残酷な男は眠気に負けるまで生殺しの快楽を容赦無く味わわせる
鼻の穴と男根を除く全てへと執拗に巻き付けられたラップによって、男の裸体は両腕を胴体の真横に沿わせ両足を後ろに曲げた体勢から離れられないよう身動きを封じられてしまった。そしてそのラップの上から加えられた黒い粘着テープによって、男はすでに自由を奪われていた裸体から視界の自由さえも没収され、無様にのたうち回ることすらも出来ない姿へと追いやられてしまった。
ラップとテープ、二種類の檻に閉じ込められた裸体はもう何処にも逃れられない。テープの黒にほぼ全てを包まれた裸体を木で作られた背の低いテーブルの上へと追い打ちのテープで縛り付けられた仰向けの男はもはや、逃げることはもちろん無防備にさらけ出された男根を隠そうと試みることさえ許されない。
見ることも、しゃべることも、手足を使うことも叶わない。そんな状態に追いやられた今の男は、自分を捕らえありとあらゆる選択肢を削ぎ落とした男が生み出す無慈悲な責め苦に拒絶を示すことも出来ぬまま、間抜けに悶絶を引きずり出されるだけの存在でしか無いのだ。
「んっ、んぐぅっ! ぶみゅぅぅ……っ!!」
テーブルに縫い付けられ振り乱すことも不可能にされた頭部を震わせ、それ以外の部分が行う痛々しい痙攣に合わせてラップとテープを耳障りに軋ませながら、男がくぐもった唸りの色を限界を表わす物へと変化させる。
もうすぐ、絶頂に達する。その事実を無自覚に主張しながら、男が鼻をみっともなく鳴らしつつ男根の脈動を一層激しくさせる。
その愉快その物な痴態をベッドに寝転がった姿勢で堪能しながら、残酷な男はテレビのチャンネルでも変えるかのようなくつろぎの態度で右手のリモコンを弄り、ベッドの左側に設置したテーブルの上で惨めに苦しむ男を襲っていた悦楽をまた、出口に至る直前で無慈悲に引き下げてしまった。
「うぎゅぅぅ……! ぶ、むうぅ……っ!!」
男根の根元と、亀頭の真下に緩く食い込んでいた黒いローター型のベルトが、リモコンから飛ばされた残酷な指示に従って己の振動を微弱な物に移行させた。
目前に迫った射精という解放を手繰り寄せるには物足りない。けれど、男根を萎えさせるには刺激が強すぎる。そんなもどかしい振動を注がれながら、男が黒に閉じ込められた裸体を情けなく跳ねさせ絶頂を延々とおあずけされているせいで体内に蓄積した欲望をどうにかして誤魔化すかのような腰振りをみっともなく繰り返す。
そのただただ滑稽なだけの身悶えを悠然とした佇まいで鑑賞しながら、無慈悲な男は前後左右に踊り狂っている男根に愉悦の視線を浴びせつつさっき弱めたばかりである淫具の責めを再び強め、男に次の寸止めを前提とした快感を与え始めた。
「むぎゅぅぅぅーっ!? うっ、んふうぅっ!!」
再度男根に訪れた苛烈な攻撃に絶叫しながら、男が生殺しの悦楽を終わりにしてくれと必死に全身で訴えかける。破裂しそうなくらいに膨張している男根から透明な蜜を涙のように溢れさせながら、限界以上に追い詰められた男が壊れかけの理性でなりふり構わずに慈悲をねだる。
それら一切の懇願を寝る前の娯楽として消費する残酷な男は心地良い睡魔が己の内で増幅するのを感じながら、自分が朝に目覚めた際に待っているのは終わり無き生殺しに壊れた男かそれとも精液が尽きてもとまらない淫具に断続的な絶頂を強いられ壊れた男かとぼんやり考えつつ、意識が途切れるその時まで右手のリモコンを操作し射精寸前まで追い詰めての没収を何度も何度も味わわせていくのだった。