SmokingWOLF 2023/09/02 10:25

片道勇者2開発+9 ローグライクパズル的状況を生みたい!(+RiJで片道勇者プラスが!!)

 ウディコン後はがっつりウディタを修正したり内々のお仕事をやったり『アーマード・コア6』をしっかり遊んだり体の気になる点も色々診てもらったりでスッキリしました!
 ウディコン含め2023年8月は私にとって最高の夏でした!

 ということで今回の『片道勇者2』はリハビリ開発くらいの進み具合だったので、今回は本作で最初から目指していた「狙い」を1つご紹介します!
 その名も『ローグライクパズル的状況を発生させたい!』です。


◆ローグライクパズル的状況を発生させたい!

【ローグライクパズルって何?】

 まず「ローグライクパズル」って何だよって話なんですが、ここでは

『不思議のダンジョン系ゲームで敵に囲まれたりして戦況が複雑化・困難化し、一手一手をよく考えなければやられる可能性がある状況』

 をローグライクパズルと定義します。いま私が勝手に定義しました。

 この状況は、たとえば「複雑な地形で敵ABCがそれぞれ1マス、2マス、2マス離れて近寄ってきてる!」という状況の中、どう移動するか、どの敵から倒していくか、攻撃だけで倒せないならどういうリソースを切るか、といったことを考えねばならないシーンのことです。うまく生き残れれば見どころになる場面ですね!
 一方で、「ほぼ被害を受けない敵が目の前に1体いて、他の敵が寄ってくるまで2ターンあるからまず目の前のを何とかすればいいや」といった、答えが分かりやすすぎる状況はローグライクパズルから遠いものとします。


どの敵から倒すべきか悩む状況! ミスればゲームオーバーなローグライクパズル!

 このローグライクパズル的状況、ピンチではありますが、ローグライクゲームにおいてはプレイヤーの腕を見せられる、重要な盛り上がりパートの一つです。
 正直な話、1戦1戦が重くてもいいならば「ローグライクパズル的状況」だけが延々と提供され続けるゲームが作れればたぶん名作になると思います、面白ければ!

 もちろんそのパズル的状況は、「移動の工夫だけで解決できる簡単な状況」から、「移動も攻撃順もアイテム消費もその他のリソース消費まで加味すべき難しい状況」まで様々な難易度で、かつ、様々なバリエーションで出てくるのが理想です。



【前作でこのパズル的状況を出せてた?】

 前作の『片道勇者1』では、この「ローグライクパズル的状況」は構造上、「フィールド移動中の遭遇戦」では【自然には】ほとんど発生しなかったように思います。
 具体的には、以下の3点のようになっていました。

●屋外では、「敵を倒す順番」を考えなければならないほど同時に敵と遭遇することがほとんどない(せいぜい逃げている最中に挟み撃ちに遭うくらい)。
 
●ダンジョンでは基本的に「目の前にやってくる敵を順番に倒していれば済む」ことが多い。
 
●地形を活用して戦うにしても、1本道に誘い込んだり複数の敵の接敵タイミングを散らすことが困難なくらいには、山や川などの地形がおおざっぱで間隔が広い。


 といった状況だったので、こういう中でも一時的に戦闘の複雑さを生むべく、以下のような対応を取っていました。


●「敵が複数現れるイベント」や「中ボス戦」を起こすことで、「複数の敵」を同時に出してパズル的状況を生もうと試みた。
 → ただ、これだと遭遇パターンがあまり変わらない問題があり、解決方法も似たようなものになりがちです。また、中ボス戦は地形のスカスカさのせいで、一度に迫る敵が多すぎる状況もたびたび発生していました。


 そこで『片道勇者2』では、イベントでない遭遇戦でもそこそこの頻度でほどほどの圧のローグライクパズル的状況を発生させられるよう、マップの設計を考え直すことにしました。


【遭遇戦でもローグライクパズルを起こしたい! 問題と対策】

 ローグライクパズルを生むことを考えたとき、『片道勇者1』での大きな問題はまず以下の点でした。

●1歩の単位が小さすぎて同時に敵と戦闘にならない。

●山や川などの地形がおおざっぱ、かつ隙間が広くて地形を活用しにくい。

※以下は『片道勇者1』の画面写真。ほとんどは何もない広場で、仮に山の間にいても囲まれる余地が十分あるほどマス的に広いです。

 そこで『片道勇者2』で取った対応が以下の2点です!

●前作の3マス分くらいを本作の1ヘクス相当に圧縮した。さらに、敵がパーティーを組むシステムも追加。
 
●山や水地形を細かい単位でも出現させるようにしてみた。

 その結果、生成されるようになったのが以下のようなマップです!

 うまく地形の隙間に下がれば複数の敵が来ても1体ずつ応戦できそうな山地形!
 敵の来る方向を限定したり誘導できたりしそうな、そこそこの頻度で散って出現している水地形!

 こんな風に戦闘発生時の画面内に「利用できそうな地形」が高頻度で発生する仕組みが前作にも欲しかったんですよ!

 また、屋外マップでは道が細かったりそうでなかったりする場所がダンジョンよりグラデーション豊かに存在するおかげで、発生しうる戦場のバリエーションもかなり多彩になりました。
 前作では私は「屋外をウロウロして戦う場面は地形の戦術的要素が薄くて飽きるなあ」と思っていたのですが、開発中の『片道勇者2』ではいくらか楽しく、毎回目新しさがあるバトルフィールドになり、データがまだ少ない現状でも主観ではテストプレイがかなり楽しくなっています。


 こういった、ちゃんと意味がある戦場のバリエーションを出すための処理は、「マップ設計」という非常に根本のところから意図して作らなければならなかったので後からの修正が非常に難しい部分です。
 今回は意図した範囲ではうまく行っているので、このまま面白く仕上げていきたいですね!

 ただし! 『片道勇者』シリーズではパズル的状況が多く発生しすぎるとなかなか距離が進まなくて面倒臭くなりそうなので、「発生頻度」も重要だな! とは開発側として意識しています。
 たとえばバトルのみのゲームを作るなら1戦1戦全力で考える内容でもいいですが、『片道勇者』は必要なら強い敵からも魔王からも逃げて進む冒険ゲーですからね! チャーシューだけやたら多すぎるラーメンみたいに味の濃い部分ばっかりになるとしんどいので、たぶんこのパズル的状況はたまに起きるくらいが嬉しい!

 また、1ヘクスあたりの密度が大きくなったり移動が前作マニアモード基準になった影響もあって前作より敵を避けて進むのがちょっと難しくなっているので、避けプレイもそこそこできるよう、その辺りはクラス別のスキルや敵のしつこさなどのパラメータを設定して、うまいこと前作に近い雰囲気を出せればなと思っています。
 狩人や冒険家は移動量を増やせるスキル盛りだくさんの予定!


 ということで、以上が「『ローグライクパズル的状況』がそこそこの頻度で起きるように作れたら退屈しない最強ゲームができるじゃん!」という発想から始まった、『片道勇者2』のマップ設計の狙いでした。

 この『ローグライクパズル的状況』を具体的に生むための方法を考えるのは、ローグライク開発における面白さ作りの真髄にかなり近い発想の一つだと思います。が、前述の通り『片道勇者1』ではランダムイベントや中ボスなどの「外付け要素」でしかほぼ実現できていませんでした。
 そんな『片道勇者1』の開発後、「2Dマップを延々と進んで行くゲームで、『ローグライクパズル的状況』を自然に生むことができる条件ってしっかり狙って作らないと起きないんだな!」と自覚して、色々考えた結果の一つが今回紹介したようなものになっています。


 もちろん今回のようにパズル的状況を「生む」だけで終わりではなく、その先には『解決手段も色々用意して新鮮さが長続きするように作りたい!』という目標もあります。
 幸い、『片道勇者』シリーズには「移動・攻撃・スキル・アイテム・地形活用・味方活用」など、直感的に扱える多くの要素があります。本作は基本的に強○スクロールとの狭間で戦うことになる都合上、実はただの「移動」ですら簡単に見えて非常に潜在的な奥深さを秘めています(1を作ったときにはその辺りを全く意識してませんでしたが!)。

 その辺りの要素も今回は前作以上にうまく使って、『片道勇者1』よりも面白さが増した、かつ新たな状況に長く出会い続けられるゲームを作っていきたいなと願っています。


 まあそう思いながら作っていても、需要と合わなくて評価が低くなったりすることがよくあるのがゲーム開発の世界なんですけどね! 面白くない点があったらまたそこは調整の日々になるでしょう!
 真に完成させるためには、最後は実際にゲームに触れた皆さまからのご感想が頼りです! ゲームのベータリリース時などにはぜひご協力ください!



◆RTA in Japan Summer 2023 で『片道勇者プラス』参戦!

 そしてこちらは片道勇者に絡んだ別件!
 なんとRTA in Japan Summer 2023にて、『片道勇者プラス』で走ってくださる方がおられました! 前も別のRTAイベントでご紹介したそらちん様&解説のひのきまん様です!
 今回も世界の果てである2000kmまで走り抜けるRTAですね! 録画が残っているので見たい方はぜひ!

【Twitchアーカイブ】(当時のコメント付きで見たい方)
https://www.twitch.tv/videos/1895304675

【Youtube】(コメントはなし)
https://www.youtube.com/watch?v=9km9w6pO6Gk


【みどころ】
●海賊やっぱり強い!
●普通の片道勇者とは思えないゲームスピード!
●中ボスの闇のませが華麗!
●と思ったら自分もうっかり闇に呑まれて1ゲームオーバー! でも本作の醍醐味が伝わってありがたかったです。
●少女ミラ、目の前でひっそりやられる!
●ドアミミックが紹介されてうれしい!
●マニアモード2000kmまで30分以内でクリア!?
●クリア画面のゼヌーラ勇者が危なーい!!

 など、みどころいっぱいです! 気になる方はぜひご覧ください!
 そしてここまでやりこんでくださった走者の方々、本当にありがとうございます!

※オマケ話:寄付額投票のプレイヤー名の1位は「ミスティ」さんだったが実は2位が「エシュター」だった。この機能に気付いてたら私もエシュターに入れてました。

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