しゅれでぃんがー 2023/01/15 02:19

【文字――小噺】同居人の話 前編

 今日は同居人の話をしよう。今まであえてボカシながら話のタネにしてきたが、そろそろネタも溢れそうになっているし。ここらで整理がてら、俺の記事の肥やしになってもらう。










 俺の家はマンションの角部屋で、祖父母が買った物である。ゆえに、維持費が固定資産税と共益費しかない。だから普通に部屋を借りるよりも、年間の維持費用が数倍安い。もちろん、俺はそれを知っていた。だからこそ祖父の介護をした。その話についてはそのうちするかもしれないし、しないかもしれない。とにかく、その結果として手にしたのがこの家である。


 四部屋+キッチンがある部屋+洗面所と風呂+トイレ。玄関も広め。ベランダは三つで、大きさは大中小ぐらい。他人に言うと誰もが羨むし、リフォーム屋の小間使いをしていた時は元請けの年老いた営業さんと雇い主の親方が口をそろえて「家があるだけ恵まれてるよ」と言ってきた。それを聞くたびに俺は心の底から不愉快になり、ブチ殺したい衝動を抑えていた。俺が今日まで、どんな思いでどんな人生を歩んできたか知りもしないのに。知った風な口をきくなよ。殺すぞ。いや、殺さないけど死んでこいよ。と、心の中で、言われるたびに毒づいたものである。他人の人生を見ても聞いてもいないくせに、知ったような口を利くやつが俺は死ぬほど嫌いだ。





 まあ、そんなことはどうでもいいのだ。今は同居人の話である。同居人はブラックすぎるゲーム会社でかなり病んでいた。なので、俺は使ってない部屋に住まないかと持ち掛けた。同居人はその話に乗ってきた。ざっくり説明すればそんな流れである。もちろん、介護が終わった俺の家はかなり荒れていたので、人が住める状態になるまで頑張ってリフォームを自分でコツコツしたのだが。それについては、このブログにその過程を記事で書いてるので興味がある人は読んで欲しい。


 俺自身も、広すぎる家を持て余していた。生活スペース的に家の北側の二部屋には数年近く足を踏み入れていない状態だった。一人で暮らしてると、どうしても使わない部屋というのが出てくるのだ。だから、環境維持もかねて。住む人間を置いて、部屋の荒廃を防ごうと思ったのだ。ついでに光熱費も半分出してくれたら助かるし。そんな感じで、同居人は俺の家に引っ越してくることとなった。


 その時、同居人は会社をやめた。社会人として十年以上働いてたので、失業保険が申請できる権利を持ってたかららしい。辞める方法については俺が入れ知恵した。俺が高等学校教員を辞めるときに使った手である、【うつ病診断書を会社に提出する】をやらせたのだ。俺は校長先生にうつ病診断書を見せて、勤務続行不可能ということにして辞めた。うつ病診断書は現代の最強ツールである。


 うつ病の診断書ってのはわりとすぐにもらえる。心療内科があるクリニックに予約を取って、そこで会社での自分の状態やらそれによって自分の精神がずたずたになっていることを泣きながら訴えれば一瞬である。二つ返事で診断書を書いてもらえる。診察料は三千円だったか、五千円だったか……あれはまあ、診断書を書く費用というか、診断書の代金だと俺は思っている。


 医者から診断書をもらってる人間を強○的に引き止めたら法律違反である(知らんけど、たぶんそうのはず)。ゆえに、どんな会社でもこの時点で勝負あり。退職を認めなければならない。これを俺は知っていて、実践したことがあったので。俺が行ったクリニックの住所を同居人に教えて、診断書貰って会社に見せろとだけ言っておいた。そしたら関わってたプロジェクトがひと段落した段階で辞めたらしい。言ったことをちゃんと実践したようである。





 その辺からは同居人も俺の家のリフォームを手伝ったり、俺が同居人の引っ越し準備を手伝ったり。そこで同居人が勝手にリフォーム工数を増やして勝手に代金を請求してきて本当にこいつはやからだなあというのを思い知らされたりしたのだけれど。まあ、終わったことなのでそれは別にいい。とりあえず、引っ越してきた。そして、今日まで元気に家でダラダラして、精神は回復したようである。






 長くなるから、今回はこの辺にしておくか。

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