだすこともできなくなっていた。

(ああ、私、妹が充ててくれたおむつに、しちゃうんだ……。おしっこ、しちゃうんだ……)

 少しずつおまたから力を抜いていく。
 だけどそう簡単に尿道の緊張をほどくことなんてできるはずがなかった。
 海のなかでおしっこをしたときとはわけが違う。
 ここは布団のなかなのだ。
 おむつを充てていなければ、わざとおねしょをするようなものだ。

(しちゃう? 本当にしちゃうの?)

 躊躇してしまうのは当然のことだった。
 おしっこをしようとおまたの力を抜こうと思っても、なかなか上手く力を抜くことができない。

(おむつ、してるから大丈夫なんだもん。ここは、トイレなんだから……トイレと同じ……)

 仰向けになって、お行儀悪く、大の字になって。
 葵はおまたの力を抜いていくと……、

 じょわ、じょわわ。

「あっ!」

 ほんの少しだけおしっこが出てきて、おまたが生温かくなる。
 その感触にビックリして、葵はおまたに力を入れてしまった。
 せっかく出てきてくれたおしっこが止まってしまう。

(あったかい感触、おまたに広がって……、なんか変な感じっ)

 それでも力が入ってしまったおまたから力を抜いていくと、やっとのことで少しずつ出てきてくれる。

 じゅもも……、
  じょぼぼぼぼぼぼ……。

「ぁっ、ぁぁぁ……っ」

 おまたが生温かくなって、少しずつ広がっていく。
 仰向けでおしっこを出し始めたから、秘筋から漏れ出してきたおしっこは会陰を伝い落ちてお尻の方へと広がっていく。

(わざとおねしょしてるみたい。変な感じっ)

 じょぼぼぼぼ……。
   しゅいいいいいいい……。

 やがておまたの力を上手く抜くことができるようになってくると、おしっこの勢いは段々と強く、躊躇いのないものになる。

「はあぁぁ……。お尻、あったかい……、しちゃってるんだ……、おしっこ、寝たまましちゃってるんだ……」

 しゅわわわわわわ……。

 おむつからくぐもった水音が聞こえてくる。
 背徳的な温もりが、お尻の方へと広がっていき、背中までも生温かくなってきた。

「おねしょしてるみたいだよ……あっ、あああ……はぅぅ!?」

 葵は漏らしながら、おむつに起きた変化に戸惑ってしまう。
 おしっこを吸収した紙おむつが、モコモコと膨らみ始めたのだ。

「あっ! あっ! ああぅぅっ。おむつ、もこもこ膨らんできて……、はううっ」

 しゅいいいいいい……。

 大の字になって寝ているから、モコモコと膨らみ続ける紙おむつに脚を閉じていることができなくなっている。

「恥ずかしいけど……ううっ」

 葵は更に脚を開いておしっこをする。
 それはまるで、赤ん坊がおむつを交換してもらうときのようなポーズだった。

「あああっ、おむつ温かいよぉ……ううっ、き、気持ちいい……」

 しょわわわわわ……。

 気持ちいい。
 無意識のうちとはいえ、葵は口走っている。
 もはやなんの躊躇いもない勢いで秘筋からおしっこが漏れ出し……、いや、噴き出してきていた。
 噴き出したおしっこはおむつの裏側に弾けると、お尻の方へと流れ落ちていき……、
 おむつの中は、おしっこと汗でぐしょ濡れになって蒸れ返っていった。

「ああぁ……気持ち、いいの……」

 しゅいいいいい……、
  プシュッ!!

 ぶるるっ。
 最後の一滴を噴き出すと、葵は一際大きく身体を震わせる。
 それはおしっこが終わったなによりの合図だった。

「はぁ、はぁ、はぁぁ……。しちゃった……、おしっこ、しちゃったよ……。おむつ、あったかいの……」

 おしっこを受け止めた紙おむつは生温かくて、吸水ポリマーはブヨブヨのスライムのようになっていた。
 だけど、不思議なことにおむつの裏側は思っていたよりもサラッとしている。

(おむつ、蒸れてるのにサラッとしてる。これならまだ交換しなくても大丈夫そうかも……?)

 おむつを交換してもらうのが恥ずかしいこともある。
 それに、モコモコの紙おむつはまだおしっこを吸収してくれそうなくらいには頼もしかった。
 それにわざとおしっこをするというのは、思っていた以上に緊張したし、変な力を使ってしまったのだろう。
 葵はタオルケットをかけ直すと、再び睡魔に身を任せるのだった。

        ☆

 あれからどれくらいの時間が経ったのかは分からない。
 葵が目を覚ましたのは、外が真っ暗になったころだった。
 障子の向こうから聞こえてきていたセミの声は、いつの間にか夏虫の大合唱に代わっている。

「ン……。あれ……、もうこんな時間なんだ……」

 枕元に置いてある目覚まし時計に目をやると、夜の八時を指していた。
 どうやら随分と長いあいだ寝ていたようだ。
 もうみんな夕飯を済ませてしまっていることだろう。

「おむつ、冷たくなってる……」

 それにずっしりと分厚くなっている。
 寝ているあいだに何回もおねしょをしてしまったのだろう。
 だけどそれだけぐっすりと眠ることができたみたいだ。
 ガンガン痛かった頭もすっきりしてるし、熱っぽさもない。

(明日にはよくなってるかな)

 そんなことを考えながらも、葵はなんの躊躇いもなくおまたから力を抜いていく。

 しゅいいいいいい……。

 外側まで黄色く染め上げられた紙おむつからくぐもった水音が聞こえてくると、じんわりと股間が生温かくなっていく。
 なんの躊躇いもない放尿――、
 だけど、そこにはかすかな羞恥心が残っていて、葵は頬を赤く染めてしまう。

「おむつ、あったかぁい……。ぜんぶ包み込んでくれるんだ……」

 葵は呟くと、再び深い眠りのなかへと落ちていく。
 だけど葵はすぐにその眠りから引き戻されることになった。

「お姉ちゃん、おむつ換えてあげるの!」

 寝室に入ってきたのは茜だった。
 手には替えの新しい紙おむつを持っている。

「……んん、茜? って、ちょっ! 自分で換えるからいい!」

 眠い目を擦って目を覚ました葵だけど、まさかのおむつ交換宣言に一瞬にして覚醒してしまう。
 いくら妹とはいえ、一日中おしっこをしたおむつを換えてもらうのは恥ずかしすぎる。
 だけど茜にはそんな恥ずかしさなんて伝わらないようだ。

「遠慮しなくていいの♪ 今日はアタシがお姉ちゃんのお世話してあげるんだから!」
「いい! 自分でやる!」

 だけどちょっと強く言い過ぎてしまっただろうか?
 茜はしょんぼりしてしまう。
 これでも茜は一生懸命やってくれているのだ。それなのに、その好意を無下にすることなんてできるはずがなかった。

「……分かった。それじゃあ、ちょっと恥ずかしいけど……、私のおむつ、交換してくれる……?」

 勇気を出して言うと、たったそれだけだというのに、

「うん! アタシに任せて!」

 ちょっと……、というかかなり恥ずかしいけど、おむつを交換しやすいようにと脚を開く。
 たったそれだけで、

 むわっ、

 おむつを開いていないというのに、おしっこの香りが立ち昇ってしまう。
 白かった紙おむつは時間が経ったおしっこによってやや発酵したレモン色に染め上げられている。

「それじゃあ交換してあげるからねー」
「ううっ」

 茜は容赦無くおむつのテープを剥がしていく。
 バリバリバリッ! 耳を塞ぎたくなるような音を立ててテープが剥がされると……、

 もわ……っ。

 ツーンとしたアンモニア臭が、質量を持った湯気となって立ち昇っていった。
 仰向けになっている葵でさえも目に染みるほどの匂い。
 だけど、茜は嫌な顔を一つせずにティッシュを手に取るとおまたを拭き拭きしていってくれる。

「んっ、茜ぇ……っ。もっと、優しく、して……っ」
「んんんー? こうかな?」
「ひゃうう!」

 自分でもあまり触ることがない場所なのに、茜の指先は敏感な部分を抉るように拭いてくる。
 自然とおまたがムズムズしてきてしまう。

(んあっ! ダメッ! こんなの絶対おかしいのに……っ)

 だけど、まだ一人でエッチをしたことがないであろう茜に、どうやってそのことを伝えればいいのだろうか?
 逡巡している内に、茜の指先は、少女の宝石を捉え――、

「あっ! ああっー!」

 ぷっっしゅうううううう!

 宝石から生み出された稲妻が全身を駆け抜けていったかと思うと、葵は勢いよく失禁していた。
 その勢いたるや、まるでクジラの潮吹きのようでもある。
 あまりの勢いに、茜の顔におしっこがかかってしまったほどだ。

「わっぷ。お姉ちゃんのおしっこ、あったかーい」
「ご、ごめん……」
「いいのいいの。今日はアタシがお姉ちゃんなんだから。それになんかお姉ちゃんのおしっこ、ちょっと塩っぱくて美味しいかも?」
「こらっ、変なこと言わないのっ。お腹壊したら大変でしょ!?」
「うん、そうだね」

 茜は大人しく頷いてくれると、

「よし、拭き拭きできたの。それじゃあ、新しいおむつ充ててあげるね♪」
「うん……、ありがとね」
「いいのいいの♪ アタシがお姉ちゃんになったみたいでなんか嬉しいな!」

 お世話をしてくれる茜もなんだか嬉しそうなのが、せめてもの救いだった。
 そうじゃなかったら、多分恥ずかしくて布団にくるまっていじけていたに違いない。

「よしっ、おむつ綺麗に充てれたの。これで朝まで安心だよ、お姉ちゃん♪」

 ぽんぽん、
 紙おむつの上からおまたを優しくはたかれると、たったそれだけのことなのに安心してしまう。
 妹の前ではいつもお姉ちゃんでいなくちゃいけないのに。
 だけど、風邪で弱っている葵の意識は、早くも睡魔に絡め取られている。

(ありがとね、茜……)

 葵は心の中で呟くと、安らかな寝息を立て始めていた。


真夏の記憶10につづく!

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