【催〇わ~るど】あるスポーツの日の風景
秋の空は高く感じる。雲がないということなのか、あるいは夏の暑さが通り過ぎて、涼しい気持ちで空を見上げられるからかもしれない。どっちにしてもインドア派の私には空を見上げるなんてただ眩しいだけだけど。
「はぁーぁ……だっる……」
青い空から少しずつ視線を下げていくと、思わずため息と文句がこぼれ出る。私が立っているのは、町でちょっとした名所になっている運動公園だった。広さは1.5ヘクタールで、三分の一は芝生が敷かれている。サッカーも野球もテニスもできると評判らしい。私としては、遊具を用意できなくなった馬鹿広い空き地を、体よく運動公園と言い張っているように見えるけど。ただ、その空地も現在はテントがいくつも立ち並び、入り口にはハンドメイドの門が立てられている。こういうのって、近所の奥さんたちとか暇な爺さん婆さんが作ったりするんだろうか。門には大きく「○○町スポーツセックスフェスティバル」とポップな文字で書かれていた。
「優、お待たせぇー」
門のすぐ横、受付と書かれたテントから一人の少女が走り寄ってくる。ショートカットに整えられた黒髪と、健康的なすらりとした手足が特徴的だった。
「理沙、どうだった?」
「あそこで説明してくれるって。ほら、早く行こ?」
「だっる……なんでこんなイベントに参加しなきゃいけないのよ」
「しょうがないじゃない。学校の補講なんだから。それに、優はこういうことがないと運動しないでしょ? ね、落ちこぼれコンビ仲良くしよーよぉ」
「理沙と一緒にしないでよ……あんたは単純に頭が足りてないだけでしょ」
「そういう優だって、休み過ぎて出席日数足りてないじゃん」
「ったく、体弱いつってんのに……あの脳筋教師、なんでよりによってこんな補講……」
「まあまあ。豪華景品もあるっていうしさ。ささっとやっちゃおうよ、ね?」
理沙は白い歯を覗かせてにっこりと笑ってきた。ほんとに、なんでアスリートというか、体育会系の人間ってのは無意味に明るくなれるんだろうか。ほんとに嫌気がさす。ただ、彼女の笑顔を見ていると、どうにも嫌だと言えなかった。
「わかった、わかったわよ。行くわよ。行けばいいんでしょ」
「よし! それじゃあ行こ!」
私は理沙に連れられて門をくぐっていった。
門をくぐってすぐの場所には、何人か女性の受付係が私達を待っていた。二十代とみられる女性は、ポニーテールにサンバイザー。タンクトップにショートパンツ。ニーソックスとスニーカーを身に着けていた。
「こんにちは。○○町スポーツセックスフェスティバル、参加希望の方ですね。それでは、本フェスティバルの説明をさせていただきます。こちらへどうぞ」
女性はそう言うと、私達にスタンプラリーの台紙を渡してきた。
「スポーツ、というと点数やタイムを競うような競技性を想像するかもしれませんが、そうではありません。本フェスティバルは地域交流と楽しく運動を行い、性的快楽を得ようという試みのイベントです。敷地内の種目をクリアするごとにスタンプを一つ受け取れます。頑張って、三つのスタンプを手に入れてみてくださいね♪」
「いくつかあるうちの三つでいいのかな」
「そうみたいね……なるべく楽なのをやりたいわ」
「ふふふ。どれも、運動不足の方でも問題なくできる種目ですから、あまり結果は気にせずに楽しんでくださいね」
「あっそ」
「優ってばぁ……すみません」
「大丈夫ですよ。全てのスタンプを手に入れた方は、豪華景品が手に入る福引に参加できます。もちろん、参加者の方はどなたとも本番、オーラル問わずにセックスを楽しむことができます。どうぞ、そちらのテントで性病検査を終えてから、みなさんで気持ちよく、汗、チン汁、マン汁流して楽しんで下さいね」