しゅれでぃんがー 2020/10/24 22:32

日記 ホロライブにみる国外展開にひそむ危険性

 黎明期を越え、現在絶頂期を迎えつつあるバーチャルユーチューバー業界。その活動は国内を越え、世界で配信を行う動きを見せている。youtubeだけでなく国外の配信媒体を利用し、国外のユーザーへ動画と配信を届ける。そのスーパーチャット(配信でできる投げ銭のこと)の額、優に億を超えるらしい。いや、容易くはないか。でも、その実入りは凄まじい。

 しかし、大きなリターンにはリスクも付きもの。先日、こんなことがあった。詳しく解説してくれている動画を引用。動画の情報を丸々利用することになるが、その代わり動画を観たら0.1円投稿者に入るらしいので許して欲しい。……ダメかなあ? 削除要請が来た場合、速やかにリンクを外します。

https://www.youtube.com/watch?v=uK1DNwE1Jno
https://www.youtube.com/watch?v=fCY3Jxgyheg

 二つ目の動画はパート3まである。該当部分はパート2と3にあるかな。両名とも、私見を最小限にして事実のみをまとめるという意思を感じられ、感情が極まらない限り感情論を振り回さないのでとても好感が持てる動画である。個人的には、一つ目の動画の方は、知性を感じるしユーモアも豊富なので大好きだ。

 かといって、動画の内容だけを鵜呑みにするのも危険。詳細へさらに興味が湧いた方は、自分の目で調べることをお勧めする。私はこの文章を起こすにあたって、大枠さえ分かれば詳細は不要という立場なので。動画を紹介することだけに留めておく。


 所属ライバーが外国でのタブーに触れて炎上。これは容易に予想できる問題だが、果たして会社は対策を講じていたのだろうか。という大前提の疑問があるものの、そこについてはまず置いておく。まずはこの事件の問題点を明らかにしよう。

 株式会社カバーのライバーが中国のコンテンツ、ビリビリ動画で起こした事件の二つ。そのどちらもが台湾を巡っての炎上である。タピオカの話題で台湾に触れたとか、ミラー配信に台湾を国扱いした画像が映ったとか。それだけで外国ではニュースになるほどの炎上が発生している。

https://www.youtube.com/watch?v=i3a0em7dw2U&t=162s

 さらには、株式会社カバーの出した文章に「一つの中国」という単語が使用されており。それがまた問題をさらに大きく燃え上がらせた。何故、こんな大ごとになっているのか。それは、中国と台湾の歴史背景をまず学ばなければならない。

 前述の動画にあったかもしれないが、中国というのは実際には二種類の勢力があり。赤い星の国旗の中華人民共和国と、赤の下地に青の上に白い太陽の国旗の中華民国がある。この二つが台湾を取り合っていがみ合っており、さらには台湾自身にも「自分たちは台湾人であり、中国の属国ではない」という確固とした自我をもった勢力も存在している。三つ巴で血まみれの争いが繰り広げられているのだ。

 どれが正しい、台湾とはどこの国なのか。それ自体はこの記事の本題では無いので割愛させてもらう。ようするに、台湾問題関係者たちにとって、台湾を国として扱うという言動、行為はそのまま国際問題の引き金になりえるほどのセンシティブな問題なのだ。これについては、キズナアイがビリビリ動画だったかで台湾を「中国の一部、中国領」と発言したことにより一時期問題になっていたという記憶がある。あの時は中国の一部、ということで中国側からのアクションは無かったが。今回の件については、そうはいかなかったようだ。


 直近で香港であれほどの動乱が起きたというのに。その時、台湾が香港に声明を出していたし。香港は台湾に「我々の屍を踏み越えていけ」というような言葉を、香港人たちが言っていたとツイッターで見かけた記憶がある。ちょっと調べれば、こういうすぐわかったはずである。それすらも、株式会社カバーはしていなかったのだろうか。外国人相手に商売するのに。相手の国のことを、まったく調べていなかったのだろうか。極めつけは「一つの中国」発言。それも、中国向けの声明にだけそれを書いて日本向けの声明にはそれを書かなかった。以下、それについて取り扱った記事を引用。

https://p2y.jp/hololive-cover-issues-a-statement-in-support-of-one-china-and-brings-politics/

 社会で活動する企業としては、あまりにも不誠実で場当たり的な対応と感じざるをえない。中国市場の大きさに目がくらんだ、と思われても仕方ない振舞いである。立場を明確にするということは、反対の立場の人を敵に回すということだ。「一つの中国を支持する」ということは、台湾を国として認めないということを、その姿勢を明確にするということなのだ。それの是非はともかく。立場を表明し、中国市場を優先するという意味合いでこの声明を出したなら百歩譲ってまだ納得しよう。意思を持った行動、ということだから。だが、なんの意図も無く場当たり的に、なんとなくこの声明を出したのなら救いようがない。声明内容を変えても、言語が違えばバレないと思ったのだろうか? 違う内容を書いていない、と思い込んでいるならもう救いようがない。


 会社についてはこの辺にして。まとめに入ろう。声明は出したものの、会社として責任は殆ど取っていないように見える。渦中のライバー(配信者のことをバーチャルライバーと呼ぶ)を謹慎させる、というのは、結局騒動のケジメをライバーに取らせているということ。見方によっては、配信不能期間(アカウントをバンされたら三週間配信停止、動画投稿停止処理が課せられるらしい)を謹慎と言い換えているだけ。言葉遊びでお茶を濁しているともとれる。

 有事の際に、所属タレントを守るのが会社の役目ではないだろうか。なのにこの現状。会社の存在意義を疑われるほどの状況だ。今後どうなっていくのか、この問題とこの会社については今後も目が離せない。


 国外に活動を広げるのであれば、世界情勢や歴史、背景の勉強は必要不可欠である。この件はまだまだ序の口、宵の口。これからこういった事件や炎上は加速度的に増えていくと思われる。絶頂期から夜のとばりが降り、国際問題という暗闇が広がる世界へ漕ぎ出すVtuber業界。巨万の富を得るか、はたまた炎上し続け燃えカスとなるか。どちらにしても、夢のある職業、なのだろう。

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