しゅれでぃんがー 2022/03/10 21:40

【創作――アイディア】『ボイド・テラリアム』分析・続 ロボットの形状についての考察






【ロボットのデザイン】
 戦隊物のスーツを見ると、鋭角な装飾がたくさんついた、ごついヘルメットのヒーローがよく見かけられる。仮面ライダーを見ればその変遷が面白い。初代は全体的にシルエットが丸かった。特に、ヘルメット。昆虫を模したそれは緑を基調とした、過度な装飾が無い普通のスーツだ。だが、平成から令和にかけて、装飾は無限に増え続け。シルエットはどんどん角ばっていく。その方がカッコいいからだろうか。

 まあ、それは余談だが。ああいう形が、ロボットのキャラクターにも多い。何故かみんな人型だ。人型アンドロイド、という設定なら別にそれでもいいのだが。そういう理由じゃないのに人型のロボットだったりすると、俺はいつもそれを疑問に思う。人間の肉体構造って、別にそんなに機能的じゃないだろう、と。

 何処かの記事で読んだ気がする。宇宙空間で活動するロボットを作るなら、足を付けるより手をもっとたくさんつける、と。脚がある必要性が無いかららしい。それより、色んな所に物を掴める手をいっぱいつけたら便利なんだとか。ほんとかどうかは分からないが、理に適ってそうだと読んだとき思った。

 だから、ガンダムとかものすごいデザイン的には非効率的のように思う。重力がある場所で戦うならまああの形状でもいいんだろうけど、宇宙専用機体とかなんで人型にしてるのか理解に苦しむ。で、世の中の作品はだいたいがガンダムに引きずられているのか、それともエヴァに引きずられているのか。似たような人型ロボットが量産されていく。挙句の果てには人工皮膚とかまとわせて服を着せて。人間と違いが分からないロボットも多い。別に、それが悪いわけでは無い。むしろこれは個人的な趣向ではあるが。俺はもっと、ロボットらしいロボットが見たいのだ。

 そう考えると、『エイペックスレジェンド』というFPSゲームにおける、「パスファインダー」というキャラクターのデザインは秀逸である。彼は人型のロボットではあるが、そのデザインはちょっと特殊。人間の顔の部分にカメラが付いており、胴体に液晶がついているのだ。液晶で感情表現をする。このデザインを見た時、俺は感動した。理に適っている。頭はあくまでも見る機関にして、カメラ機能だけを置く。そして重要なCPUやらメモリやら、ついでに液晶とかスピーカー等大事な機関を強度が保てる場所……胴体に集約するのだ。ここにそれらを設置すれば、両手とかで胴体を守ることもできる。構造的に守りやすい場所に重要機関を集中しているのである。

 ロボットの感情表現についてもこのデザインなら簡単だ。液晶にエクスクラメーションマークやクエスチョンマーク、スマイルやハートなどの記号。それらを適切なタイミングで表示すればいいわけだ。いちいち人間のように言葉や態度で示さなくてもいい。いっそ感情を文字で液晶に表示してもいいのだ。パスファインダーは、感情表現というか身振り手振りも大げさだ。ロボットだからこそ、感情が分かりやすいように視覚的、動作的に明確に表現する造形がされているのである。


 こうなると、ロボットの構造というと。やっぱりデスクトップパソコンに手足を取りつ得たような造形が基本っぽくなるかな、なんて思ったりする。デスクトップパソコンの頭頂部にカメラを付けて、側面とかに液晶を……いや、電源ボタンとかついてる正面こそ横ということにして。側面の面積が大きい部分が正面。そうなると重量的にバランスが悪いか……行動できないというか、重さですぐ転びそうだ。じゃあ正方形の正四角形、さいころ型……ヤッターマンのサイコロンだな。いや、むしろ円形でもいいのか。これはガンダムのカプルみたいな感じになるな。両手足を通常時は格納してる。宇宙用の構造か……。

『ボイド・テラリアム』の主人公であるロボットの形状も面白い。頭が旧パソコンモニター、胴体があって手足がある。かわいらしい。でも正直、胴体がある必要性は疑問。顔に手足生えてる方が……いや、重力下での動作を想定してるなら別に人型でもいいか。良いデザイン。脚はキャタピラか二本足かで分かれるけど。段差とか上るのを考えるならキャタピラだと不便か。アンテナが耳みたいに二本ついてるのが可愛い。小さいシルエットに可愛く見える要素を凝縮した素晴らしいデザインだと思う。


 なんの意図も無くとりあえず人型、というロボットのキャラは微妙だ。その構造から、何故そういう形なのかが感じられるデザインだとロボットはとても楽しい。だからこそ、SFやサイバーパンクという題材は面白い。





【主人公をロボットにすることのメリット】
 これは単純に、「アイテムの設定が容易だから」だ。風来のシレンだとおにぎり、トルネコだとパンだったステータス「満腹度」。それがロボットだと「電力」であり、バッテリーを使用したら回復する。じつに分かりやすい。頭にスッと入ってくる。しかも、主人公はスキルを使用すると電力を消費する。トルネコだと満腹度を消費してスキルを使用していたが、正直あれは違和感があった。一瞬で腹減りすぎやろ、と。かといって疲労を実装するにもステータスが一個増えるわけだから大変だし、それこそMPとか用意するとまた面倒なことになる。でもロボットなら「電力を消費してあらゆることをする」という考え方がとても自然に納得できる。ここが見事なのである。

 HPを回復するとかはキットを使う、でいいし。特殊な能力や強化を行う装備品はチップでいい。その構造とパーツを適切にゲームシステムに当てはめるだけで、美しいゲームデザインが出来上がるのだ。それで作り上げたローグライクシステムは見事としか言いようがない。俺はただひたすらに感動している。

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