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ProjectRepadars 2021年12月16日 22:48

ようこそシネマハウスSS「ジャン・L・スダールとの闘い」

□前書き


正直、これが何だったのか覚えていないが、2003年ごろに作られた個人誌「劇団・電光ファンブック」に収録されたSSだったような気がする?
本来はもう少し長かったような記憶があるが、何となくの範囲で見つかったデータをお届け致します。
多少の手直しはしてありますが、古い物なので色々とご容赦ください。

□ジャン・L・スダールとの闘い~ピヨちゃんを探せ!

inシネマハウス事務所

 シネマハウスのオーナーに呼び出された僕は、涙ながらに縋ってくる子役出身の天才美少女可愛い名女優、リブル・テンプルをよちよちと宥めながら、どこかの機械カミソリのCMに出てきたやや筋肉質の俳優のような微笑みで彼女の依頼を聞き受けた。

「本当ですか。監督、必ずピヨちゃんを見つけてください、あの子がいなくなったら私。 私もう、本当にどうしたらいいか…」
「いいですか監督さん、必ずリブルのペットのヒナドリを見つけ出してくださいね。お礼は十分に致しますわ」

 何やらモブが騒ぎ立てているが、ああ、それにしても悲しみに揺らぐリブルはかわいいな。
 お礼はがっぽりという事だが(がっぽりとは言ってないが)それには、リブルとの一日デート券も含まれるんだろうか。
 いやいや、ここまで泣いているんだから、一日デート券とは言わずに一週間の婚前旅行というのはどうだろうか。
 監督、リブルと見つめあう二人のシーン。ついでにエッチ。あと、エッチ。

「ちょっと、監督さん。聞いていますの? これだから三流の新人監督は…」
「あの、キンカクさん。話はそのくらいで、リブル君も落ち着いて」

 いかん、何やら妄想に浸ってしまったらしい。
 映画監督というものは非常に孤独なものだな。孤高に憂う灰色の頭脳。

「……やれやれ、キンカクさんにも困ったものだね。もうすぐ映画の撮影だっていうのに、これじゃあリブル君のペットが見つかるまで延期になりそうだよ」
「そうですね、ペットを捕まえて映画の撮影が終わらないと、リブルとの婚前旅行にも行けませんし」

 オーナーは何やら呆然としたままパイプを吹かしていたが、僕がヒナドリとやらの写真を熱心に見つめていると婚前旅行に賭けるオーラにご満悦してくれたらしい。

「まあ、目的は何でもいいが、ほどほどにね……」
「もちろんです、婚前エッチは控えめが大事ですから」


inパライソ広場

「あら、ナカムラじゃない! そっちでも、ヒナドリ探しを依頼されたの?」

 サムスペードのような足取りで軽やかに調査をしていると、リブルとのエッチを目指す前に何本か撮影した女優ザジが虫メガネ片手に草むらを探っていた。

「ああ、婚前旅行のための布石を探しにね」
「相変わらずワケわかんない事言っているのね、見た目はそこそこなのに勿体ない」
「ザジ、いい加減諦めて、次の公演の準備をですね」
「何言っているの主宰。貧乏劇団が這い上がるためには、報酬のお礼を手にしてから次に繋げなくちゃ。ガッポリ儲けて、ガッツでゴーってやつよ!」
「やれやれ、またザジの病気が出ましたか……」

 広場は劇団・電光の関係者の縄張りと化しているようで、そこら中に罠らしいロープが張り巡らされていた。既に調査は充分のようだし、他を当たるべきだろうか。

「ふっ、君もヒナドリ探しに翻弄されているようだね」

 帽子を揺らしながら、キザなアイツは僕に先行嫌味合戦を仕掛けてきた。
 いや、それは別にいいんだが---。

「ジャン・L・スダール!! 何でお前がここに居るんだ!? そもそも、僕らが知り合うのは映画祭からで、このイベント中に登場フラグはないんだぞ!」
「ふっ、大人の事情というやつだ。僕だって出番は欲しいからね!」
「き、貴様。HARD社に何円積んできた?」
「さあね、ビール券三枚ってところかな」

 ---くっ、ビール券なら仕方ない。

「それよりだ、ヒナドリ探しに参加するという事は、お前もリブルとの婚前旅行を狙っているな?」
「婚前旅行が何かは理解しがたいが、リブルファンクラブ会員。通称LMKのメンバーなら当然の行いだ。ファンクラブ会報にも通達が来たからね」
「な、何だその、LMKって?」
「リブルちゃんマジカワイイの会だ! こう見えても私はゴールド会員なんでね」

 差し出してきた会報と、光り輝くゴールド会員証には、運営「キンカクジ・テンプル」と記載されていた。
 おのれあのババア、僕の愛する妻(予定)になんていう事を!!

「これが今月の2L版リブル生写真。シークレットの青ビキニ姿。そしてこちらは、アンオフィシャル版の隠し撮り写真だ!」
「あ、アンオフィ版。何という際どい食い込み! これは没収する!」

 拳で押しのけてくるジャンを蹴りで制圧し、ファイリングされたフォルダーを奪い取る。
 何というけしからん、何という紐ビキニ!

「ま、まて、欲しかったら自分で買え!」
「僕は、彼女の次回作の監督だ! こんなものが流通したらスキャンダルになる、業界のコンプライアンス違反だ!」
「こ、コンプライアンス違反だと。リコール隠しの時事ネタを織り込んでくると、強く反対も出来ない」
「つまり、これは監督権限で没収させて頂こう」
「むう、まあ、保存用と保管用と観賞用の三部ずつ買ってるしな」
「どれだけ儲けてるんだLMKの会……」
「三部ずつ購入すると、ツーショットチェキ会に参加できるのでな」
「ツーショットチェキだと、むむ。会員の申込用紙をまずは貰おうか」

 「ヒナドリが出たぞーーー!」

「おっと、こんな奴に構っている場合じゃなかった。メンバーとしての目的を達成しなくては」
「何を、ヒナドリはお前には渡さんぞ!」

 互いに足のつま先を踏み合いながら、僕たちはヒナドリを目指して駆けていく。
 目指すは婚前旅行、愛欲に乱れた温泉街の宿でのひととき。

in裏路地

「おい、なんだこのデカさは……」
「どうやら放射能か何かでも食べて、巨大化したのか?」
「やめろ、リップルちゃんネタはまずいぞ」

 写真の50倍の大きさはあっただろうか、やけに大きな怪鳥と化したヒナドリがそこに居た。
 更に警戒しているようで、近づくだけで盛りの付いた母猫のような威嚇っぷりである。

「ふふふっ、ここはオラに任せるだ」
「お前は、まさか!」
「まさか、お前は……」

「「……誰だっけ?」」

「カメラマンの狩野デコイだ!!! 酷いっすよ監督さんには次回作の撮影を担当する話だったのに」

 分厚い眼鏡、さえない格好。
 うーーーーーーん。記憶にないが適当に応対しておこう。

「すまなかったね狩野君。ここはお約束と言うやつなんだ。それより、その手に持っている籠は何なんだい?」
「よくぞ聞いてくれた監督さん! これは、ヒナドリを押さえつけて閉じ込めるヒナドリ沈黙マッシーーンです」
「ヒナドリ沈黙、マッシーン?」
「はい、これさえ有ればヒナドリは中に備え付けられた時計型麻酔銃でイチコロです。そして、オラはリブルちゃんと。ムフフ」

 理論はわかるが、両手に収まるサイズの籠で巨大な怪鳥を押さえつけられるとも思えない。
 しかし、現状こんな怪物を相手に出来るほどの武器もないし、ひとまず彼には犠牲になって貰うとしよう。

「うん。当て馬って大事だよな。狩野君、ヒナドリの事は君に任せたよ」
「本音と建前が混同してるっすよ。まあいい、オラの必殺ヒナドリ沈黙マッシーーンを食らうがいい!」

 狩野は胸ポケットから輝くカードを取り出して、巨大なヒナドリに見せつける。
 中央にLMKの文字が大きく書かれ、リブルのデフォルメイラストが納まったそれは、紛れもなくジャンが手にしていたあのカードだ。

「それはまさか、伝説のプラチナ会員カード!! LMKメンバーの中でも数パーセントしか持っていないという……」
「ふふっ、ヒナドリはプラチナ会員には反抗できないように教育されているらしいっす。これもキンカクジさんに、闇の写真の売り上げを提供しまくった功績っすよ」
「そうか、あのアンオフィシャルは! 道理で、素人には撮影できない持ち味が秘められているとは思っていたが……」

「「-----あっ!」」

 ヒナドリはプラチナカードを握っていた手だけをスルーして、狩野を踏みにじった。
 確かにプラチナカードには反抗していないが、持ち主を大切にする心というものは存在していないらしい。

「やはり、カメラマンは青旗りんごちゃんに頼むのが正義だな」
「あぁ、バンダナの彼女の事か。今度紹介してくれたまえ、報酬は弾むぞ」
「うむ、りんごちゃんは正義だな」

 お後が、よろしいようで。

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