ハロウィンのお誘い
「そういえば、もうすぐハロウィンですね」
学校の帰り道のこと。
透はいつものように早苗と一緒に帰りながら、なんでもない雑談としてそんなことを切り出した。
「ハロウィンってあんまり好きじゃないんですよね、私」
「パリピがうるさいから?」
「それもありますが、ほら、私ってリアルモンスターなトコあるじゃないですか。なので、ちゃらちゃらしたコスプレの、人外モドキが闊歩していると警察魂が暴走しかけます」
「警察魂」
不思議なワードを復唱する透。
「ほら、弓道警察とかあるじゃないですか。モンスター警察って訳です。いや、その羽の生え方とかおかしくない?みたいな」
「でも、早苗さんには羽とか生えてないですよね。角とか」
「私は高貴な夜の一族ですからね。創作物の吸血鬼みたいに、そんな悪魔的なものは生えていません。あくまで夜の一族は人間から進化した種族なんです」
ドヤ顔で胸を張る早苗。何重にも布が折り重なった森ガール衣装の上からでも、大きな胸が震えたのがわかった。
「ですが、露骨な人外的な特徴を持った種族もいますし、知り合いもいますから。モドキを見てると違和感がすごくって」
「なるほど。なら、早苗さんのコスプレとかは期待できないなぁ」
「期待してたんですか?」
露骨に嫌そうな、軽蔑するような冷たい視線を向ける早苗。
「少しは」
「不潔」
「そ、そんなにいけないことですか!?可愛い彼女のハロウィン仮装を期待するぐらい……」
「露骨なおべっかを言っても遅いですよ。どうせ、エッチな衣装を着てくれないかなー、とか下心満載だったくせに」
「それはまあ、そうですとも!」
「うわぁ、今度は開き直りですよ」
「でも俺、割りと真剣に期待してたんですよ?」
「そ、そうなんですか。むぅっ…………」
早苗はしばらく、困ったように顎のところに握りこぶしを当て、悩んでいる素振りを見せる。
「やっぱり、ナシですね」
「無慈悲!」
藤宮早苗、半吸血鬼(ダンピール)であり、透の彼女。
しかし彼女は、中々にガードが硬い系女子なのであった。
「なんでですか。なぜそうなったのですか!」
「さ、早苗さん!?」
「なんで学校単位でハロウィンパーティーとか考えるんですか、アホですか、この学校は。定時制のくせに!」
「さらっと自分がもう3年も在籍してる学校をディスらないでください」
「でも、今年で初ですよ!?」
ハロウィン当日の夜。月曜日、平日のために普通に学校はあり、そして、定時制に通っている二人は学校終わりがハロウィン本番の時間と重なる。
結果、その日はコスプレが許可され、放課後は楽しもう!という感じになっていた。
「で、早苗さんは吸血鬼なんですね」
「とりあえずマント羽織っておけばそう名乗れますからね。世間一般のイメージの安直さですよ」
「ちなみに俺、何かわかります?」
「怪盗」
「わかってますよね。俺も吸血鬼なんですよ」
「トオル君。それは明らかに私を意識したものですよね」
そこまで言うと、早苗は我慢できなくなったのか、視線を反らし、顔を赤くする。
「なんかそれ、怖いですよ。むしろキモいです」
「めちゃくちゃ声、にやけてますけど?」
「…………嬉しいんですよ、普通に」
「やった」
無邪気にガッツポーズする透。
「まあ、私からするとトオル君まで世間一般の吸血鬼像そのままな仮装をしたのは、悔しいというか、微妙な気持ちもありますが。……でも、あなたが私をリスペクトしてくれた結果なのはわかってます。それは嬉しいですよ」
「……よかったです。そう思ってもらえて」
「はぁ、こんなことをあなたがしてくれたので、仕方がないですね。私も観念しますよ」
「えっ……?」
「こっち、来てください。他の人に見られないようなところ」
「は、はい」
早苗は更に顔を赤くして、透を学校の敷地の外れへと手招きする。
そして、周りに見られていないことを何度も確認して、マントを脱いだ。
「えっ……!?」
そうすると出てきたのは、チューブトップ状の衣装に、コウモリのような羽を背負った“悪魔”姿の早苗だった。
ご丁寧に角の生えたカチューシャもしていて、かなりしっかりと小悪魔になりきっている。
「私は吸血鬼ですが、あまりそれらしい特徴はないので。わかりやすい悪魔になってみようかと。もちろん、ここだけは自前ですよ?」
そう言って、早苗は自分の口内に備わった二本の牙を指差す。人の八重歯よりも明らかに目立ったそれは、彼女が吸血鬼である証明だった。
「だ、だからって早苗さん、エロすぎません……!?後、お、おっぱっ……!」
「あ、あんまり見ないでください!これ、普通にサイズ合ってないので、ずれてくるんですよ……!」
そう言って、早苗は危うくこぼれそうになる胸を、無理矢理に衣装の中に押し込む。
精一杯、布地を引っ張ってこぼれないようにして。しかし、すぐに胸の重量のせいなのか、ずり落ちてきてしまっていた。
「この姿で歩いてたら、普通に痴女ですね……」
「言わないでくださいってば!……後、マントで隠していても、それはそれで露出狂めいているのでは、と今になって気づきました」
「……なんか逆にいいですね、痴女先輩と一緒に帰るのとか、想像するだけでヤバイです」
「狙って痴女になった訳じゃないですって。……トオル君に、喜んでもらいたかったので」
早苗は顔を真っ赤にしながらも、熱っぽい視線を透に向ける。
「ありがとうございます。嬉しいですよ。すっごく」
彼も笑顔を見せ、再びマントをしっかりと巻き込んだ早苗は、透と一緒に帰路へと就いた。
学校の仲間たちは、ハロウィンの馬鹿騒ぎをするのかもしれないが、二人には二人だけでするべきことがある。
【 鑑賞プラン 】プラン以上限定
支援額:500円
着衣パイズリ、対面座位中出しをしちゃうエッチな続きです
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