D’s Production 2020/12/27 10:28

【特別データ配布】《虐殺大陸の明けぬ夜8》プレイヤーの労をねぎらうプレイ評価と、作者の労


■はじめに■
この記事の無料プラン部分では、虐殺大陸》のクリア後のプレイ評価や指揮官の立ち絵を自由に閲覧できる特別データをダウンロードできます
興味のある方は是非フォローの上ダウンロードしていただきますようお願い申し上げます。

戦略シミュレーションのゲーム目的の多様性

《虐殺大陸》の不完全性

《虐殺大陸》は大陸に6つある国のうちの1国の戦争指導をし、大陸全土を占領することを目的とした戦争ゲームである。
制作期間の都合で、遺憾ながら本格的なストーリーモードを備えているのは6国のうちの1国、ライトニングフォード王国だけとなっている。

戦争ゲームとしては、戦争の様々な終着点として様々な勝利の仕方を用意できればよかったのだが、これまた遺憾なことに「全ての他国を攻め滅ぼすこと」という覇道的勝利しか存在しない。(ただし、ライトニングフォードという国の性格を考えると、これは正しい勝利の仕方である)
しかしこれが非常にシンプルで理解しやすいゲーム性に結び付いたとも思っており、一長一短である。

最終的なゲーム目的(勝利条件)もさることながら、その過程も、とにかく大兵力を用意して敵地に送り込むという一本調子に終始しがちな点もやはり遺憾である。
敵地を占領するにしても、そのやり方が複数ある方が望ましい。

ゲームを完成して1年経った今もそう思っているが、制作当時も基本的には同じ思いであった。
ただそれを悔やむのが本稿の趣旨ではなく、良かった点もあるという話をしたいのである。
ゲームクリア後に閲覧することがてきる、「プレイ履歴・評価」である。

《虐殺大陸》の「プレイ評価」

概要

《虐殺大陸》ではゲームのクリア後に、そのプレイの結果が項目別に数値化され、ランク付けされる。そしてそのランクに従って、本編に登場したキャラクター達(6ヶ国の君主・副官で、全12名)が小粋なやり取りを交えて評価してくれる。


もしかしたらお気付きの方もいらっしゃるかも知れないが、この演出はウディタの製作者であるSmokingWolf氏の影響を多分に受けている。事実上パクリと言っても良い。

評価項目は、「プレイ時間」「経過週数」「難易度」「交戦評価」「残存兵力」「死傷者数」「残余資源量」「城レベル平均」の8項目である。

美点

これによって、例えば「とにかく素早く大陸を制覇する」とか「じっくり大兵力を作り上げて圧倒的な力で勝つ」、または「十分に戦略を練り、兵が死なないように配慮して戦う」といった複数の「勝ち方」をプレイヤー自身が選択することができる。
もちろん、「はじめは迅速な勝利を目指したが思いの外強い抵抗に遭って結局泥沼化した」などというまるで史実のような展開があっても面白い。

最初に書いた通り、このゲームで取りうる選択肢そのものがそれとほ多くないこともあって、多彩なプレイ体験というものはなかなか実現し難いのだが、過去の自分の挑戦のことは評価したいと思うのである。

制作上の苦労

評価項目のランク付けという試み自体もさることながら、最も苦心したのはそれぞれの評価コメントである。
評価項目は8種、この内の「プレイ時間」を除く7種それぞれにSABCDEFの7種類のランクがあり、7×7=49。「プレイ時間」だけは4種類で、足し合わせて53種類の評価コメントを書いた。

正直なところ、プレイヤーの平均的なプレイ結果というものがどういうものなのか、開発段階では全くわからなかったので、手探り状態、ほんとど空想と妄想で評価基準を設けてコメントを書いた。


「この辺りが平均になるのではないでしょうか」
「平均的か、それよりも少し速いくらいの速度だと思います」
「城レベルに気を回している余裕なかったみたいね」
「のんびりやっていたのでは?」
「死にすぎじゃない!?」
「作りすぎじゃない!?」
「あえて貯めたわね?」

プレイヤーの意図を勝手に推し量るのは、間違っているかも知れないので憚られるのだが、そう言っていたらプレイ評価などできないので何とか頭を捻って考えた。
困ったのは、例えば「経過週数」のランクEとランクDの書き分けなどで、もともと基準も何もわからないところで微妙で中途半端なランクの違いを書かなければならないということで甚だ頭を抱えたものだが、何とか捻り出した。後から読み返すと、それほどランクに従って誉めてくれたりしているわけではない、何ならプレイとは何の関係もないというコメントもあるが、それは私の想像力の限界である。。。

内容もさることながら、重要なのは「プレイの仕方によって反応が変わる」ということだと思う。プレイヤーの意図を先回りして作者がコメントを用意してくれているという、ある種の期待感のようなものである。
先述のSmokingWolf氏の作品で「モノリスフィア」というゲームがある。大変な秀作であるから、まだプレイされていない方は是非されると良いと思うのだが、このゲームには時間の流れを遅くする「クロノス・ブースター」という操作がある。普通にゲームをする上では使わないわけにはいかない重要な能力なのだが、使えば使うほどクリアランクは下がるのである。
そこで私はそれを全く使わないでクリアしてみたところ、評価時にキャラクターが非常に驚いて「縛りプレイでもしていたのだろうか」とコメントされ、事実その通りだったので私は労が報いられて大変満足したのだった。
《虐殺大陸》において私がやたらと労をとって評価コメントを書いたのは、こういった経験があるからであろう。

問題点

もちろん問題点もある。

評価基準の高騰

1つは前述の通り、評価基準が開発段階では全くわからなかったため、正直に言ってしばしばデタラメになっていることであろう。
例えば「残余資源量」は“普通に”プレイしてどのくらい貯まるのかがわからなかったので高ランクの基準値は途方もなく高く設定してある。絶対にSランクを取ろうとして貯めない限りはそこに届かないのではないかと思う。

城レベル平均も、基本的なゲーム体験とは噛み合っていないように思う。
このゲームでは大抵、敵城を落とす時は城レベルを下げなければいけない。ゆえにプレイヤーが占領した時には城レベルはかなり低い状態になっている。高いレベルの城が欲しければその後プレイヤーが自分の手で上げなければならない。ただ、それをしなくてもゲームはクリアできるのである。
ここでも“普通に”プレイしている限りは高ランクは取れない。

しかしこれらの項目は、高ランクを取りたい人向けのやり込み要素ということで一応説明が付く。

不適切な評価項目

もともと評価項目自体がおかしいのが「交戦評価」である。

これは「自分より兵力が高い敵師団に勝つと高くなる、兵力が低い敵に勝つと低くなる」というものなのだが、このゲームでは基本的に自分よりも兵力が高い敵には勝てない
ゲーム序盤では敵のAIがおバカなのである程度は可能だが、終盤になるにつれて基本的に最適な戦術を取ってくるので、結局は兵力同士の戦いになる。数の多いほうが勝つのである。
おそらくだが、「交戦評価」でSランクは取れない。Sランクどころか、多分Bランクも取れるかどうか怪しい

この項目はそもそもゲームとの整合性が取れないものなので、撤廃するのが良かったのではないかと思う。

ただし、この問題はゲームそのものの問題でもある。
できれば戦術や戦略を練ることで、自分よりも強大な相手にも勝てる方法を用意するべきだったということである。

総合評価の蛇足性

一応プレイ全体を評価する「総合評価」というものがあるが、ゲーム内コメントでも語られている通り、このランキングは全くの無意味である。
あちらを立てればこちらが立たずで、全ての項目で高ランクを取ることはできない。多分、同頑張ってもCかD辺りに落ち着くのではないかと思う。逆にそれ以上の低評価を取ることも難しいのではないかと思う。無意味というのは、プレイによって変化させることがほとんどできないということでもある。
実を言うと、個別評価のコメントで完全に力尽きており、総合評価までランク別コメントを作る気力がなかったというのもある。
何にしても、この総合評価については蛇足な感じがしてならない。

過度なコミカル調

基本的に《虐殺大陸》は真面目なゲームである。
本編中におふざけのギャグシーンは無い。若干のシニカルな笑いを提供する場面があるだけである。
いかにおまけ要素とはいえ、作品内で作中キャラがコミカルなやり取りをするのはいかがなものか。
できれば作品の雰囲気を損なわないような形でのプレイ評価が望ましい。

これは今の私の偽らざる心境であるが、同時に、手前味噌ながらこれらのやり取りが案外面白くもあるのである。


▲クリア評価ではボケとツッコミのような、少し度が過ぎたコメディ会話が散見される・・・というより、全体的にそうなっている。


▲ゲーム本編での「笑える」シーンは皮肉なユーモアである。両者は私の中ではかなり明確に区分されているが、読者の皆さんはどう思うであろうか・・・?

特別データの配布

今から作り直すのであれば同じものは作らないだろうが、既に作ってしまったものは仕方がない。
今となっては合理性を欠く評価や適切とは思えないものもあるにはあるのだが、過去に私が真剣に作ったものであることも事実である。

販売開始から既に1年半を経過した今、おそらく本編では決して見ることができなかったであろうメッセージをも含めて、特別データという形で配布することにした。
Ci-enのフォロワー限定であるが、興味のある方には是非ダウンロードして、見ていただきたい。

しかしながら、これはあくまで本編をクリアされた方向けの特別データであり、いわばファンサービスのようなものである。
もし未だ《虐殺大陸》本編をプレイ・クリアされていない方がいれば、まずはそちらをしていただきたいと、重ねてご案内申し上げる次第である。

虐殺大陸【完全版】/D's production

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