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ゲームの記事 (5)

D’s Production 2022/12/19 16:00

《殺戮の女王》59 イベント組み作業

制作進捗報告

 先月の段階でイベントに使う画像は概ね作り終え、今月初旬は実際にそれらをゲームに組み込む作業をしておりました。
 画像制作の段階で、当然それらの動きは十分に確認しているはずなのですが、いざゲーム画面で確認してみると、いろいろ不備が見えてきます。致命的な誤りでない限りは放置したい──と思いつつ、9割方修正しています。
 結局のところ、品質は作品の命です。品質は極力高めなければなりません。

Production progress report

 In the end of last month, I had mostly finished creating the images for the event, and at the beginning of this month I was working on incorporating them into the game.
 At the stage of image production, of course, I should have fully confirmed their movements, but when I checked them on the game screen, I could see various inadequacies. As long as it's not a fatal error, I want to leave it --- but, I corrected 90% of them.
 In the end, quality is the life of a work. Quality must be as high as possible.

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D’s Production 2022/11/30 00:44

《殺戮の女王》58 何と迂闊な! / How careless!

最近、非日本語圏の方がこのCi-enの記事を読んでいらっしゃることが分かりましたので、英語翻訳文を併記します。
Recently, I found that non-Japanese speakers are reading this Ci-en article, so I'll post the English translation as well.

制作進捗報告

 前回の記事ではキャラチップを作っていることを報告し、その制作作業の一端を紹介しました。
 現在ではそのキャラチップの作成は完了しており、それを利用してイベント画像の制作を再開しています。
 第1幕(体験版でプレイできる箇所)のイベント制作も大詰めで、あと少しで完成できるのではないかと思います。
 なお直近で作っていたものは「嘔吐」と「排便」のシーンです。

Production progress report

In the previous article, I reported that I was making character chips and introduced some of the progress of production.
Currently, the creation of the character chip has been completed, and we have resumed the production of the event image using them.
The production of the event for the first act (the part that can be played in the demo version) is also in the final stage, and I think it will be completed in a little while.
The most recent ones I was working on were the "vomiting" and "defecating" scenes.

制作苦労話

 前回、キャラチップの制作手順をお見せするとともに、1ピクセルのずれが不自然さを生み、労力の掛かる修正作業を要するという話をしました。

 
実際であれば、一旦画像として書き出したあとに「1ピクセルのずれ」に気付き、再度編集し直すという作業が必要になることでしょう。酷いときは、ゲームに組み込んでから気付くこともあります。地獄である・・・

 今回もこのような修正作業が何度も発生し、大変な苦労をしながら取り組んでいました。大抵のものは描画中の不注意で、つまり十分に注意していると防げるミスです。さりとて、どのようなミスが起こり得るかを把握して置かなければ、注意のしようもない時もあります。
 例えば上記のような、パターン(アニメーションする画像の1枚)によって頭部が1ピクセルずれているというものであれば、各パターンの表示をこまめに切り替えて、パターン間の移り変わりをつぶさに観察することで防ぐことができます。

 さて、今回直面した問題の1つはこのようなものでした。
 一度書き出された画像は下のようなものです。


 さて、どこに問題があるか分かりますか?──私には全く“見えません”。

背景は透明を表す、グレーの市松模様です。さて、この背景を少し変えて、真っ黒にしてみます。そうすると・・・


見えたでしょうか。さらに拡大すると分かりやすくなります。


 そう、顔の輪郭の外側に、正体不明の色がうっすらと浮かび上がってくるのです。
 これは「単なる消し忘れ」です。もともと正面向きの顔があり、それを半分に割って加工する方法で横顔を作成しているため、消し方が甘いとこのような色が薄っすらと残ってしまうというわけです。
 ただ、描画中は、目で見て色を塗ったり決したりしていますので、このように背景と同化して目に見えない色が存在していると、どうしても消し忘れが存在してしまいます。

 「現に目で見えていないのであるから、この程度の色が残っていても問題ないのではないか」と思われるかも知れませんが、実際のゲーム画面ではどのようなものが背景となるかは分かりません。現に、今回のミスに気がついたのは、実際のゲーム画面に配置してみたからでした。また、当然ゲーム画面でキャラクターは動くので、このような消し忘れはより目立つようになるでしょう。これは、看過できない大問題なのです。

 先に「どのようなミスが起こり得るかを把握して置かなければ、注意のしようもない」と書きましたが、実はこの種のミスは過去に何度か起こっています。しかし頻繁に起こるものでもないので、私の中のチェック・タスクから外れていたようです。もしかしたら、気がついていないだけで他にも同種の錯誤はもっと多くあるのかも知れません。いずれにしても、何とも迂闊な話です。

 なお、上ではこれは「看過できない大問題」だと述べましたが、実際に公開されているフリーゲームや有料ゲームで、この種の消し漏らした僅かな色がキャラクター画像に残っており、キャラクターとともに動くという光景が、稀に見られます。作者が気づかなかったのか、気付きながら大した問題ではないとして看過したのかは分かりません。
 この辺りは感性的な問題ですから、もし気付きながら看過したのであれば敢えて第三者が問題視するものでもありません──制作リソースも無限ではありませんので、それよりは優先的に修正すべき箇所があるかも知れません。
 私としては、このような問題から、作者の感性がどこにあるか──つまり何を修正して、何を放置しているのかによって、その作者が何を大事にしているのかが透かし見えてくることが非常に興味深く思われます。

 今週のエミマガでは「ゲーム画像における見切れ問題」と題して、奇しくもこの「作者の感性」に関わる問題を扱いました。是非お読みください。


 有料記事では、最新の制作画像(「嘔吐」「排便」アニメーションを含む)をご覧いただけます。


Story of production difficulties

Last time, I showed you how to create a character chip, and talked about how a one-pixel shift creates an unnaturalness that requires labor-intensive correction work.

 
In reality, it will be necessary to notice the "1 pixel shift" after exporting it as an image and re-edit it. When it's terrible, you may notice it after incorporating it into the game. That's Hell...

This time, too, I had to do this kind of correction work many times, and I had a lot of trouble working on it. Most of them are carelessness while drawing, mistakes that can be avoided if you are careful enough. But there are times when you can't be careful unless you know what kind of mistakes you can make.
For example, if the pattern (one of the images to be animated) shifts the head by 1 pixel, then each pattern you can prevent this by frequently switching the display and closely observing the transitions between patterns.

Well, one of the problems I faced this time was like this.
The image once exported is like the one below.


Well, do you know where the problem is? ──I can't see it at all.

The background is a gray checkerboard, representing transparency. Now, let's change this background a little and make it black. Then...


Did you see it? Zooming in further makes it easier to understand.


Yes, a faint, unidentifiable color emerges outside the contours of her face.
It's just a matter of forgetting to erase it. Originally there was a face facing the front, and the side face was created by dividing it in half and processing it, so if the erasing method is not easy, this kind of color will remain faintly.
However, when I'm drawing, I color and decide by looking at it with my eyes. So, In this way, if there is an invisible color that blends with the background, there will inevitably be times when you forget to erase it.

You might think, "Since it's not visible to the naked eye, it shouldn't be a problem even if this level of color remains,'' but what kind of background will be on the actual game screen? I don't know. In fact, the only time I realized this mistake was when I tried placing it on the actual game screen. Also, of course, the character moves on the game screen, so forgetting to erase like this will be more noticeable. This is a big problem that cannot be overlooked.

Earlier, I wrote that "you can't be careful unless you know what kind of mistakes you can make," but in fact, this kind of mistake has happened several times in the past. However, it doesn't happen very often, so it seems to have been out of my checklist. Perhaps there are many more similar errors that I just haven't noticed. Either way, all of them happens by my carelessness.

In addition, although I said above that "this is a big problem that cannot be overlooked", in the free games and paid games that are actually released, this kind of missing color remains in the character image, they moves with characters move. I don't know if the author didn't notice it, or if he noticed it but dismissed it as not a big deal.
This is an issue of authors sense, so if they notice it and overlook it, a third party shouldn't dare to see as a problem.
From this kind of question, We can see what the author places importance on, depending on where the author's sensibility lies—that is, what is corrected and what is left untouched. For me, that seems very interesting.

In this week's "Emilia Magazine", we dealt with a problem related to this "creator's sensibility" under the title "The issue of cropping in game images". Please read it.


In paid articles, you can see the latest production images (including "vomiting" and "defecation" animations).

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D’s Production 2020/07/30 05:26

《虐殺大陸の明けぬ夜7》交戦システムの評価

初めに


《虐殺大陸》は、ご承知の通り大陸統一を目指して領土を奪い合う戦略シミュレーションタイプのゲームである。フィールドマップと呼ばれる大陸地図の上で軍隊を派遣し合い、敵領土を奪ったり自国領土を守ったりするのが醍醐味である。

その際の敵の行動を統制するAIのプログラミングに苦労したというマクロ的な話が前回の記事だが、今回はよりミクロ的な話題、軍隊同士が衝突した際の戦い「交戦」について書きたいと思う。

今回はそのシステムのプログラミング的な話ではなく、またその構築に際しての苦労話でもない。
「交戦」というシステムがゲームとしてうまくできていたか、それともそうではなかったかという評価の話である。
そこには私が「理想とするゲーム」についての話も関わってくるのだが、私にもそれについての明確な答えが見付かっているわけではなく、未だ思案の最中にある。読者・プレイヤーの皆さんと共に、この問題について考えていけたら幸いである。

理想的な戦闘形式の模索

《虐殺大陸》ではフィールドマップで手持ちの部隊を編成し、師団として敵領土に派遣、敵の軍隊(城の守備隊や師団)と接触するとそこで「交戦」が起こるというシステムになっている。

《虐殺大陸》の前身として《リョナラーの野望》(未完)という作品があることは既に前の記事で書いた通りである。
実はその《リョナラーの野望》での交戦は《虐殺大陸》のそれとは違い、碁盤目状のマップの上でコマを進め合うような形式(タクティクス戦闘)であった

ストーリーの展開に沿って戦闘が起こるタイプのゲームならばそれで良いのだが、《リョナラーの野望》や《虐殺大陸》では戦闘の起こるタイミングはゲームの進め方により、非常に不規則的であり、その回数も多い。クリアまでに、通常100回以上は戦闘をすることになる。
100回以上もの戦闘で毎回コマを進め合う作業を繰り返すのは非常に面倒なことであると私は感じていた。
もっと簡易な戦闘システムを構築する必要がある。そう強く感じたのである。

「最も簡易」なシステムとしては、互いの戦力を比較して一瞬にして自動で勝敗が決し、プレイヤーが一切関与しないものであろう。
もう少し複雑にすると「覇県を握れ ~47都道府県大戦~」(ふらいんぐパンジャンドラム制作)のような形式になる。これもプレイヤーは数回の操作をするだけで、たとえ何百部隊が戦闘に参加していても勝負がつくのはほぼ一瞬である。


▲「覇県を握れ ~47都道府県大戦~」の戦闘画面。
(https://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ237627.html 作品紹介ページより)

「覇県を握れ ~47都道府県大戦~」のような何度も繰り返して遊ぶようなゲームの場合、このくらい簡潔な形式であることは望ましいことであろう(私は多分5、600回くらいはプレイしていると思う)「覇県を握れ」についていえば、ゲームシステム、ゲームコンセプトに即して最適な戦闘形式になっていると言って差し支えないと思う。

方や、私が作ろうとしていた《虐殺大陸》では単に結果が示されるだけでなく、勝敗に至る過程をプレイヤー自身が作る感覚が必要だと考えていた。

例えば敵は騎兵部隊がメインであるとすると、こちらはそれに対抗するため槍兵部隊を量産する必要がある。もちろん槍兵だけでは駄目で、その弱点を補強する他部隊も作る必要がある。
単にデータだけで決まり結果だけを示されるのではなく、実際にそれらの部隊をプレイヤー自身が運用してみて、彼らが活躍し、あるいは苦戦し、時には死傷する様も目の当たりにする。
そこまでして「本格的」な戦争ゲームになるのではないか。
そして戦術性、ひいてはその戦闘に至るまでの準備段階での試行錯誤──つまり戦略性も重視することで、本格的な戦略シミュレーションゲームになるのではないか
そう思ったのである。

一方で一回一回の戦闘の煩わしさを減らしたい。
一方で一回一回の戦闘の重みを増したい。
そのようなアンビバレントな欲求を実現するために生み出されたのが《虐殺大陸》の交戦システムであった。


こう言うと「覇県を握れ」は本格的な戦争ゲームではないとディスっていると思われるかもしれないが、とんでもない話である。
「覇県を握れ」を何度もプレイすると、そのプレイの大半は戦争を避けるように振る舞わざるを得ない。つまりこのゲームは「戦争ゲーム」を超越した「政治ゲーム」であるのだ!
《虐殺大陸》は今ではまだ「戦争ゲーム」に留まっているが、私はゆくゆくはこれをより高次の「政治ゲーム」に昇華するつもりでいる。

《虐殺大陸》の交戦システム

《虐殺大陸》の交戦では下図のように、両軍が左右に別れて対峙する。
左側が敵軍、右側が味方の軍である。

敵味方それぞれ、横3マス、縦5マスの計15箇所に部隊を配置するスペースがある。
このマスの任意の場所に10個まで師団内の部隊を配置できるが、前の10マスは最前線、後ろの5マスは後方と区別されていて、兵科ごとに攻撃の届く範囲が異なっている。
(例えば騎兵や槍兵は最前線から最前線にしか攻撃できない、弓兵と魔導師は後方から後方まで攻撃できる、など。なお最前線を空にして後方だけに部隊を配置することはできない。)

部隊を配置し終えたら、各部隊が攻撃する敵部隊を選択し、それを終えたら敵・味方両軍の部隊それぞれの敏捷性に従って攻撃順が決定され、攻撃が実行される。
(部隊の配置は必ず敵側から行う。だからプレイヤーは敵軍の配置を見た上で自軍の配置を決定できる)

ここまで説明すると勘のいい人は気づくかも知れないが、1ターンの各ユニットの行動をあらかじめ選択し、その後それぞれの素早さに従って行動する」というこのシステムは、ドラゴンクエストやRPGツクール・ウディタのデフォルト戦闘のシステムと同じである。
つまり、《虐殺大陸》は戦争ゲームらしく指揮官や兵士などが所狭しと配置される絵面にはなっているものの、基本的には普通のRPGと同様の戦闘システムであるということである。

とはいえ、それで終わってしまっては「本格的」な戦略シミュレーションにはなり難い。
戦争ゲームらしい戦略性・戦術性が問われる工夫がいくつか凝らしてある。

《虐殺大陸》交戦システムの特徴

兵士の数が攻撃力にも防御力にも影響する

1部隊は指揮官1人と随行する兵士10人の計11人で構成されている。


交戦ではこの11人が全員で目標に向かって攻撃を仕掛ける。
そして11人それぞれにHPが設定されており、攻撃を受けると減少、0になると死傷する。
当然11人全員が揃っている状態で攻撃するのと、5人しかいない状態で攻撃するのでは攻撃力に2倍程度の差が生まれる。

また各員の攻撃は、相手部隊の兵士にそれぞれに満遍なくバラけて攻撃するようになっている。
(ただし指揮官だけは他の兵士がいなくなってから攻撃を受けるようになっている。)
よって、10人いる敵部隊から攻撃を受ける際に、仮に兵士が10人いる状態で受けるのと、5人いる状態で受けるのとでは、後者の方が受けるダメージは約2倍ということになる。

ユニット配置の自由性

通常のRPGでは死にそうなキャラクターがいたとしても、そのキャラだけを戦闘から外すということはできないだろう。取り得る手段としては、そのキャラのHPを回復するか、防御をさせるかというくらいではないだろうか。(前衛・後衛の概念がある場合は後ろに下がらせる、くらいのことはできるかも知れない)

《虐殺大陸》では、どの部隊を戦場に配置するかは完全にプレイヤー(と敵AI)の意思に委ねられている。
兵員が減ったり全滅しそうな部隊を退かせることもできるし、逆にそうした部隊を敢えて配置して捨て石にすることもできる(1部隊が相手の1部隊に攻撃することになっているので、全滅しかけの部隊で攻撃を受けた方が、受ける総ダメージ量は少ないことがある)

兵科ごとの相性

《虐殺大陸》には兵科が7つあり、それぞれ下記の表のように相性が決まっている。


相性の良い兵科に対して攻撃をすると与えるダメージが大きくなり、悪い兵科に攻撃をするとそれが少なくなる。もちろん、こちらが攻撃を受ける時も同様である。

よって、敵軍の配置を見て、なるべくそれに対して相性の良い部隊を配置するよう心掛けなければならない。
手持ちの部隊に相性の良い部隊がない場合は、負ける可能性が高いということも言える。

「兵科別有効射程距離」と「距離による攻撃力減退度」

兵科ごとに攻撃の届く範囲が異なるということは先述の通りである。
例えば弓兵は戦場の端から端まで矢を飛ばすことができる。それに対して騎兵は最前線から最前線までしか攻撃することができない。味方の部隊を盾にして、相手の攻撃の届かない位置から攻撃をするということが可能になる。

それだけでなく、距離は攻撃力そのものに影響を及ぼす。
具体的には距離が離れれば離れるほど攻撃力が減るのだが、その減り方は兵科ごとに異なっている


弓兵や魔導師は攻撃力が低いが、距離が離れていてもほとんど、あるいは全く攻撃力は減らない。
騎兵や獣戦士はそれなりに攻撃力が高いが、2、3マス遠ざかった敵に対しては攻撃力が大きく減少する。
魔神兵は絶大な力を持っているが、1マス隔たった相手にはほとんどダメージを与えられない。

兵科相性とも相まって、敵部隊との距離のとり方が非常に重要になってくる

最初は存在しなかった「距離による攻撃力減退度」

最後に紹介した「距離による攻撃力減退度」だが、開発初期の段階では実はこのシステムは存在しなかった。

もしこれが存在しないとなると、どうなるか。
最前線の部隊を配置できるマス目は全部で10個、この10マスどこに配置しても同じということになる。
(有効射程距離は最前線か後方かの区別しか無いので、最前線内のどこにおいても射程には関係しない)
また敵最前線の10マスにいる部隊は、どれを狙っても同じということになる。

となれば、「相性の良い兵科を攻撃する」以外の選択肢はなくなる
戦場にどの兵科の部隊を配置するかの采配はあるとしても、その部隊をどこに配置して、誰を攻撃するかについては選択の余地はほとんどない。

では完成版のシステムのように距離が攻撃力に影響を及ぼすとなればどうか。
敵部隊の配置を見てどこに部隊を配置すればよいかを考えなくてはならない。
仮に相性が良い相手に対しても、すぐ近くに配置すれば良いとは限らない。すぐ近くに相性の悪い兵科がいるかもしれない。
またそうでなくても、相手とこちらとでは距離によって左右される攻撃力の幅が異なる可能性もある。
例えば騎兵は歩兵に対して有利だが、騎兵は歩兵に比べて距離による攻撃力の減退度が大きい。だから歩兵は、騎兵からぐんと遠くに配置するとダメージを減らすことができる。
しかし戦場の広さにも限界がある。縦には5マス、最前線に限ると横には2マスしかない。遠くの敵にダメージを与えにくい兵科の部隊は、なるべく前方中央に配置するのが望ましい。
(最大の攻撃力を誇りながら距離による攻撃力の減少の最も大きい「魔神兵」は最前列に配置するのが望ましいのだが、敵AIはしばしば2列目に配置するという下策を見せる。実は敵のAIはゲームが進むにつれて徐々に賢くなるのだが、最終段階になってもそこまで賢くできなかったのは作者としては遺憾の極みである)

理想的な戦闘システム

当然、全部隊を中央に配置することはできない。全部隊を端に配置することもできない。
誰かが敵の真正面やその付近に立たざるを得ず、誰かが後列に立たざるを得ない。その制限の中でどうするかを考えるのがプレイヤーの腕の見せ所である。

もちろん位置や距離だけでない。
《虐殺大陸》をプレイされたことのある方ならお分かりになると思うが、敏捷性の違いや城の守備隊にもたらされる補正防御効果、君主・参謀を出撃させれば全軍の攻撃力が増すが彼女らが撃破されると一気に攻撃力が減るという綱渡りなど、諸条件がこの戦闘を一層複雑にしている。

つまり取り得る選択肢の数に幅があり、しかしあちらを立てればこちらが立たずで、どの選択肢も完璧ではない、それでも最善の方法を模索する──これこそが私の目指した戦闘システムのあり方であったのだ。

これは《虐殺大陸》に限った話ではなく、あらゆるゲームにおける私の理想でもある。

例えば、次のような戦闘をイメージしてもらいたい。
 ・主人公は1人、敵も1人、常にタイマン。
 ・主人公のコマンドは「通常攻撃」「回復」。
 ・敵も通常攻撃を繰り出してくるのみ。

このような戦闘では、プレイヤーはひたすら攻撃をし、HPが減ったら回復をするのを繰り返すだけの作業になるだろう。
ここには戦略性と言えるものはほとんどない。
仮に主人公のコマンドに、ダメージ量の多い攻撃技や回復量の多い回復技を加えたとしても、MP配分に若干の計算が必要なだけで基本的な作業は変わらない。(ここに眠りや毒などの補助魔法系の技を加えれば状況は少し変わるかもしれない)

このタイプの戦闘システムは決して珍しいものではなく、割によく見かけるものである。
それは別にゲームとして破綻しているということではなく、戦闘以外の要素(ストーリーなど)が売りの場合は戦闘はオマケ程度というものであって作者のこだわりポイントではなかったということで通用すると思う。ただしこの場合は、戦闘部分が明らかに蛇足的なものは確かに多い、というのが私の個人的な見解である。

それはそれで良いとして、私の理想はそれとは違った、そして《虐殺大陸》は私の理想に沿って制作された、ということである。

《虐殺大陸》の「交戦」システムの評価

私の理想に沿って作ったのは良いが、では私の理想通りのものに仕上がったのかというとそれは別問題である。
実際、この「交戦」システムは数々の欠陥を含んでいることは間違いない。

選択肢の狭さ

上では私が目指した戦闘のあり方として、「取り得る選択肢の数に幅があり、あちらを立てればこちらが立たずで、どの選択肢も完璧ではない、それでも最善の方法を模索する」と書いた。
しかし完成したシステムを振り返ってみると、上の「《虐殺大陸》交戦システムの特徴」で書いた数々の工夫にもかかわらず、依然として《虐殺大陸》の交戦では取れる選択肢が少ないのである。

例えば、敵の布陣に明らかな偏りがある場合(極端な話、単一の兵科だけを出撃させてきている場合など)は、こちらの工夫次第で戦局を有利に運べる。
けれども、敵がある程度完成させた布陣で臨んできた場合、こちらは(少なくとも敵以上には)有利に事を運ぶことができず、結局ある程度の犠牲を払いながら数の暴力で押し切るしかないということがある。
各部隊の行動が結局は「攻撃」しかなく、スキルが無いというのも原因の1つだろう。

もちろん「ほとんど犠牲なく完璧な勝利を目指したい」というプレイヤーの願望が叶えられるような世界観のゲームでもない・・・むしろ《虐殺大陸》の名を冠する戦争ゲームとしては今のままの方が適切とも言える。
とはいえ、これは交戦システムだけではなく、戦略パート全体のゲームバランスも相まって、私が先程批判的に書いた単調な作業の繰り返し」をどうしても強いられる部分がある

(クリックで拡大)
▲極端に偏りのある例。ケイクリッジやガンドヴァールを相手にすると、このようなことはよくある。


▲対処法は簡単で、騎兵の弱点である槍兵を最前線に配置し、後方には弓兵を配置。
弓兵は素早さが高いので、槍兵の弱点である歩兵が行動する前に倒すことができる。
相手の弓兵によってこちらの弓兵は倒されるが、弓兵は比較的少ない資源で生産できるので費用対効果は良い。


▲敵兵科に偏りがなく対処が難しい例。歩兵を置くと騎兵や魔神兵に、騎兵や槍兵を置くと獣戦士にやられる。
ライトニングフォードの獣戦士は能力が低い上に、魔神兵が最前列にいるため配置し難い(獣戦士は少し離れると攻撃力がかなり減るため2列目に置いてもほとんど攻撃が通らない。1列目に置くと魔神兵に殺される)。
魔神兵を使えれば良いが、魔神兵を大量に配備するためにはある条件を満たす必要がある。


▲制作者の模範解答はこうである!(迫真)
歩兵を使ってできるだけ獣戦士を叩く。何ターンも根気よく攻撃すればそのうち相手の兵科にも偏りが出てくる。兵隊がたくさん死ぬが、その屍の山の上に平和は築かれるのだ!
もし魔神兵をたくさん用意できるならば、魔神兵を最前線、弓兵を後方に置き、魔導師を弓兵で先に倒すという手もある。ただしライトニングフォードの魔神兵はコストが高い割に能力はそこまででもない。

変化のない戦闘システム

ある意味、この交戦システムは完成されすぎてしまっている感もある。
通常のRPGでは、新しいステージに行くと新しい敵キャラが出るものだろう。
《虐殺大陸》では、序盤では一部の兵科が作りにくいとか、隣接している国は一部の兵科を使ってこないというようなことはあるにしても、最初から最後まで、たった7つの兵科(=7つの味方キャラ・敵キャラ)しか出てこないのである。

敵国の首都城には各国固有の君主と副官がいるのだがこれもストーリーの都合でいるだけで、キャラ性能に一定の特徴こそあるもののボスと言えるような強敵ではなく、つまりゲーム戦略には何も関わってこない存在である。

《虐殺大陸》は最初から最後まで、一貫して変化のない戦闘を戦っていると言って良い。
しかもそれを100回以上に渡って繰り返さなくてならない。

煩わしい攻城戦

変化をつけるためのシステムとして、城レベルによって守備隊の防御力が上がるというものがある。

城レベルの上げ方には敵国家ごとに特徴があり、例えばケイクリッジはほとんど無頓着、対してユングリオは内政ごとにほぼMAXにまで自国の城レベルを上げてくる。
その城レベルは攻めて交戦で死傷者を出すたびに下がるので、攻めるたびに戦況は変わる。攻めれば攻めるほど有利になる。

そういうコンセプトではあるのだが、実際にはこの城レベルのシステムのおかげで攻城のための手間は格段に増えており、プレイヤーには煩わしさを強要しているというのが実情であっただろう。

実はゲーム制作の中盤から終盤あたりになってこのことに気づいた私は、新しく「砲兵」という兵科を追加して敵の城レベルだけを下げる手段を実装することを思いついたのだが、思いついただけで終わってしまった。その頃には既にシステムはほとんど完成されており、当初の想定外の事柄を組み込む余裕がなかったためである。「この交戦システムは完成されすぎてしまっている」と言ったのはこういう制作側の都合をも指している。
もちろん、新しい兵科のためのイラストを描くのが躊躇われたということもある。
何とも覇気のない態度だが、思いついたものをすべて実装していれば、作品は永遠に完成しないのだ!

総評

「一方で一回一回の戦闘の煩わしさを減らしたい。
一方で一回一回の戦闘の重みを増したい。」

この2つの希望は、どちらかと言えば後者の方に傾いてしまってバランスを欠いた
、というのが私の正直な感想である。

もちろん悪いことばかりではない。

もともとこの交戦システムは、1回のゲームで100回以上繰り返すことを前提に、プレイヤーの手間を削減することを目的に組まれたものである。
《リョナラーの野望》のようなタクティクス戦闘に比べると遥かに簡単であるので、部分的にはその目標は達成していると言って良い。

煩わしさを回避するために、防衛戦時には一瞬で勝負が終わる自動交戦のシステムも用意されている。これは上に書いた私の理想としての戦闘からは大きく外れることではあるが、ゲーム全体のバランスからすると悪くない判断だったと思う。

終わりに

今回はもしかしたらゲーム中でも最も長い時間を使うかも知れない、《虐殺大陸》の「交戦」システムに焦点を当てて作者自身の反省を書いてみた。

もちろん戦闘システムだけで評価することはできず、ゲーム全体の中でそのシステムが調和的に作用しているかが重要であることは本文中でも指摘している通りであるが、そのためにもシステムそのものを精査することは非常に重要である。

そのシステムには良い点も悪い点もあったが、何より独自の戦闘システムを開発したというそのこと自体が評価に値することだと、自分では思う。
これは非常に野心的な試みであり、この野心こそ同人作品としては最も欠くことのできない要素であると言って良かろう。

終盤では飽きが来るとはいえ、序盤から中盤まではプレイヤー自身が自分の采配で軍隊を作り上げる戦略パートのシステムとも相まって、戦争ゲームとして程よい高揚感を得られるシステムになっていたのではないか。
私はそう思うのだが、プレイヤーの皆さんはどうお考えだろうか。

まだプレイされていない方は、是非この機会にプレイしてみていただきたいと思う。


虐殺大陸【完全版】 D's production

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D’s Production 2019/08/15 00:27

《虐殺大陸の明けぬ夜2》虐殺大陸の起こり

《虐殺大陸》の構想はいつ生まれたか。
明確にそれを言うことはできない。
こまめに日記をとる質でもない。
いつ思い付いたかなどということは記録にない。
しかしその始まりについて語るならば、これに触れておかないわけにはいかないだろう。
《リョナラーの野望》である。

リョナラーの野望


正直酷いタイトルだと思うが、検索のことを考えると悪くない気もする。
明らかに「信長の野望」だとか「ギレンの野望」というゲームからタイトルを借用していることがわかるので戦略シミュレーションゲームだということも直感的にわかる(ちなみに私はどちらもプレイしたことがない)。
さらには「リョナ」とあることから、何らかの残酷描写があることも窺える。
そういった点からは秀逸なタイトルだが、「正直酷いタイトルだと思」ったので後に改題して《虐殺大陸》とすることにした。
そう、これこそが《虐殺大陸》の前身となるゲームなのである。
残念なことに未完成作品である。
作者が開発を再開する予定はないので、おそらく永遠に完成しない。

《リョナラーの野望》の起こり

この《リョナラーの野望》は今から4年ほど前、2015年の5月頃に制作作業に着手した。
ちょうど《サキュバス・レ○プ残酷物語》(サキュ残)の制作をしていた頃で、つまりサキュ残の制作に行き詰まった、というより飽きたから脇道に逸れていたのである(ゲーム作品などの長期制作の経験がある人ならば、この延々と続く終わりの見えない作業の孤独と倦怠感に共感してもらえのではないだろうか)。
同時に、サキュ残の制作ツールである──そしてその後今に至るまでの全ての作品の制作ツールでもある──WOLF RPGエディター、通称ウディタの扱い方に慣れてきてその可能性を感じているところでもあった。
できると思えば、せずにはいられない。
これもクリエイターならば、やはり共感してもらえるのではないだろうか。

《リョナラーの野望》のシステム・構想


《リョナラーの野望》は《虐殺大陸》よりも広大で大規模で、手の込んだ作品・・・になる予定だった。
《虐殺大陸》は大陸全土がスクロールなしの1画面に収まっているが、《リョナラーの野望》では、その約44倍の規模である。
城の数は、《虐殺大陸》が22なのに対して《リョナラーの野望》は41ある。

広大な大陸を、侵略すると言うよりは冒険し開拓するといった気持ちにさせてくれたかもしれない。
ゲームシステムも、1回1回の交戦がよくあるタクティカル・バトルであった。
つまり敵城や敵軍と接触すれば、その都度チェス盤のようなマス目のあるマップ(ただしその大きさは100×100マスである)に移動し、そこで最大100対100の部隊が激突するのである。
さらに部隊が敵部隊に攻撃を仕掛ければ、拡大戦闘画面になり、1部隊10人+指揮官の計11人が互いに攻撃し合う。
 ①フィールドマップ
 ②交戦マップ
 ③拡大戦闘画面
この3場面でゲームが進んでいく。
②と③は「ラングリッサーⅣ」という作品を思い浮かべてもらうとイメージが湧きやすいかもしれない。
①は言わずもがな、「ドラゴンフォース」である。

タイトルに冠している通り、このゲームはリョナゲーである。
死んだ兵士は血みどろになって戦場に倒れる。
全滅した部隊が、やはり血みどろになって交戦マップに散らばる。
そこかしこに惨殺死体が無造作に転がる。
敵も味方も、その死体を踏みつけ、乗り越え、また新たな屍の山を築き上げていく。
この光景は見た人に少なからぬ衝撃を与えるようで、ニコニコ動画に投稿したデモ版動画ではコメント数がやけに増えた。

《リョナラーの野望》は設定やシステムの大部分を《虐殺大陸》と共有している──と言うより、《リョナラーの野望》で大部分のコンセプトが決定しており、《虐殺大陸》はそれを継承している。
肝である領土拡張・陣取りゲームとしてのシステム──
  無限に作ることができる指揮官・部隊。
  師団を編成して敵領を奪う。
  保有する領土に応じて資源が得られる。
  資源を使ってまた部隊を作る。
  部隊には兵科があり、兵科ごとに相性がある。
また大陸には国家が6つあるという世界設定──
  ヤバい人間の国、まとも人間の国、
  森に住まう獣人の国、花畑を守るエルフの国、
  過酷な環境で生き抜く砂漠の民の国、
  雪と氷に閉ざされた北方の魔族の国。

サンプルゲームの公開と、その後

製作開始から約1年後の2015年8月。
サンプルゲーム第1弾を公開するに至った。
  ストーリーはほとんどない。
  魔族の国が突如プレイヤーの国に攻め入ってきたとだけ説明される。
  それとは無関係に森の獣人の国を占領しろと指示される。
  しかも占領したところでイベントはない。
  しかも指揮官の立ち絵は全て共通、それも味方のみ。
  兵科は歩兵、騎兵、槍兵の3種類のみ。
  そして残念なことに、師団同士が接触しても何も起きない(交戦は城のみ)。
色々と物足りないが、最初のサンプルゲームとしてはこんなものだろう。

上でも書いた通り、《リョナラーの野望》は《サキュバス・レ○プ残酷物語》の制作の片手間、息抜きのようなものとして開発し始めたものである。
当然、当時の私の制作の本当の情熱はサキュ残の方に向けられていた。
サンプルゲームを公開したあとも、しばしば気が向いた時に制作をしていたのだが、その進捗についてはついに日の目を見ることがなかった。
2017年の7月、《サキュバス・レ○プ残酷物語》が完成し、一悶着あってその姉妹作《サキュバス探訪譚》(サキュ譚)が同年の12月に完成した。
クリエイターは決して一作品の完成で満足することがない。
それが完成して思うのは、次の作品のことである。
私はこの時、猛烈なまでに《リョナラーの野望》の制作をしたい欲望に駆られていた。
作りたいならば作ればいい。しかし問題もあった。

1つは、サキュ残とサキュ譚の制作を終えて、自分のゲーム制作能力が高まっていた──と言ったら傲慢に聞こえるかもしれないが、つまりウディタの扱い方に慣れてきていたため過去の《リョナラーの野望》のイベントの組み方の粗・効率の悪さがはっきりとわかっていたこと。
そしてもう1つは、《リョナラーの野望》の作品スケールがあまりにも巨大になりすぎていたことだった。
サキュ残の制作には3年を費やした。サキュ譚にはサキュ残のコンテンツをフル流用して半年である。この2作は実質2つ合わせて1作品だから、3年半ということになる。
正直、このような長丁場のゲーム制作には懲り懲りだった(繰り返しになるが、長期制作の経験がある人ならば、この作業の辛さを理解してくれるだろう)。
恥ずかしながら、3年費やしたサキュ残が思ったほどには売れなかったという事情もある。次は手軽に、せいぜい2~3ヶ月の制作で完成させられるものを作ろうと考えていた。
《リョナラーの野望》は作りたいが、この作品は短期間では完成させられない。
ではどうすればいいか?
《リョナラーの野望》の縮小版を作ればいいのである。

こうして《虐殺大陸》の制作は始まった。
既に結末を知っている読者の皆さんは、この判断がいかに間違ったものであったかおわかりであろう。
これはサキュ残の制作で嫌というほど味あわされた、圧倒的に孤独で、いつ終わるともしれない、しかし妥協に妥協を強いられる長期ゲーム制作の始まりを意味していた・・・


追記

余談ながら、《リョナラーの野望》は最初から完全無料で遊べるゲームとして開発しており、ただし追加要素を含んだ有料版を作る可能性があるとブログなどで告知していた。
《虐殺大陸》は最初から有料ゲームとして開発している。
両者は基本コンセプトを共有しながらも別ゲームなのでそこは問題ないのだが、結果的に《虐殺大陸》は基本プレイは無料で遊べるようになった。有料で追加要素(CG閲覧など)をプレイできる点も同じである。
この意味でも、《虐殺大陸》は《リョナラーの野望》の意志を受け継いでいる・・・のかもしれない。

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D’s Production 2019/08/09 01:28

《虐殺大陸の明けぬ夜1》虐殺大陸とはどんなゲームか


●虐殺大陸 販売ページへ●

最新作《虐殺大陸》について

領土を拡張するタイプのシミュレーションゲームが作りたかった。
1つの領土を巡って複数の軍勢が入り混じって激突するシミュレーションゲームを・・・


敵を打ち倒すには兵がいる。
兵を作るには資源がいる。
資源を得るには領土を広げる必要がある。
結果、敵も味方も新しい領土を求めて激しくせめぎ合う。

あるいはカツカツの資源をやりくりして徐々に状況を改善する。
あるいは有り余る資源を使って敵を圧倒する大兵力を用意する。
あるいは迫りくる敵の大軍勢に備えて鉄壁の防御陣地を構築する。


各々の国は同じ条件ではない。
それぞれの国土と国民を有しており、それぞれの文化と歴史を持っている。
だから主力兵科や得意とする戦法・戦略・用兵思想が異なってくる。
少数精鋭で戦線のウィークポイントを的確に突いてくる、
有象無象の兵を掻き集めてとにかく数で押し切る、
堅実でなるべく将兵の損失を防ぎながら粘り強く戦う、
機を窺ってここぞというタイミングで確実に勝てる勝負を挑む、
ひっきりなしに少数兵力を送り込んでジリジリと敵戦力を削っていく・・・

兵科ごとに相性があり、ある相手に強い兵科も、別の相手には弱い。
一見不利に思える状況でも、戦術を練ることにより勝機を見出すことができる。
しかし戦略的劣勢を、戦術で覆すことはできない。
戦争に勝った者こそが、唯一の勝者となる。

そんなゲームを作りたいと思った。
こうして《虐殺大陸》は生まれた。


上で書いたようなことは私が構想段階で──
いや妄想と呼ぶべきか──とにかく頭の中で「こんなゲームを遊びたい」と
思ったことをつらつらと書き連ねたものだ。
一章だけとはいえ一応の完成作品を作り終えた今、
その出来上がりを省みると、できたこともできなかったこともある。
どちらかと言うと、できなかったことの方が多い。
だが「コア」の部分では望み通りのものが作れたとも思っている。

「こんなゲームを遊びたい」と書いた。
このゲームの始まりは、私がやりたいゲームを作ろうと思ったことにある。
そのような需要があるというマーケティング的な思考によるものではない。
商売人としては失格である。
しかし同人作家としては、必ずしもそうではない。
妥協した部分も多々あるが、
確かにこれは私が遊びたいと思った理想のゲーム──に最も近いゲームである。

このような話を聞いて面白そうだ、興味が湧いたという人は
是非ダウンロードして、プレイして欲しい。
このゲームは製作中のかなり初期の段階から、
「体験版でも最初から最後まで遊べるようにしよう」と考えてきた。
色々迷うところもあったが、結局その通りにした。
体験版では侵攻できる範囲に制限が出るようにもできたが結局しなかった。
このゲームは中途半端な制限を掛けられると面白さが激減する。
中途半端な面白さでは、本当に《虐殺大陸》の世界を「体験」したとは言えない。
是非この記事を呼んでいる貴方にも、
この大陸全面戦争に身を投じてもらいたい。

※今後《虐殺大陸》の制作に関する開発秘話や苦労話(たまには愚痴)を
不定期に書く予定である。続編については気長にお待ちいただきたい。

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