大童亭 2023/10/21 23:21

東京駅グルメ探訪 つきぢ松露の松露

外に出るのが気持ちがいい季節になった。東京駅は相変わらずビジネスマンと観光客でごった返している。おまけに暑いのか寒いのかどっちつかずの気温だノースリーブにジーパンサンダルの人もいれば、私のようにワイシャツにセーターをかぶって秋風の冷やっこさで腕をさすりながら歩いてる人間もいるので、まとまりのなさに拍車をかけている。

 こんな日にはランチに何が食べたい? なんて聞くまでもない。厚焼きたまごサンドに決まってるじゃないか。
 東京駅地下一階グランスタ。ここは次に乗る電車に乗り遅れないようキビキビと歩く人々の殺伐とした雰囲気はない。だいたいの人は食べもののことを考えている。この階にあるのはレストランと弁当屋と土産屋がほとんどだからだ。

 今日の目当てはつきぢ松露の松露サンド。店舗HP

 

 入場券片手に目当てのものを手に入れ、駅を出て歩いてそこらのベンチであったかい緑茶をお供にさっそく松露サンドにかぶりついた。
しっとりと柔らかい食パンのあと、ホロホロとほどけていくように口の中で広がる厚焼きたまごの甘みと舌に伝う出汁の旨味。
 そうだよね、スーパーの惣菜や家で作るのと違って、玉子焼きの水分量が違うんだよね……職人ってすげーや。柔らかくってふわふわの厚焼きたまご焼いちゃうんだもんね。
 私は黙々と職人が焼いた厚焼きたまごを楽しんだ。美味しかった。わざわざ、入場切符買って東京駅に入って食べてよかった。
 だが、私が食べたいのは厚焼きたまごサンドだ。もっと細かく言うと、辛子マヨネーズを使った厚焼きたまごサンドだ。辛子マヨネーズの方が卵の甘みが際立ってうまいのだ。
 松露サンドは、厚焼きたまごサンドとしてはちょっと惜しい。パンと厚焼き玉子の間にはマヨネーズが塗ってあるが、マイルドなものでほとんどマヨネーズ特有の酸味はない。
  松露サンドのコンセプトは箸を使わずにワンハンドで築地の名店松露の玉子焼きの味を楽しむことだ。辛子やマヨネーズで引き立つ厚焼き玉子の甘さと出汁の旨みを楽しみたい私とは相容れない結果になってしまった。このすれ違いは切ない。
 また次に会うときは、いつかの冬に熱燗と一緒に。
 最後の一口を食べきって弁当ガラをリュックに押し込むと、私はまた次の弁当に思いを馳せながら職場へ戻った。

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