TNG 2024/03/15 14:35

キャラクターの日常09

【ある調査中の風景】


『データ受信、確認完了。問題ありません。
 引き続き任務を続けて下さい。以上』

その言葉を最後に通信が途絶する。

前足を突っ張り、背中をグッと伸ばす。
本日の定時連絡は、これにて終了。
吾輩は足を折り畳んで丸くなり、先程から
下で騒がしくしている人間へと視線を
移した。

「ねぇ、そこの君~。ねえってばぁ。
 ……あ、やっとコッチ向いてくれた。
 ねぇ、この子、知らない?」

これから一休みしようとしている吾輩に、
自分で描いたであろう猫の絵を突き出して
その所在を問うている者が一人。

とりあえずセンターへと接続し、
この人間……少女のデータを閲覧する。

(ふむ……今は家庭の事情で無理だが、
 将来、猫を飼う可能性大……といった
 所か)

ちらりと少女の方へ目をやり、絵の特徴から
対象の所在地を検索する。

(これは……ああ、婆さん所のハチワレか。
 今は、あそこで寝ておるな)

位置を確認してから仮想マップを閉じ、
もう一度、少女の方に目をやる。

「ねぇ?知ってるかな?」

無邪気に問いかける少女。
まぁ、将来性を買うという事で、
今回はひとつ案内してやるとするかの。

吾輩は立ち上がり、もう一度ゆっくりと
伸びをして、それから数歩進んで少女を
振り返る。

「にゃ~」

ひと鳴きして前へ向き直ると、

「え?もしかして案内してくれるのかな?
 ありがとうねぇ~」

意図を察したらしい少女が、塀の下から
嬉しそうに着いてくる。

(聡い少女だが、ホイホイ着いてくる
 無用心さは少々心配だの)

「菊ちゃんっていうんだけどさぁ。
 たまにお婆ちゃん家からお散歩に
 出たっきり、数日帰らない事が
 よくあるんだよ。
 お婆ちゃん、心配しちゃうから……」

(あと、少々騒がしいな)

こちらの気など知らず喋り続ける
少女の話を聞き流し、吾輩は目的地へと
急ぐのだった。


良い子は知らない人に着いて行っては
いけません。

ところで、上で猫さんがアクセスして
いるのは
「Nyan Nyan Network」
通称「NNN」といいまして、
猫さん達が情報を世界規模で……おや?
誰かお客さんが来られたようです。
このお話は、また後程……。

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