妹は甘えんぼ14
いつも温かいご支援ありがとうございます。
徘徊する祖母の介護ですっかり4時前に起床する生活サイクルになって、日中とても眠たい日々が続いていますが皆様はお元気でしょうか。
今日も元気に小説を更新していきたいと思います。
楽しんでもらえたら嬉しいです。
学校で……体育の授業中にうんちを漏らした事件から二週間が経った。
幸いなことに、絵馬は特に引きずることもなく学校に通えているようだ。
優しいクラスメートたちには感謝してもしきれない。
(だけど、ちょっと無理してるように見えるんだよなー)
浩喜がそんなことを感じたのは、いつものように妹と一緒に夕飯を食べ終わったときのことだった。
いつもだったらこのあとで一緒になって食器を洗って、順番にお風呂に入ってからリビングのテーブルで宿題を片付けたり、ゲームをやってくつろいだりするわけなんだけど……。
数学の宿題が思っていたよりも難しくて、なんとか終わらせたときには23時を過ぎていた。
「あー……なんとか終わった……。もうクタクタだぞ。絵馬は……全文書き取りか。また面倒な……」
国語の全文書き取りは、手伝ってやるわけにはいかない。
絵馬はいつも丁寧な文字を書いているから、浩喜の文字とは明らかに違うし。
数学とかだったら、公式を教えたりできるのだけど。
兄として若干の心苦しさを感じていると、一文字一文字丁寧に書いている絵馬は、眠たげに瞬きしながら言うのだった。
「お兄ちゃんは先に寝てて。あたしはまだ宿題終わってないから」
「えっ……。大丈夫なのか? おむつ、充てなくて」
「あたしだってもう子供じゃないんだから、一人で充てて寝れるもん。だからお兄ちゃんは先に寝てても大丈夫、だよ」
「そ、そうか……」
なんか急に親離れ……ならぬ兄離れされてしまって、寂しくなってしまう。
だけどこれはいつか通る道なのだ。
いつまでも、兄と妹の関係でいるわけにはいかないのだ。
(通過儀礼、か……。朝になったらおむつ、交換してやるか。絵馬が望めば、だけど)
そんなことを考えながら、
「おやすみ。あんまり無理するなよ」
「うん。ありがと。お兄ちゃんもおやすみ……」
☆
だが異変は翌朝に起きた。
いや、もう既にゆうべ妹が無理をしていた時点で起きていたのかも知れない。
「あれ……、もうこんな時間か」
いつも6時45分に起こしにきてくれるはずの絵馬は、しかし今日はいつまで待っても部屋に入ってくる気配さえもなかった。
それどころか、毎朝リズミカルに聞こえている包丁がまな板を叩く音さえも聞こえてこない。
「……絵馬?」
さすがに心配になって、のっそりとベッドから這い出して、妹の部屋のドアを軽くノック。
しかし、朝の静まりかえった空気には静寂が満ちていて――。
いや。
かすかに擦れた声で、絵馬の呼び声が聞こえてきたような気がしてドアを開ける。
「お、お兄ちゃん……けほっ、けほ……っ」
絵馬はベッドから身体を起こそうとしてくれる。
だけど声は擦れてるし、顔は真っ赤だ。
浩喜は慌てて妹へと駆け寄る。
「絵馬っ、体調悪いのか!?」
「うん……あ、でも大丈夫。朝ご飯、作っちゃうね」
「無理するな。今日は休んでろって」
「でも……、あたしだってもう子供じゃないんだし……っ」
絵馬は無理にでもベッドから出ようとする。
もしかしたら――、
学校でうんちを漏らしてしまってからの二週間、絵馬はずっと無理をしていたのかも知れなかった。
少しでも早く大人になりたい、と。
「今日は学校は……無理、だな。今日は土曜日だから、午前の授業が終わったらすぐ帰ってくるから。病院一緒に行くぞ」
「で、でも……」
「大人になりたいんなら、ちょっとくらい俺を頼ってくれよ」
ちょっと待っててくれよ、と言い残すと、浩喜は体温計を持ってくる。
それを妹の腋の下に挟むと、なんと表示された体温は38℃だった。これではとても学校には行かせられない。
「あー、これはもう休みだな。なにか食べたいもの、あるか? 近所のコンビニで買ってきてやる」
「うぅ……、それじゃあ、桃のゼリーが食べたい、かも……」
「桃のゼリーだな。よし、買ってくるから寝てるんだぞ」
「ごめん、なさい……」
☆
近所のコンビニにひとっ走りで行ってきて、桃のゼリーやスポーツドリンクを買ってくる。
いつも兄妹どちらかが風邪を引いたときは、こうして支え合ってきた。
(いつまでも兄妹でいるわけにはいかないと思ってたけど……、やっぱり絵馬は可愛い妹だよなー)
そんなことを考えながらも、目的のものを買って五分ほどで家に帰ってくる。
妹の部屋に入ると――、
ふわっ、
さっきは気づかなかったけど、妹の柔らかく甘い香りに、ツーンとしたアンモニア臭が混じっていることに気づく。
これは最初に気づいてやるべきだった。
「飲み物、買ってきたから。枕元に置いとくな。ゼリーは冷蔵庫に入れとくから、食べたいときに食べてくれ」
「あ、ありがとう……」
「それと……、おむつ、交換してやるからな」
「あうう……。一人でできるから、大丈夫、だよ……」
「遠慮するなって。いつも充ててやってるんだから」
「うう~」
布団を払ってやると、
むわぁ……。
濃厚なアンモニア臭が、妹の汗のミストとともに立ち昇ってくる。
薄手のピンクのふりふりがついたワンピースタイプのパジャマを捲り上げると、鮮やかなレモン色に染め上げられた紙おむつ。
朝方におねしょをしたのだろう。
夜のうちに漏らしたおしっこだったら、もっとピーナツクリームみたいな色に変色しているし、アンモニア臭も濃縮されている。
「フレッシュなおしっこの匂いだな」
「んもうっ、そんなの知らないもんっ。やっぱり自分で代えるからいい!」
言いながらも、絵馬は脚を広げてくれている。
そんな妹の、おむつに覆われた股間から――、
しゅいいいいいいいいいいい……。
くぐもった水音が聞こえてくると、搾りたてのレモン水の香りがおむつから立ち昇ってくる。
少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
この小説は、同人誌『妹は甘えんぼ』として発表しています。
フルカラー・フルサイズのイラストを楽しみたいという方は購入してもらえると創作の励みになります。
フォロワー以上限定無料
無料プラン限定特典を受け取ることができます
無料