投稿記事

ショートショートの記事 (5)

ノラ 2021/11/16 01:10

『ねこ星人クイーン』

猫を飼いたいんじゃあ。
あああ。
猫が飼えないなら生きてる意味ない。猫になることも諦めているというのに。
神はどこまで私に忍耐を求めるの!? と、思っていたある日。私は、運命の人と出会うことになる―――!!

「……お?」
学校から帰ろうとしていると、足元が揺れた気がした。何か踏んだかな? 靴を見たが、特に変わったことはないようだ。なんだったんだろうかと思いつつ顔を上げると
巨大なねこ星人が町を蹂躙していた。
無残にも地面から引っこ抜かれ、積み重ねられるビル。(ていうかジェンガに見立てて遊んでいる……?)
そんなことを思いながら呆然と立ち尽くしているうちにそのねこ星人は私を見つけて、ゆっくりと歩み寄ってきた。ずしんずしんと地響きをとどろかせて。
やけに大きな耳をぴくぴくさせているところを見ると、匂いか音を追ってきたらしい。
えっなに怖いんだけど。
逃げようと走り出した私の目の前に立ち塞がったのは、そう。

長い金髪をはためかせ、まっすぐに私を見つめるブルーの瞳、透き通るような白い肌、整った目鼻だち。そしてすらりと伸びた足にはニーソをはいている、背の高い美少女。
しかも頭に二本の小さな三角形の毛玉を乗せていたのだ!
うわーん、可愛い! その体、交換して!?
よし、持ち帰って家で飼おう。猫飼えないマンションだけど、猫耳を隠せば大丈夫だよね。
……なんて見とれてる場合じゃなかった! 背後には巨大ねこ星人、目の前には猫耳美少女! まさしく絶体絶命である……と思ったその時だった。
彼女がおもむろに口を開く。どうでもいいけど息がちょっと獣くさい、でも可愛いから許す。
彼女は言うのだ、『この星は我々が占拠した』
そして背後の巨大ねこ星人も、彼女にひれ伏している。え!?
彼女は――ねこ星人クイーン!? という夢をみたんですが。
(以下略)
さあ今日こそ買うんだから! と意気込んで家を出たものの百均に着いたら何を買うか忘れてしまって、しょんぼり肩を落として帰る途中、私は運命と出会った。
路地裏の隅っこにあるダンボールの中に入っている、小さな子猫に。
(了)


あとがき:表紙イラストを描いてくださっている夕多丸さんへ捧げます。
こんにちは、ノラです。今回は初(ではない)のファンタジーに挑戦させていただきました。いかがでしたでしょうか? 楽しんでいただけたら幸いです。
それではまた次の作品でお会いできれば嬉しいです。
できれば感想など頂けるととても喜びます。
ありがとうございました!
***
【追記】
本書の表紙イラストを担当して下さった夕多丸様よりコメントを頂きました。---

どうも初めまして、夕多丸です。今回久し振りに、自分が描いた絵を見たのですが、なぜか自分が描いたことを忘れていまして(爆)
「あれ、ノラさん! すごいブログみたいな絵描いたね~」とかアホなこと言ってしまったw(←実話)
え? マジですか? これって僕が描いたんすか? いや~、なんかもう色々とすみません。
しかし、自分の絵とは思えないほど可愛らしく描けたと思います! 本当に感謝してほしい。
(ちなみにこれもAIに書いてもらっています)
ところで、本文中に出てきた"ねこ星人"とは一体……。
もしや僕の知らない間に、新たな萌えジャンルとして確立されたのかッ!! だとしたら、是非とも詳しく教えてくださいませm(_ _)m

とのことです。




もはやあとがきが本編と化したAIのべりすと手記。
夕多丸さんがコメント書いたわけじゃないけど、表紙に関しては実話です。
自然とテンション高い文体につられて書けるようになるのでノリが良くなっていいなぁ。


(・w・ノノ"☆拍手ボタン

ノラ 2021/11/15 21:38

『ねこ星人と路地裏で』

軟体のでろでろした生き物、それがねこ星人である。
一つ目で、常時ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべているのである。
よく生息しているのは路地裏、苔むした壁の隙間なんかに挟まっていたりする。
「うへぇ、気持ち悪いな」
とは言っても、若干、半透明で現実味がないからか、そこまでグロテスクな感じではないんだけどね。
『ふふふ……』
「何が可笑しいんだよ」
学校の帰り道、車にひかれて半分ぺらぺらになったそいつを見つけた。
アスファルトと融合していて、そこから動けないらしい。なのにそいつは、祭りのヨーヨーみたいに楽しげに跳ねている。
『うふふふふふ!』
――いやまあ別にいいんだけどさ。楽しいなら。
そんな奴ばっかりだしなぁここの住人。まともなヤツはいないよまったく。みんなイカれてんじゃないのか?
服を脱ぎ捨てながら銭湯に向かうおっさんやら、電柱を舐めまわす婆さんやら、妖怪じみた奴は見慣れている。
それが路地裏というものだ。
ちゃんと学校に通っている俺は、まだマシなほう。幼馴染のミーちゃんは、もう十年も前からずっと登校していない……。
学校は大事なのに。
学ぶべきことは、まだあるはずなのに。
俺なんか二十年も小学校に通い続けている。
ああ、今日の漢字テストも合格できなかった。母ちゃんに見つからないように、ゴミ捨て場に捨てちまおう。
あいつら(卒業生)は俺のことをバカにするけど、勉強してない方が悪いと思うんだ。
勉強が一番大事だって、母ちゃんはいつも言ってた……。
『あひゃひゃひゃひゃ!』
でろでろしたゴム状の生き物は、絡まって団子になってしまって、もうただのゴミだ。
ゴミなのに笑っている。
無性に腹が立ってつかみかかったら、指の間をむにゅっとすりぬけて、袖の中に入り込んできた!
「うわっ」
皮膚の上をぬめぬめとした感触が駆け上がってくる。
俺はパニックになって、空き缶に足を滑らして転んだ。

……どうやら、頭を打ったらしい。
電線の上で黒い鳥のようなものがぎゃあぎゃあと鳴いている。
「こんなところで寝てると、またカラスに襲われるぞー?」
聞き覚えのある声……ミーちゃんだ!
彼女は長い髪に、白い肌をしている少女だった。
顔つきは日本人そのものなのだけれど。まるで、西洋のお人形のように可愛かったのだ。

「カラスじゃない。ねこ星人が……」
「?」
「ねこ星人が……からみついてきて……。ねえ、俺の目、ちゃんと二つある?」
「しっかり二つあるじゃん! お前本当にダイジョブなのか?」
彼女の手を借りながら立ち上がった。
それから二人並んで家に帰る。
夕暮れの住宅街には人っ子一人見当たらない……俺たちだけ。……その静けさがなんだか怖くて、懐かしくて。
そういえば、ミーちゃんはなんで十年前の姿のままなんだろう。俺がそう思っていると、
『あんたも子どもじゃん』
ミーちゃんはニヤニヤ笑う。
俺はいつまでここに居座れるんだろうか。
この世界のどこかにはまだ、ねこ星人たちが潜んでいるに違いないのだ……。(了)


最後までお読みいただきありがとうございました!! 感想など頂けるとありがたいです~!!!!


AIのべりすとと合作第二段。
ねこ星人を出すとバトルものにしようとしてくる。
怪物だから?



(・w・ノノ"☆拍手ボタン

ノラ 2021/11/15 19:54

『わたしと彼のおかゆな日々』

おかゆおいしい。でも毎日食べていると飽きる。
おかゆ以外に食べられるものがないだろうか。
「ねえ、これなんてどうかな?」
わたしはリュックから小瓶を取り出した。中には黄色い液体が入っている。
「これはねー、レモン汁と塩を混ぜたものなの」
「レモン……酸っぱいやつだよね? それって飲めるの?」
「試してみる!」
と、不安げな彼の前で、わたしは一気に飲み干してみせる……が、
「ぶはぁっ!!」
「だ、大丈夫……?」
げほげほと咳き込む私の背中を、彼がそっとなでる。
ちょっと恥ずかしいな……。
そんなこんなしている間に息も整ってきて、顔をあげる。
そして、驚いたように目をぱちくりさせる彼の顔をみながらにやりと笑った。
(ふふーん!びっくりしたでしょ?)
彼はというと口をあんぐり開けたままこちらを見ていたがすぐに正気にもどって、
「……まったく。そんなことばかりしているから、体がずたぼろになるんだよ。おかゆを食べなさい、おかゆを」
「え~もっと刺激がほしいよ~」

わたしは焦っている。
彼と付き合いはじめて、もうすぐ一ヶ月経とうとしているのだから!
……でも付き合っているとは思うものの、キスすらできていない。
手を繋いだり頭を撫でてくれたりとスキンシップはあるがそこから先には進めていない。
というわけで今日こそは! と思って、朝ごはんのときに勇気を振り絞ったのだ。
でも彼はわたしの気持ちなどつゆ知らず、私が吐いたところを掃除している。
「そんなことしなくていいからさ……」
わたしは次の小瓶を取り出しながら言った。
しかし、彼は首を横に振って、
「いや、だめだから」……ちぇー、ノリ悪いんだもん。
いつもなら『いいからいいから』とか言って許してくれるくせにさ。
こういうときはほんとうに厳しいんだから……。

わたしたちは朝食を終えた後片付けをしていた。
公園を散歩中の犬が、おかゆがついた紙皿をぺろぺろとなめている。
子ども達が遠巻きにわたしたちを指さして、何か言っている。
ほーむれす、という単語が聞こえた。
彼は聞こえないふりで、公園にいる現実を無視している。
わたしたちには家がない。駆け落ちしたからだ。……というのは建前で。
本当はただお金がなかっただけ。
家賃を払うのがやっとだったわたしたちが駆け落ちをしたところで、結局どこかに住みつくことになるだろうということには薄々気がついていたけど、まぁいっか! ということで二人で暮らして今に至る。もちろん親には心配をかけたけど……。(ごめん

ポケットの中に手を入れて、小瓶の形を確かめる。
この瓶に入っている毒は、レモンみたいに強烈な味らしい。
今度は吐き出さないようにしないと。そう決心しながら蓋を取ると中身を口に含み、ごくりとのどを通す。
よしっ!行くぞーっ! ……と思っているところに後ろから声がかかった。
「あ、そうだ」
振り向くと同時に彼に口づけされたと思ったら液体が流れ込んできた。驚いてそのまま液体を飲みこんんでしまう。
酸っぱさと甘さが混ざり合い、頭がクラクラする。
「解毒剤、だよ」
君のことなんて全てお見通し、とでもいうような、すまし顔で彼は言う。でも少しだけ、頬が赤いんじゃない?

――こうして、わたしの初キッス大作戦は成功したわけだけど、考えていたのとは違う展開になったので驚いた。胃腸もびっくり仰天だ。
うう、耐えろ……!
お腹をおさえながら、わたしは芝生の上を転げまわる。
秋晴れの青空を、飛行機が飛んでいくのが見える。
やけに低く飛んでいるな。墜ちるのかな。
炎上する機体の中で、固く手を繋ぐわたし達の姿が思い浮かんだ。……悪くないかもね。
わたしは彼の肩に頭を乗せて、呟いた。
「……ありが……と……」
そしてゆっくりと目を閉じた。


あとがき
はじめましての人もそうでない人も、こんにちは。ノラとAIのべりすとと言います。この作品は、合作で書いてみました。いかがだったでしょうか?………………あれ、なんで誰もコメントくれないんですかね。……寂しい。
この作品を読んでくれた皆さんに感謝です。本当にありがとうございました。では、失礼します。

11月15日追記
☆ 評価してくれて、とても嬉しいです。ありがとうございます! それでは


AIのべりすと使ってみた

5行くらいずつ交代で書いた
AIのべりすとのほうが文章うまい
ちゃんと小説になったし、あとがきまで書いてくれた……すごい



(・w・ノノ"☆拍手ボタン

ノラ 2020/04/10 21:02

花盗人


庭の水道で手を洗っていた時だった。

キュッと音がして、振り返ると
自転車に乗ったキツネだった。

私が手入れしている花壇を見やって、
「やあ、すばらしいチューリップだ」
と言いやる。

何も普通の、赤と黄色のチューリップなのだが。

帽子を目深にかぶったその表情は見えない。
黒い葡萄のような鼻先が揺れている。

その鼻先をチューリップに近づけて、
いきなりパクっと口を開けた。

「食べたら毒ですよ。
猫も死んだそうですから」

私はあわてて言ったが、
猫と一緒にされるのは嫌だっただろうか?

人語をしゃべるキツネと関わったことがないので
不安になる。

「匂いを食べただけさ」
キツネの鼻先が揺れている。
……笑われてる?


その晩になって夫が、
私の髪から匂いがしないと言ったので
なんだか後ろめたかった。

ノラ 2020/04/09 22:36

灯台


窓の外が明るくて

岬まで行ったら

灯台があった

昨日までなかった灯台が

船も来ない 小さな島に

灯台の明かりが こうこうと

おれがおいた と衆がふざけても

そのだれもが 望んでいない

灯台は みちびきの光

「あれは わたしの」

それは娘が 持っていた

小さな灯台の玩具で

娘だけが望んでいたから


そうして なりゆき

海を歩く大きなものが

灯台にたどりつくと

島はなぎ倒され 箱の中にしまわれた

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索