R18女性向け小説サンプル　天才召喚士の大誤算＃1

R18の小説冒頭のサンプルです。性描写はございません。冒頭なので

天才召喚士の大誤算

ここまでのあらすじ

　稀代の天才召喚士である私は世界を脅かす大魔王を倒さんとする勇者とその仲間たちに縋られ、大魔王を倒す旅に出ることなった。私の大活躍により大魔王の配下たちを次々と撃破。残る敵は魔王とその腹心獣魔王を残すのみとなった。獣魔王を倒す手段として天才召喚士の私が神獣を召喚することになった。

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　私ってなんて不幸な天才召喚士なの！
　夜、キャンプの見廻りをしながら何度繰り返しても同じ値しか出ない計算結果に私は内心叫んだ。
　獣魔王を倒すのに必要なMPが一ポイント足りない。どう計算しても足りない。MPが足りなければ神獣を召喚できず、獣魔王に勝つ手立てがなく勇者たちがプチッとやられてしまう。それはなんとしても避けたい。だけど足りないものは足りないのだから、どうしようもない。でも、どうにかしてMPを捻出しなくてはならない。だって、私は天才召喚士だから。MPがほんのちょっとだけ足りないなんて理由でみんなをガッカリさせるわけにはいかない。私のプライドのためにも。
　私はノートの新しいページにMPを増やすための手段とそれが可能かどうか書き出していくことにした。

１　MP増強のアイテムを使う　→却下　アイテムが高額すぎる。おまけに希少アイテムなので次の街で手に入るかもわからない。
２　教会でMPを増強してもらう　→却下　お金はどうにかなるけど、効果が出るまでに半月はかかるので、獣魔王との戦いの日に間に合わない。
３　性行為によって一時的にMPをあげる　→ ……

　ここまで書いて私のペンは動きを止め、ノートに小さなシミを作っていた。
　性行為ようするにセックスなわけだけど、召喚士や魔法使いでは結構ポピュラーな手段だ。ただ天才召喚士の私はそれを目的としてセックスなんてしたことがないから効果がどれほどものかはわからないが、MPを一ポイント稼ぐくらいは出来そうだ。だけど面倒なことにセックスは一人で出来ない。相手がいなければ私がよしセックスするぞ！と思い立ったところで始めることはできない。セックスってなんて面倒くさいんだ！
　ペンを放り投げたくなるのをどうにか堪えながら神獣を召喚する任務を全うするために私はノートに続きを、数日以内にセックスしてくれそうな相手を書き込んだ。

１　街の私娼→　却下　金で解決できるし、その場限りなのは◎。だけど、街のどこにあるかもわかんないし、良い相手が見つかる保証がない。情報を聞くあてもない。
２　勇者→　却下　王国の姫と婚約してる。国を巻き込んでの痴情のもつれなんて死んでもイヤ。
３　武闘家→　却下　地下武道会に出場して私がこいつに賭けてお小遣い稼いでるの許してくれるし、よくご飯奢ってくれるし、いいやつだけど。この前飲んでた時、女を絶ち性欲を怒りに変えて拳をさらに強くしてるとか言ってた。怖い。頼んでいいのかもわからない。
４　魔法使い→　却下　同性だし事情もわかってくれるだろうけど、彼女から勇者に片想いしてる話を散々聞かされている。そんな相手にセックスを頼むのは申し訳ない
５　闇の竜騎士→　却下　よく魔法使ってるからこちらの事情をわかってくれるだろうけど、あいつは感情がすぐ顔に出る。事が済んだ後も気まずくなるのが目に見えてる。あと、自分を改心させてくれた勇者に心を開きすぎて日記みたいに何でもかんでも勇者に話してるから私とセックスしたことも勇者に当たり前のように報告しそう。仲間から仲間へ肉体関係に言及されるなんていやすぎる
６　盗賊→　……
　再び私のペンが止まった。
　盗賊の名はセロ。勇者たちの仲間になる前はどこぞの田舎で百人もの子分を従えていた盗賊団のリーダーだった男だ。私が大事に少し飲んでるいいお酒を遠慮なしにグビグビ飲むところはムカつくが、たいていのことは金と時間で物事を判断するから何を考えてるのかわかりやすく意見が合うことも多いから話していて気持ちがいい。盗賊団にいた時は盗賊らしく派手に暮らしていたらしいから一回限りの肉体関係になんとも思わないだろうし、大人数をとりまとめていた経験もあって今魔王を倒さなきゃならないという大事な局面でパーティに面倒をかけるようなことはしないだろう。ビジュアルも私の好みとはズレてるけど身内贔屓をなしにしても悪くないし、嫌悪感を抱いたことはない。
　おや？　考えれば考えるほどセロって私のセックスの相手として適任じゃないか。よし、セロに頼もう。
　そうと決まれば、行動はすぐに起こした方がいい。私はセロを説得するために考えを巡らせた。