しゅれでぃんがー 2021/09/06 17:08

反転アンチ

 近年は投稿サイトが多様化し、有料プランが作れるプラットフォームが増えている。Twitterで公開した絵がバズって一躍有名になる人もいれば、それらの公開された画像は無言でアクキーやタペストリー、抱き枕にして売っている人もちらほら見かける。

 個人的には、Twitterに公開した時点でそうなるのは当たり前だと思うので驚かないが(世の中にはそういう行為に呵責の無い人間はいる)、それらの対策として有料プラン記事に絵の差分を乗せる形式が多いように思う。これなら、作品全体は支援プランに加入しないと見られないので、無料プラットフォームしか巡回しない犯罪者には悪用されないだろう。まあ、それでも売れそうなら有料プランに加入してくる犯罪者もいるのだけれど。

 と、いうのは今回の本題ではない。一部の人間以外は、有料プランに加入して作品を楽しむ。しかし、そのプランの金額に見合わぬ作品だとユーザーが判断すると、その金額はそのまま不満となり、そして創作者への敵意へと変わる。単純に言えば、この程度のものにこんなにも金を払わせやがって、と思ってしまう。これは避けようがない。期待してお金払ったのに、期待を満たすだけの内容がそのプランに無かったのだから。この感情の動きを私は長い間言い表す言葉を持たなかったのだが。最近、見かけた。反転アンチ。この言葉はじつにしっくりきた。好きだった気持ちが、何かを切欠に反転する。嫌いになる。その気持ちが押さえられなくてアンチになる。悲しい話だが、よくあることだ。もちろん私にも経験がある。


 こんなことがあった。

 好きだったリョナ系サークルさんが、ゲーム未実装の画像を有料プランで公開します、とブログに書いていた。なんでも、いつも有料プランに加入してくれてる方たちへのせめてものお礼の意味合いらしかった。私は有料プランには加入していなかったが、そのプランに加入しないとその画像は現状見る手段が存在しなかったので、画像が見たくて加入した。
 
 見られた画像は、一枚だけ。動くわけでもなく、特別クオリティが違うわけでもない。当たり前だ。なにせ、ただのボツ画像なんだから。それだけなら、まだ我慢はできた。ふーん、で終わった話だ。だが、そのサークルさんはゲーム未公開画像は一つの記事にまとめるのではなく、記事毎に分けて一つずつ、数か月に渡って公開した。そのせいで、それらの画像を全部見るために1500円から2000円ほどかかった。これが私は、許せなかった。それら全部の画像を一つの記事にまとめて500円ならまだわかるが、これを分けるのはさすがに値段に合わないだろう。どれだけ金を使わせるつもりだ。そう思った時、私はそのサークルさんが嫌いになっていた。だから、フォローを外して情報も殆ど見なくなった。毎回記事にいいねが700ぐらいつくサークルさんだけど、やってることが許せない。名前やアイコンを見るのも嫌になった。

 製作者が良かれと思ってやったことが、結果的にファンを一人減らした。まあ、フォロワーが何万人もいるから私一人がファンを辞めたところでなにも影響は無いだろう。だが、お金が絡むことで、思い付きで値段に合わないことをする人を私は応援できない。ファン数が多くて、有料プランに入ってる人が多いからこそそういう軽率なことをしてしまうんだろうな、というのが今の私の結論である。

 作品は好きだったけれど、これのせいで作品自体も遊んでて胸に引っかかる思いがある。嫌な気分が抜けない。忘れられない、苦い経験だった。


 こんなこともあった

 Twitterで一度見かけただけの同人誌の情報。私はそれがどうしても読みたかった。だから、少ない情報を手当たり次第検索して探した。そして、fanboxで発見した。その製作者さんは長期間経った過去ログは値上げしたプランに入れていたから、私は大人しく2000円払った。そこで見られたのは、その同人誌の表紙だけ。どうやらその同人誌の製作は凍結されているらしい。ということは、私はその同人誌の表紙絵一枚の為に2000円払ったことになる。それに気づいた時、押さえきれない怒りが噴き出した。我慢できなかった。気が付いたら、コメント欄に慇懃無礼な文を書いていた。そして三分で思い直してコメントを消した。

 これこそ、私が勝手に期待してお金払っただけなので、製作者にしてみれば言いがかりというか。お前が勝手に自爆しただけだろう、としか言いようがないだろうが。それでも、私は2000円というお金を払った現実がある。どうあっても納得はできない。プロフィールに同人誌の発行状況でも書いていれば、読まなかった私が悪いと納得もできるのだが。2000円のプランに進捗と称して表紙絵だけ載せられても、しかもその記事自体一年か二年前の物だったから。罠だとしても避けようがないじゃない、と私は主張したい。

 結局、作品自体は好きだけどこの一件でその製作者さんのことが心の底から苦手になったので。やはり、本は買うけど素直に楽しめない自分に苦しんでいる。


 有料プランというのは、無限の可能性のある媒体だと思う。転売屋や違法アップロードから自身を守ることができるし。有料プランに参加している人数自体が自信となって、モチベーションにもつながるだろう。

 だが、だからこそプランの内容はきっちり詰めて欲しいし、決めたことは毎月きちんと守って欲しい。そういう縛りが無いのなら、思い付きで軽はずみなことはしないで欲しいし。古い情報をほったらかしにするのもやめて欲しい。それはもはや時限爆弾だから。


 なにせ、お金が絡んでる。軽い気持ちで500円や1000円、2000円も払う人間はいないだろう。500円って大金だよ。それゆえに、反転した好意は恐ろしい敵意となる。もちろん、その怒りを形にして製作者に向けるのは良くない。結局契約に同意してお金払ったのは自分なんだから、これに関してはお金払った方が負けだからね。勝ち目がない。だからまあ、何も言わず離れる……泣き寝入りしか方法はない。


 しかし、心に傷は残る。その傷は癒えることが無い。作品を見るたび、サークル名を見るたび、製作者名を見るたびに。疼き、血が滴り、嫌悪感を流し続ける。

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