市街地 2024/04/01 08:00

【小説サンプル】incubator life〜宇宙人のつがい(♂&♀)と送る、托卵母体の溺愛ライフ〜


あらすじ

宇宙に攫われたヒロインが地球外生命体のつがい(♂&♀)のインキュベーター(生体孵化器)として溺愛される話。

全体を通したプレイ内容

機械責め・クリトリス責め・異物挿入・ポルチオ責め・連続絶頂・卵の産みつけ・中出し・産卵 etc.

※主人公の名前がないネームレス小説です。
※ 人外責め・機械責め・托卵・♀×♀の描写・産卵等のマイナープレイがてんこ盛りとなっております。

【!ご注意!】

本編には下記のシーンがございます。

・無機質な機械・器具による快楽を伴う肉体開発
・宇宙人のオスとメスによる、ヒロインへの産卵&受精プレイ
・同性(♀と♀)の非現実的な性的描写

ストーリーは無理矢理から始まりますが、托卵・産卵時はヒロイン同意のもとの溺愛プレイとなります。






【1.相性テスト】


気が付いたら見覚えのない部屋にいた。

床や天井、四方の壁も全て白色をした立方体の空間で、私は中央にあるクッションに寝かされていたみたい。

キングサイズのベッドよりも大きなクッションは私のいる中心部分がくぼんでいて、外側がぐるりと盛り上がっていた。

そんなクッションが余裕で収まる部屋は広く、天井も高い。

電球などの明かりは見当たらないが、真っ白な空間は明るかった。おそらく照明は天井に埋め込まれているのだと思う。

クッションの上で身を起こし、キョロキョロと周りを見渡す。前後左右の壁には扉らしきものがなかった。

意識がはっきりしていくにつれて、物音ひとつしない場所に閉じ込められた恐怖が鮮明になっていく。

なによりも——。

「…………服、は?」

私は裸だった。衣服をひとつもまとっていないことが不安をさらに煽る。

ここはどこなのだろう。

得体の知れない場所に連れてこられる理由自体、思いつかない。

覚えている最後の記憶は確か……、仕事でくたくたになりながら私は車を運転していたはずだ。睡魔と必死に戦いながら、目的地に向かっていて……あれ?

私はあの晩、どこに行こうとしてたのだっけ? そもそも車中のことは覚えているけど、目的地に到着した記憶がない。

まさか事故にあったの? じゃあ、ここは病院?

いろいろと疑問は多いが、ひとまず自分がどこかの施設に閉じ込められているのだけは確かである。

服は着ていないけど、見える範囲では身体のどこにも異常はなさそうだ。

四つん這いでクッションの縁まで移動して、ふわふわに盛り上がった部分を跨いで床に降りた。足をつけた箇所が自身の体重で微かに沈む。白い床は弾力性のある素材でできているみたい。

寝かされていたクッションと床は接触部分がなだらかなカーブを描いて一体化していた。

恐る恐る壁へと近づいて出口らしき扉を探してみる。垂直にそびえる壁も床と同じ素材のようで、柔らかいながらも手でぐっと押して離せば、すぐに手形は消えてしまう。

壁に触れながら部屋をぐるりと一周したけれど、扉のようなものは見つけられなかった。天井を見上げても継ぎ目のような線はなさそうだ。

出口のない場所に閉じ込められた。私が内部にいるのだから、必ずどこかに出入りできる扉のようなものがあるはずなのだけど……。

一体誰が、どんな目的でこんなところに?

疑問ばかりが次々と浮かんで思考が混乱をきたす。

「……あのっ……誰か……」

勇気を出して声を上げても音は部屋の中で反響すらしない。当然ながらどこからも反応は返ってこなかった。

ずっとひとりでこの部屋に閉じ込められるのかと思うと背筋が凍った。

食事は? トイレはどうすればいいの?

そもそも私は生きてここを出られるのだろうか。

恐怖に駆られて壁の隅でうずくまる。とても中央のクッションに戻ってくつろぐ気にはなれなかった。



しばらくそうしていると、ふと照明が暗くなった。シミひとつない真っ白な部屋の壁や床が、微かに灰色みを帯びる。

不思議に思い立ち上がる。すると壁に背をつける私から見て右側の壁の中央に長方形の線が浮き上がった。

縦長の長方形が音もなく横に移動する。ひとりでに出入り口が出来上がったのだ。

開かれた扉の外は真っ暗で、息を潜めて凝視していると何かが近づく音が聞こえてきた。

とても軽快とは言えない、歩行のたびに重い体を引きずるような足音に緊張が加速する。

無意識に後ずさり、出入り口から距離を取った。

「なっ⁉︎ ————っ」

真っ暗な通路の先から現れたソレらに、私は上がりそうになった悲鳴を寸前で飲み込んだ。

ソレら——二体の生物が部屋に入ると扉はすぐに閉ざされてただの壁に戻った。

入ってきたモノはどちらも二足歩行をしているけれど、明らかに人間ではない。私が生きてきたなかで見たこともない生き物だった。

大きいほうの生物は二メートルをゆうに超える長身で、頭と肩が繋がっていて首らしきものがない。頭の先はラグビーボールのようにとんがり、両目が異様に離れてこめかみあたりにあった。手足は太く短く、胴が長い。

もう一体は私と同じぐらいの身長だけど、後頭部が異常に発達している。顔の上部を占める大きな目には白目がなく、瞳全体がオーロラみたいに常に色が変化して揺れていた。こちらの身体は骨と皮だけなのか、細い身体には肉らしい肉がついていない。

両者ともに体格がわかる、黒い生地に銀色の線で模様が入った体に密着する服を着ている。

人間でないソレらの意識が私に向いた。二体が左右に分かれて中央のクッションを回り込み、こちらに近づいてくる。

「……ゃ、いや……っ、こないでっ」

壁に背をつき自分を抱きしめて小さくなる。膝がガクガクと震えた。

私は殺されるの? ここに連れてこられたのは化け物の餌になるためだったの……?

歩み寄る化け物に死という文字が頭をよぎり、目からボロボロと涙が溢れた。逃げたいのに、腰がひけて足を前に踏み出せない。

「————」

私の斜め前で立ち止まった小さいほうの生き物が口から何かを発する。

鳴き声? 甲高い声は言語として成立しているのかもわからない。

小さいほうが発した音を受けて大きいほうの化け物も立ち止まった。

恐々と様子を伺っていると、背後の壁から風が吹くのを肌に感じ取った。

「…………え?」

首を回して確認するが、壁には目に見えた変化はない。しかしどこからか風が送られているのは確かなようで、頬に微かな感触がしたのと共に、ガソリンみたいな臭いを感じた。

「あっ、なに……っ?」

鼻につく臭気を嗅いだ途端、全身の力が抜けて膝から崩れ落ちる。

クッション性のある床なので、倒れたところで痛くはない。体に力が入らなくなった私は大きいほうの化け物に持ち上げられた。

「ゃ……な、んで……」

クレーンゲームのように腹部に両手を差し入れられ、体をくの字に曲げる体勢で足が床から離れていく。

だらりと手が下がりもがくことすらできない私の視界の端で、さらに信じられないことが起こった。

中央にある巨大な円形のクッションがひとりでに形を変え始めたのだ。機械的な音を伴い、クッションは縦長の四角い台になる。

ベッドというには床から台座までの距離が高い。私の脳裏に手術台という単語が浮かび上がった。

「……ぃ……やぁ……」

あそこで解体されて、食べられてしまうのだろうか。

恐怖に体を震わすことも許されず、動けない私は部屋の中央まで運ばれ予想した通りに四角い台座へと寝かされた。

小さいほうの化け物が白い座面を指で直線に撫で、その部分を指で摘む。すると白い素材が帯状に伸びて、それを私の手首や腕に巻き付けてきた。

巻き付いた帯の端はやがて白い座面と一体化してしまう。動けない体がさらに拘束された。

私の両足は大きいほうの化け物によって左右に広げられ、軽く膝を曲げて足裏を座面に付けられた。足にぬるりとした水気を感じた途端、つま先から足首までが台座の中に埋まってしまった。台座はすぐにクッション性のある素材に戻り、私の足は股を開いた状態で座面に固定された。

何が起こっているのか。どうなっているのか。

知らない生物。未知の技術。訳がわからず混乱する私を拘束し終え、二体の化け物は壁際に移動した。

真っ白だった部屋の様相が変化する。

表面を覆っていた白い素材が瞬く間に壁や床、天井に吸収されていき、私の寝かされる台座を残して部屋は黒や銀色の機械が埋め尽くした。

「なっ……、なによ、これっ」

知らない。こんなの人間の技術じゃない。

それとも私の知識が追いついていないだけで、科学はここまで進歩しているというのか。

ここがどこなのか、そもそも地球や私の生きていた世界なのかもわからなくなってきた。

混乱する最中に宇宙人という単語が思い浮かんだ。

まさか。あり得ない。……でも、そうじゃないならそこにいる生きものはなんだというの。

状況に追いつけない私に構わず室内の変化は続いた。

部屋の中央部分、私が寝かされている台座の上の天井から得体の知れない装置が降りてくる。

今はブロックパズルのように隙間なく機械が組み合わさり、収納された状態になっているけれど、いつあれがバラけて私に襲ってくるかと思うと呼吸が乱れて涙が止まらなくなった。

「いや……っ、だれ、か……誰か! ……助け……っ」

部屋の隅にいる化け物たちは動かない。

懇願を聞き入れる者はおらず、たちまち救世主が現れるなんて、そんな都合のいいことは起こらなかった。

装置の一部が本体から離れた。チューブで繋がれた球体が顔に向かって降りてきて、口元に赤い光線を照射したかと思うと果実が割れるようにパカりと開く。それはまるで酸素マスクのような形に変形し、私の口と鼻を覆うように張り付いた。

「な……に……?」

呼吸に合わせて透明なマスクの内側が白く曇る。マスクは肌と接するところがゲル状になっていて、少し口を開閉したぐらいでは取れそうにない。

そうこうしているうちに甘い香りが漂ってきた。

熟れた南国の果実のような独特の香りに嫌な予感を覚えて息を止めるが、所詮は長続きしない。チューブを通してマスクへと送られる香りを鼻と口の両方から吸い込んでしまう。

これには一体何の意味があるのか。恐怖と不安にどくどくと心臓が鼓動を速くする。

「あっ」

徐々に体の感覚が戻ってきた。指先を自力で動かせることに気づいたが、手足の拘束された部位はびくともしなかった。

どくどく、どくどく。心臓の脈打つ音がやたらと耳につく。

血液が全身を勢いよく巡り体が熱くなっていく。全身が汗ばむ。異常の原因が送られてくる香りであることはもはや疑いようがなかった。

「はぁ……はっ……ぁっ」

頭がくらくらする。

無意識に太腿を擦り合わせようとしたけれど、足首を埋める形で台の左右の端に固定された状態では膝を揺らすことしかできなかった。

……勘違い、なんかじゃない。甘い香りで秘所が疼いている。

発情していく体が信じられず、拘束から逃れようと体にますます力が入った。頭を振ってどうにかマスクを取ろうともがくが一向に外れる気配はない。

「いやっ、やだあっ!」

くぐもった声が部屋に響く。

私が抵抗を強めたからか、次なる機械が天井から分離して降りてきた。

目元をゴーグルらしき物で覆われる。視界が真っ暗になった。

戸惑う私の両耳に何かが当たる感触がした。

「んっ……え、あ……」

ごぼごぼと、まるで水の中にいるかのような重低音が聞こえて、脳を揺さぶられる。

その音を聞いているとなぜだかとても落ち着いてしまい、恐怖心が削がれていった。

体は動く。でも、さっきまであった逃げたいという気持ちがどこかへ行ってしまった。強○的に拒絶心を潰されているのだと気付けても、危機感がまるで湧いてこないのだ。

そうしているうちにも私は甘い香りを吸い続け、体の熱がますます燻っていく。

「あっ……、んんぅ……」

耐え難い肉欲を発散させたい。気持ちいいところを触ってほしい。

こんな状況だというのに体は刺激を求めて腰をくねらせる。

二体の化け物に見られていることも忘れて、私は性欲を発散させてくれる救いを求め続けた。



意識を失うこともできず体の疼きを持て余し、一体どれだけの時間が過ぎただろう。

ようやくゴーグルが外された。開けた視界に真っ先に映ったのは、私を覗き込む新たな二体の生き物だった。

先ほどの化け物も部屋にいる。人間じゃない生命体が増えたことに怯えて涙腺が緩んだ。

「ふぁ……あっ、あぅ……、助け……、おねが、触って……」

だけどそんなことよりも、散々煽られたこの体をどうにかして欲しくて、とうとう私は得体の知れない生物に懇願した。

こちらを覗き込んでくるふたりは、先にいたモノたちより身体的特徴が人間に近い。しかし顔の横には耳たぶが見当たらず、黒い穴が空いているだけだ。両者ともに髪の毛だけでなく眉毛などの体毛がなく、肌は白い陶器のようにつるりとしていた。

目は一見すると人間と同じ形をしているのだけど、虹彩は見る角度によって虹色に変化し、黒い瞳孔が縦に走っている。
鼻筋の通ったツンと突き立つ鼻に、薄い唇。

顔の特徴は両者ともに一致しているが、私を観察するふたりの体格には決定的な違いがあった。

ひとりは背が高くガッチリとした体型で、もう一人は頭ひとつ分くらい低くて華奢である。言うなれば人間の男女に現れる差だ。

「————」

女性の特徴を持つほうが私に向かって何かを喋った。

「え…………?」

言語がわからないとか、そういうレベルの問題じゃない。未だに耳に装着された機械からする低音が、周囲の声をかき消して何も聞き取れなかった。

四体の生き物は私を囲んで何か意思疎通をしているようだ。

最初に部屋に入ってきた小さな化け物が私の臍を指差した。後から現れた人間の男性に近い体をした生物が私の腹に手を置く。

「はぁ、あっ……」

手のひらに体温は感じず、見た目の通り陶器のようなひんやりとした感覚がして体の熱をわずかに冷ました。

しかしそれも女性が胸に触れてきたことによって、すぐに欲情の熱は戻される。

彼女は膨らんだ私の胸をふにふにと押して、指先で乳首を転がしてきた。

「ひぃ、あっ……やぁ……」

恐る恐るといった触り方は愛撫には程遠い。もどかしさが増して腰をくねらせるが、彼女の手は胸から離れることはなかった。

「ふっ、うぁ、あ……あぁ」

左右の乳首を摘まれ、軽く引っ張られた。

見られているとわかっているのに声が抑えられない。

両耳を塞いでいる何かが動いた。器具の縁が耳たぶを包むように変形し、耳の後ろにちくりと微かな痛みが走る。

「いっ……」

それは一瞬の出来事で、何をされたのかもわからないまま機械は元の形に戻り、痛みもすぐに引いていった。

両胸から細い指が離れていく。

淫欲にまみれた肉体を四体の生き物に観察される。見られているとわかっていても、刺激を求めてもじもじと膝が揺れるのを止められなかった。

もっとちゃんと、触ってほしい……。場違いな欲求が頭の中を埋め尽くす。

天井から新たなコードが降りてきて、一センチほどの太さのそれは蛇のようにうねりながら脚の間に移動した。

「いっ、あぁっ!」

いきなりクリトリスに走った衝撃に体が大きく跳ねた。

頭を持ち上げると、コードの先端が敏感な箇所に吸い付いているのが見えた。

直接的な刺激に背中がしなり、口からこぼれ出る嬌声が一層高まる。口と鼻を覆うマスクの内側が白く曇った。

キュポッ、チュ、チュッ、チュッ……、チュゥー……。

水音に邪魔されて室内の音は聞こえないが、ヘッドフォンがなければそんな音が聞こえてきただろう。

「あっ、や、まって、あぅっ、そんなっ……んっ、ああぁっ!」

待ち望んだ直接的な刺激に、発情しきった体はすぐに軽い絶頂に見舞われる。ひくひくと腰を前後に揺らす間もクリトリスへの吸い付きは止まらない。

敏感な箇所を吸引してはチュポッと離れていくのを不規則なリズムで繰り返された。

「やっ、もう、いった……っ、イったからっ、やあぁっ!」

こちらが達したところで機械は一切止まる気配をみせず、感度が上がった体を容赦なく責め立てる。

ひとり台座の上で悶える私を四体の生物は静かに見守るだけだった。

「冷たっ……」

吸引されたクリトリスに液体がかけられる。とろりとしたそれはクラッシュされたゼリーみたいな半固形状もので、秘裂を伝ってゆっくりと台座にこぼれ落ちていった。

次は何が起こるのかと怯える私の視線を釘付けにして、ゼリーを放出したコードの先端に開いた穴は、再びツンと突き立つクリトリスへと被さった。

再び吸引が始まるのかと身構える私の予想に反し、コードの先はクリトリスの根本に食い込むように深い位置で固定されて動かない。

「——っ⁉︎ い、あ、ああっ!」

見た目に変化は訪れずとも、しかしコードの中では次の動作が始まっていた。

「やあぁ! しょこっ、ぐりぐりしないでぇっ」

柔らかい何かがクリトリスを包み、右へ左へと回転する。

手足を固定された状態で強烈な快感に見舞われ、腰が台座から浮いた。

気持ちいい。お預けを食らっていた肉体はたとえそれが機械であっても直接的な愛撫に喜び、ビクビクと反応してしまう。

しかしそんななかでも乱れる私を冷静に見下ろす不思議な生き物たは、私に理性を呼び戻させるには十分な存在感があった。

「や、これっ、はずしてぇっ、……も、やだああぁっ、や……っ!」

後から部屋に入ってきた人間の女性に近い体格をした生物が私の顔を覗き込む。

表情筋がピクリとも動かない彼女が何を思っているのか、私には全く読み取れそうにない。

相変わらず両耳に装着された装置からはゴボゴボと水音が流れていて、彼女が何かを喋っていたとしても声は私に届かない。

「あ、う……っ、や……見ない、でっ」

こんな状況下でひとり快楽によがる自分が恥ずかしくなり、否定を示して首を横に振るも彼女は顔を退かせてはくれなかった。

「ひゃっ、あ、ああっ!」

クリトリスの側面を撫で回す動きはそのままにして、肉芽の頂にヴーンと振動するものの気配を感じた。

「いやだ、やめっ、あっ……きちゃ、だめっ……んんっ」

敏感な箇所に触れるか触れないかの場所に留まる低周波のような振動に、無駄だと知りつつ無意識に腰が引ける。しかししっかりとクリトリスに食い込むコードから逃れられるはずもなく、ついにその時は訪れた。

コードの内側で振動する何かがグググゥ……と、側面をこねられ続けるクリトリスに押し付けられたのだ。

「あ、ああああぁっ!!」

強烈な刺激に耐えられず、私は彼女に間近で顔を見られながら盛大な絶頂を迎えた。

〈………………?〉

耳当てから聞こえる音にノイズが混ざったようだけどそれどころじゃない。

「やめっ、も、イ、イった! イった、からっ、取ってぇ——っ!」

絶頂から降りられず、どうにかコードから逃れようと無我夢中で腰を捻った。恥ずかしいとか考えている余裕はない。

「やだっ、あうっ、んん、あっ! もう、いやあぁっ!」

〈…………テ……〉

快楽に泣き叫ぶ最中、水音の中に小さな声を拾った。それは私を慰めようとしている、言葉というよりも感情に近い意識の断片だった。

「えっ? な……きゃあぁっ、あ、ああ——っ!」

どこからともなく感じた何かを探ろうとしたけれど、クリトリスの快楽に邪魔される。

油断したところにコードの内側が回転を強め、目の前に火花が散った。

〈……ダ…………ジョ……ブ…………〉

私の額から流れる玉のような汗を彼女の指が拭う。

その優しい手つきと頭の中を掠める私を落ち着けようとする意識が合致して、私は必死で彼女へと縋った。

「や、助けてっ、おねがっ……い、もう、あっ、ああ! やめてぇえっ!」

絶頂が止まらない。背中を支えに腰が弓なりにしなる。

体に過剰な力が入り、筋張った太腿の筋肉がひきつる感じがした。

徐々に迫り来る痛みに表情が歪む。すると途端にクリトリスを責める機械の動きが止まり、キュポリとコードが外れた。

「はうっ、あっ、ああ……、あうぅ……んぁっ」

崩れるように腰が台座に沈む。

余韻に震える私を見ながら、最初に部屋に入った二体と男性の形をした生き物は話をしているようだった。

女性は相変わらず私の顔を覗き込んでいるのだけど、快楽が引いていくのに合わせて先ほどまで微かに聞こえていた声も薄らいでいった。

「はぁ、はぁ、あっ、……んっ、あ……?」

どうにか息を整えていると、私の寝かされている台座のちょうど腰の部分が迫り上がってきた。

自動的に脚を広げて腰を突き上げる体勢になったところで、大きいほうの化け物が太めのバンドを出し、私の胸の下とウエストをそれぞれ台座に固定した。

これによって手足と胴体を拘束された私は自力で動かせるのが首だけになった。同時にこの理解し得ない淫らな時間がまだ終わらないのだと悟る。

ここまでくるとさすがに私がここにいるのは食糧目的ではないとなんとなく察しがついた。だけどそれ以上のことは何もわからない。

どうして私はこんな目に遭っているのか。

なによりも、私は生きて解放されるのだろうか……?

感情の読めない生物たちに囲まれて不安でいっぱいになる。

そんな私の大きく開かれた脚元へ、人間の男性と体つきが似た生物が移動した。彼の白い手が秘所へと伸ばされる。

「ひぁ……っ」

クリトリスへの責めで散々イカされ、ドロドロにぬかるんだ秘裂を指でなぞられた。

愛液を纏った指を彼は口元に運び、人間よりも心なしか尖った舌でぺろりと舐める。

「な……っ⁉︎」

自然な動作でなされた行為に羞恥心が込み上げ、さっと視線を逸らした。

そんな私に構わず彼は再び秘所へと指を運ぶ。溢れる蜜を掻き混ぜるように膣口の上を指が往復し、もどかしさに声を殺して耐えていると、あろうことか彼は愛液を纏いぬめつく指を人間の女性に似た体型の生き物に差し出した。

彼女は彼の手を軽く掴んで自らの元へ引き寄せ、私の見ている前で、私の愛液が付いた彼の指をペロペロと丁寧に舐め上げる。

一体これにどんな意味があるのか。

信じられない光景に言葉を失い呆然としている私を置いて、指を舐め終えた彼女と彼は互いに見つめ合った。二人の口元が微かに動いているから、会話をしているのだろう。

彼らの意思疎通が終わるや否や、天井の機械が新たな動きを見せた。

先にペンのような形をした物が付いたコードが降りてきて、私の脚の間でペンの先端がパカりと開く。一番先にビー玉くらいの大きさの黒い球体がついたそれはまるで傘のような骨組みをしている。しかし使用時の傘ほど完全に開き切ることはないようだ。

先細りした正体不明の機械は狙いをつけてゆっくりと、私の膣内に挿し入れられた。

「な、なに……これ?」

異物に対しての痛みはなかった。

膣の締め付けをものともせず、それは骨組みを回転させながらゆっくりと奥へ進む。

もしかしたらそのまま子宮や内臓を突き破られるのだろうかと恐怖したけど、それも杞憂だった。

膣奥に到達した機械は骨組みをたたみ、あっさりと膣から抜け出ていく。

一体今のはなんだったの?

戸惑う私の顔を彼女だけでなく彼もが覗き込む。

「……っ」

感情の読めない四つの瞳に凝視され息が詰まった。それでも彼らから目を背けることはできなくて、怯える小動物のように固まっていると再び膣口に物が当たる感触がした。

異変に視線を下げる。

「え……? なっ!」

天井からはコードと形容するにはあまりにも太い、アームのような物がいつの間にか降りていて、その切っ先が私の膣口に当てがわれたのだ。

「あ……、や、やだ!」

アームは膣口の前から動かない。だけどアームの先端から出てきた何かが、ゆっくりと膣壁を抉りながら奥へと入ってくるのを感じた。

見えないけれど、圧迫感からしてそこまで太くはない。だけど膣を押し上げる感触からして凹凸はあるみたい。痛みひとつなくスムーズな侵入ができるのは、それが滑りを纏っているからか、それとも私の膣が快楽にぬかるんでいるからか……。

膣内に違和感を与えながら進んでいたそれは、やがて膣奥の肉壁に当たったところで停止したようでほっと胸を撫で下ろす。

だけどそれだけで終わるはずがなかった。

膣を埋める存在に微弱ながらも快感を拾い、もどかしさで無意識に異物を締め付けた私は、膣壁にジンと痺れが走ったことに気づいた。それも膣の浅い位置にあるお腹側の……、私が感じるポイントに——。

「ひぅ……っ、……い、あっ……あ! や、それっ、……やめ、とめてっ、……やだあっ!」

じんじんとくる刺激が振動なのか電気なのか、それすら私には判別ができない。

ただナカに入れられた棒状の機械の、途中で突出した部分が膣壁の敏感な箇所を押したまま、そこに留まり快楽をもたらしているのだけは確かだった。

また、絶頂の海に溺れさせられるのか。

胴体を固定されてもがくこともできなくされた私はただただ悲鳴混じりの嬌声を上げることしかできない。

口に装着されたマスクの中、甘い香りが強くなる。頭がくらくらして、体がカッと熱くなった。それと同時に膣内の刺激を与えられる部位が増えた。

「あっ、あうっ、……や、これっ……ぇ?」

……ううん。……違う。

きっと最初から、そこにもジンジンとした刺激はあった。膣奥の快感を、私の体が拾い出しただけだ。

「ぃ……いっ、あっ……、やだ、やめて、あぁ……、くるっ、……ああぁ!」

自覚してしまうとたまらなかった。決して強くはない快楽をより深く感じようと、膣壁がうねり必死に棒をしゃぶる。そこに私の意思など関係なく、拘束具は身悶えることすら許してくれない。

〈…………?〉

〈……テ…………〉

性的な快感で頭がいっぱいになっていくと、また誰かの声が聞こえてきた。

「え……っ? や、あっ、……うあっ、ああ!」

声に意識を向けようにも快楽が邪魔をして上手く探れない。
だけどなんとなく、直感でこの声は私の顔を見下ろす彼と彼女のものに思った。

「おねが、お願いっ、これ、とって! じゃな……と、聞こえな、あっ、んんぅーっ!」

必死に懇願する最中も膣に埋まる機械は作動し続け、私は簡単に絶頂へと追い上げられる。

〈…………ハ……ニ?〉

〈……ダ………………オチ…………テ〉

また、頭の中で声がした。私の悲鳴に近い喘ぎに掻き消えることもなく届く。声というけれど、聴覚とは違う場所で他人の意思を脳が受信しているみたい。

「な、にっ、わからな……んんうっ! もっ、やだあっ!」

二種類の声に混乱をきたす。ひとつは私に何かを問いかけるニュアンスがあって、もうひとつは私を落ち着けようとする響きがあるようだ。

絶頂にみまわれながらも伝わってくる意思を探るもなかなかうまくいかない。そちらに集中しようと試みれば霞を掴んだように頭に浮かんだ言葉が消えて、秘所の快楽に溺れてしまう。

「やめっ、聞こえないのっ、お願い……とめて、これ、止めてえ!」

〈………………〉

〈……ダ…………モッ……ト……〉

必死の訴えに対して頭に流れてきたのは拒絶の意思だった。

私の言葉は彼らに伝わっている。そのことに気付くや否や、しまわれずに垂れ下がったままになっていたコードが再びクリトリスに装着された。

「ああっ、や、あああぁぁっ!!」

膣道の責めと同時にクリトリスをしごかれる。

強烈な快楽を受けるも固定された体はピクリとも動かせず、私は頭を振って泣きじゃくった。

「やめっ、やめて! ……あぁっ! もう、むりいいぃっ!」

〈……ナ……ハ?〉

切羽詰まった状況下でも、頭の中で問いかけが聞こえてくる。

〈……ナ、マ……? ……ナ……エ、ハ?〉

ナマエ……、名前。そうか彼は私の名前を聞いているのかと絶頂に見舞われながら理解した。

問いかけの意味や目的を考える余裕もなく、私は必死に彼へと口を開く。

「ああっ! ——っ、んんあっ、————! も、やえてぇっ!」

とにかく機械を止めて欲しくて無我夢中で自分の名前を口にした。

すると私の願いが通じたのか、クリトリスに装着されたコードがキュポリと吸い付きながら離れた。

「あんっ!」

腰が動くならびくりと大きく跳ねていただろう。

次いで膣内からも機械があっさりと抜き取られた。

〈ダイジョ……ブ…………、……イイ……コ…………〉

絶頂の余韻に震える私を慰める声は彼女のものだともはや疑う余地はない。しかしその声は体が落ち着くとなぜか聞こえなくなってしまう。

「いや……待って……」

意思の伝達が閉ざされる恐怖に怯える私から男性が遠ざかってゆく。

次は何が始まるのかと恐々とする私を彼女はじっと見つめ、声が聞こえなくなるその時まで慰めの心を伝えられた。







【2.地球じゃないどこか】


どこからともなく音楽を逆再生したような音が聞こえてきた。

ノイズに紛れて誰かに呼ばれた気がして声の主を探そうと自分の外に意識を向ける。そこでようやく、ああ今私は眠っているのだと自覚できた。

まどろみがリアルに押し流され、覚醒が迫るのに比例して私の名前を呼ぶ声も大きくなっていく。

同時に、耐え難い甘い疼きがこの身を襲った。


ピリリッ……と。

クリトリスに流れる微弱な電流を感じて私の体は強い痙攣を起こした。

「ひあっ、え……あっ、ああ、なに……、ひぃっ」

目を開けたら視界に飛び込んできた生物に驚いて息を呑む。

彼のことは覚えていた。前にもこうして敏感な箇所を責められた時に後から部屋にやって来た——陶器のような白い肌のをした、人間に近いカタチをしているが明らかに人間でない生き物だ。

彼と一緒にいた彼女は近くにいないみたい。

あの時、機械に散々快楽を与えられた私を残して彼と彼女は立ち去っていった。

それから拘束が外れても動けずにいた私は大きいほうの化け物によってカプセルのような装置に入れられて、いよいよ殺されるのかと半ば諦めていると急に眠気が込み上げてきたんだ。そこからどうなったのかわからない。

ただ私は殺されたわけでも、ましてや悪い夢を見ていたわけでもなかったようだ。私の頬に触れる彼の冷たくてつるりとした手の感触がこれは現実なのだと教えてくれた。

「あっ、な、んで……んぅ、だ、れ……?」

〈…………イ……ル……〉

深く考えることなく自然と口から出た問いかけに対し、驚くことに答えが返ってきた。

空気の振動を体の聴覚器官が拾ったのではなく、脳に直接彼の心が流れ込む不思議な感じだ。その響きからは彼が私の問いに応え、彼自身のことを私に伝えようとしているのがわかった。

だけど不慣れな意志伝達に手こずって、なかなか頭の中に直接入ってくる情報を言葉として認識できない。

「おねがっ……、これ、とめて……んっ、集中、できないっ」

クリトリスをいじる何かを取り除こうと秘部に手を伸ばす。

「え……?」

腰部分で手が硬い物に触れた。それを目視しようと顔を持ち上げる。

私の腰骨あたりにはぐるりと鈍い銀色をした帯状のものが装着されていた。締め付けの圧迫感やなんの違和感もなく体にフィットしているベルトの前下部分は逆三角形に伸びて秘所に貼り付いており、私は自分でクリトリスに触れることができなかった。

「なに……これ」

隙間から指を滑り込ませられないほど、金属は脚の付け根のラインに密着している。触れる感触には金属特有の固さがあるのに、脚を動かし腰を捻っても装着箇所に痛みはおろかそれを付けている実感がない。

ベルトの素材すら判別できない私の知識では、今現在、秘所を覆う金属が内側でどのようにして敏感な部分を責めているのか想像するのも難しい。

未知への恐怖が快楽を上回りぞっと血の気が引いた。

「いや、いやっ! なに……なによ、これっ。お願い、外してっ」

混乱しながらどうにか元凶と思われる彼にすがる。しかし私の頭の片隅に届いたのは、〈否〉という拒否を示す意思だった。

次の瞬間、クリトリスの責めに重い振動が加わった。

「あっ、ああっ! やめ、やだっ、あんっ、あああぁ!」

ヴーン……と。重低音が聞こえてきそうな刺激に暴れる私を彼は抱きしめ、動きを封じ込めた。

「ひっ、あ、ああっ、ん、あうっ……」

背中に触れる腕の冷たさに肩が跳ねた。だけど立て続けに襲いくる快楽によってすぐに気にしていられなくなる。

〈キミ、オマエ、アナタ……——…………ハ、……ジブンたち、ノ…………モノ……〉

「わかっ……た、……っ、……わかり、ましたっ! これ、とめてぇ——っ、ああぁ!」

私の所有権を主張する言葉に反抗すればさらなる責め苦を与えられるのだと思い、彼に理解を示して必死に懇願した。屈服した、とも言える。

どこかもわからない閉ざされた空間で、人間と同等かもしくはそれ以上の技術を持つ未知の生き物に逆らう勇気はなかった。

「あっ、う、んっ、ああっ、んんぅーっ」

体をびくびくと痙攣させて達したところでクリトリスを責める振動は微弱なものに変わった。それでも動きは完全に停止せず絶えず刺激を与えてくるものだから、なかなか余韻から抜け出せない。

〈トメルは、デキナイ……キモチ良イ、ガ……コトバ……カエテイル、カラ〉

「うそ……、そんなっ、あっ」

にわかに信じられず彼を見上げるも、人間でない彼の表情はぴくりとも動かず顔色を伺うことは叶わなかった。

彼のワニのような縦長の瞳孔が動き私を見下ろす。唇は一切動かず声が発せられなくても、頭に彼の声が響いてきた。

〈コレ、コタイ、シキベツノ——、——………………テューイル……〉

個体の識別番号、固有名詞、俗名、愛称——、さまざまな単語が頭の中に浮かんでは消えて、最後に彼は「テューイル」と名乗った。

「ぁっん……テューイル?」

確認するように呟けば〈是〉を示す信号が返ってきた。

〈……ワィレアン、ニハ……アトデ、マダ……〉

「あっ、ん、んんっ……だ……だれ……って?」

〈ワィレアン……テューイル——コノ身、ジブン……オレ、ノ……〉

つがい、番、一心同体、伴侶、妻、パートナー、愛する者、半身、守る者、守られる者、——。

テューイルからさまざまな単語が流れ込んできて頭がカッと熱くなる。

ワィレアンという者が彼にとって特別な存在だというのは十分理解できた。がくがくと首を縦に振ってそのことを伝えると言葉の洪水は引いていった。

「あ……、あぅ……んっ、くぅ、はぅっんんっ」

頭が冷めれば今度はクリトリスの振動に意識が向いて体が熱を帯びる。

快楽がなければ会話ができないとテューイルは言った。その真偽を確かめるすべも、この身に装着された器具を外すすべも私にはない。全ては私を所有したという彼次第だ。
不安定な状況下において意思疎通が可能なことが私にとって唯一の救いだった。

「ここは、どこなのっ……」

〈————……〉

テューイルが何かを伝えようとしているのはわかる。しかし具体的な内容は届かない。おそらく、私にその答えに関する知識がないからだ。

一度意思の響きが頭から消えて、再びテューイルが語りかけてきた。

〈チキュウ、ノ……ソト。……セカイ……ウチュウの、ナカ……〉

——宇宙。簡単には信じられそうにない話だけど、それを証明し得る存在が目の前にいるのだ。
答えを聞いて途方もない無力感が押し寄せる。知ってしまったことを後悔した。

それよりも——そんなことよりも、聞かなきゃいけないことがあっただろうに。

「……ぃっ、あ……ぁ、私は……これから、どう、なるの……っ」

快楽の中に命に関わる不安と恐怖が混ざるのを自覚しつつ、震えながらも問いかけた。

〈……——…………ハンショク、……ノ…………タマゴ…………産ム……腹……二……〉

断片的に届けられた言葉をもう一度、頭の中で整理して繋ぎ合わていく。

彼ら……テューイルとワィレアンは繁殖のために私のお腹に卵を産みつけるつもりなの……?

パズルのピースが合わさるように理解した内容に血の気が引いた。

想起したのは寄生蜂の産卵だ。産み付けられた卵が私の腹の中で孵り、腹部を食い荒らす様が脳裏を埋め尽くす。

「……いや、……嫌、やだあぁっ!」

殺される。死にたくない。その一心でどうにかテューイルから逃げようともがくが彼の腕はびくともしない。

〈…………——…………〉

恐慌状態では快楽を感じる余裕がない。そうなると彼の言葉にもノイズが入ってうまく聞き取れない。

「離して! やだっ……お願い! 死ぬのはいやっ!」

暴れる私をテューイルは台に仰向けに倒した。そして抑えつけるように覆い被さり、私の秘所を隠す金属に手を触れた。

次の瞬間——バチッと強い電気のような衝撃がクリトリスに走り、私は背中を仰け反らせて体を痙攣させた。

「やっ……ああっ! あ、あうっ、んっ、んあぁ」

強烈な刺激の後もパチパチと弾ける弱い責めが続き、いつまた出力を上げられるのかと思うと、暴れることもできない。

そんな状態でも私の体はしっかりと快楽を拾い、テューイルの意思を頭の中に届けた。

〈オチツイテ……ダイジョウブ…………ダイジョウブ〉

大人しくなった私をテューイルが抱きしめる。

「んっ……あ、あうぁ……あっ!」

〈イイ子……ダイジョウブ…………コワクナイ〉

快楽に染まる思考に入り込む慰めは、まるで飴と鞭のようだ。

ふとペットの躾用の首輪を思い出した。犬が吠えると電流が流れる仕組みになっていて、痛みを嫌がりやがて首輪を付けられた犬は吠える行為をしなくなる。

ここで躾けられているのは犬ではなく——私だ。

機嫌を損ねたらどうなるかわからない。逆らって酷い目に合うよりは従順でいるべきなのに、死の恐怖が邪魔をしてろくに動けずただ喘ぐしかできない。

そんな私の感情が伝わったのか、テューイルは一際ゆっくりと柔らかい声で同じ言葉を繰り返した。

〈ダイジョウブ……死ナナイ。……インキュベーター……ダイジ……、ツガイデ、マモル…………死ナナイ……マモル……〉

「ぅあっ、あ……ほんと、う……?」

落ち着きを取り戻した私の問いには速やかに肯定を示す信号が返ってきた。

「……ひっ……ぅ、く、うぅ……んっ、あ、ううぅ……んぅ」

安堵感から涙が流れた。死なない。殺されない。明確な答えに子供のように泣きじゃくる。

〈……インキュベーター、は……タマゴ、を、タクス……ソンザイ……。タイセツ……ココロ……カラダ、ゼンブ……〉

言葉の響きからテューイルはどうにか私を落ち着かせて宥めようとしているのが伝わってくる。

人間じゃない、得体の知れない生物なのに。自分は彼の優しさに触れているのだと認識したらますます涙が止まらなくなった。

感情が爆発して快楽に意識を向けられなくなるとテューイルの言葉にノイズが走る。

またクリトリスに電流を流されるのかと戦慄したが恐れた事態にはならなかった。

テューイルが秘所を覆う金属を指でなぞると、その一部が形を変えて彼の指を中へ通した。そのままテューイルの指は愛液でぬかるんだ膣道へと入り込んでくる。

「あ、や……、ん、んんっ、それ、は……あぁっ」

膣壁に感じた指の冷たさは、私の体の熱によってすぐに消えてしまった。そして柔らかく押し拡げるように膣内を行き来していた指が、私の感じる場所で抜き挿しを止めた。

〈コワイ、コト、は……シナイ。キモチイイ……?〉

「んあっ、……そこっ、まっ……あっ、ああぁ」

〈ミトメテ……インキュベーター、ヲ……〉

クチュっ、クチュ……、スリスリ……クチャっ……。

水音を立てながら指で膣壁を優しく擦られる。

「はぁ……あんっ、まって、だめ……っ、それ、もぅ……くるっ、い、イっちゃう、からぁ……っ」

的確に感じるポイントを愛撫され、クリトリスの刺激も合わさり快楽の高波が押し寄せてくる。

しかし私が高みに飛ばされそうになると察したテューイルは膣から指を抜いてしまった。

「あぁ……ど、して……っ、んっあ……っ」

追い縋るように膣壁が虚しく収縮する。絶頂をはぐらかされて腰をくねらせる私を見下ろすティーはとても不思議そうだった。

〈…………? ツカレルコト、シナイ。話シ、マダ……〉

彼からは性的に私を焦らす意図は全く感じられなかった。気遣い故の行動がもどかしくてそうじゃないと否定するが、テューイルには私の焦燥が上手く伝わらない。

意思の伝達は完璧ではなく、彼には快感が頂点に達するのがどういうことなのか理解できていない。

会話を続けるために私を快楽の中に閉じ込めることにも悪意はないのだ。

終わらないとイケない。そして話の終わりとは、私がテューイルの説得に了承を示した時にしか訪れない。

快楽の波が引いていくのを見計らい再び膣に彼の指が侵入してくる。

「あうぅ、や……、またぁ……んっ」

〈死ナナイ、マモル……、ダイジにスル……、オ願イ……ツガイのインキュベーター……ニ……〉

切なげな懇願が頭の中に響く。楽になるためにはわかったと言うしかない。

判断を委ねられたようでいて与えられた選択肢はひとつしかなかった。そのことに気づきながらも迷って素直に頷けないのは、やはり人間じゃない生き物の卵を身籠るという未知への恐怖が勝っていたからだ。

そして何より……。

「ああ、やっ……あっ、わ、私は……地球に帰れるの……?」

なけなしの勇気を振り絞り一番知りたいことを問えば、テューイルは指の動きを緩めた。

〈……タマゴ、産ンデ……、ココ、イヤナラ…………——……——モドレル〉

「……っ、ほんとう?」

〈インキュベーター……ハ……ムリヲサセタラ……ツヨい、コドモは、ウマレナイ……。アワナケレば……戻ス〉

希望ができた。殺されないなら、生きて地球に戻してくれるなら……下手に逆らわず頼みを受け入れるべきではないか。

たとえそれが嘘であっても私に拒否する権利はなくて。

もともとテューイルの不興を買えばどうなるかもわからない状況下で反抗なんてできるはずがない。

「…………産む、ん、あっ……う、産むから……っ、テューイルの、タマゴっ」

〈ホントウ?〉

弾んだ声に何度も頷く。膣をこねる指が完全に止まり焦りが高まった。

「やっ、もっと……もぅ、んんぅ、あっあぁ、い、イク、の……イカせ、てぇっ」

〈イク……?〉

純粋な疑問を抱かれて真っ赤になりながらテューイルの手首を掴む。

「気持ち、良くて……、疲れることが、したいのっ、……お願い、もっと……あっ、もっと、してっ」

羞恥にまみれながらもねだれば、こちらの望みを汲み取ったテューイルが指の動きを早くした。

「ああっ、そ、それっ、うぁ、あ、ああぁっ」

私の嬌声にクチュクチュと水音が混ざる。そして頭の中では、もうひとつ。

〈ウレシイ、嬉シイ……アリガトウ。タクサン、気持チ良ク、ナッテ…………イク……良イノ……?〉

「イクっ、いい……良いのっ……ぁ、あっああぁ、あああぁっ!」

テューイルの疑問に答えを出すように、全身にぎゅっと力が入りこの身は絶頂に昇り詰めた。

同時にテューイルは膣から指を引き抜く。

〈……スゴイ〉

ビクン、ビクンと打ち震える私を観察する彼から伝わった感想に、今更ながら強烈な羞恥心に見舞われた。

「んっあぁ……ぁっ、……見ないで」

〈……——?〉

人間の心の機微を理解してもらうのは難しいらしい。テューイルの言語化できない疑問符からは、あんなに良さそうにしていたのにというい矛盾に対する不思議な思いが伝わってきた。

私の体が落ち着くのを待ってテューイルはいつの間にか止まっていたクリトリスへの振動を再開させた。

「きゃうっ、あ、やっ……あぁっ」

〈ワィレアン……呼ブ〉

脳に語りかけてくる声とは別に、聴覚を通して彼の声が聞こえた。それは母音や子音から成る言語とは全く種類の異なる、私の耳には音程が著しく変化する「音」としか認識されなかった。

これが彼らの「言葉」だというなら、確かに私とは快楽を介した脳内への意思伝達でしか会話は成立しない。

テューイルが私の身を起こし自らの膝の上に座らせた。人間よりも体温が低いひんやりとした腕に抱き締められるとふるりと体が震えるも、触れているところから彼の体温はすぐに私と同程度に温まり冷たさは感じなくなった。

そうしているうちに部屋の扉がスライドして開き、テューイルに似たカタチをした人間じゃない生き物が部屋に入ってきた。見覚えがある、彼女がテューイルのつがい——ワィレアンなのだろう。

テューイルよりも細身で背が低い彼女は、彼と同じくグレーの袖がないライダースーツのような衣服を身に纏っていた。

こちらへと弾むような足取りで駆け寄った彼女はテューイルの膝の上にいる私をじっと見下ろす。テューイル同様、彼らの顔からは表情というものを読み取ることはできそうにない。

「……ワィレアン……?」

沈黙が居た堪れなくてその名を呼ぶと頭の中に歓喜の声がこだました。

〈——……カワイイっ、イイ子……ダイスキっ、……ワタシの……——っ〉

脳内に再生されるワィレアンの声にはテューイルとはまた別の種類の響きがあった。テューイルよりも一段高いところから聞こえてくるような……、早い話、彼女のほうが感情に起伏があるのだ。

後ろにいるテューイルが私の脚に手をかける。股を大きく割り開かれた。秘所を覆う金属にワィレアンがそっと指で触れた瞬間、クリトリスを責める振動が強くなった。

「はうっ、ああっ、ま、それっ……、あ、あうぅ」

〈……イイコ、良イ子……、モット、呼ンデ……〉

うっとりとした声に流され官能の火がますます体を熱くする。

「……んっ、わ……あぃっ、ワィレアっ……ワィレアン、ワィレアンっ」

私が名前を呼ぶたびに彼女は感激を伝えてきた。良い子良い子と手放しで褒められると自分の心がわからなくなる。
地球ではない、宇宙のどこかも知れない場所で人間じゃない生物に囲まれて私は一体何をしているのだろう。

微かに浮かんだ動揺すらもテューイルが膣に指を挿れたことによっていとも簡単にかき消された。

「あっ! うあ、あ、やっ……ああっ」

止めるために秘所に伸ばそうとした私の両手をテューイルはもう片方の手で楽々と抑え込む。

愛液でドロドロに濡れた膣内にワィレアンも興味を示した。恐る恐る膣口に触れる彼女の指をテューイルがナカへと導き、私の感じるポイントを自らのつがいに教える。

〈……ココ?〉

「んっ、や……そこっ、ダメっ」

〈イイ? モット……、ココを、モット?〉

嫌々と首を振ると何を勘違いしたのか彼女は膣壁を擦る指の動きを早めた。

「んんぅーっ、だめ、だめっ、……ぅあ、ああぁ——っ」

テューイルの腕の中で身悶えながら達した私を見て、ワィレアンが喜ぶ。

〈凄イ……〉

膣が勝手にうねり、彼らの指を締め付ける。ひくん、ひくんと痙攣する私に、ワィレアンは感嘆を漏らした。

「ひあっ、あっ……あぁっ!」

収縮する膣道を指が奥へと進む。細い指に膣奥の肉壁を揉まれると大きく体が跳ねた。

〈ココに、ワタシのタマゴを——〉

ワィレアンが指の腹で押している部分を、テューイルが腹の上から揉んでくる。

〈マダ、ココマデ……道ガ、狭イ……、モウ少シ、拡ゲナイト……〉

「あ、ああっ、ま……待って、卵って……ワィレアンの……?」

〈……? ソウ〉

他に何があるのかと言いたげな、不思議そうな返事が返ってきた。

確かに、考えてみればその通りだ。テューイルとワィレアンはつがいなのだから彼らが卵生であるなら卵を生むのはワィレアンだろう。

でも……だったらどうしてと、疑問にさらなる疑問が重なる。

つがいで雌雄が成立しているなら私という存在は必要ないのではないか。

混乱する私に答えをくれたのはワィレアンだった。

〈ココ、に、ワタシの卵ヲ託シテ……、テューイルガ受精、サセル。……卵ガ産マレルマデ、アタタメルのガ、インキュベーター……〉

「ひゃ、あっ、ああっ……あうぅっ」

ココ、と子宮口をコリコリと引っ掻かれ腰が揺れた。

快楽に悶えながらも理解する。インキュベーター——つまり私は卵を温める彼らにとっての孵化器となるべくここに連れてこられたのだ。

自分の胎に違う生物を身籠る。覚悟なんてできるわけがない。だけどなぜか、拒絶感はそこまで湧いてこなかった。
卵を産んだところで私は死なないとテューイルが言ったからか、もしくはこの状況への諦めか。

反抗の意思は自然と削がれ、自分でも驚くほど環境に順応して喘いでいる。そんな私をつがいたちは良い子だと手放しに褒めるのだ。

「ワィレアンは、嫌じゃないの? 私がテューイルと……そんなこと……するなんて……」

愛する男が他の女と性交することに忌避感はないのか。彼女が与えてくる慈しみの感情がいつか嫉妬に変わるのではと恐る恐る聞いてみたが、ワィレアンには私の憂いは通じなかった。

おそら彼らは人間と全く違う生態をした生き物で、人間の価値観や倫理観は通用しないのだろう。そのことをすんなりと納得している私自身の思考に違和感を感じるも、やがて抱いた疑念は煙のようにいつの間にか消えてしまった。

〈カワイイ、可愛イ……イイコ〉

私を手放しに褒めながらワィレアンは子宮口をまさぐってくる。

「やっ、おく、もうっ、いぁ、あっ、ああぁっ」

快楽に悶える私の顎にテューイルが手をかけた。

〈俺モ……、呼ンデ。……ナマエ……〉

「んあっ、あっ、……イ、ル……、テューイ、ル……、テューイルっ、あうっ、やあぁ」

〈……イイ子〉

〈ワタシモ〉

「……っんあっ! ワィレアンっ、……テューイルもっ……んっ、もうっ、い、いくっ、イっ、あっ……、ああぁ——っ」

競うように名前を呼ばせる彼らの愛撫は何度達しても終わらない。

快楽を感じて嬌声をあげ、必死につがいの名前を呼ぶしかできない私をテューイルとワィレアンは良い子だ、可愛いと褒めそやす。

人間社会で私はなかなか社会に馴染めず、勤め先で毎日のように上司に怒鳴られていた。家に帰れば家族に疎まれ、友達と呼べる人もいない。

地球に私なんていなくても……ううん、きっと私がいないほうが会社も家族も幸せなのだろう。

孤独のなかで誰かに愛されたいとずっとずっと願っていた。

私が求めてやまなかった愛情を人間じゃない彼らが一心に注いでくれている。——身に余る快楽と共に。

「ああっ、ん、あぅっ……、やっ、あぁっ、あっ、んん、んぅ——……」

〈良イ子、可愛イ……、モット、気持チ良く、ナッテ……。可愛イ……愛オシイ、ダイスキ……愛シテル……〉

脳に直接届く言葉を疑うことはできない。ワィレアンのストレートな愛情に、気づけば私はまた泣いていた。

嫌だからじゃない。人間じゃないからとつがいを拒絶する気も起こらない。だってふたりは私を必要としてくれているのだもの。

〈大丈夫……。酷イコト、シナイ。……必ズ、マモル……怖イモノ、ドコニモナイ〉

ぐちゃぐちゃになった心をテューイルに慰められ、快楽に悶える私はどうすることもできずにさらに泣いた。








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