ひぽひぽ堂 2024/03/21 20:43

館の主イザベラ EP4.

一軒の小さな木造の民家の中で
村長である老人は悩んでいた
老人が昨夜、村の見回りの途中で聞いた"謎の声"…
「ウフフフフ……アハハハハ……キャハハハハ……」
闇夜に吸い込まれるようにすぐに聞こえなくなったが
あれは複数の女たちの笑い声のようだった…
いや…
女たちの"ような"笑い声、なのか…
…あれは幻聴や気のせいなどではない、確かにこの耳で聞いたのだ
老人は決心して立ち上がり、家を出て山奥の館へ向かった
(不幸が起こる前になんとかせねば…)

―数日後―
イザベラの館の門の前に一人の青年が立っていた
背は高く端整な顔立ちの、つい最近成人したばかりの青年である
(立派で広い館だ…こんな場所でご奉仕なんて…大変そうだな)
青年は村の村長に言われてここへやってきたのだ
「よいか、あの館に行って三日間ご奉仕してきなさい…」
「この村に危険が迫った時、昔からあの館に住むお方がワシらを助けてくださったのだ…」
「決して失礼のないようにな…」
といういきさつなのだが…
幼い頃から「あの館には近づいてはダメだよ」
「あの館には幽霊が住んでる、祟りに会うぞ」などと村の大人たちは言っていたのに…
そう青年が思った時、屋敷のドアが開いて一人の女性が歩いて近づいてきた
「話は聞いているわ、入りなさい…」
淡々とした女性…イザベラの声だった
一目見て青年は心奪われた。なんて綺麗な人なんだ、と
声も素敵だ…高貴な大人の女性の低い声…
(こんな美しい方にご奉仕できるなんて…が、頑張ります村長!)
イザベラの後に付いて青年は屋敷の中に入っていった…

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