ゲ製には全然関係無いカミュのペストの感想文

本当にペストの感想をダラダラ言ってるだけなので、フォロワーさん限定。

一章目

ペストって、もっとパニック映画みたいな派手な話だと思い込んでいたんだけど、凄く静かに始まる内容だったんだね……空気が、嵐の前の静けさに近いけども。不安になるなぁ。この空気感がずっと続くのかしら。雨が降りそうで降らない、あのじっとりとした生温い空気の中で呼吸してる気分になるな。ペストの空気感、ホラー作品のお化けが出て来る前の雰囲気に近くてゾワゾワするんだけど、文章だけで不安にさせて来るの、本当に上手いんだなぁ。

慎ましく生きてる、善良な市民の描写を挟んで来るのも忘れないのが、また……。

ペスト、既に過去に流行った病気で、もう現代には存在しないって言われてるから逆に治療法もハッキリして無いし、ワクチンも無いよ！　しかも新しい病気じゃないから、主人公の医師ですら油断し切ってるのが、不安感を募らせて来る。これ、逆にコロナみたいな新しいヤツだったら、対策出来たんかな……後、ペストのネズミちゃん、死んだの多くて100匹くらい？　かと思ってたら、1日6千匹レベルで死んでて「えぇ……」ってなりました。それは警戒しろよ。という気持ちと、でも、たかがネズミだしな……。になる気持ちが両方ある(そして、ネズミだしな、に傾く気持ちも分かる

カミュ、自分の住んでた町をパンデミックの舞台にするな(いや、だからこそ、なのは凄く分かるけど……！　後、ペストが良いなって思う部分、１つの凄い地味で何の面白味も無い地方のまぁまぁ人の居る田舎でパンデミックが発生してる所。一般的なエンタメ作品なら、もっと派手にやるじゃ無いですか。そうじゃないからこそ、後手後手に回る鈍さが自然と書かれている怖さが好きです。これが田舎だ……！

ペスト、第一部だけ読み終わりました。

もう第一部だけでこの先、絶対に駄目なのが分かる。夜、遊び歩いてるんじゃないよ町の住人。病院が既に人一杯ってどういう事なんですか。それは中盤でやる事なんよ。450p中の80pでやる事じゃ無いんよ。序盤で詰んでるんだよ既に……！(早い早い展開が早い
カミュ、重要な事を一行で終わらせて来るから困る。読み飛ばす所だったじゃん。改行も無しで「病院のベッドは既に全て埋まっていた」とか、流れる様に書かないでくれ。ビビるわ。内容のヤバさと文章の簡潔さが釣り合ってないんよ。

ペストさ、長いというか、分厚いから敬遠してたんだけど、パンデミック物が中盤で出して来る要素を序盤で全部出して来たから、第二部の予想が付かなくて読む勇気が出ない。
第一部の時点で物資が無いし病院のベッドは埋まってる。おい、どうすんだ、この状態で。ペスト、分厚いからダラダラした内容なんじゃないの〜？　って思っていた部分もあったんだよね。それこそ、物資が無くなってベッドが埋まる展開で、半分以上行くんじゃ無いの〜？　って。

誰が序盤で全部やれと言った

ペスト、第一部終了時点で、後400p近くあるんだけど、本当にどうするんだよ……100pでこれなら、残り400pで何が起こるんだよ……(ｵﾛｵﾛ）

二章目

ペスト、そう来たか……封鎖か……遅効性の弱い毒みたいな話だなこれ……人は死んでるけど、凄いあっさり書かれてて、エンタメ的な派手さが全く無いからこそ、気付くと消耗している……精神が……でも内容は文句無く面白いんだ……でも、疲れる……。
いっそ雨が降ってくれれば良いのに、ずっと降らないまま曇りが続く、湿度の異様に高い空気感の日常を、ずっと送らされているみたいな気分になる……。

ペスト、面白い、もっと早く読めば良かったという気持ちと、だからってGWに読むもんじゃない。という気持ちが戦っている。面白疲れる。何だ、この話は。

ペスト、一般的なパンデミック物がやる展開を第一部で全部やったので、次何やるんだよ……と思ったら、町の閉鎖、宗教家の説教、気狂いが出て来る。街から出ようとする若者の描写を60pでこなして来ましたね。早いんだって。

もう第二部でやる事コンプしちゃったじゃん。ペスト、パンデミック物のお約束を少ないページ数で全部盛り込んでる。パンデミック作品の基礎で、土台の作品じゃん……全てはここから始まってるよ……。パンデミック作品を作るなら、ペストを読んどくべきだって位、全部あるし、その中でサイコパスと自殺志願者のキャラだけがウキウキしてるのも印象深い。自殺志願者のコタールさん好きです。

「みんな頭がおかしくなっていく。間違いありませんよ」

ペストに出て来るタルーってキャラ、サイコパスって単語が有名になる前だから、サイコパスとは言われてないけど、行動が完全にサイコパスなんだよな。他者に害を及ぼさないタイプの、サイコパス……。ペストは良い……絶望の中で輝く人への愛がある……カステル医師や、グランさんはもっと、讃えられるべき……当然、リユーには分かっている事だが……。状況は絶望的なんだけど、パンデミック物に在りがちな「集団の足を引っ張る人」が出て来ないんですね、この作品。凄いな。ヘイトキャラが居ない。

ペストと進撃の巨人って何気に構成が似てるイメージがあるから、それ位の覚悟を持って読む必要があるかも知れないな……(序盤で既に人類が詰んでるが、後から思えば序盤が1番平和だった……ってなるヤツ。

三章目

カフカの変身は物凄く悲しいし、グレゴールが可哀想過ぎるだろう……！　とは思っても不条理だとは全く思わないので、その思考で言うと「ペスト」は不条理に入るのだろうか……先ずは読めって話だな。第三章まで来ました。さぁ、どうなる……？

四章目

ペストも色々と悪い方に考えるんじゃなくて、今はリユー先生の誠実さに素直に感動しようじゃないか……ペスト。4章まで来ました。町の住人達の頑張りと誠実さにグッと来ている所なんですが、もしかして、まだメインに来てないんでしょうか。4章が1番長そうで、今まではジェットコースターの登っている部分だったのでは……？　と思い始めているんですが……。

ペスト、読み終わりました。

……不条理では無くない？(病気って、そういうもんだから……。私からしたら「人類賛歌」の物語でしたね……最後のアレはちょっとビビったけど、抗生物質があれば何とかなるし。いや、多分言いたいのはそういう事じゃ無いんだろうけども、やっぱり愛の話なのでは……？　ペスト、最終的には善良な人間達による、愛の話だった。胸糞シーンは、コタールさん位か。あのメインキャラ達の中でコタールさんだけが小汚い精神性をしていて、だからこそ最後殴られていたのが最高だった。

あのシーンがあるから、コタールさんは輝くのだ……。

ペストはジャンキーかと思ったら、オーガニックな話だったので……凄く美味しいオーガニック料理って感じだ。ハンバーガーとポテトとコーラじゃなくて、無農薬野菜の付け合わせと放牧された豚肉のカツレツと優しい味のスープみたいな話。

ペストは人類愛に溢れた優しい話だとネタ抜きで本当に思っているよ。私は、読む分には優しい話が大好きだから、とても良かった。ペストに出て来る人達は善良だから……オーガニック……。

ペスト、リユー先生に暴言吐いて足引っ張る人達が出て来てたら、胸糞悪くて読めなかったな。でも、自分で書くならそういう人達を出してしまいそう。そして、そいつらは苦しみ抜いて死にたくないと喚きながら死にます(当然だよなぁ？

てか、コタールさんすら、まぁクズだけど悪では無いよな。悪を成せる人じゃないというか「弱い」だけな気がする。まぁ、大抵は弱いから悪になってしまう訳ですが。だからこそ、実はピカレスクロマン駄目だったりするんですよね。悪は常に「弱い」んですよ。格好良さやロマンなんて物は、悪にはない。

後ね、ペストのパヌルー神父ね。最初「ペストは神が与えた愛なのです」とか言ってた時ね。「ッァア゛ーッ⁉︎ お前、ふざけんなよ⁉︎ 」ってなったんだけどね。罪の無い子供が死ぬのを見て、それでも自分の信仰を貫いて死んだ所で、好きになりました。共感はしないし、出来ないけど。

これは完全な思い込みなんですが、ペストって中世を舞台にした小説だとばかり思っていたので、ペストマスクのイメージが有ったんですが1940年だったんですね……じゃあ、ペストマスクは流石に無いね……（そもそもアレ効果無いだろ）（効果無いけどデザインが格好良いじゃん……。

という訳で久々にボカロ曲の「ラットが死んだ」を聞いているんですが、キャラ絵で出てる人全員「ペスト」の登場人物だし、ペストマスク被ってるのリユー先生じゃねーか！（※本編では被って無いよ）（でも、被ってる方が医者っぽいもんな……

ベルナール・リユー先生（35歳・既婚者）本編の描写を見る限り全然美形では無いんだけど、行動がイケメン過ぎて物凄い格好良い想像図になってしまうよね。

というか、リユー先生、地の文だと「私」なのに喋る時の一人称が「ぼく」（ひらがな）だったので一瞬「……えっ!?」ってなった。35歳・既婚者の一人称が「ぼく」は、あざと過ぎんか……!?

ランベールもタルーも一人称が「ぼく」だから、会話してる時、誰が誰だか分からなくなって困ったんだよな……。タルーは、まぁ分かるけど、ランベールは「俺」で、リユー先生は漢字の「僕」じゃない？　ってのは、ちょっと思う。更に言うとグランは「わたし」でパヌルー神父は「私」だと思う。オトン判事は「私」と書いて「わたくし」と読ませるタイプ（どんどんニッチな方に行く

ペストは全員可哀想だから、胸糞さは全然無かった。だって病気だもん。変な話、これが人為的な災厄で、自分に媚を売る奴は生かして、気に入らない奴は殺す！　みたいなアレだったら、私はブチ切れていた。

後、ペストの登場人物、皆精神が高潔で立派なんですよ。コタール以外。

だから、不安にはなったけど、胸糞さは一切無かった。例外はフィリップのシーン位？　でも、あれも悪いのは病気であって、周りの人達じゃないから……。1番考え方に共感が出来て好きなのはコタールですが、絶対に友達にはなりたくないですね(ﾆｺｯ

ペスト、タルーの「罪なき者が目を潰されるのだとすれば、キリスト教徒は信仰を失うか、我が目を潰される事を受け入れなければならない」って台詞が一番好きなんですけど、意外と皆さん、そこは取り上げないのね……。