キャラクターの日常09
【ある調査中の風景】
『データ受信、確認完了。問題ありません。
引き続き任務を続けて下さい。以上』
その言葉を最後に通信が途絶する。
前足を突っ張り、背中をグッと伸ばす。
本日の定時連絡は、これにて終了。
吾輩は足を折り畳んで丸くなり、先程から
下で騒がしくしている人間へと視線を
移した。
「ねぇ、そこの君~。ねえってばぁ。
……あ、やっとコッチ向いてくれた。
ねぇ、この子、知らない?」
これから一休みしようとしている吾輩に、
自分で描いたであろう猫の絵を突き出して
その所在を問うている者が一人。
とりあえずセンターへと接続し、
この人間……少女のデータを閲覧する。
(ふむ……今は家庭の事情で無理だが、
将来、猫を飼う可能性大……といった
所か)
ちらりと少女の方へ目をやり、絵の特徴から
対象の所在地を検索する。
(これは……ああ、婆さん所のハチワレか。
今は、あそこで寝ておるな)
位置を確認してから仮想マップを閉じ、
もう一度、少女の方に目をやる。
「ねぇ?知ってるかな?」
無邪気に問いかける少女。
まぁ、将来性を買うという事で、
今回はひとつ案内してやるとするかの。
吾輩は立ち上がり、もう一度ゆっくりと
伸びをして、それから数歩進んで少女を
振り返る。
「にゃ~」
ひと鳴きして前へ向き直ると、
「え?もしかして案内してくれるのかな?
ありがとうねぇ~」
意図を察したらしい少女が、塀の下から
嬉しそうに着いてくる。
(聡い少女だが、ホイホイ着いてくる
無用心さは少々心配だの)
「菊ちゃんっていうんだけどさぁ。
たまにお婆ちゃん家からお散歩に
出たっきり、数日帰らない事が
よくあるんだよ。
お婆ちゃん、心配しちゃうから……」
(あと、少々騒がしいな)
こちらの気など知らず喋り続ける
少女の話を聞き流し、吾輩は目的地へと
急ぐのだった。
良い子は知らない人に着いて行っては
いけません。
ところで、上で猫さんがアクセスして
いるのは
「Nyan Nyan Network」
通称「NNN」といいまして、
猫さん達が情報を世界規模で……おや?
誰かお客さんが来られたようです。
このお話は、また後程……。