五月雨時雨 2024/09/11 19:43

得られぬ絶頂は望まぬ快楽の中歓迎される

左右の肘から手首までの部分を、背中側で重ねさせる。左右の足の親指から太ももの付け根に至るまでを、隙間無くぴったりと密着させる。そんな拘束によって男達は、裸体の自由を奪われ抵抗も逃走も行えない姿へと変えられてしまっている。
拘束具の類はどこにも見当たらない。縄も、粘着テープも存在しない。そんな殺風景な部屋の中で、男達は白いクッションが敷き詰められた床を無様にのたうち回りつつ、傍目には自らの意思で閉じているようにしか見えない硬く引き結ばされた口からくぐもった唸りを放ち危機からの脱出を求める試行錯誤を積み重ね続けていた。

「んっ、んぅっ、ぶふうぅ……!」
「むぐぅっ! ふぅ、んふうぅ」

すぐ近くにいる仲間と目で励ましを送り合いつつ、男達が衣服どころか縛めすらも纏わされていない裸体を必死によじらせる。早く逃れなければ、あの苦悶を再び味わわされてしまう。焦りと恐怖を胸の内に募らせながら、男達が不可視の拘束から抜け出そうと丸出しにさせられた男根を振り乱しつつ身悶えを繰り返す。
けれど、なりふり構わぬ努力とは裏腹に裸体は二人が望んでいない形から離れられはしない。敵の手に堕ちたその日から体内へと投与され続けたナノマシンがもたらす一方的な支配を為す術無く受け入れさせられた男達の裸体は、拘束を加えられている状態の再現を解けはしない。
自分の所有物でありながら、自分の命令を全く聞いてくれない。今許されている床のクッションを転げ回る動きも、言葉にならぬ唸りすらも、憎き敵が専用の装置を弄りナノマシンに指示を飛ばすだけで禁止させられてしまう。
その絶望的な事実を改めて思い知らされるだけの足掻きの果てに、男達はとうとう汗に濡れ疲弊しきった裸体に対する加虐をもたらされる時を、体内にはびこるナノマシンに自動で指示を飛ばすよう設定された装置が起動する時を迎えさせられ、残りわずかな自由を削ぎ落とされると共に己の動きで苦悶を生成させられる屈辱に満ちた○問へと二人仲良く導かれてしまった。

「んぅっ! むぶっ、ふぶうぅっ!」
「むっ、ふうぅ! んむぅぅぅーっ!!」

勝手に二つ並んでうつ伏せの格好となった裸体が、床のクッションに向かって腰を熱烈にくねらせる動きを開始する。手足と口への縛めはそのままに、床の柔らかなクッションを用いて男根への刺激を追求させられる惨めな自慰を、外部から掌握された裸体達が自身の火照りを無から増幅させつつ行い始める。
もちろん、その強制力に逆らう手段など男達には無い。真横で自分と一緒に腰を揺らめかせている仲間と協力することも叶わない男達は、幾度と無く経験させられたナノマシン由来の発情に恐怖しながら、勃起した男根をクッションの摩擦と合わせて嬲る自らの腹筋と腰の攻撃にただただ快楽を覚えさせられるしか無い。

「む、ぎゅ! ぶふうぅぅーっ!」
「もぶっ、ぐ、んみゅぅぅぅ……っ!!」

迫り来る絶頂を嫌がりながら、男達が拒絶の意思を乗せた唸りを紡ぐ。敵の思惑に沿った射精を強いられたくないと考えながら、男達がせり上がる射精欲を少しでも堪えようと下腹部に意識を集中させていく。
その苦し紛れの唸りと、現実逃避に近い射精の否定が実現することになる未来をまだ知らない男達は、今与えられている命令がいつもの絶頂地獄を作り出す物ではなくどれだけ快感に溺れても絶頂には決して至れない生殺しの○問を作り出す物であるという非道な真実を想像さえ出来ぬまま目前に迫った射精の感覚を無意識に歓迎しくぐもった悲鳴に含まれる甘い至福の色を無自覚に深めていた。

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