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虐殺大陸の記事 (7)

D’s Production 2019/08/15 00:27

《虐殺大陸の明けぬ夜2》虐殺大陸の起こり

《虐殺大陸》の構想はいつ生まれたか。
明確にそれを言うことはできない。
こまめに日記をとる質でもない。
いつ思い付いたかなどということは記録にない。
しかしその始まりについて語るならば、これに触れておかないわけにはいかないだろう。
《リョナラーの野望》である。

リョナラーの野望


正直酷いタイトルだと思うが、検索のことを考えると悪くない気もする。
明らかに「信長の野望」だとか「ギレンの野望」というゲームからタイトルを借用していることがわかるので戦略シミュレーションゲームだということも直感的にわかる(ちなみに私はどちらもプレイしたことがない)。
さらには「リョナ」とあることから、何らかの残酷描写があることも窺える。
そういった点からは秀逸なタイトルだが、「正直酷いタイトルだと思」ったので後に改題して《虐殺大陸》とすることにした。
そう、これこそが《虐殺大陸》の前身となるゲームなのである。
残念なことに未完成作品である。
作者が開発を再開する予定はないので、おそらく永遠に完成しない。

《リョナラーの野望》の起こり

この《リョナラーの野望》は今から4年ほど前、2015年の5月頃に制作作業に着手した。
ちょうど《サキュバス・レ○プ残酷物語》(サキュ残)の制作をしていた頃で、つまりサキュ残の制作に行き詰まった、というより飽きたから脇道に逸れていたのである(ゲーム作品などの長期制作の経験がある人ならば、この延々と続く終わりの見えない作業の孤独と倦怠感に共感してもらえのではないだろうか)。
同時に、サキュ残の制作ツールである──そしてその後今に至るまでの全ての作品の制作ツールでもある──WOLF RPGエディター、通称ウディタの扱い方に慣れてきてその可能性を感じているところでもあった。
できると思えば、せずにはいられない。
これもクリエイターならば、やはり共感してもらえるのではないだろうか。

《リョナラーの野望》のシステム・構想


《リョナラーの野望》は《虐殺大陸》よりも広大で大規模で、手の込んだ作品・・・になる予定だった。
《虐殺大陸》は大陸全土がスクロールなしの1画面に収まっているが、《リョナラーの野望》では、その約44倍の規模である。
城の数は、《虐殺大陸》が22なのに対して《リョナラーの野望》は41ある。

広大な大陸を、侵略すると言うよりは冒険し開拓するといった気持ちにさせてくれたかもしれない。
ゲームシステムも、1回1回の交戦がよくあるタクティカル・バトルであった。
つまり敵城や敵軍と接触すれば、その都度チェス盤のようなマス目のあるマップ(ただしその大きさは100×100マスである)に移動し、そこで最大100対100の部隊が激突するのである。
さらに部隊が敵部隊に攻撃を仕掛ければ、拡大戦闘画面になり、1部隊10人+指揮官の計11人が互いに攻撃し合う。
 ①フィールドマップ
 ②交戦マップ
 ③拡大戦闘画面
この3場面でゲームが進んでいく。
②と③は「ラングリッサーⅣ」という作品を思い浮かべてもらうとイメージが湧きやすいかもしれない。
①は言わずもがな、「ドラゴンフォース」である。

タイトルに冠している通り、このゲームはリョナゲーである。
死んだ兵士は血みどろになって戦場に倒れる。
全滅した部隊が、やはり血みどろになって交戦マップに散らばる。
そこかしこに惨殺死体が無造作に転がる。
敵も味方も、その死体を踏みつけ、乗り越え、また新たな屍の山を築き上げていく。
この光景は見た人に少なからぬ衝撃を与えるようで、ニコニコ動画に投稿したデモ版動画ではコメント数がやけに増えた。

《リョナラーの野望》は設定やシステムの大部分を《虐殺大陸》と共有している──と言うより、《リョナラーの野望》で大部分のコンセプトが決定しており、《虐殺大陸》はそれを継承している。
肝である領土拡張・陣取りゲームとしてのシステム──
  無限に作ることができる指揮官・部隊。
  師団を編成して敵領を奪う。
  保有する領土に応じて資源が得られる。
  資源を使ってまた部隊を作る。
  部隊には兵科があり、兵科ごとに相性がある。
また大陸には国家が6つあるという世界設定──
  ヤバい人間の国、まとも人間の国、
  森に住まう獣人の国、花畑を守るエルフの国、
  過酷な環境で生き抜く砂漠の民の国、
  雪と氷に閉ざされた北方の魔族の国。

サンプルゲームの公開と、その後

製作開始から約1年後の2015年8月。
サンプルゲーム第1弾を公開するに至った。
  ストーリーはほとんどない。
  魔族の国が突如プレイヤーの国に攻め入ってきたとだけ説明される。
  それとは無関係に森の獣人の国を占領しろと指示される。
  しかも占領したところでイベントはない。
  しかも指揮官の立ち絵は全て共通、それも味方のみ。
  兵科は歩兵、騎兵、槍兵の3種類のみ。
  そして残念なことに、師団同士が接触しても何も起きない(交戦は城のみ)。
色々と物足りないが、最初のサンプルゲームとしてはこんなものだろう。

上でも書いた通り、《リョナラーの野望》は《サキュバス・レ○プ残酷物語》の制作の片手間、息抜きのようなものとして開発し始めたものである。
当然、当時の私の制作の本当の情熱はサキュ残の方に向けられていた。
サンプルゲームを公開したあとも、しばしば気が向いた時に制作をしていたのだが、その進捗についてはついに日の目を見ることがなかった。
2017年の7月、《サキュバス・レ○プ残酷物語》が完成し、一悶着あってその姉妹作《サキュバス探訪譚》(サキュ譚)が同年の12月に完成した。
クリエイターは決して一作品の完成で満足することがない。
それが完成して思うのは、次の作品のことである。
私はこの時、猛烈なまでに《リョナラーの野望》の制作をしたい欲望に駆られていた。
作りたいならば作ればいい。しかし問題もあった。

1つは、サキュ残とサキュ譚の制作を終えて、自分のゲーム制作能力が高まっていた──と言ったら傲慢に聞こえるかもしれないが、つまりウディタの扱い方に慣れてきていたため過去の《リョナラーの野望》のイベントの組み方の粗・効率の悪さがはっきりとわかっていたこと。
そしてもう1つは、《リョナラーの野望》の作品スケールがあまりにも巨大になりすぎていたことだった。
サキュ残の制作には3年を費やした。サキュ譚にはサキュ残のコンテンツをフル流用して半年である。この2作は実質2つ合わせて1作品だから、3年半ということになる。
正直、このような長丁場のゲーム制作には懲り懲りだった(繰り返しになるが、長期制作の経験がある人ならば、この作業の辛さを理解してくれるだろう)。
恥ずかしながら、3年費やしたサキュ残が思ったほどには売れなかったという事情もある。次は手軽に、せいぜい2~3ヶ月の制作で完成させられるものを作ろうと考えていた。
《リョナラーの野望》は作りたいが、この作品は短期間では完成させられない。
ではどうすればいいか?
《リョナラーの野望》の縮小版を作ればいいのである。

こうして《虐殺大陸》の制作は始まった。
既に結末を知っている読者の皆さんは、この判断がいかに間違ったものであったかおわかりであろう。
これはサキュ残の制作で嫌というほど味あわされた、圧倒的に孤独で、いつ終わるともしれない、しかし妥協に妥協を強いられる長期ゲーム制作の始まりを意味していた・・・


追記

余談ながら、《リョナラーの野望》は最初から完全無料で遊べるゲームとして開発しており、ただし追加要素を含んだ有料版を作る可能性があるとブログなどで告知していた。
《虐殺大陸》は最初から有料ゲームとして開発している。
両者は基本コンセプトを共有しながらも別ゲームなのでそこは問題ないのだが、結果的に《虐殺大陸》は基本プレイは無料で遊べるようになった。有料で追加要素(CG閲覧など)をプレイできる点も同じである。
この意味でも、《虐殺大陸》は《リョナラーの野望》の意志を受け継いでいる・・・のかもしれない。

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D’s Production 2019/08/09 01:28

《虐殺大陸の明けぬ夜1》虐殺大陸とはどんなゲームか


●虐殺大陸 販売ページへ●

最新作《虐殺大陸》について

領土を拡張するタイプのシミュレーションゲームが作りたかった。
1つの領土を巡って複数の軍勢が入り混じって激突するシミュレーションゲームを・・・


敵を打ち倒すには兵がいる。
兵を作るには資源がいる。
資源を得るには領土を広げる必要がある。
結果、敵も味方も新しい領土を求めて激しくせめぎ合う。

あるいはカツカツの資源をやりくりして徐々に状況を改善する。
あるいは有り余る資源を使って敵を圧倒する大兵力を用意する。
あるいは迫りくる敵の大軍勢に備えて鉄壁の防御陣地を構築する。


各々の国は同じ条件ではない。
それぞれの国土と国民を有しており、それぞれの文化と歴史を持っている。
だから主力兵科や得意とする戦法・戦略・用兵思想が異なってくる。
少数精鋭で戦線のウィークポイントを的確に突いてくる、
有象無象の兵を掻き集めてとにかく数で押し切る、
堅実でなるべく将兵の損失を防ぎながら粘り強く戦う、
機を窺ってここぞというタイミングで確実に勝てる勝負を挑む、
ひっきりなしに少数兵力を送り込んでジリジリと敵戦力を削っていく・・・

兵科ごとに相性があり、ある相手に強い兵科も、別の相手には弱い。
一見不利に思える状況でも、戦術を練ることにより勝機を見出すことができる。
しかし戦略的劣勢を、戦術で覆すことはできない。
戦争に勝った者こそが、唯一の勝者となる。

そんなゲームを作りたいと思った。
こうして《虐殺大陸》は生まれた。


上で書いたようなことは私が構想段階で──
いや妄想と呼ぶべきか──とにかく頭の中で「こんなゲームを遊びたい」と
思ったことをつらつらと書き連ねたものだ。
一章だけとはいえ一応の完成作品を作り終えた今、
その出来上がりを省みると、できたこともできなかったこともある。
どちらかと言うと、できなかったことの方が多い。
だが「コア」の部分では望み通りのものが作れたとも思っている。

「こんなゲームを遊びたい」と書いた。
このゲームの始まりは、私がやりたいゲームを作ろうと思ったことにある。
そのような需要があるというマーケティング的な思考によるものではない。
商売人としては失格である。
しかし同人作家としては、必ずしもそうではない。
妥協した部分も多々あるが、
確かにこれは私が遊びたいと思った理想のゲーム──に最も近いゲームである。

このような話を聞いて面白そうだ、興味が湧いたという人は
是非ダウンロードして、プレイして欲しい。
このゲームは製作中のかなり初期の段階から、
「体験版でも最初から最後まで遊べるようにしよう」と考えてきた。
色々迷うところもあったが、結局その通りにした。
体験版では侵攻できる範囲に制限が出るようにもできたが結局しなかった。
このゲームは中途半端な制限を掛けられると面白さが激減する。
中途半端な面白さでは、本当に《虐殺大陸》の世界を「体験」したとは言えない。
是非この記事を呼んでいる貴方にも、
この大陸全面戦争に身を投じてもらいたい。

※今後《虐殺大陸》の制作に関する開発秘話や苦労話(たまには愚痴)を
不定期に書く予定である。続編については気長にお待ちいただきたい。

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