わくわく城下 2023/11/21 13:00

『DQN-親友裏切り-』ちょい出しサンプル3-2

「颯太、来てたのか」

一志君は、衣服を着終えていた澤北さんを見ても、特に何も言わなかった。
この状況で、オレがガムテを解いてしまったのは明らかなのに………

「ごめん、勝手なことして………」

「いや、構わねーよ」

「西園寺、どういうつもりだ、オレに何を飲ませた!」

激オコの澤北さんが、一志君の正面に立つ。

「声がデケぇよ、ただの睡眠薬だろーが。つか、油断し過ぎだろ、剣道の有段者のくせに簡単に盛られてんじゃねーよ」

「―――ッ、恭也のことで話があると言ったら、お前から招き上げたんだろ。家主から茶を出されたら口をつけるのが常識だ。どれほどお前を毛嫌いしていてもな」

「…………………………」

一志君は何も答えず、ついでに言うと全く悪びれもせずに、澤北さんの横を通り過ぎて、ソファーにどかりと腰を下ろす。

「おいっ!なんとか言ったらどーなんだ! 睡眠薬もだが、あんな格好で放置して、オレに何か言うことはないのか!」

「スリルあったろ? 他人チでパンイチで身動きが取れないなんて、そうそうできる経験じゃないぜ♪」

「お前というヤツは、性根から腐り切っているな」

「オレとしちゃあ、剣道有段者のお漏らしに期待してたのにな」

「………………理解に苦しむ。恭也はなぜお前のようなクズとツルんでいたんだ?」

「オイオイ、勝手に過去形にしてんじゃねーよ。今でも仲良しのラブラブだっつーの」

「ふざけるなっ!恭也を脅しているくせに!」

「………アイツがお前にそういったのか?」

その瞬間、一志君の眼光が凄みを増した。

「ここ最近様子がおかしいから、オレが強引に聞き出したんだ」

「………例の動画も見たのか?」

「動画だと?」

「オレの弟にガン掘りされてるところを、そこにいる颯太に撮らせたんだよ」

「なっ―――!」

驚愕に強張った顔をこちらに向ける、澤北さん。
でも、それはほんの一瞬で、スグにまた一志君に視線を戻した。

「その様子じゃあ動画どころか、内容も知らなかったみてーだな」

「………オレは弱みを握られ、脅迫まがいのことをされているとしか………」

「それで? 恭也がお前に助けてくれって泣きついたのかよ?」

「………いや、今日ここに来たのは俺の独断だ。恭也には片を付けてから話そうと………」

「ふっ、そんなこったろーと思ったぜ。クソ真面目なお前に問い詰められて、渋々打ち明けたってところか」

「………………っ」

「恭也のことならオレの方が熟知してる、二度としゃしゃり出てくんじゃねーよ。テメェは帰って竹刀でも振ってな」

自分たちのことには口出しするなと、はっきりと線引きする。
しかし、澤北さんはそんなことで引き下がるような人ではなかった。

「今すぐ、その動画を消せ!」

「オレの話聞いてたか? テメェは部外者なんだよ、部外者。ったく、クソウゼェ」

「お前の方こそ真面目に聞け。動画を消せと言っている!」

「なら100万だ」

「何?」

「100万出すなら、お前のお望み通り、動画を消してやってもいい」

「………本気で言っているのか?」

「さあ、どうだろうなぁー。100万持ってくりゃあ分かるんじゃねぇ?」

「―――ッ、貴様というヤツは」

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