24年1月コミッション作品公開

 24年、1月のコミッション作品公開

 
 
 屈強な竜人男性リョナシーンのご依頼から書いた作品です。

 屈強な竜人男性ウィリスが病弱な義弟リカルトの治療費の為に違法な地下闘技場でファイターとして活動している……というような設定の元、話が進みます。
 メインは竜人のリョナシーン。
 複数のゴロツキに屈強な竜人男性がボコボコにされる。
 四肢欠損
 眼球えぐり
 舌切り など
 性的なシーンはなし。
 続きがあるように指示がありましたのでそう〆てますが、続きはなし。

 全文(13000文字)は支援者様限定
 

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  地下に続く階段を見つめてリカルトはごくりと唾を飲み込んだ。
 洒落た装飾が施されたランプが一定間隔で階段を照らしているそこは、一見すると変哲もないバーの入口の佇まいにしか見えない。
 しかし、階段を降り扉を開けるとガヤガヤと予想以上の喧騒がリカルトを出迎え、思わず「うっ」と小さく悲鳴を漏らす。
 バーの中にたむろする者たちは、洒落た外装に似合わずずいぶんガラの悪い連中のようだった。
 まったくこのような施設に縁のないリカルトに、じろじろと品定めするような嫌らしい視線が絶えず投げかけられていた。
 リカルトはなるべくその連中と目を合わせないように周囲を見回す。
 リカルトがこの場違いな施設にいるのは理由があった。
「うぅ……こんなところに、本当にウィリスがいるのかな……」
 不安が思わず震える唇から零れてしまう。
 義理とはいえ兄と慕う大切な家族のウィリスが、ここで開かれている闘技場で闘士として活躍していると聞いてリカルトはこの悪辣な環境に足を踏み入れた。
 ――闘士だなんて、そんな危ないこと……どうしてウィリスが?
 兄の心情が分からず俯くリカルトの背後に近づく、複数の人影。
 その中心に居る上等なスーツを着込んだ男が「リカルト君。待ってたよ」と朗らかに話しかけた。
「あ、ケイィさん……」
 ケイィと呼ばれた猿の獣人はにっこりと微笑むと、リカルトの華奢な肩に手を置いてバーの中を闊歩する。
 周囲を取り囲む男たちが、リカルトとケイィを守るように左右と前後に散って剣呑な目つきを光らせていた。
 ケイィは、周囲の雰囲気に不似合いな朗らかな笑顔でリカルトの肩を抱き気安く語り続ける。
「リカルト君。今日は来てくれてありがとう。きっとお兄さんが活躍してるかっこいい姿が見られるよ」
「ほ、ほんとに……こ、ここで、ウィリスが戦ってるんですか……」
 問いかけた声が震えていた。リカルトは自身のふがいなさにぎゅっと目を閉じる。
 ケイィはそんなリカルトの様子を上から見下ろし、にっこりと目を細めた。
「信じられないかい? でも、リカルト君も見たらすぐわかるよ。お兄さんの圧倒的な強さが、さ」
 自分を見下す猿獣人の不気味な笑顔に、リカルトの背すじに冷たい汗が流れる。
 ――怖い……でも、ウィリスがここにいるなら、危険なことをしている訳を知りたい……ぼくらは兄弟だもん……
「分かりました……ケイィさんを信じます。僕を、ウィリスがいるところに連れていってください」
 顔を上げたリカルトは、震える足をバーの地下へと踏み入れた。

 そこには、地下にあるとは思えないほど眩しく輝き、歓声と罵声飛び交う凄まじい喧騒があった。
 勢いに気圧され思わずリカルトは耳を塞ぎ、ぎゅっと目を閉じた。
「ああ、かわいそうに! 今、静かな席を用意させるよ」
 ケイィは大袈裟な身振りでリカルトをVIPルームへと案内する。
「さあ、ここならうるさい連中はいないよ。ほら、そこのソファーに座ってごらん」
 リカルトが通されたのは一面をガラスに覆われた豪奢な部屋であった。促されるままふかふかのソファーに座らされたリカルトの眼下から、闘技場が一望できる。
 闘技場のリングの周りには、熱狂する人々の、欲望丸出しの姿があった。
 今まで自分が生きてきた世界とは違う情景に、リカルトが言葉もなく固唾を呑むと、リングの対岸からふたりの男が現れた。
「ウィリスッ! ほ、本当にウィリスが?!」
 見下ろすリングの中央に歩み寄るふたりの男……その片方が見間違えるはずなどない兄のウィリスだった。
 衝撃に固まっているリカルトを置いて、ゴングが鳴った。
 その瞬間、ウィリスの向かいに立った巨漢がウィリスに向かって突進していく。
「ウィリスッ!」
 思わず叫び、ガラスに張り付くリカルトだが、ウィリスはまるで普通に歩くような自然さで巨漢を避け、関節を捕らえて相手の動きを封じた。
 その技術、動きは、戦いに詳しくないリカルトにも取得に相当な時間を要することが見て取れる。
「ウィリス……ほんとだった……」
 ショックによろよろとソファーに座り込むリカルトを優しく支えるケイィ。
「今日はまだウィリスの試合があるからね。ここでゆっくりしていくといいよ」
 べったりと甘い低い声で囁くのを、リカルトは不快な気持ちで聞いていた。



  地下闘技場の更に地下。
 天井から複数の鎖が垂れ、何に使うのか分からない物騒な道具がいくつも壁にかかっている。
 ――くそっ○問部屋か……それとも死体解体場か……?
 やけくそに心中で悪態をつくが、鼻に着く陰惨な血肉の臭いに、あながち間違いではないなと顔をしかめた。
「なんだここは。こんなところに連れてきてどうするつもりだ?」
「どうするって……こうするんだよ!」
 ネゲリアが大きく腕を振りかぶりウィリスを殴りかかる。
「っ……おいっ! どういうつもりだ!」
 ウィリスは紙一重の動きでその拳を避けると下半身をぐっと下げ、咄嗟に体勢を整える。そこに、周囲を取り囲む男たちが次から次へとウィリスへ襲い掛かった。
 どの男たちもウィリスの脅威になり得ない実力の闘士たちだったが、彼らがニタニタと意味深な笑みを浮かべていることに何か企んでいると予感したウィリスは反撃には出ず逃げに徹していた。
 数度目の攻撃を避けたウィリスの背がドンと壁に当たる。
「しまったっ」
 壁に追いつめられたウィリスが、背後の壁と、目の前に立ち塞がるネゲリアを交互に見た。
 ネゲリアは勝利を確信した、不愉快な笑顔を浮かべ、ボディに狙いを定めたパンチを繰り出そうと身体を動かす。
 それを察知したウィリスは、反撃に出ようと腕を構える。
「おぉいッ! 反撃しようなんて考えるなよっお前が大人しくボコられないとかわいいかわいい弟君が代わりにボコられるけどいいのかぁっ!?」
 ネゲリアの言葉に咄嗟に腕を下げてしまったウィリス。大きな舌で舌打ちをすると怒鳴った。
「俺がお前らに殴られれば、弟は無事に帰してくれるんだごぉ゛ッ!」
 言葉を最後まで紡ぐ前に、ネゲリアの拳が固い皮膚と筋肉に覆われたウィリスの腹にめり込み、呻きと唾液が噴き出る。
「うぐッ、げぼ、ごえ゛ぇ゛ッ!」
 その拳が抜けた瞬間、ウィリスはがくりと膝が崩れた。四つん這いのような体勢になり胃の中の物を嘔吐する。
「げぼっ、ゔぇ゛、ごほっごぼッ!」
「おらっ! 調子乗ってんじゃねえぞクソ野郎が!」
 四つん這いになったウィリスに、男たちの拳や蹴りが振ってくる。
 顔を踏みつけるような攻撃を腕で庇いつつ、男たちの暴行をしのぐがそれが気に入らなかったらしい。
 ネゲリアが「ガードしてんじゃねぇよ! 弟がボコられてもいいのか?!」と吠えた。
「ぐお゛ッ、うぐッ……ふ、ざけんなッてめえら……」
 ウィリスが下から睨みつけるとネゲリアがふぅ~ん……と嗤う。
「まだ自分の立場が分かってねぇみてぇだなぁ……これを見てもそんな生意気な口きけるかな?」
 懐から何かを取り出し操作すると、唸るような機械音が冷えた部屋に響く。音は天井の一角から聞こえてきていた。
 ウィリスが思わずそこを見ると、大きなモニターが下りてくる。そこには――
「リカルトッ!」
 ウィリスの義理の弟、リカルトの姿があった。
 リカルトは画面に縋り付くように張り付いて必死に口を動かしていた。
 何かを叫んでいるようだが、声は聞こえない。
 今にも泣きだしそうな顔をしているリカルトの隣、なれなれしく肩を抱く猿の獣人に見覚えがある。
 この闘技場のオーナーだ。
「くそっ! その汚ぇ手を離せックソ野郎がッ!」
 立ち上がり画面に向かって吠えた瞬間、ウィリスのこめかみにネゲリアの蹴りが入った。
「ぐお゛お゛ッぶッ!」
 鱗に覆われたこめかみが、一瞬へこみ視界が揺れた。見開いた瞼に収まる瞳孔が、ユラユラぐらぐら、と揺れているウィリスの顔から脂汗がにじみ出る。
 筋肉に覆われた無駄のないウィリスの身体がぐらりと不規則に揺れ、再び崩れ落ちた。
「お゛っ、ゔっ」
 かろうじて腕を着き、顔面を強打するのを免れたウィリスの腋腹に強烈な蹴りが入った。
「ギッ! ガァ゛ッ」
 強く、突き上げるような蹴りがウィリスの屈強な身体を二つ折りにする。
「ごぼぉ゛ッ! ごぇ゛ッげぼっげぼ……お゛ぇ゛ッ」
 重量のあるはずのウィリスの身体が一瞬浮き上がり、ゴロゴロと地面を転がる。分厚い筋肉を超え、内臓へダメージを伝えた蹴りのせいで、ウィリスの大きく開いた口から吐しゃ物が噴出した。その近くに居た男たちが、呻くウィリスの身体を更に踏みつけ、ゲタゲタと嗤い声を上げる。
「ギャハハッ! おいおい、もうおねんねかよつまんねえなぁ~。お前が寝ちゃってつまんねえから、弟君と遊ぼうかなぁ」
「や゛め゛ッお゛ッ! ……お゛ッ、お゛れ゛ッが……あ゛、相手だろうがッ!」
 ウィリスが口元を鱗に覆われた太い腕で拭いつつ、よろよろと立ち上がる。その目は殺気に満ちて男たちを睨んでいた。
 視界の端に泣きながら画面を拳で叩くリカルトの姿が見え、ウィリスは苦々しい思いとともに血の混じった唾液を床に吐き出す。
「なんだよまだまだげんきだ、なッ!」
 ネゲリアの鋭い爪が、咄嗟に出した腕を裂く。
 一瞬にして腕の鱗が剥がれ、皮膚から血が垂れる。腕の筋肉の溝を埋めるように血がだらりと垂れている。
「ぐっ!」
「ハハハッ! いつもの調子はどこ行ったんだぁ~? まったく弱々しくって笑いが止まんねぇよ! かわいそうだからお前の反撃も許してやるかぁ!」
 リカルトをだしに反撃を封じたのは男たちだ。
 あえて嘲笑交じりに挑発する男たちの不快な嗤い声が傷に響き、ウィリスは眉間にしわを寄せた。
 しかし、反撃が許可されたのなら男たちを倒してもリカルトに危害を加えられずに済むかもしれないとウィリスの心に希望が湧く。
 視線がリカルトを映している画面へと向く。
 涙ぐみ、必死に叫ぶリカルトの表情を見てウィリスの胸が痛む。
 その瞬間、男たちの凶器がウィリスの頭上に振り下ろされたのを察知したウィリスが、最小限の動きで紙一重で避ける。
「う、おっ!?」
 受けた暴力にウィリスの足からがくりと力が抜けよたよたとふらついてしまった。
 どうにか男たちからの攻撃を避け続けるが、とうとう背後から後頭部を殴られて衝撃によろける。
「おがっ! あ゛……ぐぅ゛ッ」
 目の前に星が散るようにチカチカと視界が揺れる。
 倒れ込む寸前、鍛えた足がたたらを踏み、何とか倒れる前にとどまるウィリス。
「おいおいっ! つまんねえなぁっこらえてんじゃねぇよっ!」
 白くかすみ始める視界を振りほどくように、大きく頭を振っているウィリスを、牛獣人の持つ棘付きの棍棒が襲う。
 横なぎに薙ぎ払う牛男の動作をちらつく視界の端に見たウィリスは、とっさに腕でガードする。しかし棍棒は筋肉に覆われた腕を貫き、そのまま骨が砕けるぼきぼきという感触がした。
「ぐッがぁ゛ぁ゛あ゛ッ!」
 吹っ飛ばされる衝撃を逃すため、地面に転がるウィリス。意識して行った動きではなく、身体に沁みついた戦闘技術と本能がそれを行ったのだ。
「お゛ッ……ゔ、ゔぅっぎ、ぁ゛……」
 腕を庇い、チカチカと明滅する視界を振り払うように頭を振る。後頭部からぽたぽたと血が落ちた。
「ぐぉ゛ぉ゛ぉ゛ッ!」
 棍棒を持った牛獣人が、ニタニタとウィリスを見下している。ウィリスはそのいけ好かない顔に反撃に出ようとふくらはぎに力を入れて踏ん張り、バネのように飛び出す。
 ウィリスは筋骨隆々の肉体に似合わない素早さで牛獣人の背後に取りつき、無事である方の片手で男の首を絞める。
「ゔぐっ……お゛ぢ、ろ゛ッ」
 ぎちぎちと筋肉が肥大し、牛獣人の太い首に食い込んでいく音がする。
 頭に血が上り、後頭部の傷口からブシュッ! と血が噴き出た。
「お゛ッ、ゔぉ゛ぉ゛ぉ゛ッ」
 暴れる牛男に取りつくため、ウィリスの鍛え上げた両足が腹に食い込むほどにキツく絡め、必死に牛男を絞め落とそうと奮闘する。
 ブボォォォッブボォォォッと苦し気に呻き暴れる牛男。
 ウィリスと牛男の周囲を取り囲む男たちの喧騒と、ネゲリアの声で「後ろに回れッ! 後ろから突き刺せ!」という怒声、牛男を締め落とそうと力を込めるウィリス。限界まで隆起した腕の筋肉がパンパンに腫れあがり牛男の気道を塞いだ。
 暴れる牛男の背後に回ったひとりの男が、おおきなサバイバルナイフを思いっきりウィリスの背に刺した。
 ――しまったっ!
「ぎッあ゛あ゛あ゛ッ!」
 ウィリスが危機を察知した瞬間、背中にまるで燃えるような熱さと鋭い痛みが走り、強い痛みに思わず絶叫した。




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